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万能な花!クリーピングタイムの基本情報まとめ!【植物図鑑】

クリーピングタイムは、這い性のタイムのことです。春にかわいらしいピンクの花をつけ、じゅうたんを敷き詰めたようになります。すばらしい香りは料理に、更には、古代より薬として使われてきました。万能な花クリーピングタイムをご紹介していきます。
2020年8月27日
夏野のばら
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クリーピングタイムとは

クリーピングタイムとは、ハーブの一種、タイムの仲間です。タイムには300~400種類あるといわれていますが、そのうちの這い性のものを言います。 横にどんどん広がるのでグラウンドカバーに最適です。春にはかわいらしいピンクの花を咲かせ、踏みしだけばふうわりとさわやかな香りが立ち上ります。 クリーピングタイムに含まれる薬効成分は、病害虫の予防・忌避にも効果があります。薬効成分は、歯磨き粉、うがい薬、石鹸などに広く利用されています。 もちろん、ティーや、料理に利用することもできます。 今回は、万能な花、クリーピングタイムをご紹介します!

科名

シソ科イブキジャコウソウ属ヨウシュイブキジャコウソウ種 常緑小低木

学名

Thymus serpyllum

花名由来

和名のヨウシュイブキジャコウソウ(洋種伊吹麝香草)とは、日本原産である唯一のタイム(伊吹麝香草)があるため、区別のために洋種とつけられました。両者とも、這い性タイムです。 伊吹とは、滋賀県~岐阜県にまたがる山地の名前で、伊吹麝香草は伊吹山によく見られるのです。 学名のThymusはギリシャ語のthymos/thymus(勇気)、thyo(生贄)、thuo(香り)に由来すると言われています。 serpyllumはヘビのように地を這い生育する、という意味です。 英名ではcreeping thyme(クリーピングタイム/這い性タイム)の他にも、wild thyme(ワイルドタイム/野生のタイム)、mother-of-thymesマザーオブタイム(タイムの母)とも呼ばれています。

クリーピングタイム/品種・原種

原産地

ユーラシア、アフリカ北部

分布域

地中海沿岸部

品種

よく流通している品種は、以下の2つです。 《クリーピングタイム(ワイルドタイム)》 いわゆるクリーピングタイムといえばこちらです。 《タイムロンギカリウス》 こちらは花つきがよい品種です。あまり食用には使われません。群植して花の最盛期を迎えると、ピンクのじゅうたんを敷き詰めたようで見事です。

クリーピングタイム/花言葉・開花時期

花言葉

勇気 活動力 強さ


由来

タイムの語源となったギリシャ語は、thymos/thymus(勇気)、thyo(生贄)、thuo(香り)です。 これらは全て同じ起源の「塵が飛び散る」「煙が舞う」という意味の古い言葉から生まれたのです。 古代ギリシャでは、神殿で神々に生贄を捧げ、タイムの香を焚きました。そこから、勇気をもたらすハーブとされるようになりました。 ローマ人が版図を広げるのと共に、タイムを用いる習慣も広めました。彼らは部屋を清浄にするため用いました。 中世ヨーロッパでは、戦いに赴く騎士のために、貴婦人たちはタイムの葉を添えた贈り物をしました。持ち主が、勇気を鼓舞できるようにと。

開花時期

4~6月。

クリーピングタイム/特徴

クリーピングタイムはその名のとおり、這うことが一番の特徴です。どんどんと横に広がります。 草丈は2~15cm。 葉の形は、楕円形をした3~8mm程度の大きさです。 茎の先端に4~6mmの小さな花をつけ、手毬状、または円錐状の花序を形作ります。 花の色はピンク系が中心で、淡いピンクから濃い赤紫までバリエーションがあります。また、白花も流通しています。 たくさんつく小さな花は、蜜源植物としても重要です。 全体から、強いさわやかな香りがします。 小さいので草のようですが、木質化する小低木です。

クリーピングタイム/育て方・栽培方法

難易度

かんたん。 病害虫の心配もほとんどありません。

時期

花 期:5~6月 収穫(葉・茎):通年   ( 花 ):5~6月   ( 種 ):6~8月 種まき:4~5月 植え付け:4~6月、9~10月 挿し木・茎伏せ:4~6月、9~11月 株分け:3月、9月

植え付け

植え付けは4~6月、9~11月に行います。 《環境》 地中海原産のハーブですので、原産地に近い環境を用意します。 乾燥気味 日当たりが良い 水はけが良い この3点に気をつけましょう。 《土》 日本に多い酸性の土壌は好みません。庭植えならば培養土に苦土石灰をまいて酸性を中和して中性~アルカリ性にしておきます。 鉢植えならば「ハーブの土」として販売されている培養土を用います。

種まき

種が非常に小さいので、取り扱いには注意が必要です。 種は、なるべく平たい鉢に種まき用土をいれ、種が重ならないように均一にまきます。 薄く土をかけ、その後は底面給水で管理します。 発芽後は、生育の悪いものを間引きながら残ったものを育てて、ポットに移植します。 株がしっかりしてきたら、定植します。

水やり

加湿を嫌います。乾かし気味に育てます。 土の表面が乾いたら、たっぷり水を与えます。 地植えの場合は、特に水をやらなくても育ちます。

肥料

やせた荒地に自生する植物なので、あまり必要ありません。 最初の植え付け時の培養土に肥料が入っていれば、それだけでも充分です。 その後は、花期前の時期に緩効性肥料を与えます。

剪定


剪定は随時行うことができます。生育が旺盛ですので、特に気にすることはありません。 加湿を嫌いますので、梅雨を迎える前に、大きく切りもどして風通しを良くします。

増やし方

種で増やすこともできますが、香りの強さがばらばらになりがちですので、あまり行いません。 地植えの場合、茎伏せで簡単に増やすことができます。 挿し木でもよく増えます。 株分けもできます。

茎伏せ

茎伏せは4~6月、9~11月が適期です。 クリーピングセージには、土に触れている枝から根を出して殖え広がる性質があります。 地植えならば、枝の一部に土をかけて埋めてやったり、石を乗せて土に触れるようにしてやると根を出し、新しい苗をどんどんつくることができます。

挿し木・株分け

《挿し木》 4~6月、9~11月が適期です。 繁殖力が旺盛なので、剪定した枝を地面に挿しておくだけで発根します。 枝を挿した後は十分に水をやり、その後は土が乾いたら水やりをします。 順調にいけば2週間ほどで発根しますが、新芽が伸びだすまでの4~6週間は養生します。その後は移植が可能です。 《株分け》 3月ごろの生育を始める前か、成長が止まる9月ごろが適期です。 混んだ株を鉢から取り出し、手で根を持って自然に離れるところで分けますが、根が絡まりあって分けにくい場合ははさみで切り離します。 鉢植えの場合、株を増やす目的がなくても、株が鉢いっぱいになると生育に影響するので、株分けを行ってリフレッシュさせましょう。

寄せ植え

乾燥を好むので、同じ性質の植物と組み合わせます。 ハーブなら、ローズマリーやラベンダーが相性がよいでしょう。 植木鉢からふきこぼれるように育つので、植木鉢の手前に植え付けます。 病害虫を忌避する作用があるので、コンパニオンプランツとしても最適です。

植え替え

地植えの場合は特に必要ありません。 鉢植えの場合は、根がまわって鉢が窮屈になると生育に影響があるので、ひとまわり大きい鉢に植え替えてあげます。 鉢から株を抜き出して、回った根を少し手でほぐしてやります。そののち、ひとまわり大きい鉢に新しい土を用いて植え替え、たっぷりと水を与えます。その後は乾燥気味に育てます。

夏越し

日本の高温多湿の夏は苦手です。 梅雨を迎える前に、すかすように剪定して風通しをよくします。

冬越し

冬の強さには強く、特別手をかけてやる必要はありません。 ただ、霜にあたると葉が黒くなります。防ぎたい場合は、わらをかけてやるなど、霜よけをします。

グラウンドカバー

クリーピングタイムはグラウンドカバーとして利用すると、花の時期にはピンクのじゅうたんを敷き詰めたようで見ごたえがあります。 また、踏みしめたり、服がふれることですばらしい香りを放ちます。 しかし、芝生のように踏み固められるのは苦手なので、通路や飛び石の縁取りとして用います。

クリーピングタイムの効能・効果

タイムの仲間には、チモールとオイゲノールという成分が含まれており、高い殺菌作用があります。 皮膚や呼吸器の菌を殺し、ウイルスを不活性化するとされています。 チモールは洗口剤のリステリンにも入っています。 タイムは石鹸や歯磨き粉にも香り付けとして利用されてきましたが、歯周病や虫歯は細菌の感染症ですから、理にかなっていますね! 防腐作用も知られており、最も古い記録では、古代エジプトでミイラ作りに用いられたとあります。 高い殺菌作用から、ローマ人は部屋を清浄にするために用いました。 肉や魚の臭みけしだけでなく、ソーセージなどの保存食作りにも用いられています。


クリーピングタイムの精油

アロマテラピーで用いられるタイムの精油(エッセンシャルオイル)には大変多くの種類がありますが、主に用いられているのはコモンタイムの精油で、クリーピングタイムの精油が用いられることはほとんど無いようです。 タイムの母とも言われるクリーピングタイムの精油を用いるには、注意が必要です。有効成分でもあるチモールやカルバクロールといった毒性のあるフェノール類が、多く含まれているためです。 *精油ではなく、生、またはドライハーブを料理などに少量用いる程度ならば問題ありません。 *妊娠中や授乳中の方、乳幼児への使用は控えます。 心への効能は 強壮作用、心に活力を与えます 体への効能は 抗ウイルス作用、去痰作用、鎮座作用 また、リウマチや関節炎、腰痛などにも有効とされています。

クリーピングタイムの使い方(1/3)ブーケガルニ

肉や魚の臭み消しによく用いられます。立性タイムと同様に使うことができます。 ブーケガルニを作っておいて、ポトフやシチュー、カレーなどに用いて風味をアップさせましょう。 生ハーブでもよいですし、ドライにしておけばいつでも使うことができます。

ブーケガルニの作り方

タイム、パセリ、ローリエ(ブーケガルニ基本のハーブ) ほか、好みのハーブ たこ糸、だしパック、木綿の袋など(好み) (1)生のハーブの場合、水で軽く洗う。 (2)調理後に取り出しやすくする為に、用いるハーブの状態や、使い勝手に応じてひとまとめにする。たこ糸で縛る、だしパックや木綿の袋などに詰める、など。袋詰めにする場合は、少なめに入れる。詰めすぎると、風味が抽出されにくくなる。 以上です! 基本のハーブとしてあげた3つは、比較的癖のないハーブの組み合わせで、マルチに使えます。 好みや場合によって、下記のハーブと組み合わせたり、置き換えたりできます。 《癖のない風味》 バジル、チャービル、ディル、マジョラム 《強い風味》 オレガノ、ローズマリー、セージ、タラゴン

クリーピングタイムの使い方(2/3)ハーブ加湿

爽やかな香りは、ハーブティーにすれば素晴らしい香りを楽しめます。 セージとの組み合わせが好まれます。また、レモンを添えてもおいしくいただけます。 殺菌・抗ウイルス効果のほか、去痰効果、胃もたれの解消、消化を助ける働きがあるとされていますが、味が苦手な場合もあります。ティーが飲めなくても、クリーピングタイムの薬効を手軽に取り入れましょう。

ハーブ加湿の仕方

クリーピングタイム  好みの量 水  適宜 (1)鍋ややかんにたっぷりの水とタイムをいれ、沸騰させる。 (2)その後は弱火で加温する。 以上です! 簡単ですが、部屋中にクリーピングタイムの良い香りが立ち込めます。加湿になるので、乾燥する季節や風邪の引き始めの頃に用いるのがおすすめです。全身でクリーピングタイムの効能を取り入れることができます。 残ったお湯は、いわば煎じ薬となっています。 高い殺菌作用が期待できますので、うがい薬として、また、足に用いれば水虫の薬として利用できます。

クリーピングタイムの使い方(3/3)手作りリース

クリーピングタイムの茎は柔らかくしなり、加工しやすいです。 リースにして、中世の貴婦人の気分を味わうのも素敵です。 画像のように、芯材を使わずに作ることもできますが、他にも ・100均などで売っているリースの芯材に、クリーピングタイムの枝をどんどん差し込んで作る ・ローズマリーの枝を束ねて芯材とし、そこにクリーピングタイムの枝をどんどん差し込んで作る こともできます。

まとめ

いかがでしたか? クリーピングタイムは、古代エジプトより現在に至るまで、薬効あらたかなハーブとして人々に広く利用され続けてきました。 また、可憐な小さな花をつける一方で、荒野に生きるたくましい面もありました。 育てやすいハーブとして、ガーデンに、そして暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。 あなたのガーデニングライフが、一層活力にあふれますように!