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ロケットストーブとは?原理や構造を解説!

ロケットストーブとは、シンプルな構造ながら高温で燃焼し、コンロや室内の暖房として使うことのできるストーブです。高い温度で燃焼するため、煙も少なく、少ない燃料で調理ができます。そんなロケットストーブを、原理や構造から詳しく説明します!
更新: 2024年3月22日
sora.2017
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ロケットストーブとは?

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ロケットストーブとは、少ない燃料で高温燃焼する構造を持つストーブです。調理用のコンロとしてはもちろんのこと、廃熱を利用して暖房として使うこともできます。高温で燃焼するため、可燃性ガスも二次燃焼し、煙もあまり出ません。

身近な材料で自作もできる簡易性があり、化石燃料を使わないことから、東日本大震災をきっかけに注目が高まりました。 さまざまな用途で活用できるロケットストーブ、まずはその原理から解説します。

ロケットストーブの原理

ロケットストーブは、バーントンネルと呼ばれる燃焼管と、ヒートライザーと呼ばれる断熱された煙突で構成されます。仕組みはとてもシンプルですが、煙突があることで炎が集約され、煙突の中を勢いよく上昇していきます。この強力な上昇気流を作り出すことで、高温燃焼が可能になります。

ヒートライザーについて

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ヒートライザーの先端は、600~800℃にもなります。煙突内の温度が600℃を越えると、燃焼ガスなどが二次燃焼されるので、排気はとてもクリーンです。

構造上の重要なポイントは、ヒートライザーを断熱することです。ヒートライザーを断熱し、温度を高く保つことがなぜ必要なのでしょう?それは、「吸気力」の計算式を見ると分かります。

吸気力の生まれる仕組み

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吸気力とは、煙突が空気を吸い上げる能力のことです。ここに、吸気の強さを表す計算式があります。吸気力=煙突の高さ×熱(煙突内温度-外気温) 吸気の強さは、煙突の「高さ」と「温度」の両方が関わっていることが分かります。

上昇気流を生み出す

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ロケットストーブは、ヒートライザーを断熱することで煙突内が高温になり、煙突が短くても、強力な上昇気流を生み出せるのです。着火後しばらくして煙突の温度が上がると、ドラフト現象が加速していき、その結果安定した空気の流れが作り出され、高温燃焼が可能になるのです。

ドラフト現象とは?

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あたためられた空気は密度が低く軽いため、浮力が生じて上昇します。すると冷たい空気が下から吸い上げられ、空気の流れが作り出されます。 これがドラフト現象と呼ばれるもので、煙突効果とも呼ばれます。

筒状の管の中で火を焚くことで、ドラフト現象が生じ、煙突を断熱することで、ドラフト現象がより強まる、という仕組みで効率よく燃焼しています。

ロケットストーブの燃焼の仕組みと燃料

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ロケットストーブのメリットの一つに、着火が簡単であることが挙げられます。着火時は燃焼管の上に炎が上がりますが、ヒートライザーの温度が高くなるにつれ気流が安定し、燃料は先端のほうから点火して徐々に燃えていきます。

燃料は燃えていくにしたがって短くなっていくので、管理がしやすく、追加するのも楽にできます。バーントンネルが水平のタイプは、枝を奥に押し込んでいきます。

燃料は身近なものでも大丈夫!


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燃料は身近で手に入るものが使えます。枝、廃材、竹、割り箸、ダンボール、松ぼっくりなどなど。竹を燃料として使えるのも、高温で燃焼する仕組みがあるロケットストーブならではのメリットですね。

林間サイトや山合いのキャンプ場では、枯れ枝を簡単に集めることができますので、現地調達した燃料で煮炊きができるという楽しさも味わえます。

いろいろな形のロケットストーブ

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ロケットストーブの原理と仕組みが分かれば、それを応用してロケットストーブを作ることができます。組立可能な簡易なものから、住宅の暖房に使われるものまで、多種多様なタイプが存在します。ここでは「16ブリック」「ペール缶を使った簡易型」「暖房」の3つを紹介します。

16ブリックと呼ばれるロケットストーブ

16ブリックとは、最も原始的なロケットストーブの形です。材料は16個のレンガのみ。レンガがあたたまるにつれ、煙突効果で火力が強まり、単純な構造ながら調理も可能です。

こちらの動画を見ると、ブロックの積み上げ方がよく分かります。たったこれだけの材料で作れるならば、思わず試してみたくなります。

ペール缶を利用したロケットストーブ

三共コーポレーション GA フリー容器 ペールカン

出典:Amazon

ロケットストーブの基本的な仕組みを利用して作る、DIY可能な簡易型のロケットストーブです。主な材料は、ステンレスの鋼管と、ペール缶、断熱材です。 入手しやすい材料で作ることができるというメリットがあり、簡易型のロケットストーブを作る講習会が各地で行われています。

ペール缶は自作も可能

煙突部分をペール缶や一斗缶で覆い、その間に断熱材(パーライトなど)を投入します。断熱材は煙突効果を高めるために重要でしたね。これでヒートライザーを高温に保つことができます。

ヒートライザーの温度が上がれば、「ゴーッ」という音と共に上昇気流が生まれます。ロケットストーブの名前の由来は、その「ゴーッ」という音だと言われています。

五徳を置けばコンロにも!

上部に五徳を置けばコンロになります。お湯を沸かしたり、煮込み料理や炒め物もできますし、網を置いてBBQをすることも可能です。燃焼が安定すると炎が見えにくいので、うっかり火傷をしないよう注意して下さい。

暖房として利用するロケットストーブ

ヒートライザーに覆い(ドラム缶など)をかけて、温かい空気を急降下(ダウンドラフト)させ、その廃熱を配管に流して利用するのが室内の暖房です。 廃熱を利用する配管は、横方向に伸ばすこともでき、ベンチなどと組み合わせて使います。ベンチは、相性のよさから、土を材料として使うことが多いようです。

ロケットストーブのメリットとデメリット

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火を扱う楽しさを教えてくれ、自作もでき、暖房にもなる魅力たっぷりのロケットストーブですが、注意が必要な点もあります。ロケットストーブのメリットとデメリットをまとめましたので確認します。


メリット

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・少ない燃料で高温調理が可能。 ・身近な材料で作ることができる。 ・着火が容易。 ・短時間で安定した火力が得られる。 ・構造上、高温で燃焼するため、排気がきれい。 ・化石燃料を使わないのでエコである。 ・ライフラインが切断された災害時にも役立つ。

デメリット

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・細めの薪しか使えないので薪割りの手間が増える。 ・高温燃焼するため、ステンレスの鋼管は腐食が激しい。 ・とろ火などの火加減が難しい。 ・自作したものでは、煙が逆流してしまうこともある。 ・室内では使えない

注意点

一酸化中毒になる危険がありますので、室内では使わないで下さい。ペール缶で自作する簡易型は、ステンレス部分の腐食が激しく耐久性がありませんが、販売されているロケットストーブの中には、耐久性能が考慮されているものもあります。

販売されているロケットストーブ

ここまでロケットストーブの原理や仕組み、それを応用したいろいろな形をみてきましたが、ロケットストーブは作るだけでなく、製品としても販売されています。 その中からキャンプで使える3種類を紹介します。キャンプで使う場合は、持ち運びできる重さ・大きさであることもポイントですね。

1、焚火缶

LIFTOFF ステンレス『焚火缶』 自作キット

出典:Amazon

組立は、ステンレス天板と仕切板を組み合わせてペール缶に入れるだけ。DIYに自信がないという方でも、簡単につくることができます。

1-1、特徴

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天板の面積が広いので、やかんとスキレットを同時に置くことも可能。蓋を半分外して網を置くとBBQもできます。燃料の投入口が広いので、ロケットストーブでは珍しく、太目の薪も使えます。

断熱されたヒートライザーを持たないなど、ロケットストーブの仕組みと異なるところがありますが、調理には問題なく使えます。また断熱構造を持たないため近くにいると、輻射熱で暖かいというメリットもあります。

2、EcozoomVersa エコズーム・バーサ

EcozoomVersa エコズーム・バーサ

出典:Amazon

頑丈なつくりで耐久性も考慮されている一品。ヒートライザーがしっかり断熱されているので、燃焼性もばっちりです。 周囲を触ってもあまり熱くないので、小さい子供さんがいても安心です。13,000時間の耐久性能。

2-2、特徴

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燃料の投入口の下に空気取り入れ口があり、効率よく酸素が供給される仕組みになっています。安定感があるので、スキレットやダッチオーブンとも相性抜群。

3、折りたたみ木材燃焼ステンレス鋼ロケットストーブ


折りたたみ木材燃焼ステンレス鋼ロケットストーブ

出典:Amazon

アウトドアキャンプ、ハイキング、釣りなどあらゆるシーンで活躍するロケットストーブ。耐久性に優れた頑丈なステンレス鋼構造で、サイズ感も丁度よいと口コミで評判です。

3-3、特徴

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こちらは折りたたみ式になっているので、簡単に持ち運びが可能。重量も537gとそこまで重くないので、女性の方でも持ち運びやすいです。

ロケットストーブはシェルターの中でも使える?

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冬のキャンプ場で、シェルターから突き出た煙突を目にすることがあります。暖かそうで心が和む光景ですが、そのほとんどは「薪ストーブ」を使っています。

ロケットストーブを熟知していれば、暖房として使うことも不可能ではないようですが、基本的にロケットストーブは、高温の火力を利用して調理をするのに適したコンロです。

また、シェルターの中でロケットストーブを使うのはお勧めできません。閉じられた空間の中では、一酸化炭素中毒になる危険があるため、屋外で使ってください。

ロケットストーブは調理しながら暖房にもなる?

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キャンプで使うロケットストーブは、ヒートライザーから出た熱を煮炊きに使うので、用途としては暖房用というよりは調理用になります。またロケットストーブは、煙突部分が断熱されていて、熱を外に逃がさない構造を持っています。

そのため、断熱構造がしっかりしているものほど、薪ストーブのような輻射熱が発生しづらいのです。ただ「焚き火缶」のように断熱構造を持たないものは、周囲を囲んで暖をとることもできるようです。

ロケットストーブが生まれた背景とは?

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ロケットストーブは、1980年代にアメリカで開発されました。日本では、荒川純太郎さんが2006年に自作のロケットストーブを作り、その話を聞いた石岡敬三さんが2011年に「現代農業」の中で紹介し、広まりました。

東日本大震災の折、ロケットストーブの情報が被災地に向けて多く発信され、注目を集めました。

燃料をその場で調達でき、ライフラインが途絶えた現場でも利用できるという、ロケットストーブのメリットから、現在でも防災フェアなどで数多く紹介されています。

おわりに

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ロケットストーブがどのようなものか、メリット・デメリットも含めて解説してきました。原理や仕組みがシンプルなため、身近な材料でDIYも可能であり、化石燃料を使わないというエコな一面も持ち合わせています。

ライフラインが断絶した場合にも、火を焚くことができるので、防災用品としても役立ちますね。ロケットストーブの面白さを、まずはキャンプで堪能してみて下さい!