検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

サンシュユ(山茱萸)とは?名前の由来や育て方までご紹介【植物図鑑】

サンシュユは花木として鑑賞されています。春になると黄色い小花が満開になることから、春黄金花としても有名な木です。秋に実る赤い果実は、生薬や漢方薬として使われていて、滋養強壮やアンチエイジング等に効果があるんですよ。サンシュユを詳しくご紹介していきます。
2020年8月27日
gauyorim
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

目次

サンシュユとは

高さが5〜8mほどまで成長する落葉小高木です。 黄色の小花や赤い実、薄茶色の幹肌に魅力があって、主に鑑賞目的で育てらています。 公園などの広場で見かけたことがあるんじゃないでしょうか。 庭木はもちろん、切り花でも利用されていますよ。 花が春に咲くことから、季語は春です。 実は秋になると紅熟します。

科名

ミズキ目ミズキ科になります。 花や実がついていなければ、同じミズキ科のハナミズキやヤマボウシにそっくりです。

学名

「Cornus officinalis Sieb. et Zucc.」 「Cornus」はミズキ属を指し、ラテン語では“角”という意味です。 堅い材質のために付けられました。 「officinalis」は“薬効のある”といった意味を持ちます。 「Sieb. et Zucc.」の部分は、最初の学名を付けた人の略記にあたります。 この場合、シーボルトとツッカリーニを指します。

花名由来

中国名「山茱萸」の名で日本へ来ました。 この漢字の音読みが「サンシュユ」で、そのまま和名となっています。 「茱萸」は、実がグミに見えることを意味していて、日本でも「ヤマグミ」と呼ばれたりします。 秋につく赤い実を珊瑚に見立てて「アキサンゴ」とも。 春に黄色い小花が美しく満開になる姿から 「春黄金花(ハルコガネバナ)」という名前でも通っています。

サンシュユ/品種・原種

サンシュユが日本へやってきたのは江戸時代。 それから薬用植物としての目的で栽培がスタートします。 現在は鑑賞用としても親しまれ、品種改良されたサンシュユも育てられています。 白い班が葉に入った「フイリサンシュユ」、実を家庭果樹用にした「ショコラ」や 実が付きやすい「金時」などいくつかあります。

原産地

中国と朝鮮半島が原産地です。 日本へは、中国産の種子が朝鮮経由でもたらされました。

分布域

原産地と同じく、中国と朝鮮半島に分布しています。 日本では全国で見られます。

サンシュユ/花言葉・開花時期


サンシュユの黄色い小花にも花言葉があります。 ただ、花よりも薬用植物として見た場合の花言葉といった方がいいかもしれません。

花言葉

『耐久』『持続』『強健』『気丈な愛』『成熟した精神』 強い体と精神を表現した花言葉ですね。 「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉がイメージできます。 体育会系のパワーが欲しい時に、サンシュユの花が元気づけてくれそうです。

由来

サンシュユの実が持つ薬用植物としての能力からきています。 下項で詳しく説明している薬用の効果を知れば、納得の花言葉です! 加えて、サンシュユの黄色い小花が満開になった姿には元気をもらえます。 そういった見方も由来の1つなのかもしれませんね。

開花時期

3月〜5月頃の春に、5mm程度の黄色の小花が咲きます。 反り返った花弁が4つある花です。 若葉が開くよりも早く咲くので、満開の状態は黄金色に輝いているように見えますよ。 先にご紹介した「春黄金花」という名前は、植物学者の牧野富太郎博士が名付け親です。

サンシュユ/特徴

鑑賞用としての特徴は、春に咲く黄色い花、秋に生る赤い実と紅葉です。 中でも大きな特徴は実にあります。 すでに説明していますが、実による薬用植物としての側面です。 薬用の効果はどのようなものなのか、詳しくみていきましょう。

サンシュユの実について

サンシュユの実は「偽果」になります。 本来の果実、子房が成長したものを「真果」といいます。 「偽果」は子房以外のところが成長して果実になります。 イチゴ、梨、枇杷、イチジクなんかも「偽果」です。 サンシュユの場合、種子部分が実は果実なんです! というとこの後の説明がややこしくなるので、 「偽果」については豆知識として留めるだけで忘れてください。

生薬や漢方としてのサンシュユ

種子を取って乾燥させた実は、生薬「山茱萸」として薬局に置かれています。 止血や解熱、強精作用に効果があるとされています。 種子はロガニンなどの成分を含んでいて、滋養強壮に効くそうです。 「八味地黄丸」や「牛車腎気丸」などの漢方薬に配合されています。 山茱萸酒というサンシュユの実を浸けた焼酎も薬として用いられます。

アンチエイジングの効果

サンシュユの実は、滋養強壮によって人の体を助けてくれます。 かすみ目、腰や足の痛み、頻尿や利尿など、老化による症状を緩和するといわれています。 高血圧、糖尿病にもいいそうです。 他にも免疫力の向上や抗アレルギー作用のおかげで、アンチエイジングにも期待されています。

サンシュユ/育て方・栽培方法


難易度

初心者でも育てられます。 暑さには強く、寒さにも弱いということはありません。 水やりも特に気をつけることはないので、育てやすい木ですよ。 鉢植えもできますが、基本的には地植えになります。 そのためスペースを確保する必要があります。

場所

肥沃地で日当たりの良い場所が最適です。 日当たりが良ければ、花付き、花色も良くなります。 でも1日のうちに数時間、日に当たる程度でも育ってくれます。 夏の直射日光には注意しましょう。 寒さに強くはないので、東北より北の地域では地植えが難しくなります。

実から種を採取する

晩秋から初冬頃、実が完熟します。 この実から種を採取していきます。 手で行った方がいいですね。 果実を指で潰しつつ種を取り出し、水でしっかりと洗いましょう。 すぐにまいても時期的に発芽が難しいです。 なので湿らせた砂へ種を入れて、それをビニール袋できっちりと密封し、冷蔵庫で保存します。 種を乾燥させてはダメですよ。

種まき

翌年の春になったら、保存しておいた種を取り出し、水でよく洗ってから土へまいていきます。 発芽は遅いのでじっくり待ちましょう。 さらに苗木の成長と開花には年数が必要です。 きっと待っている間に愛情が芽生え、サンシュユが愛おしくなるかも? 見守る期間が長い分、発芽、開花した時の喜びはひとしおですよ!

植え付け

地植え、鉢植えともに、寒さの残る春に植え付けるのがベストです。 地植えの場合、水はけが良ければそのまま庭土だけでもOKです。 鉢植えでしたら、市販の培養土か、赤玉土小粒5割と完熟腐葉土5割を混ぜた土を使います。 どちらも元肥に有機質肥料、または緩効性化成肥料を与えてください。 植え付け後はぐらつきやすいので、支柱を立ててあげましょう。

水やり

若い株のうちは、水をたくさんやります。 花芽ができる7月頃と、落葉期は控えめにしてください。 ちょっと乾いてるぐらいが丁度いいです。 地植えで根付いた後は、基本的には水やりの必要はありません。 冬を除いて、ずっと雨が降らずにカラカラになっている時などに水やりしてください。 やり過ぎてしまうと根腐れの原因になります。

肥料

まず元肥を施します。 あとは年に3回、肥料を与えてください。 1月頃には、骨粉と油かすで作った有機肥料を寒肥とします。 花が咲き終わった後と9月頃それぞれの時期に、効き目がゆっくりと現れる緩効性肥料を与えます。 窒素分が多く含まれた肥料は、花のつき具合に悪影響となりますので注意してください。

剪定

春は花が咲きます。 この時期は剪定を控えてください。 ではいつえだを剪定できるのかは、この時期以外でしたら、いつ行っても大丈夫です。 徒長枝や混み合って見苦しい枝をカットしていきましょう。 スッキリすれば風通しが良くなって、害虫の温床になることを防げます。 それと無駄な栄養の分散を抑えられますし、 残った部分の日当たりも良くなるので、花付きや花色に良い影響を与えます。

挿し木


種まきの他に、挿し木でもサンシュユを増やすことができます。 梅雨〜7月頃までが挿し木に適しています。 直射日光が当たらない明るい所で育てましょう。 透明のビニールを被せて湿度を逃さないようにしておきます。 空気の通る穴を開けておくことを忘れないでくださいね。

病気による被害

育てる環境に気を付けているなら、特に病気を心配する必要はありません。 でも日当たりと風通しが悪い場所で育てている場合は、注意してください。 カビによるウドンコ病にかかってしまうことがあります。 光合成を阻害し、サンシュユの栄養を奪う嫌な病です。 見つけたら薬剤をかけてあげましょう。

害虫による被害

5月頃、イラガの幼虫が発生することもあります。 この幼虫は葉の裏側にたくさんいて食害の被害を与えます。 毒針を持ち、触ると激痛が走って患部が腫れ上がるので注意してくださいね! 見た目も怖いし、本当に痛いですよ。 カナブンも害虫としてやってくることがあります。 どちらも見つけ次第、すぐに薬剤で退治してください。

サンシュユでヨーグルトができる

サンシュユの枝を牛乳に入れておくとヨーグルトになる! という都市伝説みたいな説があります。 本当に木の枝でヨーグルトができるんでしょうか? なんだか魔法の木のようですね。 詳しく解説していきます。

なぜヨーグルトができるのか?

ヨーグルトができるかどうかの答えは、ズバリできます! サンシュユの枝には乳酸菌が付いています。 なので牛乳や豆乳などに入れると発酵し、しばらく経つと固まってヨーグルトになります。 この手法、実はヨーグルトの本場ブルガリアで昔から行われていました。 サンシュユはこのブルガリアにある木の仲間のようなもので、同じ作用が働くんですね。

実際にヨーグルトを作って食べてもいいの?

ヨーグルトが完成したとして食べていいものなんでしょうか。 実際には雑菌などが混入する恐れがあるので、安全とはいえない部分もあります。 なのでサンシュユなど木の枝を使っての自家製ヨーグルト作りは控えておきましょう。 どうしても試したい時には、沸騰したお湯で容器や器具をしっかりと沸騰消毒し、 ヨーグルト作りについての注意点などを勉強する必要があります。

まとめ

サンシュユがどういった植物なのか詳しく分かったと思います。 お花や実について興味が湧いてきましたか? 他家の庭木や公園に植わっているのを見るのもいいですが、 育てるのは難しくないのでぜひチャレンジしてみてください。 木は存在感があることから、育てがいがあります。 春の風情を感じたい、庭木を増やしたいという方にはサンシュユがぴったりですよ。