検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

アンコウの生態や基本情報まとめ【魚図鑑】

今回はあんこうの生態や特徴、チョウチンアンコウとあんこうの違いについてご紹介します。また、おいしい食べ方についてご紹介いたします。あんこう鍋など、普段食べることもできる「あんこう」は一体どんな生物なのか、この機会にぜひ知っていただければ嬉しいです!
2020年8月27日
咲良09
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

あんこうの分類、チョウチンアンコウとの違いは?

すっかり肌寒くなり、あんこうの美味しい季節になりましたね。「美味しい」ことで有名なあんこうですが、その生態までは知らない、という方も多いのではないでしょうか。ここでは身近だけど謎が多い魚、あんこうについて解説していきます。

あんこうはその名の通り「アンコウ目アンコウ科」に分類される魚です。この「アンコウ目」にはあんこうのみならず、チョウチンアンコウやカエルアンコウなども含まれており、その中で食用とするものだけが「あんこう」を呼ばれています。深海魚として有名なチョウチンアンコウ等とは、仲間ではあるもの違う魚類なのです。

あんこうの外国名、Anglerとは別?

あんこうの外国名として有名なのが「Anglerfish」ですが、それ以外にも「Goosefish」や「Monkfish」などの呼び名があります。「Anglerfish」は「アンコウ目」全体をさす言葉という意味合いが強く、その中で食用とされるものが「Goosefish」や「Monkfish」と呼ばれています。日本で言う所のチョウチンアンコウとあんこうの違いのようなものですね。

あんこうの学名

あんこうの学名は「Lophiidae」と呼ばれています。この「Lophiidae」には「アンコウ科」という意味があり、その中にも細やかな分類が存在し、キアンコウ属は「Lophius」ヒメアンコウ属は「Lophiodes」と呼び名が変化します。チョウチンアンコウの場合は「Ceratioidei」カエルアンコウの場合は「Antennarioidei」となるため、あんこうの仲間は「L」から始まる、と覚えておくとよいでしょう。

「あんこう」の名の由来、その歴史など

あんこうの名の由来は諸説あり、平べったい口に着目し「あご」と呼ばれていたのが徐々に訛り「あんこう」に変化したという説や、千葉の方言で「ヒキガエル」を意味する「あんごう」が変化したものとする説など。中には動きの鈍さと大口を開ける姿から「暗愚魚」と呼んでいたのが訛った、という説も存在します。 どれが正しいのかは未だに確定していませんが、多くの説がユニークな姿に着目しているのが特徴です。その歴史は古く、室町時代から食べられていたといわれ、その体の形が楽器の「琵琶」に似ていたことから「琵琶魚」とも呼ばれていました。


あんこうの生息地域や分布、どこで獲れるのか?

あんこうは主に北海道以南の日本各地で見ることができ、東シナ海からインド、太平洋西部でも姿を見ることができます。 東海に広く分布していますが黄海には殆ど生息しておらず、冬になると南部にかけての沖合に姿を見せますが、4~5月になると産卵のため南部海域に向かって移動するのが特徴です。好む水温は17~20℃までとされ、低温を好む傾向がありますが、極度の低温は好まず12℃以下になるとほとんど生息していません。

あんこうの生態・生息環境など

あんこうは見た目はもちろん生態もユニーク。アンコウ目の魚にはおおまかに3つのグループが存在しており、食用とされる「あんこう」を含むグループと「カエルアンコウ」という魚を代表とするグループ、そして「チョウチンアンコウ」などの深海魚のグループに分かれます。 3種はそれぞれ住んでいる環境こそ違いますが「海底で生活する」所は共通しており、巨大な口を開け獲物を待ち、捕食するところは同じです。

あんこうの生態

所謂食用の「あんこう」は水深600メートルまでの深海で這うように移動し、低底魚や甲殻類などを捕食します。特徴的な平べったい身体は砂に潜むのに適しており、背びれの先端部が変化した「疑似餌」で小魚を誘い丸呑みにします。その姿はしばしば釣りにたとえられ、外国名の「Angler」も「釣り師」から来るものです。

カエルアンコウの生態

カエルアンコウは沿岸の水深200メートルより浅い岩礁または砂底に生息し、口の上の「エスカ」と呼ばれる疑似餌を振って魚を誘きよせ、捕食を行います。腹びれで持ち上げ、海底を歩く姿からかつては「イザリウオ」とも呼ばれていましたが、差別用語にちなむ名前だと最近になって改名されました。

チョウチンアンコウの生態


チョウチンアンコウは水深200メートル~800メートルに生息し、名前の通り発光する疑似餌をもって誘き出し捕食を行います、深海魚として比較的よく知られており「チョウチンアンコウは知っている」という方も多いのではないでしょうか?チョウチンアンコウの特徴は発光する疑似餌のみでなく、後述の「形態や特徴」の項でもそのユニークな生態を紹介していきます。

その特徴や形態

なんといってもアンコウの特徴は平べったい身体と大きな口ですが、ほかにもアンコウならではの特徴は存在します。アンコウはオスよりメスのほうがサイズが大きい種が多く、市場に出回るものの殆どはメスと言われているほど。 中でもチョウチンアンコウはオスがメスより極端に小さく、さらにはメスに「付属物」として寄生し、栄養分をすべてメスから供給される「ヒモ生活」を行う種も存在します。まだまだその生態には謎が多く、アンコウのすべてが明かされているわけではありません。

あんこうはどこで釣れる?

あんこうが釣れる場所は岸から離れた海上、北海道以南に分布し20時が最も釣れやすい、とされています。釣るときに気をつけたいのが、7月から8月までは禁漁となっていること。 その時期は避け、狙うなら産卵を控えた春先か11月から2月がおすすめです。と言ってもアンコウは多くの種が海底に生息し、通常は底引き網漁や延縄漁などで漁獲されているため。釣ることも可能といえば可能ですが「まぐれ」で釣れてくれるのを祈るしかありません。

あんこうの味、美味しいあんこうの選び方

あんこう自体の味は淡白でカロリーも控えめですが、その肝臓は「あん肝」と呼ばれ「海のフォアグラ」の異名を持つほどの濃厚な味わいで知られています。どう調理しても美味しい高級魚ですが、特に美味しいあんこうを選びたいという場合は色艶のいいものを選び、実際に触って肝の大きさを確認するようにしましょう。もっと言えば、スーパーではなく魚屋か市場で買うとより確実性が増しますよ。

栄養や寄生虫、生食には注意

あんこうを食べるときに気を付けたいのが寄生虫「アニサキス」の存在。食物連鎖の関係であん肝に寄生している可能性もあるため、自分で購入し調理する際はしっかりと火を通すか冷凍を行うようにしましょう。 アニサキスが死滅する目安は加熱の場合は60度のお湯で1分間の加熱を、冷凍の場合は-20℃以下で24時間以上冷凍することが必要です。調理して食べる分には何の問題もありませんが、生食、特にあん肝を食べるときには注意が必要です。


代表的なあんこう料理や調理法

冬の味覚ともいわれるアンコウ、その中でもっとも代表的なのが鍋の具材とする「あんこう鍋」です。あんこうの部位を満遍なく食べられるのに加え作るのも簡単で、あっさりした味付けが多いため「魚鍋」は初めてという方にもおすすめの一品です。 鍋以外にも鍋で生肝を乾煎りしてから作る、伝統の漁師飯「どぶ汁」に、あん肝や皮などを酢味噌を混ぜて食べる「友酢」などが有名です。勿論お刺身や唐揚げにしても絶品ですよ。

大迫力!あんこうの吊るし切り

あんこうの調理法の中で最も有名なのが、吊るした状態で肉を削いでいく「吊るし切り」でしょう。その独特の捌き方にはちゃんと理由があり、あんこうの身体は全体的に柔らかく表面もぬめっているため、まな板に乗せ捌こうとすると包丁が滑りケガしてしまう危険性があります。 それ以外にもあんこうは大きいものでは2メートルを近くもある巨大魚で、そもそも乗せられるまな板がないと言うのもあります。吊るすことで下に引っ張られ切りやすくなるというのもあり、ド迫力な「吊るし切り」は合理的な理由から生まれたものなのです。

あんこうに関するまとめ

「見た目はグロテスクだが美味しい」だったり「吊るして切る魚」だったり、身近な高級魚ながら詳しい生態や特徴は中々わからないもの。この記事を通し、少しでもあんこうに関する知識を身に着けていただければ幸いです。これであなたも、あんこうにちょっと詳しくなり、今度からもっと美味しく食べられるようになるかもしれませんね。