オジギソウとは
オジギソウは触るとその葉っぱが急激に閉じて垂れ下がるため、この姿がお辞儀しているようにみえることから、「オジギソウ」と言われるようになりました。なぜこのような動作をするようになったのかは実はまだまだ謎に包まれています。そんな不思議な生態を持つオジギソウを紹介します。
オジギソウ/科名
マメ科ネムノキ亜科の一種。オジギソウ属に属す。別名をねむり草やミモザという。
オジギソウ/学名
オジギソウの学名は、Mimosa pudica(ミモザ・プディカ)。和名ではお辞儀草・含羞草、羞恥草とも書く。英語名をSensitive plant(センシティブ・プラント) Sleeping grass(スリーピング・グラス)と言う。
オジギソウ/花名由来
オジギソウの名前はその葉っぱの動作から由来しています。オジギソウの葉っぱが接触や振動などによる刺激を受けると、葉っぱが閉じて垂れ下がります。この動作を見て、学名にもなっているギリシャ語の「Mimos(身振り)」がついています。 英語名和名共に、この動作は名前に反映されていて、和名の羞恥草は葉っぱが恥ずかしがって隠れるようなそぶりに見えるため、この漢字があてられています。また夜は葉を閉じるため、Sleeping Grass(ねむる草)や眠り草という別名にもなっています。
オジギソウ/品種・原種
オジギソウは品種の確認がありません。マメ科の属違いに、ミズオジギソウやオカミズオジギソウという黄色い花を咲かせる種類がありますが、これらは水生植物にあたります。
オジギソウ/原産地
原産は南アメリカのブラジル。日本にも江戸時代にオランダから船によって帰化したとみられていて、沖縄では野外で繁殖。世界中にこうした帰化植物としてもたらされたオジギソウが、各地に分布しているのが確認されています。 ※帰化植物=外来植物が人の手によって持ち込まれ、野外で野生種のように繁殖すること。意図的でも非意図的に入ってきてもこう呼ばれる。
オジギソウ/分布域
現在世界各国に分布するオジギソウは原産国のブラジルから、帰化植物として広まりました。北アメリカのほとんどの地域から、アフリカの沿岸部、オーストラリアの西海岸沿岸、東南アジア・インドネシア諸島・インドの一部・日本の沖縄に帰化したものが自生しています。基本的には亜熱帯の植物なので、耐寒性に欠けるため、暖かい地域でしか育成ができません。
オジギソウ/花言葉・開花時期
オジギソウの花言葉
オジギソウの花言葉は「繊細な感情」「感受性」「敏感」
花言葉の由来
<オジギソウの伝説> オジギソウには名前の由来とされる伝説が残されています。あるお金持ちの夫婦にマリアという娘がいました。マリアは聡明で、美しく、とても恥ずかしがり屋な娘でした。普段は誰とも話すこともなく、大好きな庭の花に囲まれて過ごしていました。ある日マリアの家に強盗が押し入り、マリアの両親はあわててマリアを庭に隠します。 そのあと強盗は金銭を盗み取り家を後にしますが、両親は恐怖のあまり気絶してしまいます。しばらくして気が付いた両親はマリアを探しに庭に出ますが、マリアは見当たりません。 探し続けているうちに足元で葉っぱを閉じ隠れるようにする小さな美しい花を見つけます。両親はあまりの恐怖に耐えかねたマリアがその姿をオジギソウに変えて隠れたのだと察しました。
オジギソウのすべての花言葉はセンシティブな葉っぱの動作を意味しています。この伝説でもはっきりと、マリアが感受性が強く、消極的で繊細なことから、社会的な接触を断って生活をし、オジギソウが刺激に非常に敏感であるということを現わしています。
オジギソウ開花時期
開花は7月~9月もしくは10月まで。耐寒性が無い花なので、多年草ですが、冬に枯れずに育てるのに苦労します。茎は木質化といって、木の枝のように固くなります。茎にはびっしりとカエリ(逆刺)と呼ばれる小さいとげのようなものがはびこっているので、触るときは要注意。 節ごとに葉っぱが出て、複数の偶数葉がついています。マメ科のネムノキ属であるオジギソウが、葉を収縮させて、閉じてしまう動作は、基本的に植物全体の大きさを小さくみせて、敵からの攻撃を防ぐために行う動作であると考えられています。
オジギソウ/特徴
オジギソウの特徴はこの閉葉動作です。これは実は1880年にダーウインも「植物の運動能力」とした研究を発表しているほど、画期的なことなのです。オジギソウの葉に刺激があるとなぜ葉が一瞬にして閉じ、垂れ下がってお辞儀をしたようになるのでしょうか?
オジギソウの電気信号
これにはオジギソウには動物がもつ一種の電気伝達信号のような仕組みがあるからです。何らかの刺激によって、主葉枕と呼ばれる部分の水分が一気に移動を始めます。
オジギソウのたんぱく質
水分が移動するのは実はたんぱく質に原因があります。オジギソウの主葉枕を形成するのは「アクチン」と呼ばれるたんぱく質。 葉が開いた状態ではこのアクチンは網目状の組織を形成し、丸い束となって形状を保っています。ところが一度触れると、そのアクチンの束が形状を変えて、バラバラにほぐれてしまいますこれは電気伝達によってアクチンを構成していたアミノ酸の構造が崩れるために起こります。この動作によって、主葉枕内の水分が流れ出ると考えられています。 この研究は生物科学者によって立証されていますが、まだまだオジギソウの不可解なメカニズムに研究課題は山積みですが、オジギソウの運動のメカニズムが解明されば、砂漠で育つ植物の開発や、たんぱく質「アクチン」の可能性をヒトゲノムに活用し、更なる人類の進化への近道となるわけです。
オジギソウ/育て方・栽培
オジギソウ栽培の難易度
オジギソウは耐寒性が弱いため、冬を越すのが難しい植物。栽培は中級の方に適しています。オジギソウは多年草ですが、日本でも本土では自生し続けているものは珍しいでしょう。沖縄のみに野生で生育を続けるオジギソウが確認されています。
オジギソウ植え付け時期
オジギソウの植え付けは、6月の気候の良い時期に行います。用土は赤玉土、腐葉土の混合で、7対3くらいの混合土を用意すると良いでしょう。基本的に水はけのよい土であれば、問題ありません。植え付けの株は複数ある場合は、最低25㎝くらいの間隔をあけて植えます。鉢植えの場合5号(15㎝ポット)で始めるのが適当でしょう。
オジギソウの種まき
オジギソウの種まきは、5月~6月。種まきをする前に、30分~1時間、ぬるま湯か水につけて水分を吸収させます。これは種の皮が非常に分厚く固いため、発芽しやすいようにするためです。種に少し傷をつけても同じ効果を得ることができます。ポットに3,4つ種を植えて、日陰に置きます。気温が20度くらいになると発芽。
オジギソウの水やりと注意点
土が乾いてきたら、水をたっぷり与えます。水のやりすぎは根腐りを引き起こしますので、要注意。逆に乾燥しすぎると、ハダニがわきますので、こまめにチェックをしましょう。
オジギソウの肥料のやり方
肥料は、たくさん与えすぎると葉っぱの方にばかり栄養が行き、花が咲かなくなりますので、植え付けの苗の段階で、液体の肥料を1、2回与える程度で十分です。それ以降は肥料を施す必要はありません。
オジギソウの増やし方
オジギソウの増やし方は種がお勧めです。5月の中旬ごろの気候の良い日に、種まきをします。発芽温度が20度以上なので、6月後半まで種まき可能。ビニールのポットに3,4つ種を植え付けますが、発芽したら、間引きをして、1ポットに1苗が植わるように調整します。 プランターなどに、適当に種をまいて、葉が2、3枚の状態に成長するまで育てます。根っこを痛めないようにすくいあげて、鉢や地植えをしても良いでしょう。
オジギソウの剪定
オジギソウは日本ではごくわずかの地域か環境でしか、冬を越すことができません。ただ枯れた葉っぱや枝を剪定して、栄養分を根に立食わせることで、次の年に花が咲くことがありますので、剪定をして、部屋の当た帯所に管理しておきます。
オジギソウの寄せ植え
オジギソウは基本的に移植を好まない植物です。寄せ植えも出来ますが、ほんの短い期間で毎年花を咲かせることが難しいと言えます。
オジギソウの植え替え
オジギソウは移植すると根がつきにくくなります。基本的に植え替えは必要ありませんが、移植の必要がある場合のみ、根を傷つけないように注意をして、土を払わずに植え替えをします。用土は植え付けと同じく赤玉土と腐葉土を混ぜた水はけの良いものを用意。
オジギソウ/水性栽培が出来るミズオジギソウ
オジギソウに品種は特にないのですが、オジギソウと同じマメ科で、黄色い花を咲かせる水生植物です。葉っぱを触ると、オジギソウ同様閉じますが、オジギソウほど早さはありません。 茎にとげがあり、特徴はオジギソウと酷似しています。7月~8月にかけて開花し、耐寒性は弱い植物。
水生植物なので、植え付けをしなくても茎事水や水槽に浮かべて楽しむことができます。 鉢植えの場合は鉢事水槽や池などにも沈めて、メダカなどの小さい魚の寝床としても好まれます。オジギソウは毒性のアルカロイドを含むので、食用としては危険ですが、この親戚にあたるミズオジギソウは葉っぱと茎を食べることができます。葉っぱに大量のビタミンAが含まれていて、タイではおなじみの緑黄野菜です。
まとめ
小学校の頃、学校の教材として良く使われていたオジギソウ。あの学研からも科学の学習材料として教材を販売していたようです。その教材で学習したオジギソウを近所の空き地に植えたり、家庭の庭に植えたりして、身近に目にすることが多かったように思います。 自然環境では冬を越せないオジギソウが年月と共に自然淘汰されていったのでしょう。日本では唯一自生している地域があります。それは「沖縄」。那覇市天久の新都心地区では空き地にひっそりと、オジギソウが自生し、毎年その花を咲かせています。 この土地は特に米軍が占拠していた地域で、40年ほど前までは野原一面がオジギソウで埋め尽くされていたそうです。 ダーウインまでが注目をしたという不思議な植物オジギソウが、科学の力で品種改良されたり、クローンとして培養されたりと、更に進化を遂げることができたら、人類だけでなく、地球上の多くの植物や動物にも良い影響をもたらしてくれそうですね。 まだまだ未知の世界を残したこのオジギソウが将来人類の食物連鎖や人類そのものを救う日が来るかもしれませんね。