藜(アカザ)の杖・小 長さ102cm前後 茨城県の工芸品 Cane of goosefoot, Ibaraki crafts
アカザとは
アカザは別名「レイチ」とも呼ばれます。 実は現在では余り見られない貴重な雑草で、漢字で書くと「藜」と言う漢字を書き、野生化起源とも言われる「藜の羹(あつもの)」は粗末な食事の比喩等でも使われています。 茎は直立した状態で、2メートル程にもなり質は堅いので昔から杖に使われていて、今でも杖の材料として使われています。 また、アカザは好窒素植物で、エンバクの3倍も窒素を吸収するとも言われています。 若芽の時と大きくなってきた時の見た目が全然違って見え、花は真っ赤な小さな花を沢山つけのです。
科名
アカザ科アカザ属
学名
Chenopodium album var.centrorubrum
花名由来
アカザの由来:アカザは、若葉の時、赤い粉状の微細な粒に覆われているのだが、この微細な粒が赤いのがアカザと呼ばれ、白いのがシロザと呼ばれている。 また、この赤い粉状の微細な粒は未熟な葉の細胞の遺伝子を傷つける紫外線や光合成に使いきれずに、葉緑素から活性酸素を発生させて組織を損傷する原因となる過剰な光のエネルギーから防御している役割があります。 英語では、鶏のエサにする事から、Fat Hen等とも呼ばれています。
アカザの花言葉・開花時期
花言葉:
恥じらい
開花時期
7月~10月
アカザの育て方・栽培方法
難易度
初心者向け:雑草なので基本は育てる人は余りいませんが、育てるなら基本は、雨水だけで育ちますが、日照り続きの日等にはお水をあげて下さい。 ただし、アカザの一番の難易度は苗が売っていないので自分の足で探さなければいけない所です。ご自分で近くの田んぼや空き地、畑等に行って見付けて下さい。 その際は、土地主の方に許可を得て苗を頂きましょう。 ※ただし、杖目的で作る場合は管理が大変なので上級者向けになります。
時期
4月~5月に植える。
植え付け
これといった地質は選びませんが、アルカリ性の地質を好みますので苦土石灰(石灰にマグネシウムが混ざったものの事)で中和してから植え付けをします。難しければ市販の培養土で植え付けをしても構いません。 水はけが良く肥沃な土だと良く生育します。
水やり
基本的に雑草なので、雨水だけで大丈夫です。
肥料
最初に苦土石灰または、培養土で植え付けたら後はほったらかしで大丈夫です。
場所
これと言った場所も選びませんのでご自分の好きな所に植えれるのも雑草のいい所です。
杖用栽培方法
杖用に栽培される場合は、肥沃な土と日当たりが良い場所でなら大丈夫ですが、取っ手の持つ部分以外は曲がらない様に支柱などで固定をしてください。 ただし、早い時期に台風がきてしまうとダメになってしまうというのも特徴の一つなのでその管理が難しいとされていてアカザの杖を作る時の工程も長い時間がかかるので今でも高値で取引されています。※一部地域の道の駅などでは安くで売っている場所もあるみたいです。
植え替え
植え替え方法も取ってきた苗と同様に、苗からとって別の場所に植え替えます。 雑草ならではの方法です。
アカザの特徴
アカザは夏の七草でもあり、草丈が一メートル以上に育ち、 秋には花をつけます。アカザ科植物の一種で、実はシロザの変種になります。 また、アカザを育てる時に最も注意が必要な事は、風に花粉を乗せて受粉させるためアレルギーの原因になるので注意して下さい。
アカザ中毒疹
アカザ中毒疹とは、かつて食用として栽培されていたアカザだが人によっては発症する症状で、葉を煮て食べてから強い日光に当たると局所的に発赤・むくみ・紫斑・ただれ・潰瘍などが生じ灼熱感と痛みを伴うものです。 第二次世界大戦中は救荒植物として栽培もされていたこともあります。
アカザの効用
アカザは昔は民間薬としても知られていました。 薬効:葉を揉んで虫歯に塗ったり、虫歯の時に乾燥した茎葉を煎じた汁を口中に含んでいると痛みが止まったり、煎剤として健胃や強壮薬にも使われていて、また、毒虫等に刺されてしまった時や癜風になった時にも生葉の揉み汁を湿布すると良いとされていました。
アカザの品種・原種
原産地
原産地は、インドで古い時代に中国経由で渡来し、食用に栽培されていたものが野生化したものと言われています。
分布域
北海道から九州までみられる雑草で、一年草になります。
アカザのその他おすすめ情報
アカザの食べ方
実はアカザには、ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンCやロイシン・ベタイン・パルミチン酸・オレイン酸・リノール酸などの栄養素を豊富に含む食べ物で、基本的な扱いとしては、ほうれん草と同じ扱いで大丈夫なのですが、アカザはしっかりと洗わなければ花粉が沢山ついているのでアレルギーの原因になりますので注意が必要です。 食べ方としては、アカザの若芽を摘んで、ほうれん草と同じでアカザをしっかりと洗い茹でて水にさらし、ポン酢やお醤油などをかけて食べます。若い実などは「丘カズノコ」などとも呼ばれプチプチしています。 ※ですが、シュウ酸が多い為ほうれん草に似たえぐみがあります。 また、未熟な種子を佃煮にして食べている地域も昔はあったそうです。
注意事項
今でもアカザの若葉は食べる事は出来ますが、同科のほうれん草等が普及し、食べられなくなったのと、人によってアカザはアカザ中毒疹を発症したりするので食べるには注意が必要です。
シロザとの違い
アカザはシロザの変種なのだが、若芽の時はアカザとシロザの見分けは色で見分けがつきやすいが、若芽を過ぎてしまうとアカザとシロザの見分けが殆ど解らなくなってしまいます。 シロザはあちこちで見かけるがアカザは最近では滅多に見かける事のない珍しい植物となっています。 シロザは杖には不向きなので、間違えてシロザを育ててしまうと杖が作れないので注意してください。
アカザの杖
藜(アカザ)の杖・小 長さ102cm前後 茨城県の工芸品 Cane of goosefoot, Ibaraki crafts
昔の中国で仙人が作ったとされるのがこのアカザの杖で、アカザで作った杖は、中風(脳出血等によって起こる半身不随や手足の麻痺等の症状)の予防になると言われていて昔から有名です。勿論迷信ですが、信じる事により多少の効果があるのかもしれません。 また、日本では若い方などはあまり知らないと思いますが、実は七福神の中の一人である幸福や長寿・家庭円満などで知られている〝寿老人″が持っている杖がアカザの杖だと言う言い伝えもあり、昔の偉人である松尾芭蕉などにも愛用されていたと言われています。
アカザの杖の作り方
アカザの杖の取っ手となる曲がる部分ですが、実はアカザの根本の部分なのでアカザの茎が伸びてくる頃に杖の取っ手となる部分だけを曲げるために重しをして丸く曲げなければいけません。これが一番難しい部分になります。 後は、取っ手の部分以外は曲がらない様に支柱をしてそのまま成長させます。 そして2mを超えた辺りで切り倒して(とても固いので注意して下さい。)皮を剥き乾燥させます。 数か月乾燥させた後紙ヤスリなどで擦り、ニスを塗って乾燥させ、気になる様ならもう一度ニスを塗って下さい。 これを何度か繰り返し乾燥させ、持ちやすい様に紐やすべり止めなどをつけてあげると完成になります。
まとめ
1.アカザは、北海道から九州まで幅広い場所で自生する雑草で最近ではあまり見かけなくなった。 2.アカザはインドから中国経由で入ってきて昔から中風予防として杖が作られていた。 3.アカザは昔は民間薬として用いられ虫歯の時や毒虫に刺された時や癜風や健胃・強壮剤等に使われていた。 4.アカザは戦争時代に救荒植物として扱われ食用でもあるが一部の人はアレルギーが出るので注意が必要。 5.アカザはアカザの杖を作る工程が時間がかかる為(一部の地域を除いて)今でも高値で取引されている。 以上がアカザについてのまとめです。 アカザは発見する事もまれになってきている為アカザを見付けたらよく観察してみましょう。