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コバンザメの生態や基本情報まとめ!気になる味や食べ方もご紹介!【魚図鑑】

コバンザメの名前の由来や生態・釣り方や料理をまとめたお魚図鑑です。コバンザメは滅多に釣れる魚ではなく、釣ってもリリースしてしまう人がほとんどでしょう。コバンザメは実は食べられる魚なんです!コバンザメについてもっと知ってみたいと思いませんか?
更新: 2020年9月23日
杠葉 狼
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コバンザメ/分類

スズキ目コバンザメ科コバンザメ属

コバンザメはスズキ目のコバンザメ科に属する魚です。一般的に知名度の高いホオジロザメのように名前に「サメ」とついていることから、サメの仲間だと思っている人が多いようです。 実は名前にサメとついていますが、スズキ目に属するため、サメの仲間ではないんです。

コバンザメ/外国名

shark sucker

「shark」は文字通り「サメ」、「sucker」は「吸盤」という意味があります。 組み合わせると吸盤を持つサメ、といった意味になりますね。 コバンザメは海外では、昔船の進行を妨げると信じられていました。 それで邪魔者、障害物という意味の「remora(レモラ)」と言われることもあります。

コバンザメ/学名

Echeneis naucrates

「Echeneis」は「コバンザメ目」、「naucrates」は学名を意味する単語です。この二つがそろってコバンザメを意味する言葉になります。

コバンザメ/由来(漢字)

小判鮫

コバンザメの名前の由来は、独特の形状をした頭部にあります。 コバンザメには自分よりも大きなサメやクジラの体にくっつくことのできる吸盤が頭部にあります。吸盤の形状が小判に似ているため、「小判鮫」と呼ばれるようになったのです。 地域によっては「コバンイタダキ」「ヤスナ」「ソロバンウオ」「コバンウオ」といった名前で呼ばれています。

コバンザメ/生息地域・分布

全世界の熱帯・亜熱帯域

コバンザメは暖かい場所が好きな魚で、太平洋東部・大西洋北東部以外の暖海や地中海に生息し、沿岸性の強い魚です。 日本でも北海道から九州、屋久島、琉球半島とほぼ全国に生息しています。 多くはサメ類にくっついて回ることが多いですが、自力で遊泳したり、回遊することもあります。

コバンザメ/生態・生育環境

コバンザメの生態や生育環境をチェック!

コバンザメの生態や食性、特徴、生育環境をご紹介します。 コバンザメは狙って釣れる魚ことはごく希な魚です。そんなコバンザメを釣りたいという人のために、コバンザメの生態や生育環境について解説します。コバンザメ釣りの時の参考にしてください。

種類によって宿主が決まっている


コバンザメは3属8種類が知られていますが、それぞれの種類によって、くっつく相手である「宿主」が異なります。 コバンザメの宿主はサメ、ウミガメ、イルカ、マンボウなどがいます。小さなうちはもっと小型の魚で、自分よりも大きな魚やウミガメが宿主になることが多いようです。

表層を泳ぐ魚を食べる

コバンザメは海の表層にいる魚を食べているといわれています。 それだけではなく、自身がサメなど他の大型魚にくっついているときには、そのおこぼれや寄生虫・排泄物を食べていることもあります。 アクアショップでコバンザメを販売していることがありますが、ペットとして飼育する場合には乾燥エビなどをよく食べるようです。

産卵は夏~秋

コバンザメの産卵期は夏~秋で、日没頃が多いようです。 雄は雌のお腹を吸盤を起用に使って刺激し、雌の産卵を促します。 産卵しそうになると雌は水面近くを泳ぎ始め、雄がそれを追い、産卵・放精が行われます。

稚魚時代は掃除屋的役割になることも!

特徴的な頭部の吸盤は、大きさが30センチ以上にならないとできないため、それまでは他の魚と同様に単独で浮遊しています。 コバンザメの稚魚は吸盤ができるまでは自ら餌を探さなければならないため、他の魚の死んだ皮膚や体の表面についた寄生虫を食べることが多く、サンゴ礁などでは、「掃除屋」としての役割を担うことが多いのです。

宿主に食べられてしまうこともある

コバンザメは宿主にとっては、寄生虫を食べてくれるありがたい存在です。 コバンザメは寄生虫を食べるために、宿主の肛門付近にくっつくことも多いのですが、たまに宿主に間違って食べられてしまうこともあります。

コバンザメ/特徴・形態

大きな個体でも1メートル前後

海外では大きなものは体長約1メートルになるものが多いようです。しかし日本沿岸で獲れる個体は、50センチ前後のものがほとんどです。 コバンザメの体は体に黒の縦のラインが1本あり、尾ひれは黒っぽい色で、白い縁があります。 宿主にくっつくための吸盤は小判のような形状をしており、頭部にあります。

独特の進化を遂げた吸盤

コバンザメの一番の特徴である頭部の吸盤ですが、内側は18~25本ほどの板状の縞になっています。 実はこの吸盤、宿主にくっつくために背中にある背びれが変化したものと言われています。 吸盤はコバンザメが後方に動くとくっつき、前方に動くことで外れる仕組みになっているので、自分で動きたいときは前方に動くと自由に動き回れます。

下あごが突き出ている

コバンザメの口は幅が広く下あごが突き出ています。これは宿主であるサメやウミガメなどの体についている、寄生虫を食べるためといわれています。 宿主の体の表面についている寄生虫を、突き出た下あごでかき取って食べるようです。

コバンザメ/釣り情報


コバンザメは暖かい地域の海で通年獲れる魚ですが、定置網にかかることもまれな魚です。 釣りやすい時期や大型のものが釣れる時期を考えると、産卵時期で表層に現れることの多い夏~秋の日没頃を狙うのが良いでしょう。

堤防で釣れるのはまれ

沿岸部に生息していることが多いため、波止場などでも釣れるようですが、堤防や波止場などで釣れるのはきわめてまれなことです。 基本的に大型の海洋生物にくっついているので、船で沖に出たほうが釣れる確率は高いようです。

九州・沖縄方面が釣れやすい

全国各地で運が良ければ釣れるレアなコバンザメですが、一般的な釣りの場合は沖縄や鹿児島、石垣島など九州方面で釣れることが多いようです。 どうしてもコバンザメを釣りたいなら、漁師さんによくコバンザメが釣れるポイントに連れて行ってもらったほうが、コバンザメが釣れる確率が高くなります。

餌は何がいい?

コバンザメは宿主の寄生虫や食べ残しを食べるため、雑食性と考えてよいでしょう。 偶然コバンザメを釣った人の多くは、他の魚を狙っている人がほとんど。 食性を考えると餌は何でもよいのでしょうが、石ゴカイや青イソメ、チロリといった寄生虫に形状の似ている生餌のほうが、食いつきが良いのではないでしょうか。

コバンザメ/選び方

大きなものを選ぶこと!

コバンザメは専門の漁がなく、一般的に食用とはみなされていません。しかし漁師さんの間ではとてもおいしいことが知られています。 定置網に紛れ込んだコバンザメが市場に出ることはまれで、値段はやや高いといったところです。 味は大きさが大きくなるほどおいしいと言われています。

コバンザメ/味や食べ方

コバンザメの味はクセがなく食べやすい!

コバンザメの身は白身でクセや臭みがなく食べやすいです。 熱を通すと身が締まり、骨からはとてもおいしい出汁が取れます。

コバンザメの食べ方は?

コバンザメの食べ方は、刺し身、塩焼き、煮付けなど様々な調理法で食べることができるのです。 大きいサイズは刺身や塩焼きにすると上質な白身を堪能でき、小さいサイズは煮付けにすると甘辛くトロトロと口の中でとろけます。特に脂の乗った個体は絶品ですよ!

コバンザメ/栄養・寄生虫

コバンザメに寄生虫はいるのか?

コバンザメは宿主に寄生している寄生虫を食べることがあります。 そのためコバンザメに寄生している可能性の高いものに、「アニサキス」と「イカリムシ」が考えられます。 普段は内臓に潜んでいますが、宿主が死ぬと身の部分に向かう傾向が強いです。


鮮度優先!加熱や冷凍で寄生虫対策を!

コバンザメの鮮度を保つためにも、内臓はすぐに処理しておくこと。 加熱や冷凍といった処理での対処も可能ですし、目で見て除去することも可能です。刺身にする段階でも、意識して身に寄生虫が潜んでいないかチェックしましょう。

コバンザメ/料理・調理方法

さばき方はどうなる?

頭に吸盤があるためさばき方はどうなるんだろう?と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。 吸盤は海から出ても強力な吸着力があるので、まな板や流し台、手にくっつかないよう気を付ける必要があります。 YouTubeに実際に生きているコバンザメをさばいた動画がUPされていましたので、調理時の参考にしてください。

鍋や唐揚げがおいしい!

スズキ目ということで、サメとは違い非常にクセのない白身のコバンザメは刺身で食べると物足りなさを感じる人が多いようです。 骨からは非常に良い出汁が取れるため鍋でいただいたり、唐揚げが好まれるようです。

唐揚げにするならスパイシーな味つけがおすすめ!

そのままから揚げにしてもおいしいのですが、クセがなくて物足りないという人が多いコバンザメ。 唐揚げの時には衣にカレー粉やチリパウダーなどを混ぜて、スパイシーな味にするとお酒のおつまみにもなって良いですよ。カレー味は子どもも好んで食べてくれる味なので、魚嫌いなお子さんでも食べやすいのではないでしょうか。

コバンザメ/その他

料理の腕に自信がないときはお店で食べよう!

自分で釣って食べてみたいけど、調理は苦手という人は、コバンザメを出してくれるお店が各地にあります。 釣ったコバンザメを海に返して、お店でおいしいコバンザメ料理を楽しみましょう!

小さな個体はリリースしよう

なかなか釣れることのないコバンザメが釣れてうれしくなるのはわかりますが、食用にならないような小さなサイズの個体は元気なものはリリースしましょう。 コバンザメも個体数に限りがあります。無駄な殺生をしないまた、生物資源の保護という意味でも小さな個体を海に返してあげる必要があります。