フナ/分類
フナは皆さんもなじみ深い鯉の仲間に分類されます。
コイ目コイ科コイ亜科フナ属
一般的にフナと言うとギンブナを指す事が多いです。 ギンブナをマブナと呼ぶこともありますが、ゲンゴロウブナと区別するための呼称でマブナという分類はありません。 フナは生物学的な分類がとても難しい魚なので、初心者にはなかなか見分けることができません。 日本では姿・形・色などからギンブナのほかにキンブナ、オオキンブナ、ゲンゴロウブナ、ニゴロブナ、ナガブナなどと呼び分けられていますが、生物学的には別種や亜種なのか、同種なのかは解明されていません。
フナ/外国名
Crucian carp
野球ファンならずとも知っている「広島東洋カープ」もこの「carp」 これで英単語を覚えた方もいるのではないでしょうか。
フナ/学名
Carassius auratus langsdorfii
フナ/由来（漢字）
鮒をよく食べてい時代に『食う魚』ということで、「クフナ」→「フナ」となったという説があります。 他には、煮て食べると骨が柔らかくなり、まるで骨がないかのように感じられることから「ホネナシ」→「フナ」となった説があります。 また、川のどこにでも見られる魚だったことから「川に生ふ魚」という意味の「オフナ」→「フナ」になったという説もあります。 漢字の『鮒』は魚へんに『付』を組み合わせたものです。 『付』にはは小さいという意味があります。 『小さい魚』ということで『鮒』となりました。
フナ/生息地域・分布
北海道、本州、四国、九州、沖縄まで日本全土で生息しています。 その他朝鮮半島、中国でも日本で見られるようなフナが見られます。 釣りを楽しむためにゲンゴロウブナを改良してつくられたヘラブナは、もともとは関西にしかいなかったのですが、釣り師により全国に移入して、今では全国的に見られるようになっています。
フナ/生態・生育環境
生態
繁殖期は４～６月で浅場の水草などに卵を産み付ける姿が見られます。 これはフナの『ハタキ』や『乗っ込み』と言われています。
ギンブナにはオスがほとんどいません。 他のフナの仲間はオスもメスもいるのですが、ギンブナの大半はメスで、無性生殖の一種である雌性発生をします。
雌性発生とは？
通常の生物はオスとメス遺伝子融合が行われ、オスとメスの遺伝子が掛け合わさって繁殖し子供が生まれます。 ですがギンブナの場合、同種のオスの精子でなくても正常に繁殖することができます。 ただし、卵の発生の刺激のためにオスの精子は必要なため、近縁である他のフナの仲間のオスと繁殖行動を行い精子を得ます。 人工授精ではコイや他魚種のオスの精子でも正常に発生します。
ギンブナの子供はクローン
このような特殊な繁殖形態をとるためギンブナはメスの遺伝子しか受け継ぎません。 ということは、親と全く同じ遺伝子を持って生まれてくるんです。 まさにギンブナの子供たちはお母さんフナのクローンということになります。 他のフナの仲間は通常の繁殖の仕方なのに、なぜギンブナだけこのような繁殖形態になったのかとても不思議ですね。
生育環境
河川、湖沼など水の流れのゆるい淡水域に生息しています。 淡水であればため池や用水路でも見られます。 水質環境の悪化に強いため道路脇のどぶ川のようなところでも生息できるようです。
食性
ギンブナはユスリカの幼虫やイトミミズ、水生の節足動物などを食べる動物食性です。 ヘラブナは主に水中のプランクトンを食べる植物食性です。
特徴・形態
ギンブナ
銀色から緑褐色の体色をしています。 孵化した後1～２年程度で性成熟して繁殖が可能となります。 一般的な体長は１５㎝～２０㎝ですが、大きな個体は３０㎝になるものもいます。 体高はフナの仲間の中では中程度で、キンブナよりは高くゲンゴロウブナよりは低いです。
ゲンゴロウブナ
灰褐色や青みを帯びた銀白色の体色をしています。 他のフナの仲間と比較すると体高がもく、真横から見た姿はひし形をしています。 眼はギンブナなどと比べると下側についています。 ゲンゴロウブナは成長が早く３年で２５～３０㎝まで成長し、大きい個体は５０㎝にもなると言われています。
フナ/釣り情報
「釣りは鮒に始まり鮒に終わる」
フナ釣りは、釣り人の間ではこんな風に言われるほどシンプルでありながら奥深いそんな釣りです。 そして、身近な河川や湖沼で釣れる対象魚としてポピュラーな釣りであるともいえます。 釣りを始めたばかりの初心者から、ベテランまでを魅了する魚と言えます。
仕掛け
釣り場にあった長さの釣り竿に糸・浮き・重り・針とシンプルな仕掛けです。 これこそが「釣りは鮒に始まり鮒に終わる」といわれる所以なのでしょう。
餌
ギンブナ狙いであればミミズや赤虫などの活餌でも釣れます。 ゲンゴロウブナやヘラブナを狙う時は練り餌が良いようです。 もちろん練り餌でギンブナも釣れます。
釣り方のコツ
練り餌でフナを狙う場合は、自分がここと決めた場所に餌を打ち続け、その餌の匂いでフナを寄せる釣りになります。 始めは決めたポイントに餌を落とすつもりで何度も仕掛けを振り込み、餌を水底に溜めてポイントにフナを寄せます。 またフナは低層を泳ぐ習性があり、餌も底で食べることが多いので、浮きから餌までの糸の長さを水深と同じ長さにすると良いようです。 これを『底をとる』と言います。
フナ/味・選び方
旬は冬から春になります。 鱗は薄く大きいのですが簡単に取れます。 ・煮る、焼くなどのときにはそのままでいい。 ・骨は軟らかい。 ・クセのない白身でしまっている。 ・とれる場所によっては泥臭さがある
フナ/栄養・寄生虫
栄養
ギンブナは同じ淡水魚のコイに比べてタンパク質は上回り、脂質が４分の１ほどしかありません。 高タンパク低脂質・低カロリーな食材と言えます。 また。ビタミンBまた。ビタミンB１も豊富に含まれます。
寄生虫
天然物には肝吸虫が寄生していることがあります。 昔は肝臓ジストマと呼ばれていたました。 肝細胞の壊死などを引き起こして、肝硬変に似た症状を引き起こします。
フナ/料理・調理方法
フナは日本では古くから食用として親しまれてきました。 戦時中などは貴重なタンパク源でした。 近年では、淡水魚の持つ泥臭さや、海水魚がどこでも簡単に手に入るようになったため、食べられることが少なくなっています。
料理
フナを使った料理でよく知られているのは、洗い、塩焼き、煮付けなどです。 小さなものを甘露煮にします。
調理方法
天然物のフナには寄生虫がついていることがあるので生食は控えましょう。 また、フナにはビタミンB1を分解してしまうチアミナーゼという酵素が含まれます。 しかし過熱することでチアミナーゼは活性を失います。 そのため加熱調理が一般的です。
フナ/飼い方
フナを釣ったら家に持ち帰って飼育して観察するのも楽しいですね。 ホームセンターなどで売っている金魚の飼育セットで比較的簡単に飼うことができます。 なぜなら、金魚はもともとフナを品種改良した魚なんです。
飼育設備
水槽・濾過器・エアポンプあとは底にしく砂利などがあれば大丈夫です。 あとは石や水草など隠れ家になるものを入れてあげるとフナが落ち着きます。
餌
フナは雑食なので比較的なんでも食べてくれます。 餌は市販されている金魚の餌や川魚の餌のような人工飼料で大丈夫です。 もし飼い始めに人工飼料に慣れないようならアカムシなどと一緒に少しづつあげて、徐々に人工飼料に慣れてもらいましょう。
まとめ
「釣りは鮒に始まり鮒に終わる」なんて聞くとすごく敷居が高い感じがして難しい「釣り道！」みたいな感じがしますが、実際はそれほど難しいものではありません。 そこにフナがいれば子供でも簡単に釣ることができます。 都会に住んでいると、なかなかフナのいる場所を見つけることができないかもしれません。 まずは、ヘラブナなどがいる釣り堀に行けば手ぶらで行ってもフナ釣りを体験することができます。 そこでフナを釣る楽しさに目覚めたら、自分の釣り道具を手にいれて地元のフィールドを探してみてください。 フナが釣れるポイントを探すのも楽しいですよ！ 天然のフナを釣ってしまったら、もう釣りにどっぷりハマっちゃいますね。 そう「釣りは鮒に始まり鮒に終わる」ですからね！