はじめに
「アカモク」という海藻について、これまで聞きなれない人も多いのではないでしょうか?「モズクやめかぶなら聞いたことがあるけど、アカモクって何?」と疑問に思われた人のために、まずはアカモクとはどんな海藻なのかについて解説していきます。
アカモクとは?
アカモクは、北海道東部を除いた日本各地の海や中国、ベトナム、韓国にも生息している海藻で、非常に生命力が強く、食用にしている地域とそうでない地域で、全く扱われ方が異なる海藻です。
郷土食としてアカモクが食べられている国や地域では、アカモクは健康食としてとても好んで食べられており、重宝がられていますが、食用にしていない国や地域では、アカモクが原因で、養殖場や船のスクリューなどに絡みつくため、「邪魔モク」と言われ嫌がられています。 食用かどうかというだけで、全く違った扱いを受けるこの「アカモク」ですが、アカモクの健康効果とは一体どのようなものなのでしょうか。
アカモクの健康効果とは?
最近になって、海藻が健康に良いスーパーフードとして日本国内にとどまらず、海外でも人気です。なぜなら海藻は、昆布やわかめ、もずくやひじきのように低いカロリーなのに栄養価が高く、美肌効果や便秘解消、ダイエット、生活習慣病予防などに良いとされています。ここではそんなスーパーフードのアカモクの健康効果について詳しく見ていきましょう。
アカモクは体に良い影響を与える栄養素がたくさん
アカモクには、体に良い栄養素がたくさん含まれています。アカモクの栄養素の中で、最も代表的なものとしては、食物繊維のあるフコイダン、カロテノイドのフコキサンチンなどが有名で、それらの栄養素が影響して、アカモクのネバネバ感を出しているそうです。
アカモクには、海藻類の中でもナンバー1の食物繊維量がある
アカモクに豊富に含まれる食物繊維は、同じ海藻類の中でも群を抜いており、わかめやこんぶなどの私たちの食卓に良く並ぶ海藻のなかではほぼナンバー1の海藻といえます。
アカモクには健康効果の高い「フコイダン」が含まれている
アカモクに豊富に含まれる食物繊維を「フコダイン」と呼び、それが水に溶けるとネバネバになるそうです。また、この「フコダイン」という食物繊維は、水溶性のもので、腸内で醗酵して善玉菌を増やしてくれる働きもあります。そのため、「フコダイン」を多く摂ると、腸内環境が良くなる健康効果も期待できます。
アカモクで腸内環境が改善して便秘解消!?
長い間苦しめられていた便秘も改善する可能性があり、体の中に知らず知らずの間に蓄積されていた有害な物質や老廃物も体の外に押し出す働きもあり、それにより、肌荒れなども予防できます。 そのため、アカモクに含まれる食物繊維「フコダイン」には、腸内環境を良くしてくれると同時にデトックス効果や美肌効果の両方が期待できるのです。
アカモクで免疫力アップ効果も
食物繊維のあるフコダインという成分には、免疫力をアップしてくれる効果があり、具体的には体の中のは白血球の免疫細胞の中の「マクロファージ」や「NK細胞」などを活性化するといいます。
白血球の中にあるマクロファージと呼ばれる物質は、積極的に体の外から入ってきたウイルスや菌などを食べてくれる働きがあり、その菌やウイルスの情報を他の免疫細胞に連絡する働きもあります。そして、同じく白血球の中にあるNK細胞という細胞は、体の中でウイルスに感染した箇所があれば、そこでウイルスを攻撃して、体を守ってくれる働きがあります。2つとも、どちらも白血球の中に含まれるもので、体の免疫を上げるために欠かせない物質であることは間違いありません。
他の海藻や野菜より高いアカモクの抗酸化力がスゴイ?
アカモクにはポリフェノールという栄養素が豊富に含まれています。このポリフェノールとは、野菜などに多く含まれる栄養素のことで、自分の足で動けない野菜などの植物自身が、害虫などから身を守るために備えている物質のことで、このポリフェノールがあるおかげで、ウイルスや有害物質が体の中に入っても、強力な殺菌作用や抗酸化作用が期待できるのです。
そもそもなぜ、私たちの体で抗酸化作用のあるものが必要なのでしょうか?それは、体の中で活性酸素と呼ばれる本来は私たちの体を守ってくれる働きのある物質が増えすぎることにより、逆に体に害を及ぼす存在へと変化することがあります。例えば、細胞を攻撃したり、血管などを酸化させて傷つけることもあります。そのため、老化が進行したりと、体に悪影響を及ぼす結果となるわけですが、それを食い止める作用があるのが、抗酸化作用のある物質です。
アカモクは動脈硬化や糖尿病予防にも効果あり
特に、このポリフェノールがあることで私たち人間にとって嬉しい効果がもう一つあるのです。それは、体にある活性酸素を除去し、皮膚や細胞の老化を防止し、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病を予防してくれる働きもあるのです。
アカモクの美味しいおすすめの食べ方
海藻類の中でもこの「アカモク」とは、特に注目を浴びており、モズクなどと比べ物にならないほどの驚異的なネバりがあるのが独特です。シャキシャキした部分とネバネバ部分との両方の食感を併せ持ち、とても美味しく食べることができます。また、色々な食材と合わせやすいので、様々な料理に入れて、バリエーション豊かに食べることができる海藻でもあります。
お湯や水で戻したアカモクは、サラダやうどんや納豆などにそのまま入れても美味しく食べれます。アカモクの食べ方の中で、アカモクはほぼ主役で登場することはありませんが、乾燥したアカモクなら、日持ちがするので、台所に常備しても良いでしょう。 では、アカモクをより美味しく食べるためにはどのような食べ方が一番良いのでしょうか?
ここでは、美味しいアカモクの食べ方をご紹介します。納豆にかけて一緒に食べたり、味噌汁に載せたりなど、様々な料理とコラボしてアカモクを食べることができるので、非常にバリエーション豊かに、飽きずに食べることができます。 それでは、ここではおすすめのアカモクの食べ方を見ていきましょう。
酢の物とアカモクの和え物
酢の物とアカモクを一緒に食べる食べ方も、とても簡単で健康にも良くおすすめです。食べ方の方法は、水で戻したネバネバのアカモクをサッとざるに入れて、そこに熱湯をくぐらせます。そして、そこにお酢をかけて完成です。夏の暑い時期などにササッと食べることができます。
アカモクのかき揚げ
アカモクの美味しい食べ方はそれ以外にも「かき揚げ」にする方法もあります。かき揚げには、水で戻す前の乾燥した状態のアカモクを使います。そして、アカモクの茎よりも先の葉の部分をスライスした玉ねぎや人参などの野菜と一緒にかき揚げにして完成です。アカモク以外の野菜も美味しくたくさん摂取できるうえ、アカモクのネバネバしたところが苦手な人にも人気の食べ方です。
アカモクのつくだ煮
アカモクの美味しい食べ方には「つくだ煮」にする方法もあります。アカモクのつくだ煮の作り方は、簡単。乾燥したアカモクをハサミで短く切り、それを数分間水で戻します。その後、水で戻したアカモクを浸しょうゆなどの調味料に浸し、さらに隠し味として、微量のしょうがを入れるとさらに風味が増し、さわやかな味になります。
代表的なアカモク料理
アカモクの食べ方には色々な食べ方がありましたが、ここではおすすめのアカモク料理があります。
伝統的な秋田の郷土料理「ギバサ」
秋田県の郷土料理に「ギバサ」と呼ばれるアカモクの郷土料理があります。この料理は内臓脂肪を減らす働きがあるため、ダイエット効果も期待できる古くから秋田の人に親しまれるアカモク料理なのです。この郷土料理は、何百年もの間、東北地方の人々に親しまれてきました。
なぜなら昔、東北地方は冬の時期、あまりの寒さでそこに住む人々は野菜を摂取することがなかなかできなかったため、海にある海藻のアカモクから栄養素をとっていたそうなのです。そのため、ワカメや昆布などがたくさんある中でも、今もアカモクが秋田で郷土料理として地域に根付いているのかもしれません。
アカモク丼
アカモクは、様々な丼ものに載せて食べることが多いです。上の写真は、中落ちユッケ丼のまわりにアカモクを一緒にしたものです。他にもシラスや納豆などと一緒に丼ものとしてアカモクを食べる料理がたくさんあり、一番シンプルなのは、ご飯の上にアカモクと卵を乗せ、上からねぎを散らしたもの。それらを総称して「アカモク丼」と呼びます。
アカモクには若干の塩味も含まれているため、余分な塩分は多く必要ありません。お好みでポン酢などを一緒に入れる人もいるようですが、そのまま丼ものにかけても十分美味しく食べることができます。
アカモクの味噌汁
アカモクの味噌汁は、アカモクを使った料理の中でもとてもよく登場します。味噌汁とアカモクの相性も抜群で、とても美味しく食べることができます。温かい味噌汁の中にアカモクを入れて、一緒に栄養もしっかり摂れるのでアカモク料理の中でもおすすめの料理です。
アカモクうどん
アカモクを乗せたうどんも、とても人気があります。うどんとアカモクとの相性は抜群で、うどんの中に入れることで、ほのかな塩味もあり、味にインパクトも出ます。普段うどんに入っているとろろのような役割をするアカモクは、栄養価も高く、体にも良い影響を与え、うどんも消化に良いので、体に良い料理です。
アカモクにはダイエット効果がある!?
アカモクは、健康に良い効果をもたらす以外に、ダイエット効果や美容効果、そしてアンチエイジング効果があります。血液をサラサラにし、生活習慣病を予防する効果もあるアカモクはまさに万能な健康食品といえます。
アカモクには、摂取するだけで脂肪を燃やす「フコキサンチン」が含まれている!
アカモクには「フコキサンチン」と呼ばれる栄養成分もあり、脂肪を燃焼させてくれる働きがあります。そのためダイエット効果の高い食品として注目されているのです。また、アカモクに含まれる「フコダイン」には血中コレステロールの値を下げ、血糖値の上昇を防ぐ働きがあります。そして、このフコダインは、水溶性の食物繊維のため、天ぷらなどの油っぽい食事で吸収された余分な脂肪を腸の中で吸収し、便などと一緒に排出してくれるのです。
それと同時に「フコダイン」とは血液をサラサラにする効果もあり、糖質の吸収を穏やかにし、中性脂肪も下げてくれる働きもあります。その結果、肥満防止・ダイエット効果も期待できるため、女性にも好んで食べられるこのアカモクという海藻。
アカモクの隠された歴史とは?
アカモクの歴史は、日本だけに限ったことではありません。アカモクはその栄養素の高さから、世界の人々に非常に好んで食べられていた海藻でした。 海水の塩分も多く含んでいることから、昔の人には塩分補給の手段としても食べられており、中国では昔から漢方の原料としても使われてきました。 そして、東南アジアではサラダにアカモクを入れて料理のひとつとしても食べられるようになりました。 さらに日本でも奈良時代の頃から、アカモクは、「玉藻」という名前で当時の人々にも親しまれていたようです。万葉集にもアカモクは当時の名称である「玉藻」として載っていました。
古くからこのようにアカモクは、健康に良いとされ日本人にも世界の人々にも愛されてきましたが、時代が進むにつれて、他のワカメや昆布といった海藻が食卓を彩ったことで、次第にアカモクなどの存在が人々に知られないようになっていきました。 しかし最近、メディアなどの影響で、アカモクに驚くべき健康効果やダイエット効果、美容効果などがあることで、再び時代を超えて、注目が集まりつつあります。
アカモクは地球環境を救う?
アカモクとは、ダイエット効果や栄養価が高く、人間の体に良い影響を与える海藻ということで知られていますが、実はアカモクは、海の水質を浄化させる働きもあったのです。アカモクがたくさん海に生息することで、海も美しくなり、魚も住みやすくなるという良い作用が生まれます。
アカモクには海水を浄化する働きがある!
しかしなぜ、アカモクは海をキレイにする働きがあるのでしょうか? それは、アカモクに海の中の赤潮の原因になるプランクトンなどを食べてしまう働きがあるのです。そのため、赤潮はアカモクのおかげで防ぐことができます。 そして、大きく育ったアカモクは、海水の流れを穏やかにする力もあり、細かい浮遊物質を周りに落とす働きもあり、そのおかげで、アカモクが住んでいる周りには、魚が住みやすくなり、エサや産卵がしやすい良質な海が広がるといいます。
おわりに
ここでは、アカモクの栄養効果や美容効果、ダイエット効果についてご案内してきました。それ以外にも、アカモクのおすすめ料理や食べ方なども詳しく紹介していますがいかがだったでしょうか。最近メディアでも紹介され、その影響からか次の日には、通販でのアカモクの注目が殺到するという現象も起きたほど、世間からその栄養価やダイエット効果の高さで注目を浴びた「アカモク」。美味しい料理と一緒にアカモクを気軽に少しずつ摂取していけるとかなり体に良い影響があるので、おすすめです。