アボカドの基礎知識
アボカドは「森のバター」
アボカドは、クスノキ科ワニナシ属の常緑高木に成る果実です。 皮がごつごつしていて、ワニのうろこのようにみえることから、和名を「ワニナシ」ともいいます。 熱帯などに自生する木は、大きいものだと30mくらいになるものもあるそう。 果肉のうちの20%程度を脂肪が占めているので「森のバター」と呼ばれます。 ビタミンやカリウムも多く含まれています。 アボカドの脂肪は、皮下脂肪になりにくい不飽和脂肪酸がほとんどです。 ですから、安心して食べることができますが、アボカド1個分でお茶碗1杯分のご飯と同じくらいのカロリーがあるので食べ過ぎには注意です!
「アボガド」「アボカド」どっちが正しい?
アボカドが日本でスーパーなどの店頭に並ぶようになったのは、1970年代からだといわれています。 日本語では「アボカド」よりも「アボガド」の方が発音しやすいこともあって、初めは「アボガド」と表記していたお店も多かったようです。 正確には英字表記は「avocado」なので、「アボカド」の方がより正解に近いということになります。 しかし、「アボガド」という呼び名も広く浸透しているので、農水省ではどちらの表記でも可と認めているそうです。 マクドナルドの「ドナルド」もアメリカ本国では「ロナルド」だけど、日本人に発音しやすいように「ドナルド」と呼んでいるって知っていましたか? それと同じですね!
種は捨てちゃダメ?アボカドの種の様々な利用方法
アボカドの種を発芽させて育てると、観葉植物に成長するのは多くの人が知っていると思います。 でも、アボカドの種の利用方法はそれだけじゃないんです! アボカドの種には、ただ捨てるのはもったいないくらい多くの栄養分が詰まっています。 また、身体に採り入れるだけではない楽しい活用法もあります。 その中の一部を少しだけご紹介しますね。
アボカド種茶
アボカドの種は、スライスして煮出すとお茶になります。 食物繊維が豊富で、便秘の解消やダイエット効果も高いそう。 そのままでは雑味があって飲みにくいので、スープにしたり、スムージーにして味わうのがおすすめ。 下は、「解決!ナイナイアンサー」の 2015.12.29放送「ラクやせダイエット」で紹介されたものを飲みやすくアレンジしたレシピです。
【材料】アボカドの種 1個 水 1L 紅茶ティーバッグ 1つ レモン果汁 適量 【作り方】 1.アボカドの種1個を半分に切り、5㎜幅にスライスします。 2.1Lの水の中にスライスした種を入れ、30分煮出します。 3.30分経ったら紅茶のティーバッグを入れて色が出るまで待ちます。 4.レモン果汁を入れます。アイスがお勧めです。氷を入れたグラスに注いで召し上がれ。
ローストして料理のトッピングやおつまみに
続いて、アボカドの種をローストして細かく砕き、おつまみやトッピングの素材に加工するレシピ。 ナッツ類のようにヨーグルトやシリアルに入れれば、気軽に食べられますね。
【材料】アボカドの種 1個 【作り方】 1.取り出したアボカドの種をよく洗い、水分を拭き取ったら、120℃のオーブンで2時間ローストします。 2.薄皮を剥がします。火傷しないように少し冷めてからがベター 3.柔らかくなっているので包丁で適当な大きさに切り、ブレンダーで砕きます。ブレンダーがなければ包丁で細かくしてもOK 4.140℃くらいの低温で、きつね色になるくらいまで20分くらいさらにローストして出来上がり。もちろん3のままでも使えます
草木染めにする
アボカドの種を濃い目に煮出して作った種茶に染色したい糸や布地を浸けると、きれいな染めものができるそうです。 色は、アボカドの果実からは想像できない淡いピンク色です。 種だけでなく、皮を乾燥させて煮出したものも加えるとより色がはっきりと出るようですよ。 お子さんと一緒に挑戦してみるのも楽しそうですね!
アボカドの栽培方法
次に、アボカドを種から育てる場合の栽培方法について説明していきます。
水耕栽培
アボカドは、食べ終わった後の種を使って水耕栽培で育てることができます。 透明なカップに水を張り、種を入れて育てると、根が伸びたり発芽するところを見ることができるので、家族で観察するのも楽しいですよ。 水耕栽培のメリットは、冬の寒い時期でも室内で育てることができること。 デメリットは、こまめに容器の水を換えなければならないことです。 また、水耕栽培のままではアボカドを大きく育てるのが難しいので、半年ぐらい経って葉が何枚か出てきたら鉢に植え替えた方がよいでしょう。 アボカドを水耕栽培で育てる場合の詳しい手順については、以下の記事で詳しく触れているので、参考にしてみて下さい。
鉢植え
アボカドは、もちろん最初から土に植えて鉢植えで育てることもできます。 土に植えてしまうと発根する様子を観察することはできませんが、水耕栽培のように水換えの手間もかからず、土の表面が乾いたら水を与えればよいので、忙しい人でも気軽に取り組めるかも。 屋外で管理するなら、気温が20度以上ある5~6月頃に始めるのがおすすめ。 忘れていた頃に発芽して葉が出てきた!という小さな喜びを味わうことができるかもしれません。 冬場は室内に入れるか、なるべく寒風の当たらない場所で管理してあげたいですね。
アボカドの栽培で注意したい10のこと!
それでは、実際にアボカドを種から育てる場合の注意点について、ポイントを押さえて見ていきましょう。
1.アボカドを低温化に置かない
冷蔵庫などの低温化で管理されたアボカドは、発芽しにくい傾向があります。 買ってきたアボカドを冷蔵庫に入れる人はあまりいないと思いますが、冬場は常温保存する場合でもなるべく暖かい所に置いて下さい。
2.アボカドの種はそのまま植えない
アボカドの果肉には、種の発芽を抑制する成分が含まれていまるので、食べ終わった後は種についている果肉をきれいに洗い落として下さい。 薄めた洗剤を使って油分を洗い落としてもOKです。 果肉が少しでも残っていると発芽しないだけでなく、水耕栽培で育てる場合は水の腐敗にもつながるので注意が必要です。
3.アボカドの種は乾燥させない
食べた後のアボカドの種を放置していると、乾燥が進んで発芽しにくくなるので、すぐに作業できない場合は水に入れて保存して下さい。 この場合、種全体が水に浸かっているといずれ腐ってしまいます。 鉢植えにしたいけどすぐには無理、という場合は、とりあえず水耕栽培の方法で管理した方がよいでしょう。
4.水耕栽培は種が腐らないように管理する
水耕栽培では、容器の水換えをさぼったり、夏の直射日光が当たる場所に置いておくと、種が腐ってしまうことがあります。 水に浸けてから3ヶ月以上たっても種が割れる気配がなかったら、失敗だったかな?と思った方がいいかもしれません。 種が腐っていなくても、根や芽が出てこない場合もあります。 確実に育てたいなら、入手経路の違うアボカドを幾つか用意して芽出しにチャレンジしてみましょう。
5.発芽するまでには時間がかかる
アボカドの種は、まず先に根が出てその後発芽します。 種が割れて発根が始まるのが、栽培を始めて平均1ヶ月前後です。 夏はこれより早い場合もありますし、冬は2ヶ月以上かかるのが普通です。 水耕栽培の場合は、根が出てくる様子が分かりますが、土に植えた場合は、発芽して芽が地上に出てくるまでは正常に成長しているのか分かりません。 水だけで育てるアボカドと土に植えるアボカド、両方試してみるのもいいかもしれませんね。
6.日当たりの良い場所に置く
アボカドは、中南米原産の植物なので、基本的に強い日差しが大好きです。 暖かくて、よく日の当たる場所に置いて下さい。 冬の寒さで、せっかく大きくなったアボカドを枯らしてしまったら可哀想なので、鉢植えの場合は、冬場は暖かい場所で管理してあげた方がよいでしょう。 冬の室内は暖かくても乾燥しがちなので、水やりには気を配って下さい。 若木のうちは、風が強いと幹が折れることもあるので、支柱を立ててあげた方が安全です。
7.鉢植えの場合は害虫に注意!
室内にアボカドの鉢植えを置いていると、どこからともなくコバエがやってきて気になる…ということがあるかもしれません。 食卓に近いところには鉢を置かないようにしましょう。 また、土の代わりにハイドロボールなどの人工的な植え込み材を使うと虫の発生はなくなります。 その代わり、アボカドが土から養分を吸収することができなくなるので、液肥などで栄養分をしっかりと補ってあげて下さい。
8.水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと
アボカドは、比較的水を好む植物です。 鉢植えで育てている場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと水をあげて下さい。 ハイドロボールなどを使った水耕栽培で育てている場合は、容器いっぱいに水を入れると呼吸ができなくて根腐れしてしまいます。 規定の水の量を守って育てて下さい。
9.葉が増えてきたら大きな鉢に植え替える
アボカドの葉が増えて、鉢の底から根がはみ出してきたら、ひとまわり大きな鉢に植え替えます。 なるべく、根を切らないように植え替えてあげて下さい。 その後も成長を見ながら、根が混んできたら数年に1回は植え替えをします。
10.大きく育てたくない場合は地植えしない
アボカドを直接土に植えると、土壌などの条件が良ければどんどん背が高くなり、1年で2mほどの大きさまで到達することがあります。 大人の身長よりも大きくなると剪定も大変なので、できれば地植えは避けた方が無難です。 鉢植えでも条件が合えば、かなり大きく成長することがあります。 これ以上大きくしたくない、という高さにアボカドが達したら、先端を切り詰めて側枝を伸ばし、葉を出させて樹形を整えます。
アボカドが開花した!自宅栽培で結実するの?
土に植えたアボカドは、早ければ数年で花が咲くこともあります。 ただし、雄花と雌花の咲く時間帯が違うので、1本の木だけでは受粉させることができません。 もし2、3本のアボカドの木を同時に植えたとしても、受粉の成功率は1万分の1と奇跡に近い確率だそうです。 つまり、自然交配で結実させるには、かなりの個体数が必要ということになります。 アボカドを自宅で結実させてみたいと思ったら、何本か木を育てて人工的に授粉させ、様子を見るしかなさそうです。
誰もが知りたい!アボカドを上手く剥くコツ
ところで、アボカドを食べる時の皮剥きのコツって知っていますか? 端を切り落として縦向きに剥いている人も多いと思うのですが、実は目からウロコのスムーズな剥き方があるんです! この剥き方ができるかどうかは、アボカドが十分に熟していることがポイント。 とはいえ、熟しすぎると柔らかくて扱いにくくなるので、適度な柔らかさがあることが大事ですね。 下の動画を参考に剥いてみると、果肉も無駄なく活用できますし、種もきれいに取れます。 栽培しようと思っているアボカドの種に包丁で傷が付いてしまっても、多少は気にしなくて大丈夫ですよ。
アボカドのおすすめ料理
それでは、最後に美味しそうなアボカド料理の画像を簡単にご紹介します。 どれも難しくないレシピですので、初心者でも簡単に作ることができるはずです。自分なりのレシピを考えてみるのもきっと楽しいですよ!
ピンチョス
おつまみにもってこいの簡単レシピですね。 手間いらずにできることも魅力の一つです。
生春巻き
生春巻きは定番レシピですね。 特別必要なスキルもいらないので、料理が苦手な方でも作れるはずですよ!
アボカドボウル
切って材料を乗せて焼くだけの簡単レシピです。 チーズとアボガドの相性がバツグンですね。一手間で美味しくいただけるおすすめレシピです!
アボカド&イクラ&ウニ丼
海鮮具材とも相性がバッチリなアボカド。 必要な具材を準備して一緒に乗せるだけです。簡単ですが、高級感溢れる味わいになるはずですよ!
アボカド入りグラタン
グラタンの中に入れてしまうこのレシピ。 アボカドのクリーミーな味わいが料理を引き立ててくれるはずです!
【アボカドの栽培方法】まとめ
アボカド栽培のコツについて、つかんで頂けたでしょうか? 食べ終わった後の種と自宅にある容器や鉢を利用すれば、すぐにでも栽培が始められそうですね。 アボカドの果実や種には、ゴムアレルギーのアレルゲンに似た成分が含まれていて、まれにアレルギーを起こす人もいるそうです。 種茶やローストを味わう時は、少しずつ採り入れて様子を見るようにして下さいね。