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エンレイソウ(延齢草)とは?品種や育て方のポイントをご紹介!

エンレイソウの特徴や育て方、おすすめの品種を紹介します。 育てることが難しい品種でも、ポイントを押さえれば、きれいな花が観られます。 育てやすい品種と合わせると、花を咲かせるチャンスが増えますよ。 庭や鉢植えで、エンレイソウの春の開花を待ちましょう。
2020年8月27日
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目次

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エンレイソウとは

山のなかでよく見かけるユリ科の多年草です。 花は茎から分かれた葉の間につけます。 花弁(花びら)がないものや、花が横へ向いて咲くなど、珍しい品種をそろえた植物です。 エンレイソウは花を観賞するほかにも、根を干したものは「延齢草根」と呼ばれて、 胃腸の薬として使われていました。

エンレイソウ/科名

ユリ科エンレイソウ属に分けられます。 エンレイソウに近い種類も大まかな括りでエンレイソウと呼ばれ、オオバナノエンレイソウ、シロバナエンレイソウ、ミヤマエンレイソウなどの仲間がいます。葉の間にきれいな花やがく(花びらの外についた硬い部分)をつけて、人の目を楽しませてくれる山草です。 どの種類も山のなかの湿った場所や、葉を落とす落葉樹の林、木の陰などを好みます。

エンレイソウ/学名

学名は「Trillium smallii」で、「3つそろった、3つの」を意味します。 また、「smallii」はアメリカの学者・スモールの名前にちなんでつけられました。 日本での呼び名は「延齢草」、「タチアオイ(立葵」)、「ヤマミツバ」です。

エンレイソウ/花名由来

学名の「Trillium」は、スウェーデン語の「trilling」をラテン語風に言い換えた名前といわれています。 3つに分かれる葉や花びらの数から、学名がつけられました。

エンレイソウ/品種・原種

英名がつけられていないエンレイソウは、日本以外の国ではあまり見かけない植物なのでしょうか。

原産地

原産は北アメリカと東アジアです。 寒さに強く、暑い場所を苦手とします。約40種が知られていて、山のなかや林の縁など、落ち葉に囲まれた湿気の多い場所に自生しています。

分布地

北アメリカは西側のカリフォルニア、オレゴンのほか、北東部にも自生しています。 東アジアでは、中国の北東部や朝鮮半島、ロシアのウスリー、カムチャツカ半島、千島列島などで見られます。 日本では沖縄を除いた北海道、本州、四国、九州で見つけられますね。 このように、エンレイソウは寒い地域と湿気の多い山地に多く生えています。

エンレイソウ/花言葉・開花時期

きれいな山草が花を咲かせる時期はいつごろでしょうか。 花に込められた意味を知って、エンレイソウの知識を深めましょう。

エンレイソウの花言葉


花言葉「奥ゆかしい美しさ」「落ち着いた美しさ」「叡智」「熱心」の4つです。 物事をすべて見通すような姿から「叡智」、その様子が上品に映って「奥ゆかしい美しさ」、「落ち着いた美しさ」の意味を持ちます。 4つ目の「熱心」は、1輪の花だけを、力を込めて咲かせる様子からつけられました。

開花時期

開花は4月~5月の間です。 エンレイソウは寒い地域で生まれた植物です。そのため、気温の低い春先に花を咲かせます。 1~3本の茎が延びた先に3枚の葉をつけ、その真ん中に3枚のがく、3枚の花びらが開いて、花が咲きます。

由来

乾燥させたエンレイソウの根は胃腸薬に使われていました。 命を延ばす「延齢」が薬の名前につけられ、薬の元となる植物は「エンレイソウ」と呼ばれるようになりました。 エンレイソウの根は、「サポニン」という毒が含まれています。少しだけ摂取することで、体のなかの悪いものを外へ出すために、飲まれていました。 中国では今も、エンレイソウが薬に使われています。

エンレイソウ/特徴

山のなかや落ち葉に囲まれた場所で咲くエンレイソウは、珍しい特徴を持っています。 ほかの草花ではあまり見かけない、特徴ですよ。

きれいな花は1本の茎につき、1輪だけ

茎の先端には、たった1輪だけ花をつけます。 エンレイソウの茎は1~3本に分かれ、分かれた茎の先端に花をつけるのです。 ほかの花のように、いくつも花をつけたりはしません。

3の倍数が好き

学名の由来となった「3つそろった」は、花びらや葉のことだけではなく、ほかの器官に見られる特徴も取り入れてあります。 エンレイソウの花びらは3枚、葉も3枚、がくも3枚、雄しべは6個、柱頭(雄しべの先)は3つに割れています。

花は横向きに咲く

種類によって、花が横向きに咲きます。 【横に向いて咲く品種】 ・ミヤマエンレイソウ、シラオイエンレイソウなど 横へ向いて咲く姿は「そっぽを向いている」、「物思いに耽っている」など様子を想像させ、人を引き付ける魅力を備えています。

エンレイソウ/育て方・栽培方法

難易度は「むずかしい」です。 「葉は、柔らかくて傷みやすい」「涼しい環境を好む」など性質から、管理が大変で、育てる場所も限られてしまいます。 とはいえ、育てる種類によっては、関東より南のあたたかい地域でも育てることは可能です。

植えつけ

植えつけには購入した苗を使います。種からも育てられますが、時間がかかるため育てやすい苗を選びましょう。 植えつけは休眠期に入る9月~11月の間に行います。 この時期に行えば、根にかかる負担が少ないため、根付きがよくなります。 気温の低い真冬、日射しの強い真夏は避けておきましょう。 【植えつけの手順】 1.茎についた小さな芽を探します。 2.芽のついた部分を、2cm~2.5cmほど、土のなかへ埋めて完了です。

植え替え(鉢植え)


植え替えは、植えつけと同じ時期に行います。 植え替える目安は、2年に1度です。植え替える鉢の大きさは、ひと回り大きなサイズに変えましょう。 同じサイズの鉢では、「根詰まり(根が伸びて、鉢のなかに根が伸びるスペースがない状態)」、「根腐れ」を起こします。 これではせっかく植えた苗が花をつける前に枯れてしまいます。 鉢はひと回り大きなサイズ、4号~6号(直径12cm~18cm)を選んでください。 また、植え替える前には、根の状態を見て、茶色や黒に変色していたり、長かったりする場合は、短く切っておきましょう。

植え替える場所

芽を出して、花が咲くまでは、日あたりのよい場所に置きましょう。 日射しの強い真夏は、午前中だけに日をあてて、午後は明るい日陰に移してください。 棚の下などに移すと風がよく入り、涼しい環境が作れます。 地植えの場合は、よしずや遮光ネットをかけて、日光の量を調整しましょう。 冬は冷たい雨と雪があたらないように、棚の下へ移すと、寒さによる凍結を防げますよ。

用土は水はけがよいものを選びましょう

庭に植えつける場合は、水はけをよくするために、庭の土に腐葉土などを混ぜます。 鹿沼土:赤玉土(小粒):腐葉土:軽石=4:2:2:2 鉢植えの場合は、鉢の底に3分の1ほど、軽石を敷きます。 そのうえから、地植え用の土を入れてください。 これで排水性のよい土ができあがります。

肥料

肥料は2つの種類を使います。 株のまわりに肥料を撒く「置き肥(おきひ)」と「液体肥料」で、エンレイソウに栄養を与えてください。

置き肥

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出典:Amazon

肥料は、窒素・リン酸・カリが同じ割合で配合された緩効性(ゆっくり長い時間をかけて養分を与える)の肥料を使います。 与える期間:休眠期に入る9月の終わり~翌年の5月まで 与える間隔:2カ月に1度

液体肥料

【与える期間】 9月の終わり~翌年の7月まで 【肥料の種類】 ・9月の終わり~翌年の3月までは、根を生長させるためにカリを多く含む肥料を選びます。 ・3月~4月には、葉と茎を大きくさせるために、窒素の割合が多い肥料を使いましょう。 ・4月~5月は、花を咲かせるために、リン酸を多く含んだ肥料が適しています。 与える間隔:10日に1度、2000倍に薄めた肥料を与えてください。 その時々でエンレイソウに必要な養分は、違っています。肥料は、与える種類と時期を守りましょう。

水やり(鉢植え)

花が咲くまでは、水をたっぷり与えます(1日1回)。 花が咲いた後は、土の表面が乾いたときに、水を撒いてください。 休眠期には、ほとんど水を必要としないため、水やりは10日に1度のペースで行いましょう。

水やり(庭植え)

水やりは雨水だけで十分です。ただし、晴れの日が続いて、土の表面が乾いているときは、 水を与えてくださいね。 また、休眠している秋から翌年の春にかけても、水を与える必要はありませんよ。

増やし方

増やす方法は、種から育てる「実生(みしょう)」と「株分け」の2つがあります。 種を取って育てることもできますが、株が大きくなるまでは7年~10年もかかります。 そのため、増やす場合は株分けを選びましょう。 しかし、株分けにも問題があります。 エンレイソウの株はあまり大きく育ちません。 ただし、外国産の品種を選ぶと、株が大きく育ち、エンレイソウを増やすことができます。

株分けは分けられるときだけ


注意して欲しい点がひとつあります。 株分けは、分けられる状態のときにだけ行ってください。 「株がすでに分かれている」「少しの力で分かれる」状態のときだけにしてください。 無理に分けてしまうと、小さい株では育つ力が弱いため、大きくなりません。 また、割いたところから腐ってしまうことがあります。

病害虫に注意をしましょう

根を腐らせる「軟腐病」と「アブラムシ」が発生します。 「軟腐病」は、土のなかの湿度が高いときに起こります。病気を避けるには、水はけのよい土壌を作ること、夏の水やりは朝と夕方に行うことを守りましょう。 アブラムシへの対応は、数が少ない場合はセロハンテープを使い、数が多い場合は殺虫剤で撒いてください。

エンレイソウ/育てやすい品種のおすすめ情報 

エンレイソウは栽培するのが難しい植物です。 とはいえ、そのなかにも育てやすい品種がありますよ。 おすすめの品種を3つ、紹介します。

育てやすいエンレイソウ・1 トリリウム・グランディフローラム

アメリカの北東部から五大湖にかけての地域に自生する種類です。 高さは15cm~60cmほどで、花の直径は5、6cmと大きく、見ごたえのある花です。 花びらにはフリルがついています。また、白からピンクへと、時間とともに色を変えます。 一度の開花で二度も楽しみたい方は、この花がおすすめです。

育てやすいエンレイソウ・2 トリリウム・エレクタム(エレクツム)

北アメリカの東部に自生する品種です。 アカバナエンレイソウとも呼ばれ、濃く赤い花を咲かせます。生長しても30cmほどの高さのため、庭で育てても邪魔になりませんよ。

育てやすいエンレイソウ・3 トリリウム・グランディフローラム'フローレ・プレノ'

名前を訳すと、「八重咲きのオオバナノエンレイソウ」。 「オオバナノエンレイソウ」は、北海道でよく見られる種類で、「八重咲き」は花びらが重なる咲き方のことを指しています。 この花はトリリウム・グランディフローラムと同じく、花びらにフリルがついています。 生命力が強く、育てやすい品種でもあります。 豪華で美しいエンレイソウが観たい方は、この花を選びましょう。

まとめ

エンレイソウの特徴と育て方を紹介しました。 美しい花を咲かせるには、1年を通した管理が必要です。 肥料や水やり、日あたりに気をつけて、葉の間から咲くエンレイソウの花を、春に観賞してみましょう。