オンシジュームとは
黄色の鮮やかな花弁にキュートな赤の模様が素敵なコントラストとテクスチャーをかもし出す洋ラン。小ぶりの花を咲かせ、甘いアロマがあるものから、大型でアレンジメントにピッタリなボリュームの出るものまで、種類は様々。花はランの中でも比較的長く咲き続ける為、環境の良い場所で管理できれば、1ヶ月程度楽しむことができます。
オンシジューム/科名
科名はラン科。ラン科は単子葉植物と言われる1枚の子葉を持つ植物。被子植物の中で双子草植物と良く対比されます。ラン科の植物は鑑賞の価値が非常に高いため、品種改良が盛んにおこなわれてきた植物。日本だけで230種、世界には700属以上15000種が確認されている非常にポピュラーな植物。
オンシジューム/学名
オンシジュームの学名は、Oncidium (オンシディウム・オンシジウム)。オンシジューム属のなかでも最も種類が多いのはオレンジジュームを含む黄色の花で、中でもゴメザ・フレクオサムはオンシジューム属で最も広く流通し、代表的な品種として知られています。
オンシジューム/花名由来
学名にあるOncidium(オンシジューム・オンシジウム)はギリシャ語の「onkos(こぶ・とげ)」が語源。ランの花にはこのようなこぶに似た「唇弁しんべん」という昆虫が留まりやすいように、丸くカールもしくはこぶのような突起になった場所があることから、この名前が付けられています。大抵のしんべんは明るい派手な色をしていることも特徴。
オンシジューム/品種・原種
オンシジュームは原種同士の交配も盛んに行われ、品種改良の末、現在では400種以上の品種が流通しています。特徴的に分類すると、4つに大きく分かれます。 <薄葉系統>葉が薄っぺらく、たくさんの黄色の花をつける贈答用に人気の品種。 <剣葉系統>小型のランで、剣の形をした葉っぱをつけるバルブ(茎)が無い品種。 <厚葉系統>葉っぱに厚みがあり、花弁も大きく華やかな品種。 <棒状葉系統>肉厚の葉っぱが特徴で花弁は下を向いて咲く品種。
オンシジューム原種の「ケイロフォルム」は、薄葉系統の人気種。小ぶりの花をたくさんつけ、濃厚で甘い香りがあるためオンシジュームの代表的品種。
ケイロフォルムと同じく小型で濃厚な甘い香りのある、「オルニソリンクム」。ピンクの花をたくさんつける品種です。
アロハイワナガはゴメサ・ベリコサと言われるオンシジウムの原種の交配種でハワイで品種改良されたことから、この名前がつられています。剣葉系統の一種で、葉がとがった形をしていますが、交配種ですので、しっかりとした丈夫な茎に改良され、スカートのようにひらひらした黄色い花びらが特徴です。
オンシジューム/原産地
中南米のグアテマラが原産地。高地の森林などに生育するものが多いため、耐厚性が弱い。ヨーロッパでは早くから、オンシジュームの近縁のオドントグロッサムなどが栽培されていた記録が残っているものの、交配種によって夏を越せる品種改良に至るまでは大変苦労があったようです。日本でも園芸的に非常に評価が、生育をしやすいオンシジュームは人口属がほとんどを占めます。
オンシジューム/分布域
オンシジュームは交配種が非常に多い植物。基本的に厚さに非常に弱いため、品種によって分布域が限られています。 <オンシジューム・オブリザタム>コスタリカ・パナマ・コロンビアペルーに分布。 <オンシジューム・ケイロフォルム>コロンビア・パナマに分布。 オンシジュームの一部の近縁にあたるラン品種はアメリカ大陸の亜熱帯やカリブ諸島、南アメリカの温帯に生息しますが、これらは基本的に地表には生育せず、樹上に寄生して生育します。
オンシジューム/花言葉・開花時期
オンシジュームはアレンジメントを一層はなやかで豪華に見せてくれる重要なキーを握るエレメントです。そんな華やかなキュートな黄色のオンシジュームにはどんな花言葉が込められているのか興味がありますね。開花時期もあわせてご紹介します。
オンシジューム/花言葉
「可憐」 「一緒に踊って」「気立ての良さ」「清楚」「野性的な愛」「協調」「遊び心」
オンシジューム/由来
オンシジュームには英語名で、Dancing Lady Orchid (ダンシング・レイディ・オーキッド)という名前がついています。「一緒に踊って」はその英名が由来です。 また他にも Butterfly Orchid(バタフライ・オーキッド)と呼ばれ、オンシジュームの花びらが蝶の形に似ているためこの名前が付けられています。 「可憐」や「清楚」や「遊び心」はこの蝶が舞う姿を女性の様子に例えてつけられた花言葉と言われています。
オンシジューム/開花時期
オンシジュームの開花時期は品種によって異なりますが、基本的に年間通じて3回の開花時期があります。4月~6月(春咲き)9月~10月(秋咲き)12月~1月(冬咲き)です。 小型で小さな花をたくさん咲かせる原種「ケイロホルム」は冬咲きの代表で、やや湿り気のある環境を好む品種。 「アロハイワナガ」や切花としても、鉢植えとしてもその黄色一色のオンシジュームには珍しい単色ラン「メイフェア―イエローエンジェル」は3月頃から5月頃まで見ごろが続きます。
オンシジュームの特徴
オンシジュームはラン科の中で、小ぶりで甘い香りを持つ品種が数多く現存する植物。比較的耐寒性にも優れていて、環境適応能力が高い為、原種から品種改良された育種は一般のガーデニングでも栽培しやすくなりました。 黄色のかわいらしいフリル状の花を咲かせるオンシジュームはフラワーアレンジメントのコンビネーションでも非常に人気があり、花束を豪華に演出してくれます。 ハイブリッドによって約400以上もの品種を年間通じて楽しめるようになったことも、嬉しい化学の進歩です。
オンシジューム/育て方・栽培方法
オンシジューム栽培の難易度
オンシジュームの栽培の難易度は初級~中級。小型~中型の小さい花がたくさん咲き、芳香性が強い品種が新しく流通しているので、そういった品種は初心者には大変栽培しやすい、手入れの容易なオンシジュームが流通しています。
オンシジュームの植え付け時期
植え付けの時期は4月~5月が適当です。オンシジュームは、着生植物といって、土壌に根を下ろさず、木の上や岩の上などに着床して生育する植物なので、 水苔(ミズゴケ)と一緒に育てます。鉢にたっぷりとミズゴケを敷き詰めて、オンシジュームを植えたら、根元もしっかりとミズゴケで覆います。1つ以上株を植える時は、新芽が出やすいように間隔をあけて植えます。 オンシジュームには特に心配する害虫も病気もありませんが、株と株との間隔が狭いと、ガンガラ虫という害虫がつきやすくなります。風通しを良くするために、一定間隔を保って植え付けます。
オンシジュームの水やりと注意点
年間通して、水はこまめに与えます。夏は大変乾燥するので、毎日水やりをしてあげましょう。ミズゴケの様子をみて、水やりのタイミングを計ります。ミズゴケが乾いてきたら、水やりのサイン。 霧吹きで、ミズゴケに直接吹きかけ、鉢底まで水が垂れださないように加減します。受け皿を置いて、ジョウロで水やりの方法もありますが、根腐りを起こす心配があるので、要注意。
オンシジュームの肥料のやり方とポイント
4月中旬から7月ごろまでは、有機固形肥料であれば、根元に月1回ほど施して、なくなれば足します。液体肥料は週に1回9月ごろまで与え続けます。肥料に指示のある規定量と規定希釈倍率に沿って、施すよう注意。
オンシジュームの剪定方法
オンシジュームは、花びらが落ちたり、透けてきたら剪定の時期です。茎の下で剪定します。花が咲く前に茎が伸びたら、支柱をたてて花がまっすぐ咲くように支えてあげます。剪定は早い時期に始めると、翌年健康で良く咲く花をたくさんつけます。
オンシジュームの管理場所
最低気温が15度を超えるようになったら、(5月中旬~10月くらいまで)一日中屋外で管理できます。冬の間や、夜の夜露がかかるような季節は、室内の日当たりの良い場所で管理。 強い日差しは葉っぱが日焼けをして、傷んでしまうので、遮光カーテンや、遮光ねっとなどを利用して、直射日光は避けます。室内では暖房や冷房の風が直接当たらないように注意します。また直射日光を避けるために屋外の木の下などに設置したままにしていると、新芽がつきにくいので、こまめに管理しましょう。
オンシジュームの増やし方
株分けは4月ごろをめどに行います。根元に4つ以上のバルブ(偽球茎・茎が立ち上がったように見える場所)ができたら株分け時です。親株に2つのバルブを残して、あとは切り取ります。 切り離した株をミズゴケやバーク(樹脂を細かく裂いた繊維状になったもの)と一緒に植え付けます。古いバルブが付帯していても、新芽の栄養分になるので、そのまま残して植え付けをします。
オンシジュームのおすすめ寄せ植え
オンシジュームは寄せ植えに適した植物です。草丈が低い配色の違う花や常緑種と寄せ植えをすると、とても美しく生えて素敵なインテリアに早変わりをします。グズマニアなどは葉っぱが赤と緑で特徴的で、オンシジュームと良いカラーコントラストができて、素敵な寄せ植えになります。
オンシジュームの植え替え時期と方法
オンシジュームの植え替えのビデオがありますので、参考にご覧ください。
2、3年に1度は植え替えをしてあげます。またオンシジュームは生育が早いので、バルブがはみ出したら、植え替え時期です。古いミズゴケを切り離し、新しい鉢に、あたらしくミズゴケを敷き詰めます。 根腐れを防ぐために大きすぎる鉢を避けて、株にあった適度な鉢に移します。大株に成長しすぎている場合は、この時点で株分けも同時に行いましょう。
その他/おすすめ情報
化学の進歩で、近年ではランなどの繁殖は、株分けの方法で増殖させるのではなく、「メリクロン」というクローンを作り出す細胞の培養によって、繁殖をさせることが非常に一般的になってきているようです。 メリットは、 ・一度に大量に培養して、増殖させることができること。 ・ウイルスや病原菌に完成していない健全な株を作り出せること。 ・店頭で満開を迎えるように設定して栽培されること。 など、科学の力でコントロールすることで、さらに一般に良い品種の流通が広がるよい傾向と言えるでしょう。
まとめ
オンシジュームは小ぶりの品種は愛らしい黄色の花びらと同時に、強い芳香性でも人気があります。お部屋のなかで栽培すると、部屋全体に甘いオンシジュームの香りが広がり、心身共にリラックスさせてくれます。いままで、ランの栽培は難しいと嫌厭していた方も、オンシジュームなら簡単に始められますので、是非挑戦してみましょう。