あら/分類
スズキ目ハタ科アラ属
『あら』の分類は、【スズキ目ハタ科アラ属】と表されています。 『あら』の背びれが2つに分かれていますが、『クエ』は分れていない為、 この魚は【ハタ科のクエ】と見分けることができます。 『あら』と『クエ』は姿形が似ている為、間違われることがありますが、別の魚です。
あら/外国名
saw-edged perch
『あら』はよく『クエ』という魚に間違われますが、まったく別の魚で違います。 『あら』は英名で【saw-edged perch】とされ、『クエ』は【Longtooth grouper】と言います。 英名でも分かっていただける様に、『あら』と『クエ』は別々の魚です。
あら/学名
Niphon spinosus
『あら』という魚は色々な魚に似ているところがありますが、 学名『Niphon spinosus』と表され、まったく別の魚です。 【Niphon】とは、属:アラ属を示し、 【spinosus】とは、種:アラN.と表されます。
あら/由来(漢字)
『あら』という魚の由来と漢字
『あら』と言う呼び方は東京、名古屋、新潟が発祥とされています。 漢字で書くと『?(あら)』となり、この魚の荒々しい性格とグロテスクな見た目からきているのではないかと考えられています。 現在では超が付くほどの高級魚ですが、江戸時代にはどこでも捕れる、最も下品な魚とされ市場に出まわっていたことから、庶民から慕われていたのでほないかとされています。 そう考えると『あら』は凄い出世を遂げた、縁起の良い魚ですね。
あら/生息地域・分布
自分の棲み家を決めて生活する魚
『あら』の分布地域は日本各地からフィリピンにかけ幅広い海域に生息しています。 この魚は幼魚のうちは浅海で過ごし、大きく成るにつれ、 やや深めの100~400メートルの辺りに寝床を移します。 そして、『あら』は、砂底を好み、狭くてゴツゴツした岩礁地帯やサンゴ礁がある場所を求め、棲み家とします。 そして、棲み家と決めると、浮遊することはあまりせず、同じ場所で生活する習性があります。
あら/生態・生育環境
大きければ体長100センチ以上、50キロ以上の巨大魚!
『あら』は平均は80センチ程度の魚ですが大きいものになると100センチを優に超え、重さも50キロを超える魚です。 しかし今や、生息数も少なくなり、成魚になるまでにすごく時間がかかる魚です。 ですので、とても貴重価値があがり『幻の魚、あら』と呼ばれるようになりました。 寿命は魚の中では長く、およそ20年くらいの寿命があります。 そして『あら』は『海の捕食者』です。昼間は岩陰などに潜み、夕方から夜になると獲物を探しに狩りにでかけます。 『あら』が狙う獲物は海底あたりを住処としている無脊椎動物や、イカ類、魚類などです。 狩りが終わるとまた同じ場所にもどります。『あら』は自分の棲み家を決めるとその辺りに停滞する習性がありますので、遊泳して遠くに移動することは少ない魚です。
あら/特徴・形態
姿形は『クエ』にそっくり!でもまったく違う魚
『あら』は『クエ』とよく間違われる魚です。 大きな見た目だけではなく、地域によって呼び方が違う『あら』は、 九州では『クエ』のことを『あら』と呼ばれています。その為、同じと思われてしまうのですが、全く別の魚です。分類でも『あら』は【スズキ科】、『クエ』は【ハタ科】です。 『あら』の特徴としては、形がスズキに似て細長い魚ですが、 スズキよりも頭と眼が大きく、鱗は小さく細かいのが特徴です。 そして、鰓蓋(エラブタ)の後ろ部分には3本の大きなトゲがあり、 さらに鋸歯(ノコギリバ)と大きなトゲがある。 背ビレ部分は2つに分かれており、両方合わせて13トゲになります。 背の色は褐色(茶色)、お腹は白色。 口は大きく下アゴが上アゴよりも突き出しています。 『クエ』との見た目が大きく違うところは、背ビレが2つに分かれているところです。『くえ』の背ビレは1つです。
あら/釣り情報
『あら』は季節的な回遊はせず、同じ場所に棲息し続ける魚です。 『あら』は底棲魚の中ではトップクラス級のパワーを持った魚であり、 まさに『クエ』と並ぶ怪物魚と言ったところでしょう。 釣り人にとっても、「一度は釣りあげてみたい魚!」憧れの魚でしょう。 釣り場スポットとしては、 日本列島あたりだと茨木以南の太平洋沿岸から新潟以南の日本海沿岸。 朝鮮半島の南部からフィリピンなどの広い温帯海域にも生息する魚です。 ポイントとしては岩礁地帯があり 海深100~400メートル程ある場所を狙いましょう。 深くて狭い場所に群れをつくるので 「重りを着底させゆっくりと引き上げていく」を繰り返します。 近年、釣り人の間で、『あら釣り』と言えば、相模湾が有名です。
あら/味・選び方
味は絶品!!究極の高級魚
『あら』は超が付くほどの高級魚とされており、味は臭みも少なくあっさりとしており絶品です。身は綺麗な白色で魚嫌いな方でも食べやすい魚です。 選び方ですが、幅広い範囲で獲れる魚なので、場所によっての特徴をご紹介しましょう。 九州沖で捕れたものは身が太っており、脂がのっていてプルプルです。 愛知沖で捕れたものは激しい海流に鍛えられた『あら』は、 身が締っていて弾力があります。 また、市場での見極め方ですが、表面にヌメリが残っており、 張り感もあって眼が澄んでいる方が鮮度の高い魚です。
あら/栄養・寄生虫
『あら』の主な成分はたんぱく質
『あら』の主な成分はたんぱく質でできています。魚独特の臭みはなく、味はあっさりとしているので魚が苦手な方でも食べやすく、色々な食材と組み合わせることで、幅広いアレンジが楽しめる魚です。
寄生虫は『海の掃除屋』さんにおまかせ
寄生虫についてですが、『クエ』と同じく、体についた寄生虫は『海の掃除屋』と呼ばれるベラ科の小さな魚、『ホンソメワケベラ』などに掃除をしてもらっています。また、口の中の食べかすなどの掃除もしてもらいますが、絶対に食べないことから共性関係があるとされています。
あら/料理・調理方法
定番は『あら鍋』がおススメ
『あら』は夏に産卵をし、冬に脂がのるのでこれからの季節12月~2月くらいが旬な魚です。 調理法としては、頭が大きい魚なのでアラも無駄なく使用するのがおススメです。 やはり定番の鍋ですが、魚独特の臭みがない魚なので、新鮮なら『あら』は刺身にするのもおススメ。 コリコリした食感も楽しめます。 また他にも、フライにするのも良し、煮物にするのも良し、アレンジが色々と効く万能な魚です。
あら/その他
昔は、口は突き出し、眼も頭も大きくて刺々しい見た目とヌルっとした触感のと言うだけで、嫌われていました。 ですが、現在では幻の魚とされ、グロテスクな見た目とは違い、身はきれいな白色で臭みもなく、味はあっさりとしていて食べやすい為、食通からも人気があり、釣り人からは100メートル、50キロ超えの巨大魚とされ、釣ってみたい魚と憧れられる魚となりました。 九州地方では『クエ』のことを『あら』と呼んでいます。 ですので、九州地方で『あら鍋』というと、『クエ』を使用した鍋のことを言い、 本当は『クエ鍋』のことを意味するのです。 他にも、地域によって面白い、色々な呼び方があります。 例えば、相模湾(神奈川県)では小さい『あら』の事を『コアラ』とも呼びます。 口が突き出し尖っている見た目が、きつねみたいと言うことで、『キツネ』と呼ばれたり、 他にも、『オキスズキ』、『ホタ』、『アラマス』、『スケソウ』、『イカケ』、『シロマス』、『アオアラ』、『オオガシラ』、『ダイコクアラ』、『デッキ』、『カンナ』、『タラ』、『オキダラ』ets... まだまだ様々な面白い呼び方があり、なんとも紛らわしい魚です。 それだけ昔は日本全域で良く獲られ、親しまれていた魚と言うことなのでしょう。 釣って楽しい、食べてもおいしい『あら』の魅力はいっぱいです。