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【登山服装ガイド】基礎から考える夏の登山に備える服装の選び方とは?

夏に登山を楽しむためには、天候や気温の変化などで体力を奪われない知識を持ち、服装の準備をしておきましょう。それに加えて夏山登山では、怪我をしない、虫に刺され無い、植物にかぶれないなどの基礎知識が大切です。それらの知識を登山服装ガイドしてまとめてみました。
2020年8月27日
栗鼠の森人
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この記事で紹介しているアイテム

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夏山登山とは

山の気候にも春、夏、秋、冬と四季があります。 南北に長い日本列島は、北海道と沖縄・九州で月別の季節感が大きく違っています。 同じ春と秋でも地方によっては季節的に雪が降ったり、氷が張ったりすることもあります。 夏山登山にも岩登りや沢登りさらに近年盛んになっている山岳マラソン等もありますが、ここではその様に専門的な分野では無く、登山道を歩く一般的な夏山登山の服装についての基礎知識をご紹介します。

服装を重ね着する効果

風雨を含めて外気から身を守るための最も身近で簡単な方法は、空気の層をいくつも作って外気から体を守ることです。 分厚いダウンや綿入れを着るよりも雨合羽(レインスーツ)の下にヤッケを来て、その下に薄手の純毛セーターや防寒用下着を何枚か重ねて来る方法を選びましょう。 重ね着は昔からどこの国でも行われて来た伝統的な方法であり、それぞれの素材の持つ防水、防風、保温効果に加えて、衣服の間にいくつもの空気の層を作るのがポイントです。 いざという場合は衣服の間に乾いた新聞紙を入れても効果的ですが、防災アルミシートが一番おすすめです。 英語では「レイヤリング」と呼びますが、国内でもかなり一般的な言葉になっています。

1.夏山登山用の服装・レインウェア

雨の日の登山も注意して登れば、夏の季節には幻想的な空間を楽しめます。 軽量で防水性が良く透湿性のあるゴアテック等が一般的なり、さらに撥水性の素材も出回り、雨の日の登山をさけることも少なくなりました。 雨の中の登山では足元への十分の注意が必要となりますので、視線が足元に奪われがちです。その上に雨で視界が失われることも多いので、指導票や地図で常に自分の位置をよく確かめて行動しましょう。 男女を問わず鮮やかな目立つ色がおすすめなので赤や黄色などを選び、雰囲気も楽しみたいですね。

2.夏山登山用の服装・ヤッケとオーバーズボン

ウインドブレーカー|ジャケット ロングパンツ 上下セット DUV16-DUV17

出典:Amazon
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夏山登山で風の強い時に着るものは、薄くて軽いものが向いています。

ヤッケは軽量薄手で風を通さないものを選びましょう。 加えて、雨具同様に防水と撥水性に加えて汗で蒸れない様な通気性(透湿性)があり、撥水性もあって濡れてもすぐに乾く速乾性の素材が望まれます。一般的にはヤッケは上衣だけですが、風が強い場合は足元からも冷えが回りますので、同じ生地のオーバーズボンを一緒に揃えましょう。 実際にはヤッケやオーバーズボンと中の衣服の間にある空気の層が断熱して保温効果を得られるのですが、風や外気に体温が奪われ無くて済む大切な「布一枚」となります。

3.夏山登山用の服装・帽子

夏の季節には直射日光を遮け、岩角や樹木の枝に頭をぶつけることもあるので、帽子は男女共に必要です。 ツバがあり風に飛ばされ無いように頭にフィットしていれば、普段使っている帽子でも大丈夫です。 ヘッドライト、蜂避けのネットや防寒用耳あての付いている帽子もありますが、蜂避けのネットや防寒用耳あてまたは目出帽は別途、用意し、できるだけシンプルな形が良く、汗に備えて透湿性が優れたものがおすすめです。 できれば、帽子用の防水カバーを携帯すれば、多少の雨にも耐えられます。

4.夏山登山用の服装・シャツとズボン

男女ともシャツは、特に登山用で無くても少し厚めの長袖の綿地で良いでしょう。ズボンはニッカポッカも含む長ズボンで、綿だと水に濡れると肌に密着するのでウール地がおすすめです。 夏の季節はTシャツや半ズボン姿も見かけますが、岩角や木の枝での怪我や虫刺されやウルシ等の植物からのかぶれ予防を考えるとおすすめできません。 暑くなれば首筋を開けたり、袖や裾をまくったりすることはありますが、長袖・長ズボンのおかげで岩場や木の根の階段などでどれほど怪我をしないで済んだか、数えきれません。本当に「布一枚」という言葉を実感しますので、基礎知識として覚えておきましょう。


5.夏山登山用の服装・手袋

ラクナーウール|ヒマラヤングラブ

登山用手袋

登山服装においては手が自由に動けるようにすることがポイントです。 片手に山杖を持っても、両手でストックを持っても鋭い草の葉、樹木、石や岩場等に直接触れるのは手です。 たとえ指先でも負傷すると行動意欲は大きく削がれてしまいます。 その大切な手を保護するために、夏の季節でも手袋を必ずしましょう。天候がよければ軍手で構いませんが、水や汗で濡れやすく、体温を奪われますので雨天の場合に備えて防水・透湿性の予備の手袋を持ちましょう。できれば皮製とウール製の二種類があると便利です。

6.夏山登山用の服装・靴

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登山靴

夏用登山靴で履くのは男女とも基本的に長靴です。 昔の登山靴は革靴でオーダーメイドでした。大学の登山部員は、お金が無いので在学中に買いそろえられるのはやっと1足です。 このために厳冬期の冬山や岩場を除けば、長靴を履いて登山靴は担いでいました。 毛の靴下の上に長靴を履くとあまり濡れないし、足の指が岩にぶつかっても保護されるし、くるぶしもすっぽり隠れて保護されます。 底が少し柔らかい、締まり方が緩い、汗に対する透湿性に乏しい等、長靴の欠点を補って行くと夏山季節用登山靴のデザインに行き着きます。 岩登り用の様な短靴は、軽いので結構使われていますが、足をひねった場合に保護されず、登山途中に多い湿地帯にも向きません。

7.夏山登山用の服装・スパッツ

昔で言う脚絆(キャハン)です。靴用スパッツでズボンの裾と靴上部をカバーすると、靴の中に木くず、葉っぱ、岩屑等が入る事を防ぎます。 また、靴用スパッツを付けると靴が多少、水に浸かっても靴の中まで水が入らないし、水分を含んだ跳ね上げで靴やズボンが湿って汚れるのを防ぎます。 もともと、靴用スパッツは新雪のスキー滑りには靴の中に雪が入り込むのを防ぐのに有効で、使われてきました。 この知識があったので夏山でも使ったところ、大変有効で効果がありました。ただし、長靴登山には必要ありません。

8.夏山登山用の服装・インナースーツ

新素材の同等品もたくさん売られています。

夏の季節でもウール地の股引(モモヒキ)(男性用なので女性はスパッツまたはタイツ)と同じくウール地の長袖下着シャツおよび薄手のウール地セーターを携帯し、寒さを覚えたらすぐに着るようにしましょう。 面倒だと思って着たり脱いだりを怠って体力を消耗してはいけません。 ウール地以外の素材も多く出回っていますが、汗などで多少濡れても保温性のある素材であれば大丈夫です。 着るときに女性は下着姿となるため、体を隠せる薄手のシートを用意しておくことがおすすめです。防水性のものを選べば、いざという時にはさまざまに役立ちます。

9.夏山登山用の服装・アンダーウェア

男女とも基本的には純毛の濡れても体温奪われない素材がおすすめです。 しかし、汗をかく夏山登山には吸湿性の優れ、肌触りの良い綿の下着を身につけることになりますので、ビニール袋に乾いたタオルと下着の予備を携帯した方がよいでしょう。 登山用に速乾性で保温性に優れた肌着やメッシュ生地も売られていますが、汗をかいたら拭くのが基本です。 また、女性肌着に見られる体を締め付けるデザインのものはできるだけ避け、体にフィットして伸縮性の良いものを選びましょう。

10.夏山登山用の服装・靴下

登山用の靴下は原則、毛糸で編んだ厚手の少し長めになります。 そのままでは靴擦れができますので、綿のソックスを内側に履きます。 また、毛糸の靴下は特に靴の中で動くカカトの部分にすぐ穴が開きます。 これを防止するために毛糸の靴下の上に履き古したもので良いので滑りやすいナイロン製の靴下を一枚重ねます。 これも重ね着の理屈でそれぞれの靴下素材の特徴と空気の層が作用して足を保護してくれると、同時に靴や靴下の消耗も減らすことができます。 これなどは経験から得た基礎知識ですが、実用的におすすめです。


夏山登山に必要な装備

1.携帯トイレ

ベンリーポンチョ|非常時トイレの目隠し

出典:Amazon
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携帯トイレと目隠し用ポンチョ

昔は「キジ打ち」や「お花摘み」に行くと言って、登山道の傍らの茂みの中等で用を足していました。 今ではその様なことが自然保護や道義的に許されるはずもなく、持ち帰り用の携帯トイレの使用が当たり前になりました。 また、用を足す時に備えて、「目隠し用ベンリーポンチョ」が売られています。前述の着替え用のシートとは互いに兼用できます。 大自然の下で景色を見ながらゆっくりと穏やかに用を足すことも登山の楽しみですが、それには相応の準備がいります。

2.寝袋

夏山登山では寝袋を携帯することは余り無いと思われますが、携帯するのであれば薄くて軽く、汗や水分からの湿り気にも強いダウン(水鳥の羽)を詰めた寝袋ないし同等な性能の寝袋がおすすめです。 寝袋の下敷で断熱効果のあるエアーマット及びザックの外側に寝袋を取り付けられる防水性収納袋は欠かせません。 また、夏山登山での宿泊は山小屋を利用するので、特に女性は寝袋よりもシーツ代わりに薄手の寝袋カバーを持参すると、他人の寝た布団でもそれ程抵抗なく寝られます。

3.登山用ザック

カリマー|タトラ 20

出典:Amazon
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20リットルザック

登山用のザックはキスリングが定番で、背負った姿が蟹(カニ)の様に見えるので蟹族とも呼ばれていました。 しかし、今では蟹族と云う言葉を耳にすることはない程、横長キスリングは使われずに体の幅程度の縦長の登山ザックが使われています。 ただ、下に軽いものを詰めて上に重いものを詰める原則は変わっていません。 登山ザックの軽量化は進んでいますが、非常時にビバークする時には足や下半身を入れ込んで保護するためにも使いますので素材としては防水性と透湿性が大切です。 体力温存を考えると、登山に携帯する装備の選別・軽量化を工夫した方がよいでしょう。20リットル位には抑えることがおすすめですが、女性で30リットル、男性で40リットルを超さないように選びましょう。

4.登山ザックに取りつける付属品

飲料用の水や飲み物は、ポリタン等に入れて登山用ザックに収納しますが、沢や湧水を飲むための金属製のコップ、疲労した時の元気づけに飲む熱い紅茶等を入れるテルモス(小型魔法ビン)等は、登山ザックの脇に固定して直ぐに取り出せるようにします。 畳んだ防水シートを装着しておくと湿った場所に腰を下ろしたり、急な雨に対応したりできます。 登山ザックの付属品としては忘れがちですが、雨天用の登山ザックカバーはかならず携帯するようにしましょう。

5.登山用ガスストーブ(コンロ)とコッヘル(調理器具)

プリムス|GAS CARTRIDGE ハイパワーガス(大) IP-500T

出典:Amazon
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風が当たると加熱が弱く成ったり、火が消えたりするので、岩陰等風よけが必要です。

ラディウス等の石油ストーブだと取り扱いが厄介ですが、プリムス製等のガスストーブをだと、小型軽量でコッヘルと組み合わせることで容積も許容範囲になるので携帯する事をおすすめします。 夏山登山では自然を愛でしたしむ事に楽しみがあります。身軽になればなる程、速足で長いコースを踏破したくなりがちですが、後で振り返ると短時間で通過した場所の記憶はほとんど残りません。 気に入った場所に留まって、登山用ストーブでお茶等立てながらその雰囲気を楽しむ余裕を持つ事が、登山を一層楽しい思い出としてくれるでしょう。

6.帯付小物入れ(コンパクトなウェストポーチ)

帯付小物入れは海外旅行の団体客が腰の前に下げて、パスポートやサイフを入れているのを見かけます。 その帯付小物入れの小さめなものをバンドの上からお臍の脇辺りに下げて磁石、ナイフ、ライター、電池、GPSやスマートフォン、ミニ・ラジオ、靴紐の予備や動物除けの鈴や非常用の笛等を入れておきます。登山用ザックをいちいち下ろさずに済み便利です。 状況によっては虫よけのスプレーや傷薬等の救急薬品も入れられます。材質としては、中身を濡らしたくないのでの防水性や撥水性のものを選びましょう。


7.地図ケース

イスカ|ドライマップケース

出典:Amazon
出典:Amazon
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大きめでチェック付の冷蔵庫用ビニール食品袋で間に合います。

帯付小物入れと対称な腰の位置に地図ケースを吊るすと、自分の位置を確認しながら登山するのに便利です。 現在は登山道と指導票が整備されているとは言え、国土地理院発行の2万5千分の1あるいは5万分の1の地図で常に自分の位置や登山道周囲の知識を確認しながら歩ことは、登っている山の地形を知ることができるばかりでは無く、霧(キリ)や靄(モヤ)で視界が失っても周囲の状況を地図から読み取れるので慌てなくて済み、遭難の機会を大きく減らすことができます。

8.山杖またはストック

一番大きな違いは片手で支えるか両手で支えるかです。

山登りでの体の安定は大切な要素であり、山杖やストックはバランスを保つ大きな助けとなります。 特に下山途中での体の安定を保つのに役立ちます。このために長さが重要な要素となりますので、軽量かどうかよりも自分の身体にあった長さに調節できることが必要です。 登山中に手を放してしまうことも有るので、流れ止めの手首環はかならず着けましょう。 杖やストック先は金属製になっていますが、持ち運びを考えて先にゴム製の保護環等を取り付けておきます。電車やバスの中で他の人に迷惑をかけずにすみますし、室内用にも使えます。

9.ツェルト

アライテント| 撥水ツェルト2

出典:Amazon

ベンチレータから顔を出すと体に羽織ることもできます。

ツエルトを着た場合。

ツェルトは登山用の小型軽量テントですが、フードの付いた大きなポンチョにもなります。 非常時のビバーク用に携帯したり、簡易小型テントとして利用したりすることもできます。基本的には風を防ぎ、雨を凌ぐ大きな布なので、山中での着替えの際や用を足す時の「目隠し用ベンリーポンチョ」として利用することもできます。 以前は小さく軽いので夏山登山の非常装備として携帯することが当たり前の様に思われていました。

夏山登山用の服装・まとめ

夏山登山服についての基礎知識をご紹介しましたがいかがでしたか? 夏山登山を楽しむには軽くて活動しやすく、それでいて怪我等から身体を守ってくれる服装が望まれます。 登山の服装は街での服装と違って、登山の服装の上に身に着ける帽子、手袋、登山靴、登山ザック、山杖等身に着けるもの全てなので、それぞれの特徴の基礎を押さえる必要があります。 登山と云うと山の中を歩くことだけを考えがちですが、その歩きをいかに楽しめるかは軽くて活動しやすい登山の服装の工夫に掛かっています。 その様な服装は登山専門店でなければ手に入らない物もありますが、特に夏山登山では男女ともほとんどは普段に着ている衣服から選ぶ事ができます。 限られた登山ザックの収納できる容量と重量の中に必要最小限の装備をどう選びとどう整えるかを考え始めた時からすでに登山は始まっています。夏山登山服の基礎知識を身につけましょう!