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里芋(サトイモ)の育て方!夏場は水やりの量と頻度に注意して毎年収穫を楽しもう!

秋が深まってくると里芋がおいしいです。サトイモの品種にはいくつかありますがどれも基本的な方法で育ててポイントをつかむことで、どのサトイモでも収量よく栽培できます。初心者でも目を見張るほどの里芋を収穫できます。育て方を中心に紹介します。
更新: 2021年4月22日
ka123eru
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サトイモの特徴

サトイモの原産地は東南アジアとされています。日本では西日本を中心につくられる野菜です。寒さ(霜)に弱く暖かさを好む野菜です。暖かい地方では育てやすく初心者の方でもよく育てることができます。東日本でも植え付けなどにひと工夫すれば作ることが可能です。 ここでは「さといも」の表記については、品種や植物としての科学的側面から説明するときには「サトイモ」、一般的な野菜としてあらわすときには「里芋」をなるべく使います。

ながく保存できるサトイモ

収穫できた里芋は土をつけたままで長く保存できます。保存する場所によりますが3,4か月はおいしくたべることができます。また畑に穴を掘って保存することもできます。

育てる期間の長いサトイモ

栽培期間が長くかかる野菜です。それで芋が大きく育ち収量が確保できます。野菜のなかでは乾燥さえ気をつければ栽培の後半はそれほど手間がかかりません。 栽培の前半にいくつかポイントがあります。順を追って説明していきます。のちに示します標準的な作り方ですと3月から10月いっぱいまでかかります。7,8か月の期間にわたって栽培がつづきます。 期間はながいですが、8,9月ごろになりますと子芋などをさぐり掘りして収穫を楽しむことができます。

育てやすいサトイモの品種

おもに子芋を食べる品種には「土垂(どだれ)」や「石川早生(いしかわわせ)」などがあり、各地で栽培されています。親芋まで食べられる品種としては「八ツ頭(やつがしら)」、親芋、子芋ともに食べられる品種としては「セレベス(赤目大吉)」などが知られています。 品種をおおざっぱに分けると、子芋用では早生(わせ)のもの、親芋用には晩生(おくて)のものに分けられます。したがって同時に植え付けると子芋用の早生品種の芋のほうが少し早く収穫できます。 なお、ずいきとして茎を食べられる品種があります。その代表的なものは上に示した「八ツ頭」や「セレベス」などの赤い茎です。それらは野菜として食べることができます。

サトイモを育てる条件

里芋は家庭で栽培する場合には、どの品種でもほとんど栽培方法は同じと考えてかまいません。そこで西日本で栽培する際の標準的な栽培方法を紹介します。

サトイモを育てるのに適した温度

里芋の栽培に適した温度は25度から30度前後とされています。なるべくこの範囲の温度が確保できる期間が長い地域が有利です。 暑さには強いほうですが、根が浅めの場所に伸びるので乾燥にはそれほど強くありません。適度な湿り気がつねにあるほうが望ましいです。そこで夏場の乾燥時期にはわらや刈草を厚くマルチします。 そしてそれでも乾燥が著しいときには潅水(水やり)するようにします。多湿にはある程度は耐えますがあまりに多湿がつづくと芋が太りにくいことがあります。

サトイモを育てる適地

早生の子芋用は各地で栽培が可能です。それに対して、晩生の親芋用は栽培期間が長いために暖かい期間が確保しやすい西南暖地により適しているといえます。もちろん関東あたりでも晩生品種を育てることは可能です。 土壌は肥沃な土地で耕土が深いほうがよく育ちます。どの品種もあらゆる土壌で育ちますが、子芋用の「土垂」や「石川早生」の場合には砂土や砂壌土が、親芋用の品種には壌土がより適している傾向があります。

サトイモの種芋の植え付け条件

里芋は種芋を植え付けて栽培します。はじめて栽培する場合にはよい種芋を入手し、適切な時期に植え付ける必要があります。市販の種芋は値がはりますのでよい種芋を見分けられるとよいです。種芋を見分けるポイントはつぎの「植え付けの実際」にまとめました。

種芋を植え付ける場所

日ざしはよい場所がのぞましいですが、半日でも日がさす場所ならば栽培できます。上に書いたように乾燥しやすい場所はきらいます。土壌は砂地でも粘土質でも構いませんが、水はけはよいほうがいいです。 葉が大きいのであまり強い風の吹く場所はさけます。もし風の被害で葉が破れてもそのまま栽培をつづければ、新しい葉が出て芋の収穫までこぎつける場合があります。

里芋の種芋を植え付ける時期の温度


とくに低温になりやすい場所では、植え付ける際に注意します。芋が寒さ(低温になりやすいところや霜が強い場所)にあたると西日本であってもくさってしまうことがあります。 あまり早い植えつけは寒さのリスクがあります。寒さで芽をいためないように温床などで芽を出してから植え付けるなど工夫する場合があります。

種芋の植え付けの実際

それではいよいよ里芋を育てる実際の方法を紹介していきましょう。まずは里芋栽培に欠かすことのできない種芋の扱いについてです。

里芋の種芋の準備

はじめて里芋を栽培するときには種芋を購入します。知り合いから分けてもらうこともできます。じゃがいもと違ってよくできた里芋は冬の保存に成功すれば、つづけて翌年の春に種芋にすることができます。 種芋として使える芋はなるべく大きなものを選びます。最低でも40グラム程度の大きさとします。皮がかぶっていますが、皮の上から押さえてもぶよぶよしておらず、張りのある芋を選びます。とくに底のほうが傷んでいないか、芽は欠けていないか注意します。 収穫した芋から種芋を選ぶ場合には、しっかりした子芋を候補にします。くさらせずに翌春まで保存できれば大きな親芋を種芋にすることも可能です。

種芋の畑や庭での保存法

里芋の種芋を冬のあいだ庭や畑に保存する場合には穴を掘って保存します。60センチほどのの深さの穴を掘り、株のままさかさまに穴の底におきます。2株ほどかさねることができます。 そこへわらや枯れ草を20センチほどかさねます。さらに20センチほど土を上にかけて雨が入らないようにシートなどをかぶせます。これで小山になるはずです。この方法で寒さを防ぐことができます。

里芋の芽出しの方法

必須ではありませんが、里芋は植え付けのあいだに寒さにあてられないので、ふつうに植え付けようとするとかなり暖かくなってから(3月末から4月)になります。 そこで温床に種芋をならべて芽出しをすることがあります。こうすることで遅霜に小さな芽をあてずにやりすごすことができて、はやめに植え付けを行うことが可能になります。

サトイモを温床で育てる場合

電気をもちいた温床は25度から30度が確保できればじゅうぶんです。床土には肥料はいりません。床土の中に芋の上に2,3センチ土がかぶる程度にぎっしりならべます。そのうち遅霜がなくなれば畑に植え付けることができます。 したがって芽出しをする場合には植え付ける時期の遅霜の具合から、タイミングをはかりながら栽培する必要があります。 少し時間はかかりますが、暖かい日中は日にあてて、夜は室内の暖かい場所に取り込むといった方法でも芽出しができます。これでも直接地植えするよりも早めに植え付けができます。 栽培に慣れてきた方は発酵熱を利用した温床をこころみてみるのもよいでしょう。ついでに堆肥もつくることができます。庭や林の落ち葉や刈った草などを温床にする穴に入れ、そのあいだに窒素分になる油粕やこめぬかなどを入れて水をかけて発酵させます。その熱を利用します。 発酵が落ち着いた頃に芽出し芋を縦にならべて温床に入れるとよいです。ビニールを二重にする、古毛布をかぶせるなど寒さ対策をしないとなかなか温度の確保が難しいのでやりがいがあります。

芽出しをする理由

植え付けを早めにする理由は、寒さに芽をあてずに里芋の生長の適切な期間をじゅうぶんに確保する目的からです。適温の期間が長くなればなるほど寒くなる前までずっと芋の肥大をつづけることができるからです。 水を加えて湿度がじゅうぶん上がるようにして芽出しをうながします。ちょうど2枚目の葉が開きかけの頃に植え付けるとよいです。

里芋を育てる場所の準備方法

里芋を植える場所はどのように準備するとよい芋が収穫できるのでしょうか。いくつかポイントになることを紹介していきましょう。

植え付けの時期

西日本の場合には芽出しをしない場合には、芋の植え付けの時期は3月下旬の頃から4月中旬がよいです。関東以北の場合には4月に入ってからがのぞましいです。 東日本の山沿いの地域ではさらに遅く5月にかけて植え付けをします。そうすると収穫の時期はいずれの地域でも10月から11月にかけて行えます。霜が降りる前には収穫を終えます。

植え付け場所の準備

畑や庭は里芋を植え付ける前に下準備が必要です。畑は苦土石灰を1平方メートルあたりひとにぎりほどとたい肥をバケツ1、2杯入れて20~30センチの深さまでよく耕しておきます。 1週間ほどのちに90センチの畝をつくり、中央に15センチほどの溝をくわでつくります。元肥として有機質肥料ふたにぎりとたい肥を3にぎりほど入れ、薄く土をかけます。元肥に骨粉やようりんを加えると芋の育ちがよくなります。


畝の幅など

芋を植え付ける畝については、とても大きく生長する植物ですから、畝を90センチとすると株間は70センチ前後とります。となりの畝とは1メートル以上あけるとじゅうぶん土寄せができます。これだけの畝幅と畝と畝の間を確保できれば除草やマルチなどの作業がしやすくなります。

里芋の育て方:植え付けの方法

里芋は芽出しをする、しないにかかわらず適切な植え方をすることでよく育ちます。標準的な方法を紹介します。

種芋の育てやすい植え付け方

数日おいて土をなじませ畝を整地してから芋を植え付けます。芽出しをしていないときには上下を間違いやすいのでよく見てとがった芽のあるほうを上にむけます。土が10センチほど覆土するように植え付けします。 芽出しをしている場合には芽が土の表面に出る高さになるように土で高さを調節して植え付けます。

マルチ利用の植え付け方法

温度を確保したい場合には元肥を入れて畝をつくり、芽出ししていない芋を植え付けたところへ、黒のビニールマルチをするとよいでしょう。 これで十分な温度を確保できます。そして芋が芽を出した時にはその部分を破ります。さらに本葉が出てきたらマルチをはずすようにします。これで芽を順調に生育させることができます。

里芋の育て方:植えつけ後の管理方法

植え付けたあとは除草、追肥、土寄せの作業があります。このいずれもがよい芋を育てるために大切な作業となります。逆にこれらの作業と乾燥への備えさえすれば、里芋はこれから後の作業はほとんどいりません。

里芋の追肥と土寄せ

植え付けてから3週間ほどすると有機質肥料ひとにぎりを追肥し土寄せをします。さらにそれから1か月ほどするとふたたび追肥と土寄せを行います。この土寄せで、新たな子芋の生える場所を土の中に確保します。 この2回の追肥は梅雨入り前までに終わるようにするとよいです。合計で10~15センチほど土寄せすることになります。

里芋の肥料には

追肥に用いる肥料は有機質肥料がおすすめです。そこへ油粕をくわえてもよいです。植え付け時の元肥、栽培の前半にかけての追肥と肥料については比較的多く必要とする野菜です。 しかしこれから2回の追肥ののちは肥料は与えません。梅雨明け後3か月ほどは肥料は与えないのがふつうです。 有機質肥料はこの点長い期間にわたって持続的に穏和な形で効いていきます。里芋の追肥の場合には栽培期間が長いために、無機質のすぐ効く肥料よりも有機質肥料のほうがおすすめできます。

里芋の育て方:サトイモの大敵 乾燥の予防方法

サトイモは野菜の中でも乾燥をとくに嫌うほうです。何より苦手とする乾燥に対処する方法を紹介します。里芋の収量に大きく影響するポイントになるところです。わりと簡単ですのでぜひおこなってください。

マルチで乾燥防止

梅雨が明ける前までに株のまわりの草をぬき、土の表面が乾かないようにわらや刈草などでマルチを行います。このマルチは乾燥を防ぐためですから厚いほうがいいです。里芋は乾燥に弱いのでこのマルチはポイントになります。マルチできればそのあとの手間はそれほどかかりません。 とくにお盆の前後の乾燥時期は用心します。マルチの下が乾燥しつづけるようならば潅水します。水はじゅうぶんな量をかける必要があります。1週間に1,2度程度雨が降るならばそのまま放置していてかまいません。 乾燥に備えるには畝間にもマルチを敷き詰めるとなおよいです。すでに大きくなってきた里芋の根はかなりの範囲に広がっています。したがって畝の上だけマルチしたのでは実際に広がっている根の先端は乾燥してしまっているかもしれません。


乾燥ぎらいの里芋へのちょっとした方策

そこで畝と畝のあいだにまでマルチをすると全体を乾燥から守ることができます。そして雨が降ったときもその湿り気をマルチが維持してくれます。除草の点からもおすすめです。 この時期に葉を大きく展開して光合成をさかんにおこなうことで、芋の増大につなげることができます。しかしこの時期は高温でしかも乾燥しやすい時期です。この時期の世話しだいでその年の里芋の収穫が左右されるといっても過言ではありません。

里芋の収穫の目安

早生の子芋を食べるタイプの「石川早生」や「土垂」では8月下旬から9月頃、はしりの芋が収穫できます。まだ小さいですが、ピンポン玉程度の子芋がたくさんとれます。 葉や茎をすべて倒して収穫するのではなく探り芋をして子芋だけを抜き取るようにして収穫すると、それから11月までつぎつぎにできる子芋や孫芋をつづけて収穫することができます。

里芋収穫の実際

晴れた日に収穫をします。株の茎を根元で鎌で切ります。土の中の株の周囲を鍬で堀り、遠くから鍬を入れて株をもちあげるようにします。するとひとかかえある株があらわれます。 そのまま食用にする場合には、芋をひとつずつ取り外していき、生えている根などをとりのぞきます。土がついたまま陰干しします。乾燥には風通しのよい場所を選びます。じゅうぶん乾燥できるとそのままで3,4か月はおいしく食べられます。

赤い茎は食べられる

親芋と子芋の兼用種、さらに親芋を食べる「セレベス(赤目大吉)」、「八ツ頭」などはこのように八月末から子芋、孫芋を収穫できますが、茎もずいきとして食べることができます。 赤い茎の品種はたべることができます。しかし涼しくなってくると固くなるので、はやめの時期のほうがしゃきしゃきとした歯ごたえが味わておいしいです。野菜の少ない時期に重宝します。

親芋・子芋・孫芋

ふつう里芋を育てていると、植え付けた芋の上に新しく芋ができてこれを親芋と呼びます。植え付けた芋の栄養分を消費しつつ、自ら広げた葉で光合成しつつ大きくなってきます。 この新たな親芋が大きくなり葉を大きく広げてでんぷんをさかんに生産できるようになると、その芋の周囲にさらに子芋ができてきます。 8月になるとこれらの子芋が育ち、さらに栽培をつづけることでそれらの子芋から孫芋がたくさんできます。11月に株全体を掘り上げる頃には、親芋・子芋・孫芋がびっしりとついている状態の大株になります。 掘り上げた株を冬のあいだ保存したい場合には、芋は株のまま上記に示したように畑や庭に穴を掘って保存することになります。

サトイモの病害虫

里芋はあまり病害虫の心配のいらない野菜です。したがって基本的に病害虫をあまり意識をしないで栽培できます。それでもよく見られる葉を食害する虫がいます。大きな芋虫でセスジスズメという蛾の幼虫です。 とても大きいのですが葉が食害されてはじめてその存在に気づくことが多いです。たいてい茎の中心付近にかくれていますので、捕獲して処分します。そのほかにはハスモンヨトウヤアブラムシなどがつくことがあります。 アブラムシなどが多く発生した場合には、サトイモに適用のある薬剤など適切な方法で駆除します。病気については多発することはほとんどありません。病変部をとりのぞくか、病気の出た株を取り除くようにします。

サトイモの連作を避けた育て方

サトイモを栽培するときに注意したいことがあります。連作障害です。里芋は野菜の中では連作に弱く、一度作った場所は4,5年のあいだつくらないようにします。 サトイモは、野菜の中でエンドウとならんで連作障害が出やすいほうです。育てる場所を計画的に区分しながら科ごとに毎年輪作して育てるようにするといいです。