クリスマスローズとは
クリスマスローズはガーデニングにも贈り物としても非常に人気の花です。その秘密は開花する花が少ない冬に最盛期を迎えること、以外に丈夫で少しのお手入れで毎年きれいな花を咲かせてくれます。そしてなんといっても色と形の豊富さは自分仕様にカスタマイズできるほどの品種の数と言えます。
クリスマスローズの種類Top10を発表!
先ほどご紹介したように品種の数の多さが魅力的なクリスマスローズ。 その中で特に人気を集める品種から10種類を厳選し、ご紹介していきます!
クリスマスローズの種類1、シングル
クリスマスローズは大きく分けて3種類の花びらの形状があり、それぞれにシングル(一重)・ダブル(二重以上)・セミダブル(アネモネ咲)に分かれます。原種ニゲルに一番近い種類で、花弁が5枚の写真のような花をシングルと呼びます。
クリスマスローズの中でもシングルは初心者向けの育てやすい人気品種です。害虫や病気にも強く、実生発芽から2年で花が咲きます。鉢植えでも庭に地下植えでも良く育つ人気の種類です。
人気トップ1 :シングル 赤(赤黒)
クリスマスローズの中でも最も一般的な赤色のシングル。鮮やかな赤から、濃厚な赤まで、その濃淡度合いは様々で、一つの花の原種からここまで単色の濃淡が美しく再現できる花は非常に希少です。
中でも卑弥呼と呼ばれるオリジナル品種は花弁の根元の雄しべの官は途中まで花の赤と同じ濃い色をしていて、花粉の黄の色とのコントラストが見事なことで有名な品種です。
何となく椿を思わせる花弁が日本の情緒にもマッチした雰囲気をかもし出すのもこの赤が人気のある秘密でしょう。
人気トップ2:シングル 糸ピコティ
糸ピコティとはシングルやダブルの花の縁に糸のように線が入る覆輪(ふくりん)のことをこう呼びます。総称して縁取りのついた模様の品種をピコティと言いますが、糸ピコティの品種はその縁取りが絹糸のように特に繊細でエレガントな為、非常に人気があります。
この写真のようにピコティ種はたいてい花とは別の色の縁取りが出来ることが一般的です。
人気トップ3/シングル ブルーブラック(ブラック)
こちらの写真にあるように、黒にちかいくすんだ青色かもっとマットな黒で、造花のようなマットなテクスチャーがとても新鮮で希少です。葉も全体にくすんだ茶色をしているので、落葉樹が植わっているようなお庭にはとても雰囲気がマッチします。
クリスマスローズならずともこんな配色の花は非常に希少ですので、ガーデニングのアクセントとして楽しむことができます。
クリスマスローズの種類2、原種ニゲル
クリスマスローズの「原種ニゲル」は現存する多種多様に品種改良されたクリスマスローズの中で最もシンプルで人気を誇る種類です。
クリスマスローズとは、原産地のヨーロッパに分布する「ヘルボス属原種ニゲル」のニックネームとして呼ばれるようになった名前が定着したもので
ニゲルはヨーロッパでも寒いクリスマスの時期に花を咲かせる希少な品種だったため、人々は「クリスマスに咲くバラのような花」ということで「クリスマスローズ」と通称で呼ぶようになったのです。
品種改良が重ねらえてきたクリスマスローズの中でも原種ニゲルは交雑以前の原型を美しくとどめる希少な花です
人気トップ4:八重咲ニゲル種
原種ニゲルの白い花は、ハイブリットの白い色よりももっと純白に近い真っ白なことが特徴で、最近ではこのニゲルの花弁を増殖させた八重咲のタイプのニゲル品種が人気です。
クリスマス ローズ 種類/オリエンタリス系 ダブル
クリスマスローズのオリエンタリスは園芸上級者には大人気の種類。オリエンタリスのダブル種をご紹介します。
オリエンタリスという品種は現在はクリスマスローズと総称されて呼ばれていますが、本来は「レンテンローズ」と呼ばれるニゲル種とは原種の異なる品種です。
ヨーロッパから西アジアにかけて原産の常緑多年草に分類され、花の開花は早咲きと言われるニゲルに比べて、1カ月から2ヶ月遅い、2月~4月。オリエンタリスのダブルは花弁が5枚以上あるため、ダブルと総称されますが、ほとんどは品種改良が進んで、八重咲のような華やかなものが一般的です。
人気トップ5:オリエンタリスダブル スポット系
オリエンタリスのダブルの中でこのスポットは花弁の根元に近いところから斑点のスポットが花びらの先にむかって広がっているのがこの写真でも良く分かります。、広がった八重咲の花弁を更に豪華で華やかな立体的に見せてくれる効果を強調。
オリエンタリスはドイツでオリエンタルクイーンの品種を改良したもので、大輪の花を咲かせることでも有名です。
クリスマス ローズ 種類/ピコティダブル
クリスマスローズのピコティのダブルはこの種の中でも最も華やかに見える組み合わせの種類。写真をご覧いただいても人気の秘密が良く理解いただけるでしょう。
栽培の際に水のやりすぎなので、失敗するケースもあり、ランクは中盤以下となりましたが、観賞用にはとっても素敵なバリエーションのタイプです
クリスマスローズのピコティ(縁取り)が入った花弁が5枚以上の品種を指します。薄い色の花弁が特徴で、その花弁にピコティが入ることで、写真のような薄いピンクの花びらでも、輪郭がはっきりと浮き上がり、配色によっては蓮の花のような雰囲気をかもし出す品種です。
人気トップ6:ピコティダブル 黄色
人気トップ7 :ピコティダブル ピンク
クリスマス ローズ 種類/セミダブル
クリスマスローズのセミダブルとは、ほかに半八重やアネモネ咲きと呼ばれるもので、花弁の内側に特徴があり、本来蜜官だった部分が大きく変化して、花びらのなかにフリルの付いたような層が見えるのがこの品種です。
人気トップ8:セミダブル (アプリコット・ピンク系)
クリスマスローズのセミダブル(半八重咲)には実ははっきりとした作りの定義がなく、簡単に、ネクタリー(蜜菅)のあたりに花びらのようなものがフリルのようについていることが見分けるポイントなのですが
シングルの中に、ネクタリーの中にまでスポットが入っている種類も、セミダブルと呼ぶなどという説もあり、愛好家や園芸家は実は混乱するところなのです。
しかしながら、花弁の内側のフリルがブラウスのようで、特に女性には人気があります。
クリスマス ローズ 種類/パーティドレス系ダブル
クリスマスローズのパーティドレスはこの種の中でもっともカラーバリエーションが豊富です。フリル・カラー・模様の3種でコンビネーションを楽しむことができ、海外ではこの種が一番人気があります。
クリスマスローズのパーティドレス系は1971年に旧ユーゴストビアで、イギリスの育種家のストラングマンが原種トルカータスのなかに八重咲の変化を遂げている品種を2つ発見します。
これがこのパーティドレス系の元となる種類で、「ディド」と「アエネス」と名付けられます。この「ディド」が別の育種家ロビン・ホワイト氏によって品種改良を施され、現在の「パーティドレス」という品種が完成します。
人気トップ9:パーティドレス系ダブル ブロッチ
ブロッチとは 写真のように一見花弁の根元からグラデーションのように外側に向かって、模様が入っている花をさしてこう呼びます。ブロッチの模様には同時に斑点がたくさんあるスポットが入っている種類も良く出回っています。
一つの花で、非常に存在感があるので、シンプルにカスミソウなどと合わせるとクリスマスローズが強調されて豪華なアレンジメントに仕上がります。
人気トップ10:パーティドレス系ダブル バイカラー
写真のようにバイカラーとは花弁の外側と内側が違う色で形成されている品種の事です。このバイカラーは外側に濃い紫のカラーが、内側には薄いグリーンに縁取りが少しありますので、ピコティが入ったようにも見えています。花束にするとドライフラワーのようなテイストをかもし出してくれてとってもモダンな花束に仕上がります
クリスマス ローズ/ニゲルの伝説
原種ニゲルにはキリスト教の逸話で語り継がれた物語が残っています。キリストが誕生した時、村にいた一人の少女マデロンは聖母マリアのもとにお祝いに駆け付けます。しかし、貧乏だったマデロンだけがお祝いの品をもっていきませんでした。
みすぼらしさのあまりマデロンは涙を流します。すると落ちたなみだから土壌一面に真っ白のニゲルの花(クリスマスローズ)が咲き誇り、マデロンはその花束をお祝いに捧げることができたというのです。
それ以降キリスト教では特にクリスマスローズのニゲル種を神の花としてあがめるような風潮が起こったということです。 ニゲルは他の原種の有茎種と交雑させやすいため、原種のままニゲルとして自然に生えることは非常にまれで希少ですので、愛好家からは原種ニゲルが特に好まれる傾向があります。
クリスマス ローズ/原種ヘレボルス・種類
クリスマスローズは現存する園芸用品種はすべてガーデン用のハイブリット種です。原種であるヘルボス種は元は、ヨーロッパのポルトガルやスペンを経て、アルプス山脈~ユーラシア大陸横断をして中国にまでもたらされました。
現在確認されているヘレボルス種は全部で20種。古代の原種を草のレベルで単純に分類すると、地中海の島々に自生する丈の短い品種もヘルボスに属すものが多く存在し、茎のあるものとないものの2種類に分けることができます。
ヘレボルス種の特徴は生育する土地の気候によって、その生態を変化させてきたことです。株ごとに進化を遂げるこの種は、種ごとに同じ品種でも違う形や色があらわれることが特徴です。
原種ヘルボルスの種類紹介
べシカリウスはトルコからシリアにかけての乾燥した砂漠地帯を一体として自生している品種です。発芽から1年は花は咲かせず、夏に葉を枯らせて翌年まで栄養を貯えます。
種は大豆ほどの大きいもので、砂漠の厳しい環境でも生き残れるように進化したものと考えられます。水分はほとんど必要とせず、日陰で育てるのが基本で、秋は2,3か月水やりも必要ありません。芽がでてから早くて5年はかかると言われている忍耐の要する植物です。
アトロルーベンスはスロベニア周辺に自生する原種。葉っぱは細長くギザギザの形が特徴で、背丈は30~40㎝に成長します。
小豆色をした花弁は5枚のシングルですが、その大きさにはばらつきがあり、花弁の外側と内側の色が違うことと、花弁の内側に緑色の線のような模様が入っているところも原種ならではの希少な現象です。アトロルーベンスも開花までに4,5年かかります。
アウグチフォリクスというこのヘルボルス原種は地中海コルシカ島という島に自生します。茎が非常に丈夫で、生育の旺盛な品種ですので、地植えにすると草丈が1メートルにも伸びる力の強い植物です。
花は全体に薄い緑色をしていて、シンビジュームが開いたような鈴なりの形に開花するので、ガーデニングとしても切花としても楽しむことができます。
クリスマス ローズ/新種類誕生
クリスマスローズはガーデンハイブリッドの最たる植物です。150年ほど前から長年にわたり、ドイツやイギリスを中心にハイブリッドの研究が続けられてきました。
一般でもヘルボスの交雑によって新品種を作り出したいと考える「ヘルボス愛好家」達は少なくなく、近年交雑に成功した「ピンクアイス」のニュースには世界中の植物愛好家が注目をしました。英国の育種家ケビン・バルチャー氏の研究によって開発された新種でした。
クリスマス ローズ/日本クリスマスローズ協会
一般に広くクリスマスローズが親しまれ、ガーデニングを楽しむようになったのは実はまだ3,40年ほどの最近の話で、日本ではここ20年ほどで、急激に人気が出て来たところです。
そのブームに乗って、1998年2月に「日本クリスマスローズ協会」という団体が発足しました。
日本全国のクリスマスローズの愛好家による団体で、会員は一般植物愛好家から、園芸趣味家、園芸植物生産者まで、会員によるボランィアで運営され、毎年、年に一度のアトラクションとして、3日間で1万人もの会員が参加するという大イベントも開催されます。
まとめ
クリスマスローズはその品種の多さと、カラーバリエーションとのコンビネーションで、どの品種を選んで育てようかと迷ってしまうほどです。
冬の寒い時期に華やかに開花するクリスマスローズは花やカラーを一手にになって、冬の寒さを吹き飛ばすかのような大胆な存在感があります。
発芽してから開花まで長くかかるものもありますが、一度咲いてしまえば、毎年こんな素敵な花を冬の寒々しいお庭に咲かせてくれたら、一気に春が来たような温かさに包まれますね。