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カムイエクウチカウシ山とは?日本二百名山の一つ!絶好の展望台に登ろう!

カムイエクウチカウシ山とは日本二百名山の一つで、日本百名山の幌尻岳と日本二百名山のペテガリ岳とともに天気の良い時には絶景とされる日高山脈を代表しています。 その中でもカムイエクウチカウシ山は「絶好の展望台に登ろう!」と古くから呼びかけられてきました。
2020年8月27日
栗鼠の森人
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カムイエクウチカウシという山名の由来

カムイエクウチカウシの名は「山の斜面があまりにも険しくアイヌが神とあがめていたクマも転げ落ちる」に由来します。 19世紀のはじめに幌尻岳に登る為に、北海道大学のパーティがトッタベツ川上流に仮設小屋を建てました。 その場所の名を案内人がまちがえて伝えて、山の名とされた様です。 元の名はサツナイ川の源の意味に由来する札内岳でした。 札内岳の名は、エサオマントッタベツ岳から東に派生する支稜線上の1,895m峰に譲られました。

日高山脈の雄峰カムイエクウチカウシ山

カムイエクウチカウシ山は日高山脈中部を代表する1,979m峰です。 札内川上流部に、いくつも残されている氷河の源頭部の跡(カール)に囲まれています。 それも含めて北にある幌尻岳や南のペテガリ岳と共に、日高山脈を代表する山です。 カムイエクウチカウシ山は、日高山脈の主稜線に男性的に悠々とそそり立っています。 南東側には、ほぼ方錐をしたピラミッド岳とよばれる1,853m峰があります。 天気の良い時は、そこからの眺めが絶好の展望です。

日本二百名山の一つカムイエクウチカウシ山の絶好の展望を眺めよう

カムイエクウチカウシ山は道が無くて登るのがむずかしい山です。 それでも日本二百名山の一つに数えられていることは、その展望の見事さに由来します。 カムイエクウチカウシ山頂から天気さえ良ければ、北には幌尻岳を含む北日高山脈の山並みが眺められます。 その背景に遠く大雪山、トムラウシや阿寒の山々が並びます。 東に十勝平野、西にイドンナップ岳を前面に日高側を眺め、南にピラミッド岳や1839峰越しにペテガリ岳まで見渡せる絶景の展望台です。

カムイエクウチカウシ山に登る為の主なルート

カムイエクウチカウシ山付近の概念図

「絶好の展望台に登ろう!」と呼び掛けられてはいますが、カムイエクウチカウシ山には一般的な登山道はありません。 主なルートは十勝側の札内川遡行するルートが三つあります。 加えて、同じく十勝側のトッタベツ川から遡上して稜線を辿るルート、および日高側のコイボクシュビチャリ川を遡行するルートがあります。 落石、台風や雪崩等で通行止めになる事が幸いして大自然があまり手つかずで残され、多くの高山植物に恵まれています。


広範囲なクマの生息域と水への注意

この山域は河原から山稜まで広くヒグマの生息域です。 特にカールではクマの捕食している姿が多く見られので注意が必要です。 クマの他の動物ではナキウサギが気持ちを和ませてくれます。 ただ、日高山脈を貫通する道路工事が進んでいるのでそれが完成すると環境が変わってくると思われます。 水については、カールから上の山稜では水場が無いので十分に確保する必要があります。 また、キタキツネもいるのでエキノコツクスにも注意しましょう。

カムイエクウチカウシ山は一般ルートでも難しい日本二百名山の一つ

カムイエクウチカウシ山には登山道がありません。 稜線への取りつきは急こう配で滝が連続しています。 この為、日本二百名山でも難易度が高く、もっとも難しい山とされています。 それでも一般ルートの「八の沢の出合いから三俣や八の沢を経て山頂まで」の山行は6時間程度です。 この為、天気さえ良ければ日帰り登山はなんとか可能です。 ただし、札内川ヒュッテからは往復15~16時間以上はかかってしまうようです。

一般的なカムイエクウチカウシ山の登山ルート

このルートでは中札内村からピョウタン滝、札内ヒュッテを経て、七の沢まで未舗装道路を進みます。 そこから八の沢まで本流および八の沢を999mの三俣まで遡上します。 三俣では中央の滝の右の踏み跡を辿ります。 1,100mの岩場は左側のテープを目印に巻きます。 その上の滝にも巻道が付いてので見逃さないようにしましょう。 八の沢カールから踏み跡を辿って山稜へ登ります。 コイボクカールを南に眺めながらハイマツの中を山頂に向かいます。

コイカクシュサツナイ岳からカムイエクウチカウシ山へ(その1)

札内川ヒュッテ上流のコイカクシュサツナイ岳登山口から巻道を利用しながらコイカクシュサツナイ川を遡上します。 その後は急こう配の斜面をハイマツや笹につかまりながら登ります。 最終的に山稜への取りつきの岩場は「お助けロープ」を使いながら登ります。 夏尾根頭からコイカクシュサツナイ岳を往復は踏み跡がはっきりしています。 コイカクシュサツナイ岳肩からの下りは直登部があり、巻道も踏み外しの無いように慎重に下ります。

コイカクシュサツナイ岳からカムイエクウチカウシ山へ(その2)


夏尾根頭からカムイエクウチカウシ山への山稜はピラミッド峰まで踏み跡はなんとか分かるもののハイマツやダケカンバとの格闘になります。 ピラミッド峰直下の岩場は慎重に下る必要があります。 下りきるとハイマツは少しうるさいものの、八の沢カールへ降りる踏み跡は明瞭です。 山稜伝いにカムイエクウチカウシ山に向かう踏み跡もはっきり付いています。 このルートは難易度が中位で、ハイマツ漕ぎに時間が掛るので日帰りは厳しいでしょう。

札内川九の沢ルート

札内川ヒュッテから未舗装道を8.5キロ辿ると七の沢出合いに着きます。 ここから八の沢出合いを通過して九の沢出合いまで札内川本流を遡上します。 標高900m付近から難易度の高い滝と岩壁が続き、大きく高巻きすることになります。 この部分を過ぎると稜線も見え、登れる程度の小さな滝がところどころに出て来て沢は源頭部になります。 源頭部は九の沢カールへと続きます。九の沢カールから稜線沿いにカムイエクウチカウシ山に向かいます。

エサオマントタンベツ岳からカムイエクウチカウシ山へ

十勝側のトッタベツ川とエサオマントッタベツ川の出合いから10キロほど遡上して、北東カールに出ます。 そこにはピラミダルなエサオマントッタベツ岳が前面にそびえ立って居ます。 北東カールから札内ジャンクションに落石に注意しながら登ります。 そこからクマや滑落に注意しながらカムイエクウチカウシ山に向かいます。 稜線はハイマツや笹に被われています。 この山稜を通過するにはかなり時間が掛かりますので、日帰りは厳しいようです。

コイボクシュシビチャリ川からカムイエクウチカウシ山へ(その1)

日高側の静内からコイボクシュシビチャリ川を清和橋まで辿ります。 清和橋からはコイボクシュシビチャリ川を遡上します。 滑滝、小函や左岸スラブルンゼを経て、しばらくゴーロを歩くと三俣に到着します。 三俣から荒れたゴーロをさらに進むと、函が続き左岸の8m滝を右岸に巻きます。 左岸は大きな岩壁となるので、右岸をトラバースして巻きます。 次のゴルジュは高い絶壁と成って居るので右岸のルンゼを利用して高巻きします。 その上の滝を幾つか越えて巨岩ゴーロの急な谷を辿ると1,200mの二俣から左俣のゴルジュに入ります。

コイボクシュシビチャリ川からカムイエクウチカウシ山へ(その2)


左俣のゴルジュにある多くの大小の滝登りを繰り返しと、40mスダレ滝の基部に到達します。 逆層に成っていて取り付けないので右岸の枝沢の滝を登り小尾根を越えて沢に下降します。 その上も20m滝を含めて大小の滝を乗り越えて行きます。 小滝が続く様になるとほどなくコウボクカールに入って来ます。 カールのガレた窪状を登ると日高山脈主稜に出ます。 そこから北西へ僅かな登るとカムイエクウチカウシ山の頂上です。 このコースは日高山脈の典型的な沢歩きで、最高の難易度を持つコースです。 日帰り登山は避け、しっかりと宿泊の覚悟で登山しましょう。

高山植物の花々に恵まれたカムイエクウチカウシ山の登山ルート

カムイエクウチカウシ山は絶景を語られていますが、その登山ルートは貴重な自然の宝庫です。 天気に恵まれなくても十分に花を愛でることができます。 主な花としてヨシバシオガマ、トリカブト、ガクアジサイ、アキノキリンソウ、ヨツバヒヨドリ、モミジカラマツ、マシケオトギリ、エゾシオガマ、チシマフロ、ウメバチソウ、エゾツツジ、シナノキンバイ等が見られます。 また、渓流にはイワナも多く、自然の豊かさを感じることができます。

まとめ

カムイエクウチカウシ山は「基本的に道の無い日高山脈の山々に登る『沢登り登山』の典型ルートである」と言えます。 札内川ヒュッテから八の沢経由でカールに取りつき、山頂に登るコースがなんとか一般の登山者でも登ることはできます。 沢の遡上、滝の登りや高巻きなどかなり高度の登山技術が必要です。 登山道もなく登頂するのも決して容易ではありません。 それでも、絶好の眺望と豊かな自然に恵まれたカムイエクウチカウシ山は、登山する者の心を魅了する山なのです。