オオヤマレンゲとは
科名
オオヤマレンゲはモクレン科、モクレン属の落葉広葉樹です。 モクレン科ということは、よく春に桜の花よりも少し早い時期にあちこちの家の庭先で見かける大きな木に白っぽい、或いは赤紫色のぷっくりとした花を咲かせて目立つ木をご存知ないでしょうか? オオヤマレンゲはよく見かけるモクレンやコブシなどと一緒でマグノリアの仲間になります。
学名
学名 Magnolia sieboldii subsp .japonica Magnolia 属名でモクレン属の学名です。マグノリアの由来はフランスのモンペリエ 植物園園長であった、ピエール・マグノルから名付けられました。 sieboldii 種小名で日本植物の研究者「シーボルトの」という意味です。 japonica 亜種名で「日本の」という意味です。 別名として深山蓮華(ミヤマレンゲ)とも呼ばれます。
花名由来
大山(奈良県の大峰山)に自生して咲く白いハス(蓮華)のような花という意味です。 深い山に姿は見受けられないがなぜかいい香りがする。分け入ってみると、背丈もそんなに高くない木に白いうつむき加減な花が咲いていた。その花はいい香りを漂わせ、まるで蓮華のような花だったのでしょうね。
オオヤマレンゲ/花言葉・開花時期
花言葉
変わらぬ愛、永遠の愛
開花時期
一般的には5月、6月、7月の梅雨時期に開花しますが、天然記念物である大峰のオオヤマレンゲは見頃が7月に入ってからになります。 花径は5~7㎝くらいで純白の花弁がややうつむき加減に、下向きや横向きに咲いています。とても心地のいい香りがします。夏期冷涼な山地の樹林下に自生するために、暑さと乾燥を嫌います。 花の開花期間は4~5日です。
由来
オオヤマレンゲは森の貴婦人とも言れるくらい、つぼみも花も気品を感じさせる花です。清楚で誠実な雰囲気から一途に愛を貫き、いつまでも変わらない愛を感じさせるのでしょうね。
オオヤマレンゲ/品種・原種
原産地
日本が原産地になります。 特に奈良県の八経ヶ岳と明星ヶ岳周辺、紀伊山地の最高峰である大峰にはオオヤマレンゲが自生しており、国の天然記念物に指定されております。
分布域
オオヤマレンゲはモクレン科・モクレン属の落葉小型種、日本原産種です。 オオヤマレンゲは日本原産ですが、近似種として基準亜種の朝鮮半島で自生されるオオバオオヤマレンゲや、延宝年間に伝わった中国原産の園芸種ウケザキオオヤマレンゲなどがあります。
オオヤマレンゲは本州の関東以西から九州、韓国、中国にも広く分布されています。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の国花でもあります。 日本原産のオオヤマレンゲの基準亜種は韓国や中国に広く分布するオオバオオヤマレンゲで、オオヤマレンゲよりも葉が大きくて雄しべの葯の色が違います。 日本で販売されているオオヤマレンゲはほとんどがオオバオオヤマレンゲです。 基準亜種とは基準とされる個体を保存した標本が含まれる亜種のことを言います。
オオヤマレンゲ/特徴
標高1400m以上の山地帯から亜高山帯下部に自生する樹高4m以内の落葉低木樹です。葉の形は卵形でモクレンの葉とよく似ています。葉の長さは13㎝くらいで幹や枝は円形、ほかのモクレンに比べたら成長が横に伸びる傾向です。そのため樹高が低く手入れがしやすいですね。 オオヤマレンゲの花の特徴は色が純白で花径が5~7㎝くらいです。白い花弁が横向きや下向きにややうつむき加減に咲くため、落ち着いた趣を感じます。その佇まいが美しいところから、茶花として使われることもあります。 そして、白い花弁の真ん中にある雄しべの色が肉色であればオオヤマレンゲ。雄しべの色が濃い赤紫色ならばオオバオオヤマレンゲです。
オオヤマレンゲ/育て方・栽培方法
難易度
比較的育てやすく、難易度は中くらいです。
時期
日本にはモクレンの仲間が自生し、古くから観賞用としても栽培されてきました。野生種でも綺麗に咲いているため最近まで品種改良をされることがありませんでした。 オオヤマレンゲの開花時期は5月から7月までで、天然記念物である大峰のオオヤマレンゲは7月に入ってからがいちばん綺麗に咲きます。
植え付け
植え付けの時期は3月下旬から4月が適しています。根がしっかり張るので、腐葉土や堆肥をしっかり混ぜて耕しておきましょう。根は柔らかくて傷つきやすくあまり細かく出ないので丁寧に扱いましょう。 木が大きくなると移植は難しくなりますので気をつけてくださいね。 鉢植えの場合は、根の張り具合によって鉢を大きくしていきましょう。
水やり
地植えの場合は根付いてしまえば特に水やりの必要はございません。鉢植えの場合は表面が乾いたらたっぷりと水をやりましょう。湿り気のある土を好み、乾燥を嫌います。葉っぱが大きい分、蒸散しやすく土の乾きに気をつけてください。
肥料
やせた土地でなければ肥料は要りません。ただ若木の場合は冬の寒肥と、花後のお礼肥が必要になります。成木になれば肥料を施さなくても開花します。 寒肥は冬の間に有機質肥料を施し、春の根の成長や芽だしを助けるためのものになります。 お礼肥は花後に新梢を伸ばして株の消耗を回復させるための肥料で、有機質肥料と緩効性化成肥料が必要になります。
剪定
剪定は花後すぐにしましょう。 開花の前後に、春に新しい枝を伸ばし次々に葉を展開していきます。この枝は夏前まで伸ばし続け枝の伸長が止まる夏ごろ枝先に花芽をつけます。秋に花芽が大きくなり、そこからつぼみが見えてきます。(遅い剪定は花芽を切り取ることになります。) オオヤマレンゲは樹高3mで栽培しやすい大きさです。 20年栽培しても5mくらいにしかならないため育てやすい品種です。自然な樹形で育てても大丈夫です。 やむを得ず剪定するときは、切り口に薬を塗っておきましょう。(雑菌予防になります。)
場所
日当たりの良い場所がいいです。特に午前中に日が当たるような場所などがいいです。夏には半日蔭になるようなところです。常緑高木の近くなどがちょうどいいですね。
挿し木
接ぎ木苗はホオノキを土台としてオオヤマレンゲやウケザキオオヤマレンゲの枝を接いでいるものが多いです。 台木に使うホオノキは種を蒔いて1~2年育てた苗を使います。3月の下旬が挿し木をする適期です。
種子
ホオノキほどではないですが、5~6㎝ほどのよくにた袋果をつけていて、そのうち開裂して鮮やかなオレンジ色の種子を見せ、それぞれが白い色の糸で垂れ下がっています。
オオヤマレンゲ/天然記念物?
奈良県の八経ヶ岳と明星ヶ岳周辺に自生地があり、1928年2月7日に国の天然記念物に指定されました。 1895年(明治28年)植物学者白井光太郎氏が吉野群山を踏査して、オオヤマレンゲの大群を発見しました。 その時の報告、「釈迦岳より弥山に至る途中、揚子ケ宿付近で、山の東斜面に約数百メートルにわたり、幅約十五メートルの間に老幹が群生して群落を作り、まったく壮観であった。吉野の人は、ビャクレンゲと呼び、樹高は人の丈位で、横に広がり、開花の頃、この地を訪れた人は、山中で天女に遭遇したようで、中国で天女花とはよく云ったものだ。」 初めて発見した人の驚きと感動はいったいどれくらいのものだったでしょうね!
まとめ
オオヤマレンゲは日本原産で、特に奈良県の八経ヶ岳と明星ヶ岳周辺に自生地は国の天然記念物に指定されています。とても清楚で上品な貴婦人のような純白の花をつけ芳香のあるモクレンの仲間です。 自生地がありますが園芸種もあり、庭や鉢植えでも栽培ができるので身近に楽しめる花木です。 これを機会に自生地に行かれたり、栽培に挑戦してみてもいいですね!