1.ガーデンシクラメンはいつごろ生まれたの?
園芸用として日本の農家が開発
ガーデンシクラメンは、サクラソウ科シクラメン属の球根性の多年草です。 草丈は10~20㎝ほどとコンパクトで、鉢植えにしても地植えにしても楽しむことができます。 ガーデンシクラメンの誕生は意外に新しく、1996年に埼玉県の田島嶽氏が、耐寒性の強い小型シクラメンの系統から選び抜いた品種を屋外での栽培が可能な「ガーデンシクラメン」として売り出したのが始まりです。 普通のシクラメンは霜にあたると枯れてしまいますが、ガーデンシクラメンは耐寒性が強いので、一時的に弱ることはあっても枯れることはほとんありません。
2.シクラメンとガーデンシクラメンの違いは?
苗の大きさと価格で区別できる
一般的なシクラメンは株が大きく、鉢植えを買うと1鉢1000円~3000円ほどします。 寒さにも弱いので、冬場は室内に入れるなどの管理をしなければなりません。 ガーデンシクラメンは、原種のシクラメンの中でも耐寒性のある個体の交配を重ねて、冬の屋外で栽培可能な品種にしたものです。 鉢植えでも売られていますが、花壇などに植え替えることを想定してポット苗で売られていることも多いです。 価格は、安いものだと1鉢300円程度で購入することができます。 霜にも強いですが、気温が-5℃以下になると枯れてしまいます。
3.ガーデンシクラメンとミニシクラメンの違いは?
ガーデンシクラメンとミニシクラメンは混同されていることがある
花が4㎝以下の小さなシクラメンをミニシクラメンといいますが、その中で耐寒性が強く、屋外での栽培に適した品種がガーデンシクラメンです。 つまり、単に「ミニシクラメン」という場合は、育て方や耐寒性は関係なく、花のサイズでそう呼ばれているのです。 大きさが似ているため、ミニシクラメンとガーデンシクラメンは同じ売り場に置かれていることも多くなっています。 ガーデンシクラメンをミニシクラメン、ミニシクラメンをガーデンシクラメンという名前で販売していることもあります。
ガーデンシクラメンを購入する時に気をつけたいポイントは?
・屋外で育てたいなら、ガーデンシクラメン ・室内や軒下など温度管理ができる場所で育てたいなら、シクラメンかミニシクラメン というのがベストな選択なのですが、必ずしも正しい名称で表記されているとは限りません。 屋外で育てたくてガーデンシクラメンを購入したのに枯れてしまった…では残念なので、鉢植えのタグに記載されている栽培方法をよく見てから購入するようにして下さいね。
4.ガーデンシクラメンの花の形は?
花びらが反り返ったような形で咲く
ガーデンシクラメンの花は、よく見るととても変わった形をしています。 つぼみの時や花の咲き始めは下を向いていますが、花びらが開くにつれて徐々に上向きになっていきます。 花の中心部は下を向いたまま、花びらだけが反り返るように上向きになるのです。 シクラメンの原産地である地中海沿岸では開花時期に雨が多いことから、花粉を雨に濡らさないようにするために現在のような形になったといわれています。 ガーデンシクラメンの鉢植えを見る機会があったら、ぜひじっくりと花を観察してみて下さい。
5.ガーデンシクラメンの花言葉は?
花の形に由来する花言葉が多い
ガーデンシクラメンの花言葉は、シクラメンの花言葉と同じと考えてよいでしょう。 下を向いて開花することから、「内気」「はにかみ」「恥じらい」などが花全般の花言葉になっています。 家族が集まる真冬のリビングなどで栽培されることが多かったり、次々に葉やつぼみが出てくることから「絆」という花言葉もあります。 花の色によっても花言葉が異なり、以下のようになっています。 赤:「嫉妬」 ピンク:「憧れ」「内気」「はにかみ」 白:「清純」 紫や青は品種改良で生まれた色なので、特に決まった花言葉はないようですが、「想いが通じ合う」としているサイトもあります。
6.ガーデンシクラメンを人に贈ってはいけないの?
お見舞い、新築祝いには絶対にダメ!
シクラメンは、ヨーロッパでは「別れ」や「解散」の象徴とされているので、送別会などで用いられることはあっても、結婚式や祝賀会に贈られることはないそうです。 日本語ではシクラメンの「シ」が「死」に、「ク」が「苦」につながることや、赤色のシクラメンが血の色を連想させることもあって、病人に贈ることはタブーとされています。 また、シクラメンの花びらが炎のように見えることから火事を連想させるので、新築祝いにもふさわしくありません。 シクラメンに限らず、鉢植えは植物の根が根付く=寝つくという連想があり、水やりなどの手間もかかることから、病人には贈らない方がよいでしょう。
7.ガーデンシクラメンの主な栽培品種は?
初めてガーデンシクラメンが登場してからまだ20年ほどですが、現在は日本のみならず、世界中のメーカーがガーデンシクラメンの育成に力を入れています。 その中の幾つかの品種をご紹介します。
スーパーベラノ
オランダで育成された品種で、シクラメンがかかりやすいボトリチスという病気に耐性があるため、育てやすいです。 寒さに比較的強く、強風や霜が当たらない軒下で管理すると、次々と花を咲かせてくれます。
メティス
フランスで育成された品種。 サーモンピンクやライトパープル、バイカラーなど花色が多く、発色のよい花を咲かせるのが特徴です。 室内でも屋外でも栽培することができ、ボトリチスにも耐性があります。
ゴブレット
丸みを帯びた花の形が美しいガーデンシクラメン。 寒さや病害虫に強く、育て方が簡単なので、花壇やベランダでの栽培に向いています。
ヴァンパイア
濃い紫色がネーミングにぴったりのヴァンパイア。 気温が低いと色が濃くなり、春が近づくとだんだん青みががってくるので、花色の変化も楽しめます。
ピカソ
葉の色が少し白っぽく、シルバーがかった色をした品種です。 葉の形は、くっきりとしたハート型をしています。 花が少なくなったら、カラーリーフとして観賞するのもおすすめ。
ピポカ
フランスで開発されたフリル咲きのガーデンシクラメン。 「ピポカ」とは、ポップコーンの意味で、ポップコーンがはじけたような形の花が特徴です。
森の妖精
長野県の育種家が作ったオリジナル品種。 ガーデンシクラメンには珍しいクリーム色でフリンジ咲きの花が特徴で、耐寒性も強いです。
8.香りのあるガーデンシクラメンはあるの?
「芳香性シクラメン」が次々と開発されている
「シクラメンのかほり」という歌があることからも分かるように、原種のシクラメンはよい香りのする花でした。 しかし、より大きく、美しい花を作るための品種改良を重ねた結果、香りは次第に失われていったそうです。 最近は、原種に近いシクラメンにも注目が集まり、原種の「香り」の復活を求める消費者も増えてきました。 そこで、シクラメンの中でも香りの強い品種が「芳香性シクラメン」として開発されています。 これらの中には、耐寒性があり、ガーデンシクラメンと同じような育て方ができる品種もあります。 また、普通のガーデンシクラメンとして売られていても、ごくたまに香りのある株にめぐり会えることもあるそう。出会えた方はラッキー!です。 上手く育てて増やすことができれば、香りのあるシクラメンの花壇が作れるかもしれませんよ。
「芳香性シクラメン」の主な品種は?
芳香性シクラメンの種類としては、サントリーフラワーの青いシクラメンシリーズ・セレナーディアの「アロマブルー」や、雪印種苗の「孤高の香り」や「天女の舞」などがあります。 埼玉県農業技術研究センターでは、世界で初めて園芸種に野生種の芳香を取り入れたシクラメンの育成に成功しており、優良品種を次々と品種登録に出願しています。
9.ガーデンシクラメンの育て方で注意するポイントは?
ガーデンシクラメンは、秋から春の長い期間にわたって花を咲かせ続けるので、地植えであってもこまめな目配りが必要になります。 以下に、育て方のポイントを簡単にまとめました。 栽培する前に、概要をつかんでおくとスムーズです。
土と肥料について
ガーデンシクラメンは、水はけがよく、弱酸性の肥沃な土壌を好みます。 水もちが良すぎる土だと、根腐れして枯れてしまうことも。 植え付けの際に市販されている「シクラメンの土」などの培養土を使えば、シクラメンが好む栄養分や肥料があらかじめ調合されているので、失敗が少なくなります。 自分で調合する場合は、腐葉土4:赤玉土6くらいの割合の土に緩効性肥料を入れた用土を作ります。 開花期間中は、10~20日に1回ぐらいの頻度で、液体肥料などの追肥を。 つぼみや花の数が少ないようだったら、ややリン酸分が多めの肥料を与えて下さい。
水やりについて
鉢植えや花壇に植え替えたばかりの時期は、根を張らせるために水をやや多めに与えますが、十分に根付いたら水のやり過ぎに注意して育てます。 地植えの場合は、土の表面が乾くまでは水やりはしないでもOKです。 冬場に水をあげる場合は、朝のうちに与えましょう。 夕方になり、気温が下がってくると水分が凍って球根を傷めることがあります。 春になり、旺盛に花が咲き始めたら、水切れに注意して育てて下さい。
10.ガーデンシクラメンの夏越しのコツは?
ガーデンシクラメンは、大型のシクラメンに比べると、寒さだけでなく暑さにも比較的強い品種です。 そのため、栽培環境に注意すれば夏越しをすることが可能です。 花は枯れてしまっても、葉が残っていれば夏越しできます。 夏越しの方法としては、休眠させる方法と休眠させない方法があります。 次の項から、それぞれの夏越しの仕方について解説します。 自分に合ったやり方を選んでみて下さい。
休眠させて夏越しさせる方法
ガーデンシクラメンは多年性の球根植物なので、通常夏の間は休眠しています。 この植物のサイクルをうまく利用して、休眠させながら秋口まで管理していく方法です。 花が咲き終わって、葉がほとんど枯れてなくなってしまった株に向いています。 地植えの場合は掘り上げ、鉢植えの場合は移動させて、風通しのよい半日陰に置きます。 水やりはせず、雨にも当てないようにします。 新しい芽が出てくるまでは、肥料もあげません。 芽が出たら少し大きめの鉢などに植え替えをして、そこで初めて水を与えます。 休眠させると、花が咲くまでにはやや時間がかかります。
休眠させないで夏越しさせる方法
休眠させない場合は、梅雨時の高温多湿や夏の暑さをいかに乗り越えるかがポイント。 軒下や明るい北側など、風通しがよい半日陰で管理する点は休眠させる場合と同じです。 真夏は、強い日差しを避けられるように、よしずなどで遮光するのもよいでしょう。 水やりは、葉に水を掛けないように注意して、ひかえめにします。 コンクリートや地面の上に直に鉢を置くと、地熱で蒸れてしまい、風通しも悪くなるので、必ずスタンドや台の上に置くようにしましょう。 あまりにも暑さが厳しいと枯れてしまいます。 また、生育の鈍っている夏に肥料を与えると、軟弱で病気に弱くなるので、最低限の肥料で育てます。 9月頃まではまったく肥料を与えなくても構いません。 休眠させないで夏越ししたシクラメンは、花が早めに咲き始める傾向があります。
ガーデンシクラメンを寄せ植えにしてみよう!
ガーデンシクラメンは、様々な花色があるので、冬から春にかけての寄せ植えによく用いられます。 画像を参考に、あなたもガーデンシクラメンの寄せ植えに挑戦してみませんか?
初心者向け
赤と白のガーデンシクラメンにアリッサムを加えて、二色でまとめたシンプルな寄せ植えです。 ピックなどを挿し換えれば、クリスマスにもお正月にもよさそう!
フリル咲きのガーデンシクラメンの濃い葉の色と背面のエリカの黄色い葉が対照的です。
花色や咲き方の異なるガーデンシクラメンを使った、シクラメンオンリーの寄せ植え。 性質や育て方が共通なので、管理も楽です。
中・上級者向け
ストックやキンギョソウなど白、黄、ピンクの淡い色でまとめた寄せ植えです。 コンテナもヨーロッパのような雰囲気で素敵!
やや上級者向きの寄せ植え。 外側を小さな花で囲って、中心に背の高い草花を持ってきています。
色鮮やかな秋の寄せ植え。 沢山色を使っているように見えますが、すっきりまとまっています。 モミジ葉ゼラニウムの紅葉が目を引きますね。
ちょっと変わったところでは苔玉も
最近静かなブームになっているのが、「苔玉シクラメン」。 ガーデンシクラメンは寒いに強いとはいっても、もちろん室内で栽培することもできます。 和室にも似合いそうですね。
【ガーデンシクラメン】10の基本情報をご紹介! まとめ
ガーデンシクラメンと他のシクラメンの違いや、花言葉、品種、育て方などについてまとめました。 室内で育てる大型のシクラメンを見慣れてきた人にとっては、初めはとっつきにくいかもしれませんが、ガーデンシクラメンの育て方はそれほど難しくありません。 他の球根植物にプラスアルファするぐらいの手間がかけられれば大丈夫です。 最近は、店頭に並ぶガーデンシクラメンの種類も豊富になってきました。 初めての方は、失敗しにくい鉢植えから栽培をスタートしてみて下さい。