アストランティアとは
アストランティアとは、ヨーロッパから西アジアに分布するセリ科アストランティア属の多年草です。 長い花茎は成長すると30cm~60cmに達し、先端に数個の小花を咲かせます。 花はガク部分が星のような形状をしており、落ち着いたふんわりとした美しさから多くのガーデナーから愛され、フラワーアレンジメントやドライフラワー、プリザーブドフラワーなどに利用されています。
アストランティアの科名
アストランティアは被子植物の一種であるセリ科に分類されています。 セリ科植物は世界全域に約250属3000種類が確認されており、その多くが薬用や香料、食料として活用されることが多く、人参やハーブなどもセリ科に含まれています。
アストランティアの学名
アストランティアの学名は『Aster(アストラ)』というギリシャ語が語源となっており、『星』を意味します。
アストランティアの花名由来
語源の由来であるAster(アストラ)、『星』がアストランティアの花名の由来となっていますが、これはアストランティアの花のガクの形状が星に似ていることから名づけられました。
アストランティア/品種・原種
アストランティアには約10種類ほどの原種があります。 園芸種として市場に出回っているのはアストランティア・マヨールがほとんどで、マヨールにも以下のような品種があります。
アストランティア・マヨール
最もポピュラーなタイプのマヨール。 薄ピンクの小さな花に、白いガクが清楚で美しい品種です。
アストランティア・マヨール・フローレンス
ラベンダーがかった花が可憐な品種で、アストランティアの中でも丈夫で比較的生育しやすいのが特徴です。 アストランティア園芸種初心者の方にオススメですよ!
アストランティア・マヨール・ムーランルージュ
改良品種のため花持ちが良く、長く楽しみたい方にオススメです。 花色は強いワインレッドと薄いラベンダー色の混合色で、開花時期に気温が低下すると一層深い色味を帯びます。
アストランティア・マヨール・スノースター
赤みを帯びないピュアホワイトの花で人気の品種です。 フラワーアレンジメントとして他のお花と合わせやすく、他のマヨールと比較すると花が大きく1種類で花束にしても見ごたえがあります。
アストランティア原産地
海外での産地は主にオランダ、国内では長野県や北海道などの涼しい地域で生産されています。 原産地は広くヨーロッパから西アジアとなっています。
アストランティア分布域
暑さに弱く、湿地帯を好むため涼しく湿度の高いヨーロッパから西アジアの冷涼な地域に分布しています。
アストランティア/花言葉・開花時期
小さく可憐なアストランティアですが、ここでは開花時期や花言葉を紹介し、アストランティアの魅力を一層深めていきましょう!
アストランティアの花言葉
アストランティアには ・知性 ・愛の渇き ・星に願いを という3つの花言葉があります。 とてもロマンチックな花言葉で、プレゼントには最適ですね。
アストランティアの花言葉の由来
『星に願いを』という花言葉には、アストランティアの花名の由来であるギリシャ語『Aster(アストラ)』が深く関係しており、アストランティアの花のガクが星の形状に似ていたことから『星に願いを』という言葉を連想したとされています。
アストランティアの開花時期
品種により異なりますが、アストランティアの主な開花時期は5月~7月とされています。
アストランティア/特徴
多年草に分類されるため、毎年花をつけてくれますが高温の環境に非常に弱く、また湿地を好むことから生育環境によってはその年の内に花が絶えてしまうこともあります。 花の形状は、花びらに見える部分が実はガクであり、実際の花びらはガクの中心部分にある小さな花の集まりです。 花色はピュアホワイトのスノースター、淡いラベンダー色のフローレンスなどがあり小さな花姿が可愛らしく、イングリッシュガーデンでは好んで植栽されています。
アストランティア/育て方・栽培方法
難易度
生育環境を選び、種から発芽させるまでに厳しい冬を越させる必要があることから、温暖な地域での種からの栽培は難易度が高いといえます。
時期
栽培方法別の最適な時期は次の通りです。 ・種まき 10月~1月 ・苗の植え付け時期 3月~5月 ・開花時期 5月~7月
植え付け
■植え付け時期■ 苗の状態で3月~5月が適期とされています。
花壇に直接植え付ける場合
高温と乾燥を特に嫌うので、植え付ける場所は日陰の涼しい場所にします。 直接花壇に植え付ける場合には、用土に腐葉土を混ぜ合わせて植え付けます。 用土の乾燥が気になる時は、用土の表面にバーク材・ウッドチップといわれる樹皮や木材を細かく砕いたチップを使った素材で(※1)マルチングします。 ビニールなどと違い、花壇の見た目を損なうこともないことからガーデナーに愛用されています。
(※1)マルチング
マルチングとは、用土の急激な乾燥や温度変化から植物を守る他、雑草の生育を防ぎ水やりの際の水の跳ね返りによる病気を予防することにも役立てられます。
鉢植えに植え付ける場合
乾燥に弱いアストランティアですが、過湿にも弱く水やり加減の非常に難しい植物のため、根腐れを防ぐために用土には市販の山野草の培養土を使うと良いでしょう。
種まき
種まきの適期は10月~1月。 アストランティアは厳しい冬を経験させることで発芽を促すため、もともと発芽率の悪い寒冷地以外での発芽率は一層悪くなります。 対策として、寒冷地以外の地域では霧吹きで湿らせた新聞紙やキッチンペーパーで種を包み、乾燥を防ぐためジップロックに入れ冷蔵庫のチルド室で2カ月程度保管するという低温処理をする必要があります。 その後上手くいけば種まきから約1~3カ月で発芽します。
水やり
水やりは朝夕の1日2回を基本とします。 日中の気温の高い時間帯に水やりをすると、土の温度が高温となり成長が止まる可能性がありますので注意しましょう。 土が乾燥しないよう、たっぷりと水やりします。
肥料
花壇の場合は春と秋にそれぞれ1回ずつ緩効性化成肥料を根元に置き肥し、鉢植えの場合、同じく春と秋の1回ずつ液肥をさします。
剪定
基本的に剪定は必要としておらず、花が落ちたり葉の枯れた部分を切り落とす程度です。
場所
庭にアストランティアを植える場合は、裏庭などの涼し日陰で乾燥しにくい場所を選びます。 時間帯によって強い西日が当たるなど、植え付けをする前に日当たりをしっかり確認しておきましょう。 またバルコニーで鉢植えで育てる場合には、サンシェードで日陰をつくり気温の高くなる日中は室内に入れるなどの工夫をしましょう。
寄せ植え
花壇で寄せ植えする場合も、鉢植えで寄せ植えする場合も日陰で生育させる必要があるため、一緒に植える植物も日陰で生育しやすいものを選びます。
植え替え(株分け)
古株になると花付きが悪くなるため、花壇で育てている場合には3年を目途に(※2)株分けをします。 また鉢植えの場合、今植えている鉢よりも一回り大きい鉢に植え替えるか、花壇と同様に株分けをします。 (※2)株分け 株分けとは、今ある親株から根や茎を分けて新しく株を増やす方法を言います。
アストランティア/ハーバリウムの作り方
最近、プリザーブドフラワーやドライフラワーにした植物を好みのデザイン性の高い空き瓶などにベビーオイルやハーバリウム専用オイルを入れて植液標本化することで、お手入れ不要で手軽に楽しめることでハーバリウムが人気を集めています。 ここでは、アストランティアを使ったハーバリウムの作り方と材料を紹介します。
ハーバリウムの作り方/材料
【材料①】好みの蓋つきの空き瓶
密封性の高い蓋つきの空き瓶を用意します。 瓶は100均などでも手に入れることができますが、ジャムの空き瓶などを再利用してみても良いかと思います。
こちらはセリアの瓶。 100円でもこのクオリティなら嬉しいですよね!
【材料②】ベビーオイルまたはハーバリウム専用オイル
ネット通販などでハーバリウム専用オイルを購入するか、ベビーオイルで代用します。 ベビーオイルは価格的に専用オイルよりも安価に購入できますが、植物の色素を落としてしまうことがあるため、長く楽しみたい方は専用オイルをオススメします。
【材料③】アストランティアのドライフラワーまたはプリザーブドフラワー
生花を使用するとカビや藻が発生し中の植物が傷む可能性があるため、乾燥したドライフラワーやプリザーブドフラワーを使用します。
【材料④】長いピンセット、または長い竹串や菜箸
【材料⑤】ハーバリウム スターターキット
初心者で自信がないという方にオススメのスターターキットです。 キット内容には、ハーバリウム専用オイル、空き瓶、花材がセットになっています。
ハーバリウムの作り方/手順
【手順①】空き瓶を煮沸消毒し、しっかりと乾燥させる。
雑菌や水滴の残ったままの空き瓶を使用すると、カビや藻が発生しオイルの中の植物が傷みやすくなってしまいます。
【手順②】ドライフラワーまたはプリザーブドフラワーの汚れを落とし、好きな長さにカットする。
汚れを落とす理由は、オイル内に不純物が浮いて美観を損ねる可能性があるためです。
【手順③】ピンセットを使ってドライフラワーまたはプリザーブドフラワーを空き瓶の中に入れる。
先にオイルを注入するとドライフラワーやプリザーブドフラワーがオイルに馴染みにくくなり、位置が固定しにくくなります。
【手順④】オイルを空き瓶に注入し、気泡がなくなるまで待ってから蓋を締めて密封する。
オイルは完全にドライフラワーまたはプリザーブドフラワーが被るまで注ぎます。オイルを注いだ後は、ピンセットで好きな位置に固定させます。
アストランティア/ドライフラワーの作り方
ここではギフトやインテリア、ハーバリウムにも使えるアストランティアのドライフラワーの作り方を紹介します。
作り方/材料
【材料】好みの花 簡単ですが材料は好きなお花のみです。
作り方/手順
【手順①】
なるべく茎から葉を落とし、花に重みがかからないようにします。
【手順②】
ブーケになっているお花は1本ずつに分けて、室内の日が当たらない風通しの良い場所に吊るします。
【手順③】
約10日~14日程度、完全に乾燥するまで待ちます。 非常に手軽な方法で時間もかかりますが、長くお花を楽しめる点でオススメの方法です。
アストランティア/ブーケ
他の花との色味を調整しやい淡い色合いで、お花も小さく主張が激しくないためブーケとして多用される明日とアストランティアのカラーモチーフのオススメを紹介します。 2人の幸福を『星に願う』という意味合いで、ブライダル用として合わせてみるのも良いですね!
ブーケ/ホワイトモチーフ
白いバラの花言葉は『深い尊敬』『私はあなたにふさわしい』『純潔』『約束を守る』であり、アストランティアと組み合わせることでプレゼント相手への深い敬意を表せそうです。
ブーケ/ピンクモチーフ
ピンクのバラの花言葉は『上品』『幸福』『感謝』という意味を持ち、母の日や結婚記念日などのプレゼントにオススメですよ!
食卓とアストランティア
殺風景な食卓の上に、ちょっとしたお花が飾られているだけで心に余裕を持つことが出来るものです。 それぞれの食卓に合った、アストランティアの選び方を紹介します。
早起きの朝は
早起きの朝は、目に優しい淡く可憐なフローレンスのラベンダーカラーで穏やかな一日を想像します。
午後のひと時に
少しもやもやした午後は、ちょっと息抜きに美味しいお菓子とお茶、そして純白のスノースターで心もリセットします。
アストランティア/押し花
寒さが厳しくなる季節は、家の中で読書に勤しむのも良いでしょう。 しおりには既製品よりも手作りのアストランティアの押し花で、ホッと温まる瞬間を楽しめます。
まとめ
寒し冬を越して、長い時間をかけて花を咲かせるアストランティア。 その魅力は花自体の可憐さばかりでなく、花の持つ意味、生活を通した楽しみ方からも見ることが出来ます。 小さな花姿で、『星に願いを』かけながらあなたの日常に寄り添うアストランティアを楽しんでみてはいかがでしょうか?
■販売店:宿根草と山野草 おぎはら植物園(楽天市場) ■商品名:アストランティア・マヨール ■価格:400円(税込432円) ※記載価格は2017年11月25日現在のものです。