マンボウ/分類
マンボウって水族館の愛嬌のある「可愛い魚」と思う方も多いですよね。あのゆったりとした泳ぎやとぼけた表情に癒されている方も多いと思います。 しかし、可愛そうと思う方も多いと思いますが、地方によっては普通に食されています。今回はそんなマンボウの謎の生態などを紹介していきます。
スズキ系フグ目マンボウ科マンボウ属
マンボウはスズキ系フグ目マンボウ科マンボウ属で、まだ謎の部分は多いそうですが、現在は7種が確認されているようです。顔つきやヒレの形などが違います。 まずは簡単に説明していきましょう。
マンボウ
こちらはお馴染みのマンボウです。マンボウはすぐに死んじゃうなどと言われているようですが本当はどうなのでしょう? こちらのマンボウの生態は後程詳しく説明していきますね。 ではその他のマンボウを見ていきましょう。
ウシマンボウ
学名:Mola sp.A, 日本近海に見られるマンボウは一種のみと思われていましたが、2010年に遺伝子解析によってウシマンボウが発見されました。 ウシマンボウは、おでこと顎が普通のマンボウより出っ張っています。 これは成長とともに変化するらしいので、小さいうちは普通のマンボウと区別が難しそうですね。
先日出版されたウシマンボウ論文、この程度じゃニュースにもならないし、英語だから読む人も減るし、そもそも専門外の人が論文読むなんてほとんどいないし・・・/(^o^)\アーッ ってことで、結構苦労した論文なのでせめてフォロワーさんだけでも面白さをお伝えしたくざっくりとまとめました。 pic.twitter.com/luYZA7tOd5
— マンボウ博物館@いきもにあ@就活中 (@manboumuseum) May 28, 2017
ゴウシュウマンボウ
分類:スズキ系フグ目マンボウ科マンボウ属 学名:Mola ramsayi 英名:southern sunfish・southern ocean sunfis・short sunfish 分布:南西太平洋~南東大西洋など温帯域の外洋に生息しています。 生態 比較的小さい口を持ち、両顎の歯は鳥類のくちばしのように一体化しています。最大で体長3.3mに成長します。耳小骨の数がマンボウより多いこと、舵びれの基底部の小歯状の突起が無い事などで区別されています。
ヤリマンボウとトンガリヤリマンボウ
マンボウ科には4~5種類が認められています。マンボウ属のマンボウとゴウシュウマンボウ、ヤリマンボウ属のヤリマンボウとトンガリヤリマンボウそしてクサビフグ属のクサビフグです。しかし、ヤリマンボウとトンガリヤリマンボウは実は同じ種だと考えている研究者もいます。
— マンボウbot (@manbou_bot) November 10, 2017
分類:スズキ系フグ目マンボウ科マンボウ属 学名:Masturus lanceolatus 英名:sharptail mola 分布:世界中の温帯・熱帯海域に生息しています。 生態 全長3.4m、重量2000kgにまで成長します。目はマンボウよりも頭部の前方に付いています。両顎の歯は鳥類のくちばしのように一体化しています。 背びれと尻びれは体の後方にあり、背びは尻びれより長くなっています。尾びれには、舵びれがあり三角形の突出になっています。皮膚は、マンボウよりも細かい小歯状の突起で覆われています。 トンガリヤリマンボウと同種なのではという主張もあるそうです。 マンボウの生態はまだまだ未知の部分が多いみたいですね。
クサビフグ属クサビフグ
分類:クサビフグ属 学名:Ranzania laevis (Pennant, 1776) 英名:Sharptail mola 分布:世界中の温帯・熱帯海域に生息しています。 生態 マンボウに似ていますが、やや細長くクサビ形に似ていることからクサビフグと言われているようです。口が縦に閉じるのも特徴です。約1mに成長します。
カクレマンボウ
分類:スズキ系フグ目マンボウ科マンボウ属 学名:Mola tecta Nyegaard et al., 2017[1] 英名:Hoodwinker ocean sunfish[1] 分布:ニュージーランド周辺の海域~南半球広域 生態 全長50 - 242cm マンボウ属よりも体型は細い。舵びれの中央付近に一つだけへこみがあるのが特徴。 こちらのカクレマンボウは125年ぶりに発見された新種です。体つきはその他のマンボウと似ていて舵びれの特徴だけが違うため、長い間同種と思われていました。 研究者達の気の遠くなるような研究によって、2017年7月、新種であることが発見されました。 次はマンボウの詳しい生態などを説明していきましょう。
マンボウ/外国名
Ocean sunfish
マンボウの英名はOcean sunfish(オーシャン・サンフィッシュ)といいます。これは太陽の魚という意味ですが、マンボウは海面で日向ぼっこをしているような姿をよく発見されるため、その姿が太陽のように見える事からのようです。
マンボウ/学名
Mola mola
マンボウの学名は「Mola mola」です。molaはラテン語で「石うす」という意味です。マンボウの色合いや皮膚のザラザラした感じが石に見えるからなのでしょうね。 地方名は、ウキ・キナンボウ・タユウサン・マンブ・マンブウザメ・マンボなどがあります。
マンボウ/由来(漢字)
マンボウ(翻車魚)(円魚)(満方)(万宝)
マンボウは漢字は「翻車魚」と書きますが、これはマンボウと読むのは難しいですよね。こちらは中国語からの由来のようです。 大きなマンボウの日向ぼっこの姿が、転覆しているように見える事から「翻車魚」と名づけられたようです。うなずける気もしますね。 また「円魚」「満方」とも名づけられています。こちらははマンボウの姿からのようです。 「万宝」というおめでたい漢字もあるそうですよ。お守り袋に見た目が似ている事からのようです。
マンボウ/生息地域・分布
世界中の温帯の海域に分布
マンボウは世界中の温帯の海域に分布していますが、近年、海水温の上昇で、北海道の定置網にマンボウが入るようになっているようです。マンボウを狙っていない漁師さんたちの網にかかる事が多いみたいです。 食べる習慣のない所では捕獲せず、逃がしてあげる漁師さんも多いのだそう。 これまでマンボウを食するのは主に台湾と日本の宮城、千葉、静岡、三重など一部の地域でしか食べられていませんでした。 しかし今は個体数が減ってきているそうです。「絶滅の危険が増大している種」に指定されているそうです。
マンボウ/生態・生育環境
卵の数は3億個
マンボウは表層から水深800m程度までの間を往復するなど生態にはまだまだ謎が多いそうです。 マンボウは3億個もの卵を産卵するそうですが、その説も様々で、一度に産卵するのではなく、少しずつ産卵するという説もあります。 さらにその際に雄の行動を示しているのは見当たりません。雌は一匹で産卵するのでしょうか・・・そのあたりもまだはっきりと解明されていないようです。
こちらの画像、とってもかわいいですよね。癒されますね。 とても小さい無数の卵は大海原を漂い、さまざまな生き物に捕食され大人のマンボウになれるのは、ごくわずかなのでした。
マンボウ/特徴・形態
世界で最も重い硬骨魚類
マンボウは大きさは3メートル、重さ2トンを超えます。世界で最も重い硬骨魚類なのだそうです。体は側面は円盤型で、正面から見ると紡錘形をしています。尾びれと腹びれは無く、舵びれと呼ばれる部分で舵を取るように泳ぎます。 背びれと尻びれは長く発達して上下に突き出ています。歯は鳥のくちばしのような板状の形になっています。 一見、頭しかないような形にも見える事から英語で「headfish」とも呼ばれています。皮膚は厚く固く、一面にこまかい歯状突起でおおわれていて紙やすりのようにザラザラしています。
マンボウは、主にクラゲを食べています。海面で日向ぼっこのように横になり寝ている状態で良く発見されます。寄生虫の消毒のためなどと言われています。 次は稚魚の状態を見ていきましょう。
トゲトゲの赤ちゃん
マンボウは3億もの卵を産卵すると言われていますが、孵化した稚魚はとても不思議な形をしていて捕食されにくいようにトゲトゲ状態になっています。 この形状からお馴染みのマンボウになれるのはごくわずかなのだそう。 このままハリセンボンのような形で成長し、全長30cmくらいで大人と同じような姿になるそうです。
意外と素早い動きのマンボウ
想像以上に動きが速いですよね。「マンボウのひみつ」(ウシマンボウはペンギンの仲間です)という本を出版されている方がいらっしゃるのですが、この動きを見てるとマンボウは魚じゃなくて動物に近いのかもと思えちゃいます。
マンボウ/釣り情報
マンボウを釣るという方はほとんどいないと思いますが、まれに「狙っていないけど釣れちゃった」という事があるようです。 マンボウは主に定置網や刺し網、つきんぼう漁で捕獲されています。「アカマンボウ」という魚はマンボウとは別の種になります。
マンボウ/味・選び方
マンボウの身はイカのような白い色をしています。鮮度の良い物は、ほとんどクセもなく、水分が多いです。 食べやすい大きさに手で裂く事もでき、酢味噌やわさび醤油などで食べる事が多いです。肝はとても脂っこく、その肝と腸や身を炒めて味付けをした肝炒めも美味しいです。 肝を生で食べたい時は鮮度の良い物を確認して購入しましょう。
マンボウ/栄養・寄生虫
マンボウの栄養素
DHAというドコサヘキサエン酸が多く含まれていて、コレステロールの減少に役立ちます。 マンボウの肝臓の油にはアザラシやクジラなどの海洋哺乳類の脂質に含まれてるDPAがほぼ2倍含まれているそうです。
マンボウの寄生虫
マンボウには40種もの寄生虫がついていると言われるほどなのですが、マンボウの場合、寄生されるというより、共存していると言える場合もあるようです。 マンボウはその多くの寄生虫によって他の魚から捕食されにくいそうです。サメやシャチなどの獰猛な魚もマンボウのことは捕食しないようです。
一部の寄生虫を説明します
「アニサキス」はほとんどの魚に寄生しています。こちらは加熱すれば大丈夫です。 「カジキジラミ」という寄生虫は、怖いイメージかもしれませんが、鮭などにも寄生していて、小さいオタマジャクシのような感じで魚体にペタンとくっついています。むしろ可愛い感じです。
マンボウ/料理・調理方法
こちらはマンボウの酢味噌和えです。水分が多くてしっとりとしたクセのないマンボウはコクのある酢味噌が良く合います。
こちらはマンボウの腸をガーリック風味で炒めています。おつまみにピッタリで美味しそうですね。
こちらはマンボウのレバ刺しです。濃厚な美味しさを味わえます。薬味をたっぷりのせてどうぞ。
鮮度の良いマンボウはお好みの薬味と肝醤油で刺身も美味しいです。 他にも天ぷらなど、クセの無い身は色んなメニューに合います。 マンボウの身は加熱すると鳥のささみのようになるのですが、加熱しすぎると固くなります。それそれで歯ごたえがあって美味しいのですが、鮮度の良い場合は、サッと火を通すのをおススメします。
まんぼう/その他
水族館などでは飼育がとても難しいとされてるマンボウ。ゆったり泳ぐためには大きな水槽と、ぶつかった衝撃を抑えるため壁を厚く柔らかく保護したり、こまめに寄生虫の管理をしてあげるなど飼育は大変そうです。 しかし海中では成長するとほとんど敵はおらず、その生態はまだまだ謎が多いようですが、のんびりと穏やかに過ごせているようですね。
まとめ
マンボウを食べるなんて!という方も多いと思います。確かにあの可愛らしさは私も心が痛みます。しかし私たちは沢山の命を頂いて生きています。 私はすべての命が何かの犠牲になる時は、その苦しみはすべて消えてなくなり、またすぐ新たな幸せな命として生きていける。と信じています。 魚を食べるという事は命を頂く事です。ありがたく美味しく頂きましょう。