カモミールは効果・効能が豊富
お茶として、アロマとして……現代のわたしたちの身の回りでも、さまざまな使い方がされているカモミール。真っ白な花びらと黄色い花芯が印象的です。「花といえば、この形」と多くの人が思い浮かべるであろう外見をしており、親しみが持ちやすい植物でもあります。 このカモミールは、効果・効能が豊富なハーブだということをご存じでしたか？ 実はかなり古くから、海外で重宝されてきた薬草なのです。
古くからヨーロッパで効果・効能が認められてきた
カモミールは古代エジプトで、「太陽神への捧げ物」とされてきました。それだけ効能のあるハーブだと言われていたのです。また、古代ギリシャでも、熱病や婦人病に効く薬としての使い方がされてきました。アングロサクソン人の神話にも、薬草の神ウォドンが与えたハーブとして登場します。 昔からこれだけ有り難い存在とされてきたカモミールは、現代では薬として使うことが正式に認められています。
正式に薬として使うことが認められている
その効果・効能はお墨付き
ドイツには、コミッションEという薬用植物の評価委員会があります。このコミッションEによって、カモミールを治療目的で使うことが認められているのです。正式なお墨付きを得ているというのは、安心感がありますよね。
カモミールは花の部分を使う
カモミールの使い方、ご存じですか？ ハーブというと、葉っぱの部分を使用するイメージが強いかもしれません。ですがカモミールは、花の部分を使うんです。香りがするのも、この花の部分なのです。花の中央の黄色い部分が丸く膨らみ、花びらがそり返ったような形になったら収穫の合図。花をそっとつまみ、水で洗ってお茶やアロマにするのが、一般的な利用方法です。
カモミールの効果・効能①
抗炎症作用
では、カモミールには具体的にどんな効果・効能があるのでしょうか。 代表的なのは、抗炎症作用です。カモミールには、カマズレンとアピゲニンという、炎症を抑えるのに効果的な成分が含まれています。胃の荒れや、喉の痛みを感じたときは、カモミールのお茶を飲んでみましょう。 薬を服用したときほどの劇的な効果はありませんが、その分お子様にもおすすめ。カマズレンやアピゲニンが、炎症に優しく効いていきます。
お茶としての使い方なら、ジャーマンカモミールがおすすめ
カモミールには、ジャーマンカモミールとローマンカモミールという代表的な2種類が存在します。 お茶にして飲むなら、ジャーマンカモミールがおすすめです。お茶にしたときの苦みもローマンカモミールより少なく、飲みやすいです。
カモミールの効能はお茶で手軽に味わう
カモミールの効果・効能②
安眠効果
カモミールには、青リンゴに似た香りがあります。 この香りが気持ちを落ち着かせてくれます。さらに香りだけでなく、身体をポカポカと温めてくれる効果もあります。身体が温かくなると、眠りやすくなりますよね。加えて、「平滑筋」という筋肉の組織を落ち着かせる働きも持っています。緊張していた身体をホッとやわらげ、リラックスさせてくれるのです。 寝る前に一杯のカモミールティーを飲むと、眠りに入りやすいコンディションに身体を整えることができますよ。睡眠障害を持っている方は、薬ではなくカモミールティーを眠りの導入として利用する使い方をしてみるのも良いかもしれません。その際には自己判断で薬の服用をやめるのではなく、お医者さんの指示を仰いでくださいね。 お茶だけでなく、アロマでも充分に癒やしの効果は得ることができます。アロマのミストを浴びながら寝れば、乾燥を防ぐことができるので、喉の痛みや風邪の予防にもなります。
少し早めに飲む
カモミールティーを飲むなら、寝る直前ではなく、一時間前には飲んでおくのがおすすめです。飲んでからすぐ効いてくるわけではないからです。なかなか効果を実感できないようであれば、少し早めに飲んでみましょう。
アロマならローマンカモミール、お茶ならジャーマンカモミール
カモミールのりんごの香りで癒やされたいときは、ローマンカモミールがおすすめです。ローマンカモミールは香りが良く、アロマオイルに最適とされています。また、ローマンカモミールは心によい影響を与えるとされているので、より高いリラックス効果が期待できます。 ですが、お茶にしたいなら、ジャーマンカモミールを使うと良いでしょう。先述した通り、ローマンカモミールは苦みが強いので、お茶向けではありません。ジャーマンカモミールをティーポットに入れ、5分間蒸らせば完成します。はちみつを加えて飲みやすくアレンジしても美味しくいただけます。普通の紅茶と混ぜるとカフェインで眠りづらくなる可能性があるので、寝る前はカモミール単体の茶をおすすめします。
カモミールの効果・効能③
女性の生理痛を和らげる
カモミールティーを飲むと身体が温まることで血行が良くなり、筋肉の緊張も和らげてくれるので、女性の生理痛にも効果的です。また、生理中はわけもなくイライラがこみあげてきて、落ち着かなくなりますよね。この症状にも、カモミールのリラックス効果が効きます。生理中の女性はぜひ、温かいカモミールティーを飲んでゆっくり過ごしましょう。
冷えやすい女性にも
女性に多い悩みのひとつが、冷え性。身体のほとんどが温まっている状態なのに、足先や腹部など、身体の一部だけが異様に冷たく感じることをいいます。男女関係なく起こる症状ではありますが、特に女性に多いので、今では女性特有の症状のように思われるのが一般的なようです。 カモミールはこの冷え性の方にもおすすめです。身体を温めてくれる効果があるので、冷えを緩和させることができます。また、冷えの原因のひとつには自律神経の乱れがあるとされています。カモミールティーにはリラックス効果もあるため、この自律神経を整える作用も期待できるのです。
カモミールの効果・効能④
美肌効果
カモミールは美容にも効きます。 「カミツレエキス」という言葉を聞いたことがありませんか？ カツミレとは、カモミールの和名のこと。化粧水のパッケージに「カツミレ」と書かれていたら、それはカモミールの成分を利用しているという意味なんです。 カモミールには炎症を抑える効果があるので、ニキビのような肌のトラブルにも効き目を発揮するというわけですね。さらに抗酸化作用もあるので、これも美肌に役立つのです。
老化を防ぐ
さらに、カモミールは「糖化」という老化のもととなる現象を防いでくれます。 糖化とは、身体の中の糖をエネルギーとして使い切れなかったとき、タンパク質と結びついて「糖化タンパク質」という物質ができてしまう現象のこと。この糖化タンパク質は肌を老化させます。美容が気になる女性にとっては怖ろしい話ですよね。 ローマンカモミールには、この糖化に抗ってくれる「カマメロサイド」という成分が含まれています。なので老化予防効果が期待できるというわけです。ローマンカモミールは苦みが強く、お茶として飲みづらいのが難点ですが、美容のために思いきってチャレンジしてみるのもあり……！？
カモミールの効果・効能⑤
消化促進
カモミールには、アピゲニンやマトリシンという成分が含まれています。これらの成分は、消化促進の作用があります。 具体的にご説明します。まず、アピゲニンについてです。アピゲニンには抗酸化作用があり、血液の流れをよくする働きがあります。加えて、身体を温める効果があります。お腹の調子が悪いときは、お腹の冷えが原因だという事もありますよね。さらに緊張を緩和する作用も持っています。なので、神経からくる消化器官の不調に有効なのです。 お次はマトリシンという成分についてです。マトリシンは、胃の炎症を鎮める作用があります。また、弱った胃腸の粘膜を元通りに回復させようとしてくれます。
胃薬代わりに飲んでみるのもおすすめ
カモミールは胃に優しい飲み物だということがお分かりいただけたのではないでしょうか。優しく効いていき、リラックス効果もあるので、精神が消化器官の調子にも影響を及ぼしてしまっているような場合は特におすすめです。胃薬を購入する代わりにカモミールティーを飲んでみるような使い方もできますよ。ただし、病院で胃薬を処方されている場合は、きちんとそちらを飲んでくださいね。
カモミールの効果・効能⑥
アレルギー症状の緩和
カモミールはアレルギー症状を緩和してくれる作用もあります。炎症を抑える成分としてご紹介したカマズレンはもちろん、他にもビサボロールやルテオリン、アピゲニンといった有効成分が効くのです。 ビサボロールは、抗菌作用がある成分です。炎症を抑える効果、乾燥肌に働きかける効果もあるので、美容にも嬉しい作用をもたらしてくれます。ルテオリンは、抗酸化作用のほかに、ロイコトリエンという炎症の原因となる成分が作られるのを抑えてくれます。そしてアピゲニンは、アレルギーのもととなるヒスタミンという成分が出るのを抑えてくれるのです。 カモミールでアレルギーを完全に治すことはできませんが、心強い成分がこんなに含まれています。薬の服用量は決まっていますから、それでも症状がつらい時に、カモミールのお茶で症状を緩和する使い方ができます。
カモミールが選ばれる理由
なぜ、長い歴史の中でずっと使われてきたの？
女性に嬉しいポイントや、アレルギー症状に効く事など、カモミールのさまざまな効果・効能に触れてきました。しかし、効果・効能のあるハーブや食品は、カモミールだけではないですよね。それなのになぜ、カモミールはこんなにポピュラーな存在として浸透しているのでしょうか。ちゃんとカモミールが選ばれてきた理由が存在するんです。
香りが良い
ひとつめの理由は、何と言ってもその香りの良さです。青リンゴのような、甘いけれどさわやかなカモミールの香り。女性、子ども、お年寄りまで万人に親しみやすく、私たちの心を落ちつかせてくれます。香りが魅力的だからこそ、アロマとしてもたくさん利用されてきました。 実はカモミールのアロマオイルは、大量の花からほんのわずかしか作ることができません。価格が多少高価になろうとも、これだけアロマとしての人気があるのは、すごいことですよね。
生活に取り入れやすい
生活に取り入れやすいことも理由のひとつです。 カモミールの代表的な使い方は、お茶とアロマです。お茶にするなら、摘んできてお湯を注ぐだけで完成ですし、乾燥させればあっというまにポプリを作ることもできてしまいますよね。特別な事がなくても、簡単な方法で、身近な使い方が可能なハーブなのです。
とても丈夫
そしてなんといっても、カモミールは丈夫で育てやすいのが特徴。「踏まれれば踏まれるほど、丈夫に育つ」と言われているほどです。土もあまり選ばないので、昔から地面に種をばらまく方法で育てられてきました。日本の気候でも春と秋の2回種まきができるタイミングがある、育てやすい植物なのです。
アレルギーのある人は気をつけよう
カモミールはキク科
カモミールはすぐれた効果・効能のあるハーブですが、キク科にアレルギーを持っている人は注意が必要です。カモミールはキク科の植物なので、同じキク科のブタクサ等をアレルギーに持っている人は、飲まない方が良いでしょう。他のハーブと一緒にブレンドされていることも多いので、うっかり口にしてしまわないように気をつけてください。丸くて黄色っぽい花芯が入っていたら、それはおそらくカモミールです。
妊娠中の女性も慎重に
筋肉を和らげる効能に注意
また、妊娠中の女性も飲まないほうが良いでしょう。カモミールは子宮の壁に層をなしている「平滑筋」に働きかける作用があります。お腹の赤ちゃんに影響を及ぼす可能性がないとは言い切れないので、慎重になるなら避けたほうが無難です。
効果・効能が豊富なカモミールで癒やされよう
いかがでしたか？ カモミールは香りが良いだけでなく、心身共にリラックスさせる効果や、身体を温め炎症を抑える作用があるのです。 自分で育てるのもよし、お茶やアロマを買ってきて手軽に楽しむのもよし。ぜひお好きな使い方で、癒やしの時間を過ごしてみてくださいね。
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