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~初夏に漂う甘い香り~クチナシの基本情報まとめ【植物図鑑】

くちなしは、沈丁花(ジンチョウゲ)や金木犀(キンモクセイ)とともに日本の三大香木といわれています。初夏に漂う甘い香しい香りが、くちなしの魅力です。10月~11月に実るくちなしの果実は、乾燥させ漢方薬としても古くから使われています。
2020年8月27日
kaorin007
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目次

くちなしとは

科名

アカネ科

学名

Gardenia jasminoides この名称は、18世紀の植物学者アレキサンダー・ガーデンの名前に由来するとされています。

花名由来

くちなしは、他の植物のように熟しても実がはでたり割けたりしないのが特徴です。その特徴から、「口無し」が転じて「くちなし」と呼ばれるようになったという説があります。 その他には、実の上部が鳥のくちばしに似ていることから実の部分を梨に見立てて「口のある梨」が由来という説です。 また、クツナ(蛇)しか食べない実ということから「くつなし」が転じて「くちなし」になったという説もあります。

くちなしの花言葉・開花時期

花言葉:幸運を運ぶ

くちなしの花言葉は、素敵な意味を持っています。 ・幸運を運ぶ ・とても幸せです ・洗練 ・優雅 これらが、くちなしのおもな花言葉です。

由来

くちなしの花言葉である「幸運を運ぶ」というのは、くちなしの甘い香りが人の心を幸せにしてくれるところからきているようです。 プレゼントと言えば、欧米のダンスパーティで男性から女性へくちなしの花をプレゼントしてダンスに誘う風習があります。「とても幸せです。」という花言葉は、花を受け取った女性の思いを表しているのかもしれません。 「洗練」「優雅」という花言葉は、まさにくちなしの姿そのものです。白く美しい姿は、洗練された優雅さを感じさせます。


開花時期

くちなしの開花時期は、初夏の6月~7月頃です。

くちなしの育て方・栽培方法

難易度

くちなしは、比較的育てやすい植物です。少しガーデニングに慣れてきた人に向いているでしょう。

時期

植え付けや植え替えの時期は、4月~5月頃が目安です。肥料は、2月~3月頃と8月頃に与えるとよいでしょう。剪定は、6月~8月頃がおすすめです。

植え付け

くちなしの植え付けで気をつけるポイントは、水はけです。深く掘って植えるのではなく、少し浅めに掘ったところに植え付けこんもりと土を盛るのがポイントです。 植え付けの後は、乾燥させないよう充分に水を補給してやりましょう。株元をわらや腐葉土で覆うことで、乾燥から守ることが可能です。 植え付けに適した時期は、4月~5月頃です。夏場や冬場は暑すぎたり寒すぎたりするので、おだやかな気候の時期に植え付けることをおすすめします。

水やり

くちなしは、乾燥に弱い花です。水は、土の表面が乾いたら充分に与えてやりましょう。 地植えの場合は、夏の日差しが強い時期以外は自然の雨水でも大丈夫です。土の状況を見ながら水やりをおこなってください。 鉢植えの場合、夏の時期には水分の蒸発が多いので1日1回以上水をやりましょう。真夏には、朝夕2回たっぷりと水を与えることをおすすめします。 ただし、冬場はあまり水をやり過ぎると葉の色が黄色くなり花自体の元気がなくなるので注意が必要です。

肥料


肥料をやるのは、2月と8月が適期です。それどれの時期に1回ずつ与えます。肥料は、油かすと化学肥料を同等程度混ぜ合わせたものを使うとよいでしょう。 鉢植えの場合は、2カ月に1度の割合で油かすを与えます。粒状の油かすを株元に与えてやることが大切です。ただし、冬の時期にはほとんど肥料を与える必要はありません。

剪定

くちなしの剪定時期は、6月~8月頃です。最適な時期は、花が咲き終わった頃になります。花芽は、この時期と秋頃に付きます。秋の時期に剪定すると、大切な花芽まで切り落とすことになりかねません。秋口の剪定で花芽を切り落とすと、翌年に花が咲かないので気をつけましょう。 年に2回花をつける品種のものは、9月頃の剪定がおすすめです。勢いのある徒長枝は枝元から、小枝や枯れ枝は枝分かれしているところを剪定するのがポイントです。剪定の際には、新しい枝を切らないよう気をつけましょう。

増やし方

くちなしの殖やし方は、おもに株分けと挿し木です。 挿し木なら簡単に増やすことができます。5月~7月頃に挿し木をおこなうとよいでしょう。挿し木の方法は、今年生えた枝のしっかりした部分を10~15cmほど斜めに切ります。上部の葉を2~3枚程度残し、30分~1時間ほど切り口を水につけておきます。その後、切り口をつぶさないようにして土にさせば完了です。土にさす前に、挿し木の切り口へ植物成長調整剤をつけておくと根の成長をサポートしてくれるでしょう。 挿し木をおこなった後は、充分な水を与えビニール袋などで覆いをして日陰に置きます。土が乾かないよう注意しながら毎日水をあげましょう。1カ月程度すると根が出てくるので、その頃に植え替えをおこないます。 株分けは、3月~4月が適期です。地面をはって発根するタイプが株分けに適しています。根をほぐし、ハサミなどで株を分け植え付子と同様の方法で植えつければ出来上がりです。

場所

くちなしの置き場所のポイントは、日当たりのよいことです。ただし、強い西日などが当たる乾燥しやすい場所は避けた方が良いでしょう。寒さには弱いので、寒風のあたらない温暖な場所を選ぶことが大切です。

くちなしの特徴

初夏に香しくにおい立つ甘い香り、それがくちなしの魅力です。梅雨から初夏にかけ、大振りな純白の花を咲かせます。また、秋には鮮やかな赤みがかったオレンジ色の実をつけるのが特徴です。 常緑低木で背丈も一般的に1mから高いものでも3m程度のため、お庭に植える方も多いようです。枝が詰まって生長するので生け垣などに使われることもあります。ただし、花が咲くまでには、3~4年程度かかります。

くちなしの品種・原種

くちなしの種類には、「こくちなし」や「やえくちなし」が知られています。 「こくちなし」は、小ぶりの花を咲かせ30~40cmほどの背丈になります。背丈を伸ばすというよりは、枝を分岐し横に広がるのが特徴です。 「やえくちなし」は、名前の通り八重咲きの大きな花をつけます。香りも他のものより強いのが特徴です。日本の庭先でよくみかける品種は、この「やえくちなし」が多いといえます。

原産地


日本・中国・台湾などの東アジアや東南アジアが主な原産地です。

分布域

日本での分布域は、暖かい地方に多く分布しています。東海地方から西側を中心に四国・九州・沖縄に生息しています。

くちなしのその他おすすめ情報

くちなしの実について

くちなしの実は、漢方薬として古くから用いられていたようです。漢方では、山梔子(さんしし)と言われ血流を良する成分として知られています。この漢方は、肩こりの改善などに効果があるとされています。 それ以外にもくちなしの実には、目の疲れをやわらげる効果があるようです。この効果は、くちなしの実に含有されているクロセチンの作用だといえるでしょう。

くちなしの染色効果

漢方薬としての効能・効果だけでなく、くちなしには高い染色効果があります。よく知られているのが、お節料理にある栗きんとんの鮮やかな黄色です。この黄色は、くちなしの実からとった果肉により着色されます。 同じように沢庵の色付けにも使われています。 また、くちなしの実の成分から「くちなし青色素」や「くちなし赤色素」などの着色料を作り出すことが可能です。クロシンやクロセチンを主な成分とする色素は、「くちなし黄色素」と呼ばれています。

まとめ

初夏の風に乗って香るくちなしの香りは、花言葉のように幸運を運んでくれる気がします。香りだけでなく、鮮やかな美しい白い花がお庭やお部屋の雰囲気を素敵に変えてくれるでしょう。 比較的扱いも手間がかからず、育てやすいのがくちなしです。ガーデニング初心者から少しステップアップしようかなという方におすすめだといえるでしょう。