燻製とは
燻製とは、別名スモークとも呼ばれ、桜などの広葉樹を不完全燃焼させることで出る煙で食材を燻して、香り付けや保存食を作るための調理方法です。燻す温度と時間によって、冷燻、温燻、熱燻の3種類に分けられます。燻す時間が長いほど保存がききやすくなります。今回紹介する、ペール缶、一斗缶、レンガの3種類を利用した自作燻製器は、この中の温燻、熱燻に対応しています。
冷燻法
10~30度の低い温度の煙で数日から数週間と時間をかけゆっくりと燻す方法です。実際に煙を出すのには高温で木材を熱しなければいけませんので、食材に達するときの煙の温度を低温に保つには燻製器が大きくなりがちで、温度管理も難しいので、上級者向けの燻製方法になります。
温燻法
30~80度くらいの温度の煙で燻す方法です。燻製といえばこの温燻というほど最も一般的な燻製方法で、燻す時間も1時間から数時間くらいです。比較的長い時間、高めの温度で燻製しますので、保存がききやすく、ご家庭の庭や数日間のキャンプなど、ゆっくり時間の取れるときに向いています。冬の寒い時間を除き、コンロなどの熱源を利用しなくてもいいので手軽です
熱燻法
80度以上の高温の煙で燻す方法です。燻煙時間は数十分と短いため手軽に燻煙ができるので、時間の限られたデイキャンプや、1泊程度のキャンプにおすすめです。高温で燻すため、食材も加熱調理が同時にできるため安心で便利な方法です。高温の煙を保つために、コンロなどの熱源が必要になります。
燻製器を簡単に自作しよう
燻製器は仕組みさえ分かっていれば、構造は単純ですので、身近なものをつかって簡単に手作りすることができます。今回は、ペール缶、一斗缶、レンガを使ったそれぞれ3種類の簡単な作り方をご紹介します。入手しやすいものを使って実際に作ってみてください。同じスモークでも自作の燻製器で作ったものは、愛着がわきまた違ったものですよ。
1.ペール缶を利用する自作燻製器の場合
用意するもの
・ペール缶1個 最近ではなかなか手に入れづらくなっていますが、行きつけのガソリンスタンドなどで聞いていただければ、入手できるかもしれません。ネットやホームセンターなどでは新品が販売されているのでそれを利用するのもいいです。 ・ボルト・ナット 食材を置く焼き網を乗せるために使用します。ホームセンターなどで購入できます。 ・焼き網 食材を乗せるために使用します。100均やホームセンターなどで販売されています。ペール缶の内径に合わせた円形の物を購入してください。 ・燻煙材を置く受け皿 スチール製など熱に強い皿、ステンレストレー、いらなくなった中華鍋など。なければアルミホイルでも代用可能です。後始末は面倒になりますが、直接缶の底にばらまいてもいいかもしれません。 ・電気ドリルや、スパナ、ペンチなど金属を加工できる工具
作り方
前準備として、オイルなどが入っていたペール缶を利用する場合は、蓋を外し、缶の中で薪などを燃やして、しっかりと中に残っているオイルを燃やし切ってください。その後、洗剤を使ってきれいに洗浄します。 缶の底に空気の通り道の穴を4~6か所、電気ドリルで開けます。均等にバランスよく開けてくださいね。次に、食材を乗せる焼き網を置く穴をあけます。こちらも均等に3か所~4か所を開けて、ボルトを通し、ナットで固定してください。焼き網を2段で置く場合は、同様に加工してください。あとは蓋をして完成です。
ペール缶を使った自作燻製器のまとめ
形状が円筒の為、穴あけなどの加工は注意して行ってください。また温度を管理するための温度計を設置したり、燻煙材を確認する扉を側面に追加したりすれば、市販品に負けない機能の燻製器も作れます。基本的な作り方は同じで、ペール缶を2個上下につないで、大容量燻製器も作れます。工作が得意な方はぜひチャレンジしてみてください。
2.一斗缶を利用する自作燻製器の場合
用意するもの
・一斗缶 ホームセンターやネットショップなどで購入できます。お菓子などの食品が缶入りで売っているところもありますのでそちらを購入したり、食品工場などで余ったものをもらったりして入手できます。 ・ボルト、ナット ペール缶の燻製器の時と同様に、食材を置く焼き網を乗せるために使います。ホームセンターなどで購入できます。 ・焼き網 一斗缶の内寸に合わせた四角形の物。100均やホームセンターなどで販売されています。 ・燻煙材を置く受け皿 ペール缶の燻製器の時と同様に、スチール製など熱に強い皿、ステンレストレー、いらなくなった中華鍋など。なければアルミホイルでも代用可能です。 ・電気ドリルや、スパナ、ペンチなど金属を加工できる工具
作り方
大まかな作り方はは、ペール缶を使った燻製器の作り方とほぼ同じです。使用済みの一斗缶を利用する場合は、まず内部の洗浄をしっかりとしてください。食品以外で使用されていたものに関しては、特に念入りに洗浄してください。 缶の底部分に、電気ドリルで空気穴をあけます。一辺に3か所で合計12か所あけます。次に焼き網を乗せるボルトを通す穴をあけます。1辺に2か所で合計8か所明けてボルトを通しナットで固定してください。その上に焼き網を乗せれて蓋をすれば完成です。
一斗缶を使った自作燻製器のまとめ
ペール缶に比べ、鉄板の厚みが薄いのと、形状が四角形なので比較的加工がしやすいのでおすすめです。鉄板が薄い分、ペール缶に比べ若干、耐久年数は劣ります。フタ部分に温度計を通す穴をあければ温度管理もできますし、工作の得意な方でしたら、側面に燻煙材を確認する扉を付ければ市販品に負けない機能の燻製器もできますよ。もちろん2段積み重ねて大きな燻製器もできますので是非チャレンジしてみてください。
レンガを利用する自作燻製器の場合
用意するもの
・レンガ ホームセンターなどで販売されています。 ・タガネ、ハンマー レンガをカットするときに使用します。 ・焼き網 食材を乗せるために使用します。レンガで作成する燻製器の内寸より少し大きめの4角形の網。100均やホームセンターなどで販売されています。 ・燻煙材を置く受け皿 熱に強いスチール製の物。ステンレストレー、いらなくなった中華鍋など。 ・フタ 燻製を作成時に煙が逃げないように上部にフタをします。鉄板または木製の板でも可能です。
作り方
まず、炭などの火種を置くために作成する大きさ一面にレンガを敷き詰めます。その後、火口とする1辺を除く3辺のふちを囲うようにれんがを互い違いに積み上げます。3~4段積んだのち、焼き網を乗せてさらに今度は4辺全部を囲うように、また3~4段レンガを積んでください。
レンガを使った自作燻製器のまとめ
形を整える場合にタガネを使ってハンマーでたたけば思ったよりも簡単にレンガをカットできますが、見た目を気にしないのであればカットしないでそのまま積み上げても構いません。実際に燻製をつくるときは火口から煙が漏れないように余ったレンガなどでふさいでください。上部もフタで覆ってくださいね。今回は固定せずに積み上げるだけの簡単燻製器ですので、レンガを少し組み合えて手前方向のレンガを取り除けば、簡単にかまどに変更もできるので便利です。なお、家庭の庭などに常設する場合はモルタルなどで固定したほうがいいと思います。
自作した燻製器を使ってみよう
それでは今回紹介した自作燻製器を利用して燻製作りにチャレンジしてみましょう。
食材の用意
基本的にお好きな食材で大丈夫ですが、食材や燻製の種類によって塩漬け、乾燥などの下処理が必要になります。火を通さなくてもいい食材は温度管理も簡単で手間なく燻製できます。おすすめはプロセスチーズ、ゆで卵、乾燥帆立など、下処理もいらないので簡単です。いろいろな食材にチャレンジして、あなた独自のおすすめレシピを開発するのも楽しいですよ。キャンプでは失敗もまた良い思い出になりますからね。
燻煙材について
燻煙材の材種には一般に桜、ブナ、ナラなどの広葉樹が利用されています。種類としてはその木材を細かく砕いたスモークチップと、使いやすいように粉末にして固めたスモークウッドがあります。スモークチップはコンロや炭などの熱源を利用して間接的に熱せられ、煙を出して燻煙します。熱源が必要になりますのでキャンプなどのアウトドアでの使用におすすめします。燻煙方式は温燻や熱燻に対応しています。一方、スモークウッドは、直接火をつけて煙を出しますので、コンロや炭などの熱源が必要なく手軽に利用できるのが特徴です。熱源を使用しませんので、冷燻や温燻法で作る場合に適しています。
自作の燻煙器を使った利用方法
今回はコンロや炭などの熱源を利用し、スモークチップを使った熱燻法で燻煙する方法をご紹介します。 ・ペール缶、一斗缶で作った燻製器の場合は、まず受け皿にスモークチップを入れて、燻製器の一番底に入れ、焼き網を置いて食材を乗せて煙が逃げないように蓋をします。その後、コンロや炭火などの熱源の上に燻製器を置いて燻製を開始します。食材によりますが、様子を見ながらおよそ30分から1時間程度で完成です。 ・レンガで作った燻製器の場合は、食材を焼き網の上にのせて、火口から炭をおこします。炭はおこした後、炎が落ち着いてから、スモークチップを入れた受け皿を炭の上に置いて、煙が逃げないように火口をレンガなどで閉じ、さらに上部にフタをして燻製します。受け皿を炭の上にのせるとき、やけどには十分注意してくださいね。
自作燻製器まとめ
今回は、ペール缶、一斗缶、レンガで簡単に自作できる燻製器の作り方を紹介させていただきました。実際にキャンプなどで使用する場合、持ち運びなどを考えれば、ペール缶や、一斗缶で作った燻製器がおすすめです。レンガで作った燻製器はご家庭の庭などで作られるときに向いています。ここで紹介した素材のほかにも段ボールや百均などで販売されている金属製のボウルなどでも簡単に自作できますので、用途に合ったものを利用して、ぜひ手作り燻製器にチャレンジしてみてください。いつもの料理がさらにおいしく感じられます。なお、加工するときや燻製作りの際に、怪我や、やけどに注意してくださいね。