アネモネとは
アネモネ/科名
アネモネはキンポウゲ科の植物です。 同じキンポウゲ科の植物に、クリスマスローズやクレチマス、ラナンキュラスなどがあります。
アネモネ/学名
アネモネの学名は「Anemone coronaria」です。
アネモネ/花名由来
ギリシャ語で「風」を意味するΆνεμος (anemos)が花名の由来です。 なぜ「風」を意味する名前がついているか、その理由は諸説あります。 春風が吹く頃に咲く花だからだとする説や、ギリシャ神話で風の神と恋に落ちた妖精の名「アネモネ」からきているとする説があります。
アネモネ/品種・原種
アネモネ/原産地
地中海沿岸地方が原産地です。
アネモネ/分布域
温帯から亜寒帯にかけて分布しています。
アネモネ/花言葉・開花時期
アネモネ/花言葉由来
アネモネの花言葉は「はかない恋」。 ほかにも、「恋の苦しみ」のような、つらく苦しい恋愛をイメージさせる花言葉があります。 なぜ、こんな花言葉が付いたのでしょうか。それはアネモネにまつわる悲しい伝説がもとになっていると言われています。 その伝説は2通りあります。
花言葉にまつわる伝説1
まず、アネモネと西風の神の話です。 西風の神ゼピュロスは、花と春の女神フローラの次女であるアネモネを愛していました。しかしフローラは、ゼピュロスが好きなのは自分だと思っていたのです。しかしそれが勘違いだと分かったフローラは、怒ってアネモネを追いだしてしまいます。これを知ったゼピュロスは、やむをえずアネモネを花の姿に変えたという話です。
花言葉にまつわる伝説2
もうひとつは、ギリシャ神話の美少年にまつわる話です。 愛と美の女神アプロディーテーの胸に、息子であるキューピットの射た矢が事故で刺さってしまいました。この効果で、アプロディーテーは美少年アドニスに恋をしてしまいます。しかしアドニスはイノシシ狩りで死んでしまい、それを悲しんだアプロディーテーは涙を流しました。この涙がアネモネの花になった、という話です。もしくはアドニスの血から咲いた花がアネモネだった、とするパターンもあります。 ご紹介した2つの伝説は、どちらも悲しいものですよね。 このことから、アネモネといえば、恋愛にまつわる悲しい花言葉が多いのです。
アネモネ/開花時期
開花時期は3月ごろ。花茎を伸ばし、一斉に開花します。 ただ、風が吹くとすぐに散ってしまう、はかない植物です。
アネモネ/特徴
秋植えの球根
アネモネは球根で植える花です。 日本では秋に植え付けを行います。
花びらがない
アネモネといえば、赤や紫、ピンクなどのカラフルな花。 でも、この花びらに見える部分、実は花びらではないんです。 その正体は萼片(がくへん)。萼片が大きいので、私たちはこの部分が花びらだと思いこんでしまう、というわけです。
カラフルであざやかな花色
アネモネはカラーバリエーションが豊富な花。 特に、くっきりとした花色が多いのが特徴です。淡い色というより、ビビットで元気な色がたくさん揃います。
代表種はコロリアナ
アネモネを育てよう! と思っても、どんな種類を選べば良いのか、初めてだと特によく分かりませんよね。 そんな方には「コロリアナ」がおすすめ。これはアネモネの中でも、もっとも代表的な種類です。コロリアナは、花の色や咲き方もさまざま。多くのバリエーションが楽しめます。 他には、フルゲンス品種や、ブランダ系品種などが存在します。
アネモネ/育て方・栽培方法
アネモネ/難易度
アネモネは栽培難易度の低い植物。 暑さに弱く、夏には枯れてしまいますが、寒さに強いので寒い地域でも育てられます。 初心者さんでも、気軽に挑戦してみましょう!
植え付け
適期は秋。9月下旬から植え付けを行えますが、10月以降がおすすめです。まだ気温が高い時期に植えると、球根が腐りやすいので注意しましょう。とくに植え付け後、雨がたくさん降ったり、夏のような気温に戻る日があるときは注意が必要です。 対策としては、あらかじめ冷蔵庫の中で水を吸わせてから植え付けることがあげられます。2~3日前に湿ったバーミキュライトの中に入れ、冷蔵庫で冷やしてください。湿ったティッシュで包むだけでもOK吸水ができてくると、球根はふくらみます。 11月以降の植え付けなら、とくに腐らせないための対策は必要ありません。 球根は円錐形をしています。植え付けるときは、尖った方を下にしましょう。
場所
日当たり、水はけのよい場所に植え付けます。 酸性の土壌を嫌う性質があるので、植え付けの前に石灰をまいて、よくすき込んでおきましょう。こうすることで土壌がアルカリ性に傾くのです。2~3週間前には、この作業を行っておくことをおすすめします。 また、冬の寒さに充分当てないと花が咲きません。寒さにさらされることで、冬から春に季節が変わったことを感じ取り芽を出す性質があるからです。屋内に取り込みたいときも、冬の寒さを最低でも1ヵ月は屋外で感じさせることが大切です。
用土
土はアルカリ性で水はけがよければOK。さらに保水性もよければ理想的です。 粘土質の土や、じめじめした場所は避けましょう。 赤玉土、腐葉土、ピートモスを混ぜて土を作るのがおすすめ。 ゆっくり効いてく元肥を混ぜます。
水やり
鉢植えの場合、前もって湿らせておいた土を使います。 なので植え付け直後の水やりは不要です。 多湿を嫌うので、最初の水やりは植え付けから4~5日後で良いでしょう。その後は表面の土が乾き次第、たっぷりと水やりをします。花が終わり、暑い季節に地上部が枯れたら、水やりは不要です。屋根のある場所に鉢を移動し、土を乾燥させることで、来年に備えましょう。 庭植えの場合、水やりは不要です。 心配して水をあげすぎると、湿気が多くなり、枯れることがあります。 アネモネは水の与えすぎが苦手だと覚えておきましょう。
肥料
緩効性肥料、もしくは液肥を与えます。 庭植えなら、元肥として与える分だけで大丈夫。鉢植えの場合、肥料が不足すると花つきが悪くなるので気をつけましょう。花が咲くまでの間、2週間に1回の頻度で肥料を与えます。窒素の少ない肥料がおすすめです。
増やし方
球根を切り分けることで、新しい株に増やすことができます。 花期が終わり、球根を掘り出したタイミングで行ってみましょう。
病気
アネモネはさび病にかかることがあります。 葉にできた黄色いイボがはじけて、サビ状のしみのような斑点ができる病気です。発生時期は4月から10月にかけて。また、センチュウという目に見えないくらい小さな虫にも侵されることがあります。 殺虫剤を月1回程度散布しておけば安心です。
花後の処理
アネモネは花が終わると、枯れて種をつけます。 ですが、来年もアネモネを楽しみたいなら、種がつかないうちに地上部を切りとってしまいましょう。種ができると、そこに栄養分が持っていかれてしまうので、株の元気がなくなってしまいます。地上部を切りとってしまうことで、来年の分の栄養を球根に蓄えさせることができるのです。
アネモネ/来年以降も栽培を楽しみたいときは
アネモネは、1年きりしか楽しめない植物ではありません。 植えっぱなしでも駄目ではないのですが、枯れてしまった花は球根を掘り出して保管したほうが、つぎの年も元気に咲いてくれやすくなります。また秋が来たら植えましょう。
球根の保管方法
葉が半分以上黄ばんでから、球根を掘り出しましょう。 掘り出した球根は、いったん日陰で干します。そのあと風通しのよい場所で貯蔵してください。
まとめ
いかがでしたか? アネモネは簡単に育てられる植物です。 球根を掘り返す作業も必須ではないので、面倒ならずっと植えっぱなしでもOK。濃い色をしたビビットな花は、早春のまだ寂しい庭を彩ってくれます。 アネモネを植えて、春の訪れを感じてみませんか?