エンドウの栽培、種をまく前に知っておきたいこと
北海道や東北地方などの寒冷地を除き、エンドウは秋に種まきをすることから始まります。 この種をまく時期がとても重要になってきます。 寒さに強いですが、幼苗のうちは霜に直接当てないように注意が必要です。 そのため、秋に早くまいてしまうと、生育が進みすぎて、冬に寒害にあってしまい、根や葉茎が傷んでしまいます。逆に遅くまくと、生育が悪くなり収穫量が落ちてしまうのです。 また、エンドウは連作を嫌うので、4~5年は栽培していない場所を選んでまきましょう。 連作を避ける場所がない場合は、大型のプランターで育てることも可能です。
エンドウの種類
栽培するためには、まず、品種を選ぶことから始めないとなりません。 エンドウは、大きく3種類に分けられます。 ・若いさやを食べる「サヤエンドウ」 ・未熟な実を食べる「グリーンピース」 ・さやも実も食べる「スナップエンドウ」 実際に育てる時には、つるがある種類とつるなしの種類があり、つるありの方が収穫期間が長い分収穫量も多いです。 さらに、サヤエンドウには花が赤い種類と白い種類があります。 花の色は関係ないようにも思えますが、キッチンガーデンのように、見た目も重視するのなら、大切になってきます。エンドウの花は、スイートピーに似たかわいらしい花をつけます。 ちょっと変わった品種としては、ツタンカーメンのお墓から発見された、つるありで、赤い花に紫色のさやがなる面白い種類もあります。庭先で見た目も楽しみたいという方におすすめです。
エンドウの栽培に適した土作り
エンドウは連作をとても嫌います。豆類の中でも特に連作障害がおこりやすい作物です。ですから、4~5年はエンドウを栽培していない場所を選びます。 そして、酸性の土壌に弱いため、種まきの前に苦土石灰をまきます。土壌pHが6.0前後になるように調整するのです。一般的には、1㎡当たり苦土石灰を二握りほどまくとよいとされています。作物が育ちにくかったりする場合は、一度土壌のpHを測ってみた方がいいかもしれません。 水はけのよい場所の方がいいので、水はけが悪い場合は、10㎝ほど高く土をもるなどの対策をした方がいいでしょう。
エンドウの種まきの仕方
タネをまく2週間前に、苦土石灰をまきpHを整えておきます。 そして、タネまきの1週間前にはたい肥をすき込み、元肥を施しておきます。 タネは1か所に4~5粒まき、間隔は30㎝程度と少し広めにします。専門の農家のかたのやり方とは違い、家庭菜園では、病気の予防と管理のしやすさを考えて、間隔を広めにした方が育てやすいです。 まず、ビンや容器の底を利用して1㎝くらいのくぼみを作り、タネを4~5粒まき、1~2㎝くらいの土をかけます。 そのままだと鳥に食べられてしまうこともあるので、発芽するまで不織布などで覆っておきます。 発芽して本葉が2~3枚になったころ、生育の悪い株を根本から切り、3株に間引きます。 本葉が4~6枚になったころ、株の周りに肥料を施し、株の根元にしっかり土をかけて倒れるのを防ぎます。
支柱の立て方
3月頃になり、草丈が20から30㎝くらいに成長してくると、つるが伸び始めてきます。その前に支柱を立てます。 つるありの種類は2m程度、つるなしの種類は1m程度の長さの支柱を立てます。 支柱の立て方は、パレット仕立てや合掌仕立てなど色々な種類があります。 棒と紐だけで仕立てる方法もありますが、ネットを使ったやり方が誘引もしやすく適しています。 ネットもうまく張る自信がないという方には、家庭菜園であれば、トレリスやオベリスクを使うことをおすすめします。おしゃれですし、簡単です。
エンドウの管理と育て方
育て方の基本はつるの整枝につきます。つるを伸ばしっぱなしにしておくと実つきが悪くなり、味も落ちてきます。そうしないために、つるを整理していきます。 まず、根本から伸びる親づると、この親づるから伸びる子づるは実つきがいいので残しておきます。 そして、子づるから伸びる孫づるはどんどん摘んでいきます。 この時に、伸びた子づるどうしが重ならないように誘引していきます。そううすると日当たりがよく、風通しもよくなるため、病気にかかりにくくなります。 次に育て方で大切なのは、肥料のやり方です。 エンドウはマメ科の植物なので、根に根粒菌という菌が共生します。そのため、チッソが根粒菌から供給されるので、チッソ肥料はあまり必要ないのです。逆に、チッソが多くなると収穫量が減ってしまうので注意が必要です。チッソが少ない肥料をやりましょう。
エンドウの収穫の時期
桜の季節が過ぎ、初夏の訪れが近くなってくると、エンドウの収穫が近づいてきます。 エンドウの収穫のタイミングは、意外と難しく感じます。 絹さやなどのサヤエンドウなどは、なんとなく見た目で、お店に売っているくらいになれば問題ないですが、それと比べると、グリーンピースは少し難しいです。 収穫する時期の目安は、 「サヤエンドウ」さやが大きくなって、中の実が少しふくらみ始めたころ。 花が咲いてから、12~15日くらいです。 「グリーンピース」中の実が十分大きくなり、さやの表面にしわがより始めるころ。 開花後、35日くらいです。 「スナップエンドウ」実がふくらんだころ。開花後、25日くらいです。
エンドウのかかりやすい病気と害虫
栽培していく上で、どうしても考えておかなければならないのが病気と害虫です。 エンドウのかかりやすい病気 ・うどんこ病など エンドウが被害を受けやすい害虫 ・アブラムシ ・エカキムシ ・ヨトウムシ など 病気の原因はほとんどカビ類になります。

よく発生します。水を勢いよくかけるだけで流れていきます。

夜に活動するので、夜盗虫と言われています。
エンドウを病気にしないための育て方
病気の予防と聞くと、なんだか人間の体と同じような感じがします。 実際のところ、考え方は同じで、まず病気にならないように予防する育て方が第一です。そして、万一病気にかかってしまったら治療します。 エンドウの病気を予防する育て方として、 ・連作を極端に嫌う作物なので連作を避ける ・排水のよい土壌に植える ・酸性の土壌に対して弱いので、pH6.0前後になるように石灰をまく ・適切な大きさの幼苗で冬越しをさせる ・枝が混みすぎて蒸れてしまわないように、整枝する ・チッソを与えすぎない 病気になった時の治療は薬剤を適切に使う。 害虫は見つけ次第捕殺する。
エンドウの栽培、成功するためのポイント
・連作を避けた場所選び ・適正な土壌のpH ・適切な時期のタネまき ・チッソを与えすぎない肥料の使い方 ・病気にならないための整枝 家庭菜園だと、そんなに広い場所がなく、連作を避けられない場合が出てくると思います。そのようなときには、大型のプランターで育ててみましょう。 また、長年、家庭菜園を続けていると、どうしても土壌のpHが偏ってきます。一度、pHを測ってみるといいです。 チッソは、エンドウに限らず、どの野菜を育てていく上でも多すぎると病気にかかりやすくなります。肥料の成分を確認しましょう。
まとめ
家庭菜園でエンドウを栽培する醍醐味は、収穫したものをすぐ食べることができること、農薬を極力避け、安心安全な食べ物を手に入れることだと思います。 タネをまくことから始めると、収穫までおよそ半年。注意することが多く、少し手間はかかりますが、獲れたてのあの味は作った人でなければ味わうことができません。見返りは大きいです。 ぜひ、エンドウを育ててみませんか。
もう少しで収穫です。