アメリカセンダングサとは?
アメリカセンダングサとは、キク科センダングサ属の一年草です。生命力が強く、駆除に悩まされる事が多い植物です。元々はアメリカ産の外来植物な為、名称にアメリカの名がついています。 全長は約0.5~1.5m程の高さに生長します。
茎は角ばり細いですが、しっかりとした固さがあり、全体的に暗紫色をしています。その為、葉の緑色や花の黄色がよく目立ちます。
センダングサの由来
センダングサの名称は、「栴檀(センダン)」と言う落葉高木から付けられました。 栴檀の葉とセンダングサの葉はどちらも三角状の粗い鋸歯が特徴的でよく似ています。その為、「栴檀のような草」=「センダングサ」と命名されました。
アメリカセンダングサはそのままの意味で、「アメリカ産のセンダングサ」と言う意味です。
そもそもセンダングサってなに?
アメリカセンダングサはセンダングサは元々日本にある植物です。とは言っても、古い時代に帰化した植物(史前帰化植物)で、完全な日本生まれではありません。アメリカセンダングサ同様にキク科センダングサ属の一年草です。
アメリカセンダングサとの違いは、同じセンダングサな為殆どありません。黄色の花、鋸歯の葉、平べったく茶色い種、花期などほとんど同じです。あえて言えば、センダングサの方が小さく葉や花弁の角がが丸いのが特徴です。
よく見るセンダングサはアメリカセンダングサ!?
現在道路等に多く見られるセンダングサの多くはアメリカセンダングサです。 帰化植物らしく繁殖力に強い為、もともと生息していたセンダングサは追いやられています。現在も山や野原で咲いてはいますが、アメリカセンダングサよりも慎ましく咲いているのが現状です。
アメリカセンダングサの分布は?
アメリカセンダングサの分布は日本全国です。 生育環境は水辺や湿地帯を好みますが、適応力が強い為どこにでも適用可能です。その為、水田や川辺はもちろん、道路や荒れ地にも分布しています。
アメリカセンダングサの元々の分布は?
元々は北アメリカに生息していました。約1920年頃大正時代に琵琶湖周辺で確認されたと言われています。 アメリカからの輸入品に紛れていたらしく、輸入品からこぼれ日本に定着したとされています。
海に囲まれた湿度の良い日本は生育環境がよく、爆発的に日本全国に繁殖してしまいました。現在では日本在来の植物を追いやる植物とされ、外来生物法の「要注意外来生物」に指定されています。
センダングサの種類あれこれ
センダングサの種類はアメリカセンダングサだけではありません。 センダングサより小柄な「コセンダングサ」。 白い花弁を持つ「コシロノセンダングサ」。 葉が小さい「コバノセンダングサ」など、色々な種類があります。
アメリカセンダングサの花
アメリカセンダングサの特徴は黄色い花です。菊の花と同じく広がるような鱗片を持っています。 頭花は直径約5mm、総苞は直径約2.5cm。冠毛のある筒状花が密集して花床に付いており、一つ一つの筒状花の子房には若い果実が詰まっています。
花が枯れると果実は花床に残って生長。熟すと花床は反り返り、果実が放射状に広がって種を飛ばす準備にはいります。
開花時期はいつ頃?
花期は大体9~10月頃。黄色い花を付けます。 センダングサの一種「コセンダングサ」は暖かい時期は常に花期ですが、アメリカセンダングサはそのようなことはないです。 主に虫に花粉でもらう虫媒花です。また、 両性花な為、雄雌はありません。
花言葉
花言葉は「近寄らないで」「陽気で騒がしい」です。 ひっつき虫と呼ばれる種が服に付くと取りにくい為「近寄らないで」。 アメリカは陽気で騒がしいイメージがあるらしく、アメリカ産な為「陽気で騒がしい」そうです。 個人的に種が服に付く様子で、「離れないで」みたいのがあるかと思いましたが、特になかったです。
アメリカセンダングサの葉
アメリカセンダングサの葉は対生しており、深く咲けて羽状複葉です。 小葉は細長く、先端は尖っており、縁に三角状の粗い鋸歯が付いています。 葉の表面は白粉を帯び、光沢はありません。その代りに葉脈の上と葉の裏側には微細な毛が生えています。
葉脈は不規則?
面白いことに、葉脈の側脈は綺麗に揃っているわけではありません。鋸歯へ向かう中間で終わる脈もあれば、先端へ伸び、鋸歯の直前で曲がったりと規則性がいまいちありません。よく見なければわかりませんが、葉ごとに微妙に違う為、見比べてみるのも面白いかもしれません。
アメリカセンダングサの種
アメリカセンダングサの種は花期が過ぎ、黄色い花が落ちた後に出てきます。 種は扁平で、先端に二つの棘が付いており、4稜はあるが扁平な楔形なのが特徴です。 棘はひっつきやすく、動物や服にひっつき遠くへ運ばせます。ひっつい様子からセンダングサの種の事を「ひっつき虫」と呼んだりもします。
種はひっつくだけではない!
アメリカセンダングサの種は軽く扁平です。その為、水などに受けいやすい形をしています。 主に動物などにひっつき分布を広げていますが、水に浮かび運ばれることでも分布を広げるわけです。 水辺や湿地帯に分布しているアメリカセンダングサならではの種と言えるでしょう。
「ひっつき虫」ってなに?
アメリカセンダングサの種はひっつく様子から、別名「ひっつき虫」と呼ばれています。 ですが、アメリカセンダングサの種だけがひっつき虫と呼ばれているわけではありません。
他にも種や実がひっつく様子からひっつき虫と呼ばれる植物があります。 センダングサや同じセンダングサ種「コセンダングサ」「コシロノセンダングサ」。
ひっつき虫として有名なオナモミ種「オオオナモミ」。 5~6月頃花期のヤブジラミ種「オヤブジラミ」「ヤブジラミ」。 イネ科「コチヂミザサ」「ケチヂミザサ」「チカラシバ」などがあります。
この他にもひっつく植物は多く、総じて「ひっつき虫」と呼ばれたりします。 ただ、ひっつく方法は植物ごとに違い「棘でひっつく」「粘液でひっつく」の二つでそれぞれ特徴が分かれます。
ひっつき虫の取り方
ひっつき虫は触れただけで簡単に付着してしまいます。いくら気を付けていても、密集地帯を歩くと大量に付着してしまいます。とても面倒な雑草ですが、道具を使用しまとめてとることも可能です。 方法は大きく分けて2つです。
「ひっつき虫よりひっつきやすい物に移す」か「ひっつき虫をそぎ落とす」です。
ひっつき虫を移して落とす
ウエットティッシュや軍手など、繊維が細かく引っかかりやすい物で落すと、そちらにひっつき虫が移りやすく簡単に落とせます。他にもガムテープなど粘着状の物で落とす方法もありますが、粘着碌が強すぎると服を傷める為あまりお勧めしません。
移した物はひっつき虫まみれで大変なことになりますが、手軽で危険の少なく方法です。
ひっつき虫をそぎ落とす
ひっつき虫を移すのではなくそぎ落とす方法もあります。 市販の鱗取りや、側面に穴を開けたペットボトルで服をなぞることで、ひっつき虫を取り除くことが出来ます。
他にも、注意しなければ人にも服にも危険ですが剃刀を使用したり、定規ではじくことも可能です。 大体は毛玉を取るような感じで落とせます。服を傷めない様に注意して落しましょう。
アメリカセンダングサの駆除時期
アメリカセンダングサの除草時期はいつでも構いません。一年草ですので邪魔になったら駆除しましょう。 あえて言えば、9月頃の花期にした方が、ひっつき虫の被害に遭わなくていいでしょう。
駆除方法は「手で引き抜く」か「除草剤で一掃」のどちらかです。対象法は他の雑草と同じで構いません、まとめて駆除してください。
手で駆除する
アメリカセンダングサを手で引き抜いて駆除します。 アメリカセンダングサは多くの雑草が持つ「生命力が高い」特徴を持っています。その為、他の雑草同様に根が残っているとそこから生長してしまいます。
手で駆除する際は根からしっかりと抜き取りましょう。
手で駆除する時の注意点
抜いたアメリカセンダングサをそのままにしてはいけません。土壌の上に放置して置くとそこから根を広げ、復活してしまいます。また、乾燥させても種が生きている場合もあり、そのまま捨てると雑草と一緒に再び生えてきます。
完全に駆除する為に、可能ならば燃えるゴミにまとめて捨てる様にしてください。 大変ですが放置して置くと、どんどん増え庭を侵食していきます。抜くときはしっかりと土壌から引き抜き他の雑草と共に駆除しましょう。
除草剤を使用する
除草剤を散布しまとめて駆除します。 手で抜き取るのと比べて散布するだけですので手軽に駆除できるのが特徴です。 アメリカセンダングサはどこでも生長する雑草です。畑、乾燥地帯、水田など様々です。
その為、除草剤も場所に合わせた物を使用しなければなりません。畑なら農耕地用除草剤、水田ならスルホニルウレア系除草剤など、生育環境に合わせて使い分けましょう。
また、除草剤の形状に合わせて使用時期を判断します。顆粒タイプなら芽が出る前に、液状タイプなら芽が出た後に使用します。 とは言うものの、市販で販売している物ならどれでも構いません。
流れ落ちないように水辺用かどうかさえ気を付ければ、特に指定はありません。他の雑草と一緒に駆除できる物を選びましょう。
除草剤を使用する時の注意点
除草剤は決して環境にいいものではありません。多量に吸うと人体に害がありますし、散布範囲をすべて枯らしてしまいます。それでも、手軽にまとめて駆除できる数少ない方法の一つです。安全に使用しましょう。
まとめ「雑草と言うなかれ」
アメリカセンダングサは花期には綺麗な黄色の花を付けます。野原など群生地帯では一面黄色の綺麗な景色を彩でしょう。 しかし、どんなにきれいでも雑草には変わりません。
放置して置くと要注意外来生物として多くの植物を日本から追い出してしまいます。庭を荒らす雑草として躊躇せず駆除してしまいましょう。
アメリカセンダングサは様々な場所に分布し、繁殖する為雑草として一括りにされがちです、ですが、「雑草という名前の草は無い」と言うように、キク科センダングサ属アメリカセンダングサという植物です。
庭を荒し日本在来種を追いやる植物ではありますが、駆除する前に偶に愛でてみてはどうでしょうか?雑草としての力強い姿と可愛らしい黄色い花が、秋の花期を紅葉と共に楽しませてくれるかもしれませんよ?