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日本百名山の「大菩薩嶺」特集!登山者におすすめしたい7つのポイント!

都心からアクセスしやすいことで人気の百名山・大菩薩嶺。標高2,000mを超える山ながら、子どもからシニアまで手軽に登れる山です。それでいて山頂から眼前に広がる、富士山から南アルプスまでの山脈はまさに絶景!そんな大菩薩嶺登山のおすすめポイントを紹介します。
2020年8月27日
shoko0109
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大菩薩嶺とは?

登山入門の山

中里介山氏未完の小説「大菩薩峠」で有名な大菩薩嶺は、かつては旧青梅街道最大の難所と言われた峠でした。交通網の発達した現在では登山入門の山とも呼ばれ、初心者にも快適の登れる山です。

バラエティに富んだ登山コース

大菩薩嶺はバラエティに富んだ登山コースがあり、ベテランでも十分の楽しめる山でもあります。 初心者向けの上日川・大菩薩嶺コース、ちょっと長めの石丸峠コース、健脚向けの丸川峠コース。他にも小金沢山・牛奥ノ雁ヶ腹摺山までの超ロングコースまで、様々な楽しみ方ができるのが大菩薩嶺なのです。行く前には地図などで一度確認して見るといいですよ。

小説「大菩薩峠」

小説「大菩薩峠」は、残虐なほど人間の業が描かれた物語です。主人公である剣士・机竜之助が1人の老巡礼を大菩薩峠で殺害するところから、物語は始まります。 通り魔殺人にのめりこむ机竜之助、彼と彼を取り巻く人間の業が描かれ映画にもなりました。かつては霧が深く人が迷い易かった大菩薩峠、うら寂しい物語の始まりを暗示しているかのようです。

大菩薩嶺はどこにあるの?

甲府盆地を囲む形で広がる山脈の北東に位置し、山梨から東京・埼玉と繋がる奥秩父山地の南端になります。地図上では、東京の奥多摩にある大岳山からまっすぐ西に向かう線上にあり、秩父多摩甲斐国立公園の一部です。

大菩薩峠伝説

時は平安時代、甲斐源氏の祖である新羅三郎義光(源義光)は奥州反乱で苦戦している兄・八幡太郎義家(源義家)を助けに行く道中、道に迷ってしまいました。そこに立派な黒い駒馬を引いた木こりが現れ、道案内を申し出てくれました。 木こりが歩くと道が開け、草木の中から白い御旗が目印のように現れます。やがて広々とした山頂に出ると、案内を終えた木こりは黒駒馬とともに消えていきました。その木こりが軍神・八幡大菩薩の化身だったと悟った義光は、「八幡大菩薩」の名を高らかに称えたそうです。 ここから大菩薩という名前が付いたと言われています。

大菩薩嶺を楽しむための7つのポイント

さてここからは大菩薩嶺登山を楽しむためのポイントをご紹介していきます。初心者でも存分に楽しむことができる大菩薩嶺の魅力を余すことなくご紹介していきますので、ご覧ください。

1.グリーンシャワーいっぱいの森林浴

登山の楽しみ方は、ピークハントやタイムチャレンジなど人それぞれですね。しかし誰もが楽しめるのは、緑豊かな自然です。街中の街路樹と違って、山の樹々は実に鮮やかで瑞々しい色をしています。 実は樹木は、殺菌作用のあるフィトンチッドという化学物質を発生します。このフィトンチッドには、人をリラックスさせ癒す効果があり、森林浴が心身に良いと言われるのは、このフィトンチッド効果なのです。 フィトンチッドたっぷりのグリーンシャワーを浴びて心身ともにリフレッシュしましょう。

2.富士山のベストショット・ポイント

大菩薩嶺登山一番の醍醐味は、目の前に大きく開ける雄大な景色、そして堂々たる姿を見せてくれる富士山でしょう。富士山の撮影スポットは雷石付近から介山荘のある大菩薩峠までの稜線上、いたるところにあります。地図には載っていない魅力が詰まっています。

富士山撮影で特におすすめは、大菩薩峠から石丸峠に向かう斜面です。広々と見晴らしも良く南アルプスまで見渡せますよ。 ただし大菩薩嶺は霧が発生しやすい場所でもあるので、午前中に行かれることをおすすめします。気象条件が揃えば、こんなに素敵な雲海にも出会えます。

3.楽しい稜線歩き

大菩薩嶺は2,000m級の山ながら、登山口からの標高差はわずか457m。そのため大菩薩峠や雷石まで登ると、あとはずっと稜線歩きになります。視界の開けた解放感のある稜線歩きが、こんなに手軽に楽しめるのも大菩薩嶺ならではです。


4.初心者でも手軽に楽しめる日本百名山

作家で登山家であった深田久弥氏の山岳随筆「日本百名山」は、山を愛される方なら誰もが知っていますね。日本百名山とは、深田氏自ら登頂した日本中の山の中から、「山の品格」「山の歴史」「個性的な山」を備えた1,500m以上で厳選された山です。 日本百名山は日本地図上北海道から九州まで至る所に存在しますが、大菩薩嶺も百名山のひとつ。それが初心者でも手軽に登れて美しい景観が楽しめるのですから、嬉しいですね。

5.四季折々の山野草観察

大菩薩嶺でも、八ヶ岳連峰同様にダイナミックな苔の原生林が見られます。まるでジブリの世界のような神秘的な苔の空間が、大菩薩峠から富士見山荘までの林道で見られるんですよ。

大菩薩嶺の登山口のひとつ、丸山峠から雷石までの登山道沿いには、春になるとバイカオウレンが群生します。上日川からの登山道沿いでもイワカガミやクリンソウ、コウリンカ、カイフウロ、ヤナギラン、ギボウシ、イケマなど数多くの山野草を見ることができます。富士山だけじゃなく、足元も見て歩くと楽しいですよ。

大菩薩嶺の秋は早くにやってきます。9月末頃より徐々に紅葉が始まり、10月の初めには秋景色になります。どこよりも早く紅葉と富士山のコラボが楽しめるのも、2,000m級の山・大菩薩嶺ならではですね。

6.野生動物との出会い

大菩薩嶺では、雲が良ければ野生のキツネに出会うことができます。このキツネ、結構人慣れしているようで、すぐそばまで寄ってくるそうですよ。 他にもカモシカやオコジョ、ウサギなど様々な動物、そしてヤマガラなどの野鳥にも出会えます。もちろん熊も生息しているので、熊除け鈴を忘れずにしてください。

7.星空ウォッチング

日帰りでも楽しめる大菩薩嶺ですが、もし余裕があれば山小屋泊をして星空ウォッチングはいかがでしょうか?お天気に恵まれれば、こんなに美しい星空と甲府盆地に広がる宝石箱のような夜景を見ることができます。大菩薩嶺は夜景の撮影スポットとしても人気なのです。

大菩薩嶺の登山ルート

大菩薩嶺の初心者向け、上日川ー大菩薩峠コース

登山入門編の初心者コースとしては、上日川から富士見小屋・大菩薩峠から大菩薩嶺へと周回するコースがおすすめです。のんびりゆっくり歩いても4時間ほど、途中には中里介山が「大菩薩峠」を執筆した「勝緑荘」があります。子どもからシニアまで、歩きやすいコースとなっています。

大菩薩嶺の少し長めの石丸峠コース

少し長めに歩きたい方には、石丸峠コースが良いでしょう。上日川から森と沢を抜け急坂を登ると、広々とした石丸峠に出ます。石丸峠から熊沢山にかかる斜面では、上日川ダム・富士山・南アルプスまで見渡せ感動的です。石丸峠から大菩薩峠・大菩薩嶺と周って5時間ほどです。 多くの人が利用する大菩薩峠コース以外のルートを利用される場合は、必ず地図で確認しながらの登山をおすすめします。

大菩薩嶺の健脚向け丸川峠コース

トレッキング向けに新しく出来たのが、丸川峠コースです。登山口にある裂石は、雷で裂けた石から温泉が出たと言い伝えらえている裂石温泉の起源です。 天然の森・丸川峠まで約2時間、そこからアップダウンを繰り返し大菩薩嶺に登頂となります。コースタイムは長めの6時間半、森林浴と山歩きを楽しみたい方におすすめです。

その他の登山コース


他にも小金沢山・牛奥ノ雁ヶ腹摺山コースや、黒川鶏冠山から大菩薩へと周回する超ロングコースもあります。それぞれ7時間以上かかりますので、山小屋泊を含めて大菩薩嶺系登山を満喫したい方に、おすすめです。こちらのコースは、体調・体力、そしてお天気など良く考慮されてから登山しましょう。まずは地図などで確認することも大切です。

大菩薩嶺のお天気について

「女心と秋の空」は、移ろいやすいことを例えた諺ですが、「山の天気と秋の空」と言い換えても良いほど、山の天気は変わりやすいものです。 山の天気が変わりやすいのは、高い山の斜面に沿って空気が上がったり下がったりすることが天気の原因です。地表の湿った空気が風で吹き上げられ、斜面にぶつかって霧や雨になります。 甲府盆地を囲むように聳える南アルプス山脈・奥秩父山脈、その北東側にあるのが大菩薩嶺です。甲府盆地で温められた気流が山の斜面にぶつかり、そこに留まる大菩薩嶺の天気。常に雲の様子をチェックし天気の急変には注意しましょう。

大菩薩嶺登山の必需品

登山をする際、登山靴は当然ですが他にも必ず携帯しておいて欲しいものがあります。それが登山地図・コンパス・レインウェア、そしてヘッドライトです。 山の天気は変わりやすく、時には霧に包まれて周りが真っ白になることがあります。見通しが良ければ登山道の印が先の方まで見えますが、1m先も見えない霧や雪に包まれてしまうと、どこが道だかサッパリわからなくなります。

いざという時の準備も必要!

大菩薩嶺は初心者でも登りやすい山ですが、お天気が急変しやすい山であることに変わりはありません。そのため方向を知るためのコンパス・地図、そして前を照らすヘッドライト、雨除けのレインウェアは必需品です。 その上で、いざという時の行動食、ツエルト・靴ひもは用意しておいた方が良いでしょう。

大菩薩嶺で余裕があるなら山小屋泊

大菩薩峠の山小屋「介山荘」

大菩薩峠には、小説「大菩薩峠」の作者・中里介山にちなんだ山小屋「介山荘」があります。山小屋「介山荘」の前は売店通りのようになっていて、お土産なども購入できます。 「介山荘」は尾根上にありますので、ここから見る夜景や日の出は実に美しいですよ。わざわざ、ここの山小屋に泊まるために丸川峠などロングコースを選ぶ方もいるほどこの山小屋は人気です。 「介山荘」は年末年始も営業しています。そのため初日の出を見るための登山客で、毎年予約がいっぱいだそうです。もし今年こそ大菩薩峠で初日の出を、とお考えであれば、早めに山小屋を予約することをおすすめします。

介山荘

テント泊ならロッジ長兵衛・福ちゃん荘

登山口でもある山小屋「ロッジ長兵衛」は、宿泊はもちろんですがテント設営もできます。山仲間とテントで一泊し翌朝早く大菩薩嶺に登頂も、良いですね。大菩薩嶺から見える朝日は、実に美しいですよ。 「ロッジ長兵衛」から30分ほど歩いたところにある山小屋「福ちゃん荘」も宿泊・テント設営ともに可能です。どちらも山梨名物ほうとうが美味しい宿です。下山後に暖かいほうとう鍋、体が温まりますよ。

ロッジ長兵衛
福ちゃん荘

中里介山が小説執筆した勝緑荘

大菩薩嶺を一躍有名にした小説「大菩薩峠」の作家・中里介山氏が、執筆活動をされた山小屋が「勝緑荘」です。現在は営業されていないようですが、小屋内にはランプ・囲炉裏があり趣深い山小屋だそうです。あの深田久弥氏も、ここで一泊されたそうですよ。再オープンを期待したいですね。

大菩薩嶺へのアクセス

上日川峠登山口

大菩薩嶺への登山口として一番利用されているのが、上日川峠登山口です。JR甲斐大和駅から栄和交通バスで約50分、上日川峠バス停で下車。バス停のすぐ前にロッジ長兵衛があります。 マイカーの場合は、400台以上可能な無料駐車場・上日川峠駐車場がおすすめです。ただしハイシーズンは満車となりますので、朝早めに行かれる方が良いでしょう。

丸川峠登山口


丸川峠登山口は、JR中央本線塩山駅から市営バスで約30分、大菩薩峠入口バス停で下車します。そこから更に15分ほど歩くと、丸川峠駐車場があり、その奥が登山道入り口になります。 マイカーの場合は、丸川峠登山口前に20台ほど停められる無料駐車場があります。

大菩薩嶺下山後のお楽しみ・温泉

大菩薩の湯

下山後の楽しみと言えば、やっぱり温泉ですね。大菩薩峠バス停から塩山駅行きバスで2つ目に、「大菩薩の湯」があります。 大菩薩嶺の大地から湧き出た高アルカリ性温泉で、世界最高級のアルカリ性温泉を絶賛された温泉です。入湯料は3時間で大人610円、小学生以下310円と格安。体の疲れをゆっくりほぐしてください。

大菩薩の湯

裂石温泉雲峰荘

丸川峠登山口からすぐのところにある温泉旅館「裂石温泉雲峰荘」は、10:00~13:00の間だけ日帰り温泉が利用できます。 こちらは「日本秘湯を守る会」で認定された温泉で、渓谷を望む露天風呂が最高です。入湯料は1時間500円、隠れ宿の風情たっぷりで宿泊してみたくなる温泉旅館です。

裂石温泉雲峰荘

大菩薩嶺近くの観光名所

日本最古の日の丸旗がある裂石山雲峰寺

丸川峠登山口そばにある裂石山雲峰寺は、1,200年以上の歴史を持つ古刹です。甲斐武田家の滅亡にも深く関わる寺としても有名で、織田勢に敗れた武田勝頼が天目山で自刃した後、武田家家臣たちが雲峰寺に、再興を期して重宝を隠したと言われています。 雲峰寺の宝物殿には、武田軍旗「孫子の旗」や日本最古の「日の丸の御旗」が展示されています。見学希望の方は電話予約をお願いいたします。

裂石山雲峰寺

裂石温泉名前の由来・裂石

裂石温泉の名前の由来になった裂石、ぜひ見たいと思われる方も多いのですが、これが地図に載っていません。案内板もなくわかりにくい場所です。 今から1200年以上前の745年、この地で修業をしていた僧行基は、落雷により15mもある巨岩が割れるのを見ました。その岩の間からら萩の大樹が生え、十一面観音様が出現。その姿を目の当たりにした行基は、崇高な心で萩の幹から尊像に彫刻、草庵に奉納しました。その後、裂石の間から温泉が噴き出したと言われています。 裂石は雲峰寺裂石の手前1.6kmくらいの、道路わきの斜面にあります。ここはパワースポットにもなっています。地図にはない穴場スポットでもありますね。

大菩薩嶺の全てを満喫しましょう!

大菩薩嶺の魅力は、誰でもそれぞれの楽しみ方で登山できることです。そして山頂から見える富士山の素晴らしさは、天下一品です。 しかしながら山の天気は変わりやすく、特に午後からは見晴らしが悪くなることが多いです。登山の基本は、早立ち・早着きと言われます。お天気をしっかり調べて、早目の登山で最高の富士山を見ましょう。 また初心者でも行けるとはいえ、大菩薩嶺は2,000mを超す山です。登山の基本、地図・コンパス・雨具は必ずご用意ください。特に冬場の登山は、雪で道を見失いがちになります。地図・コンパスで場所を確認しながら安全に楽しんでくださいね。