コールマン ジェネレーター
コールマンランタンの魅力とは?
コールマンのガソリンランタンといえば、信頼性の高い性能で世界的に有名です。心細いアウトドアの夜に、煌々とともる灯りに安心感を得たキャンパーも多いでしょう。
シンプルで堅牢なそのボディは、ユーザーが自らメンテナンスすることを前提としており、手入れを怠らなければ容易に故障しないことでも知られています。
また仮に故障したとしても、そのシンプルさ故に、素人でも簡単に修理が可能なように作られています。 そんな魅力あふれるコールマンランランの、日常の手入れから、分解や修理の方法について、詳しく解説します。
漆黒の闇を癒す暖かな灯り
キャンプのフィールドは、そのときの状況によってさまざまです。夏の夜のにぎやかなオートキャンプ場もあれば、バイクなどのソロキャンプでようやくたどり着いた、誰もいない季節外れのキャンプサイトまで。
どんな状況でも、人類にとって闇は今も昔も恐ろしい存在です。そんな夜の闇に安心と安らぎを与えてくれるのが、ランタンの灯りであることは間違いありません。
過酷な環境で頼りになるのはコールマンのガソリンランタン
ランタンとひと口に言っても、さまざまな種類のものが存在します。最近ではLEDの普及により、昼とかわりないほどの明るさで、消費電力も少ない優れたランタンも数多く販売されています。
でも無機質な電気の灯りに比べ、炎がもたらす灯りには、そこはかとない温かみが感じられるものです。
なかでもガソリンランタンは、ガスやアルコールを燃料とするランタンに比べ、低温や風など外界の環境に強いと言われています。
実際、真冬の厳寒の中や強風の吹き荒れる中でも、ガソリンランタンは力強い炎でキャンプサイトを照らしてくれます。
コールマンの歴史はランタンの歴史
コールマンのロゴマークの端っこには、同社の象徴ともいうべきガソリンランタンが誇らしげに描かれています。コールマン社の歴史はガソリンランタンの歴史でもある、といえるのです。ではここで、コールマン社とガソリンランタンの歴史について、ご紹介します。
すべては創業者W.C.コールマンのひらめきから始まった
1899年、タイプライターのセールスマンをしていた若き日のW.C.コールマンは、アラバマ州のドラッグストアで、強烈な光を放つガソリン式のランプを目にします。
洞察力の優れた彼は、すぐにこのランプの将来性を見抜き、翌年「ハイドロカーボン・ライト・カンパニー」を設立します。これが現在まで続く、コールマンのランタンストーリーの、幕開けとなります。
コールマンブランドの誕生
W.C.コールマンはやがて会社をカンザス州ウィチタに移し、「コールマン・アーク・ランプ」を開発、ランタンのレンタル業を開始します。コールマンブランドの誕生です。
当時、エジソンがすでに白熱電球を発明していましたが、農村部ではまだまだ普及しておらず、コールマンの貸しランタン業は業績を伸ばしていきます。
世界最大のアウトドアブランドに成長
戦後、電気のインフラ整備と電化製品の普及により、コールマンの売り上げは激減します。
そんな中、二代目社長に就任したシェルダン・コールマン・シニアは、ランタンとストーブの用途をキャンピング用具に転換、アウトドア志向の高まりとともに、やがてコールマンは世界最大のアウトドアブランドへと成長を遂げます。
創業から約120年。まだ電気の通わなかった20世紀初頭のアメリカで、「The Sunshine of the Night(真夜中の太陽)」と謳われたコールマンのランタンは、今でも同社のロゴの中で誇らしげに輝いています。
他のランタンとコールマンランタンを比較して
それではコールマンのライバルともいうべき、他のランタンとガソリンランタンの違いを比較してみましょう。
電池式ランタン
電池を使用する、おもに室内や夜間外出時に使用するランタンです。熱や有害な物質を出さず、テント内でも安心して利用できるのがメリットです。最近でハイパワーで省エネなLEDタイプが主流となってきています。
ガス式ランタン
ガスボンベを接続し、中のガスを燃料として燃焼するタイプのランタンです。自動点火装置を内蔵しポンピングなども不要なことから、手軽に着火できるのがメリットですが、低温時はガスが気化しないため使用できず、強風にも弱い傾向があります。
ガソリン式ランタン
ガソリンを燃料とするランタンです。ポンピングによってタンク内の空気圧を上げ、燃料を押し出してジェネレーターで加熱・気化を行います。ジェネレーターで気化されたガソリンがマントルで発火して光を発します。低温や強風でも安定した燃焼が得られるのが特長です。
ホワイトガソリンかアンレデッドか?
コールマンのランタンの燃料といえば、純正のホワイトガソリンが指定となっています。ところが、かつてはアンレデッドタイプという、無鉛ガソリンが使用できるモデルがありました。
このアンレデッドモデルであれば、燃料に車と同じレギュラーガソリンが使えます。バイクでのキャンプなどの際に、ランタンの燃料を別に持たなくても、バイクの燃料を流用できるのが強みでした。 でもこのアンレデッド、現在では廃版となっています。
廃版になった理由は定かではありませんが、レギュラーガソリンの不純物でジェネレーターが詰まりやすかったり、ガソリンに含まれた添加剤でタンクのコーティングがはげるなどの問題があったようです。
メーカー側も、レギュラーガソリンの使用は緊急時に限ると表示しており、やっぱりメンテナンスの事を考えても、純正ホワイトガソリンを使用するのがベストだといえるようです。
コールマンランタンの各部の名称と働き
コールマンランタンのメンテナンスや修理を行なうには、各部の働きを知ることが必要です。シンプルな構造ゆえに、部品点数は驚くほど少なくできています。ここでは各部品を大まかに9つに分け、その名称と働きについて解説します。
①ボールナット
ベンチレーターを本体に固定するためのナット。緩めればベンチレーターが外れます。
②ベンチレーター
ランタン上部を保護し、換気の役割も果たすホウロウ加工された笠状の部品です。発光中や消火直後は熱いので注意が必要です。
③グローブ
衝撃に弱いマントルを雨や風から守る部分で、耐熱ガラスでできています。
④マントル
化学繊維でできた発光体。使用前に燃やして、一度、灰状にしてから使用する「空焼き」が必要です。
⑤ジェネレーター
液体のガソリンを気化させ、きれいに燃焼させるための部品です。
⑥燃料バルブ
バルブを回すことにより、タンク内のガソリンをジェネレーターに送る部品で、明るさを調整します。点火や消火もこのバルブで行ないます。
⑦燃料タンク
内部にさび止め加工を施し、加圧ポンプを備えたタンクです。
⑧ポンプノブ
ホワイトガソリンを効率よく燃焼させるために、タンク内に空気圧を送り込むためのポンプ式ノブです。
⑨フィラーキャップ
燃料のホワイトガソリンを注ぐ部分のネジ式キャップです。しっかり閉めないと、ここから圧力で燃料が漏れてくることがあるので注意が必要です。
コールマンランタンに多くみられるトラブル
故障を疑う前に…
初心者が失敗しやすのが、燃料であるホワイトガソリンの入れすぎです。燃料タンク内にガソリンを満タンに入れてしまうと、ポンピングをする際に空気を入れる余地がなくなってしまいます。
そうすると結果的に、十分にガソリンを気化させることができず、うまく燃焼しないために故障と思ってしまいがちです。
こんなときは修理が必要
以下の症状が現れた場合は故障といえますので、ランタンのメンテナンスや修理が必要です。 ●ポンプ圧がかからない ●ランタンが点灯しない ●点灯しても炎が安定しない
コールマンランタンの日常のメンテナンス
コールマンランタンの構造はとてもシンプルです。それゆえに日常のお手入れはかかせません。逆にいえば日常のお手入れをしっかりやっていれば、修理が必要な故障を防ぐことができるばかりか、一生ものの道具としてつき合って行くことができます。
ジェネレーターのお手入れ
ジェネレーターに付いたカーボンを落とします。ガストーチで炙ったり、サンドペーパーで簡単に落とすことができます。
ポンピング部の清掃
空気を送り込むポンピングノブの軸は、知らず知らずのうちに黒ずみ、ポンピングの動作を妨げます。水分を固く絞った雑巾で、油分の汚れを拭き取りましょう。
ポンピングノブのオイルアップ
ポンピングノブはスムーズなポンピングのためにオイルで潤滑されています。ポンプキャップ部の穴から定期的に注油を行いましょう。オイルは純正のリュブリカントが最適です。
コールマンランタンのメンテナンスに必要な基本の4工具
コールマンランタンのメンテナンスや分解・修理に必要な工具は、基本的にこちらの4点が最低限必要になります。
その1:リュブリカント
タンク内の空気を圧縮し、ガソリンを気化させることによって燃焼させるコールマンのランタンにとって、ポンピングをスムーズに行なうことは非常に重要です。そのポンピングを助ける潤滑油の役割を果たすのが、このリュブリカントです。
その2:スーパーレンチ
ジェネレータやバーナー部と分解するための各サイズのレンチと、ポンピング部の分解に必要な工具がセットになています。コールマン製品の分解は、基本的にこれがあればできるようになっています。
その3:ドライバー
基本的な分解はスーパーレンチがあれば可能ですが、唯一、燃料バルブの分解のみはこのプラスのドライバーが必要になります。
その4:鉄ブラシ
日常的なお手入れはもちろんのこと、本格的なオーバーホールや修理の際にも大活躍します。ランタンの灯りに誘われた虫の死骸の掃除や、こびりついた油汚れの除去に使用します。
その他にあると便利なメンテナンスグッズ
分解やメンテナンスは、基本の4工具があれば可能ですが、その他にあると便利なメンテナンスグッズです。すべてホームセンターなどで入手可能です。
コールマンランタンの分解・修理に必要な道具とは?
基本的には日常のお手入れに必要なメンテナンス用の工具で事足ります。この他にタンク内のガソリンを空にするためのガソリン抜き取りポンプ、空気孔や汚れをブローするためのエアコンプレッサーまたはエアスプレーや、ラジオペンチなどの工具があると便利です。
修理の際に必要な交換部品とは?
燃焼の安定の修理に必要な部品は?
コールマン ジェネレーター
ジェネレーターの内部にカーボンが付着すると機能が低下します。予備のジェネレーターをご用意ください
ポンピングができない修理に必要な部品は?
ノーススターチューブマントルランタンなどのポンピング部分の交換部品。
燃料が漏れる故障の修理に必要な部品は?
コールマン オールドタイプのランタンやストーブ用のグラファイトパッキンです。
いよいよコールマンランタンの分解・修理に挑戦
それではいよいよコールマンランタンの分解にチャレンジします。分解といっても決して難しいことはありません。分解してみると、コールマンランタンの構造のシンプルさや、部品点数の少なさを実感することお思います。
この分解・組み立てをマスターすれば、日ごろのお手入れから故障の際の修理まで、たいていの事は自分で可能になるはずです。がんばって挑戦してみましょう。
①ポンププランジャーの取り外し
まずはポンピング部の分解です。ポンププランジャーをスーパーレンチを使い、反時計回りに90度回ると外れます。
②ベンチレーターの取り外し
ベンチレーターの上についたネジ式のボールナットを緩めます。外したボールナットは小さいので、なくさないように注意しましょう。続いてベンチレーターをゆっくり取り外します。ボールナットが固着して硬い場合は、防錆・潤滑スプレーを塗布すればスムーズに外せます。
③グローブの取り外し
グローブを割ったり、傷つけたりしないよう、慎重に持ち上げてはずします。グローブは固定されておらず、台座の上に載っかっているだけなので、かんたんに外れます。
④ヒートシールドの取り外し
ヒートシールドは、マントルの熱を受けて、タンクへ余分な熱が伝わらないようにするためのパーツです。固定ピンをペンチではずせば、かんたんに取り外せます。
⑤ジェネレーターの取り外し
スーパーレンチを使い、ジェネレーター固定のネジを緩め、取り外します。
⑥バーナー本体を取り外す
ジェネレーター固定ネジの下にあるナットを、スーパーレンチで外すと、バーナー本体が取り外せます。バーナー本体の下のカラー内部には、虫の死骸などのゴミがたまりやすいので、よく掃除しましょう。
⑦燃料バルブの取り外し
燃料バルブは、プラスドライバ―で取り外せます。固定ネジは小さいので、紛失しないよう注意してください。
分解の際にやっておきたいメンテナンス
空気の通り道の清掃
より良い燃焼のためには空気は不可欠です。ランタンにはこの空気の通り道が存在します。ゴミのたまりやすい部位でもありますので、分解の際に清掃しましょう。
まず一ヵ所めは、バーナー本体の空気孔です。バーナー本体を外し、裏から見ると空気孔が見えます。ワイヤーブラシやエアブローで、ここにたまったゴミや虫の死骸を除去します。 もう一ヵ所がバーナーヘッド部です。
ここには、直接マントルをとりつける部分に網目状になった空気孔があります。この網目になった部分をエアブローして清掃します。
グローブの確認
本体を分解した際には、グローブの状態を確認しましょう。ゴミや汚れは柔らかい布で拭きます。ヒビや割れがある場合は交換が必要です。また破れたマントルをそのまま使い続けると、グローブの一ヵ所が白くなったり、焦げたりした状態になります。
こうなるとグローブが割れる可能性があり、たいへん危険です。すみやかにマントルを新しくするとともに、グローブを交換しましょう。
基本的な修理の方法
コールマンランタンの分解はできました。ここからは基本的なお手入れや修理の方法です。
ポンピング部の修理
以外に多いのがポンピングができない、という故障です。うまくポンピングできない場合は、まずオイル切れを疑います。
オイルが切れてポンピングノブが出し入れできない場合は、リュブリカントをプランジャーの注油口から注入すれば、解消します。 次に分解したプランジャーのポンプカップを見てみましょう。
ポンプカップが摩耗していると、空気が抜けて圧力がかからなくなります。この場合は、ポンプカップの交換が必要です。
ポンプカップの取り外しは、ラジオペンチでプッシュオンナットの爪を起こします。ポンプカップを新品に交換し、プッシュオンナットの爪を再び寝かして固定します。
炎が安定しない場合の修理
マントルに点火はするものの、炎が安定しない場合は、ジェネレーターのお手入れが必要です。ジェネレータの煤が付着していれば、ガストーチやサンドペーパーで除去します。
ニードルが折れてしまっているようなジェネレーター本体の故障の場合は、部品の交換が必要です。新品のジェネレーターを調達し、交換すれば、ランタンの燃焼は劇的に改善します。
燃料バルブからの燃料漏れの修理
ポンピングでタンク内圧が高まった際の、燃料バルブからの燃料漏れも、よく見られる故障です。これは燃料バルブ内の鉛製のリングの緩み、または不具合です。
緩みの場合は、燃料バルブを取り外しリングを締め込みます。この際に、あまり強い力で締めすぎると、鉛製にリングがつぶれてしまいまので、適度な加減で締め付けることが大切です。
それでも修理できない故障はメーカーリペアへ
日常のお手入れや、自力での修理でどうにもならないような故障の場合には、メーカーリペアが必要です。メーカーリペアに出すには、まず購入したショップに連絡しましょう。
その後、ショップへ持ち込みか郵送で、リペア品をメーカーに送ります。この際に、事前に保証内容の確認をしておきましょう。
メンテナンスでランタンを一生の相棒に育てよう!
コールマンランタンのメンテナンスについて解説してきましたが、いかがでしたか。
もともとユーザーが自分でメンテナンスをすることを前提として作られたコールマン製品は、その構造もシンプルにできており、それゆえにメンテナンスを極めることで、自然と自分のコールマンに対する愛着も湧いてきます。
あなたもランタンのメンテナンスにチャレンジして、コールマンを一生の相棒に育て上げてください。
①ボールナット、②ベンチレーター、③グローブ、④マントル、⑤ジェネレーター、⑥燃料バルブ、⑦燃料タンク、⑧ポンプノブ、⑨フィラーキャップ