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ライラックの育て方ガイド!植え替え時期や剪定のタイミングなど11つのコツを伝授!

ライラックは寒い地域でしか育てられない花だと思っていませんか? 育て方次第では、関東のような暖かい場所でも育てることができるのです。鉢植えでも大丈夫! ライラックの育て方を、知っておきたい11のポイントに分けてご紹介します!
更新: 2021年4月22日
三ツ矢ナオ
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ライラックはヨーロッパで人気の、花が咲く木

涼しい気候が好き

ライラックは、名前こそ聞いたことがあっても、誰もが姿形を知っているかというとそうではない植物です。日本ではややマイナー寄りの花といえます。 というのも、ライラックは冷涼な気候を好むので、夏の暑さの厳しい日本では、育てるのがギリギリだと一般的に思われているからです。涼しい北海道でこそ、札幌市の「市の木」に指定されていたり、「さっぽろライラックまつり」というイベントが開催されていたりしますが、それ以外の地域ではご家庭で見かけることも少ないのではないでしょうか。 ライラックはおもに、ヨーロッパの冷涼な地域で育てられています。海外の彼らにとってはとても身近な木で、春に咲く色とりどりの花は、恋のおまじないに使われたり、青春のシンボルとされたりします。

育て方次第で暖かい場所にも植えられる

「自分の住む地域では、ライラックは育てられない……」そう思っていませんか?  実は、育て方次第では、暖かい地域でもちゃんと元気に育つんです。もし関東・東海地域にお住まいなら、挑戦してみる価値ありですよ!  ライラックは木なので、「植えてみて失敗したら嫌……」「なんとなく挑戦するハードルが高い」と感じられるかもしれません。 ですが、小型の品種なら、鉢植えでも育てることができます。若木のうちから花を咲かせるので、鉢植えでも充分に楽しめますよ。まずは手軽な方法でも入門可能なライラックは、香りもよく、花も美しく、とても観賞しがいのある木です。初めてのライラックを元気に育てるためにも、知っておきたい11の育て方をチェックしておきましょう!

育て方① ライラックの苗を植える時期は?

ライラックは苗から育てるのが一番簡単です。 種まきや挿し木で育てることもできますが、開花までに時間がかかってしまいます。ライラックを育てる楽しみは、なんといっても春に咲くみごとな花です。できるだけ早く花を楽しみたいなら、苗を購入してくることをおすすめします。ひとつ買ってくれば、あとでそこから挿し木や株分けを行って増やしていけますよ。

苗を植える時期は秋が適切

ライラックの苗を植える時期にもっともふさわしいのは秋です。9月だとまだ少し早いでしょう。10月から11月ごろの、涼しい時期が適切です。3月でもOKです。

真冬には苗を植えない!

真冬は避けましょう。特に、寒さが厳しく、雪がたくさん降るような地域では、秋のうちに苗の植え付けを終わらせておくようにしてください。

育て方② ライラックを植える前に必要な準備は?

苗木を植え付ける前には、3つの準備をしておきましょう。日当たりの確認、土作り、鉢の準備です(地面に直接植えたい場合、鉢の準備は不要です)。特に、日当たりの確認はとても重要! それぞれ解説していきます。

苗を植える前の準備②-1 日当たりの確認

まずはもっとも重要な、日当たりの確認についてお伝えします。 絶対に覚えておいて欲しいのは、ライラックは西日に弱い植物だということです。特に暖かい地域で育てようとしている場合は注意して下さい。ライラックは基本的に、日光を好む植物ではあります。ですが、西日は嫌うのです。家の西側は避け、冷涼な気候の場所なら日当たりのよい場所に、暑さが心配なら少し日陰のかかる場所に植えましょう。理想は、春秋冬は日が当たり、夏には日が当たりにくくなる場所です。午前中に日が当たり、午後には日陰になる場所ならなお理想的です。 また、蒸れやすい場所も苦手です。水やりをしても、いつもなかなか水が引かないような場所は、避けたほうが良いでしょう。もしくは入念に土壌改善を行ってください。 環境が合わないと、植えても花を咲かせてくれないことがあります。


苗を植える前の準備②-2 土作り

ライラックは基本的に、あまり土を選びません。酸性土でなくては枯れるとか、アルカリ性の土でなくてはいけないとか、そのような決まりはないので比較的土作りは簡単と言えるでしょう。園芸用の培養土で大丈夫です。 ですが、これはライラックに適した冷涼な気候の場所での話です。暖かい場所でライラックを育てたいなら、土も万全の状態にしておいたほうが良いでしょう。ぜひ水はけのよい肥沃な土を準備しましょう。おすすめの配合は、鉢植えの場合、赤玉土(小粒)7:腐葉土3です。もしくは、赤玉土の割合を6にして、かわりに黒土1を混ぜるのも良いです。 多湿に弱い植物なので、庭植えの場合は、水はけが悪いようなら川砂を少し混ぜてみると良いでしょう。

苗を植える前の準備②-3 鉢の準備

鉢植えにするなら、鉢を忘れずに準備しましょう。鉢は苗の大きさに合わせ、縦長のものを選んでください。大きすぎないことも大切です。あとで大きく成長するのが心配で、ついつい大きな鉢に植えたくなるかもしれませんが、そうしてしまうと水はけが悪くなり根腐れしやすいので注意しましょう。苗が成長したら、そのつど植え替えてあげてください。

育て方③ ライラックの植え付け作業

いよいよ植え付けを行いましょう。苗の根っこより2倍深い穴を掘り、横幅も2倍の広さをとります。元肥として粒状肥料を与え、腐葉土を混ぜた土を混ぜて植え付けます。終わったら、苗の周りにたっぷりと水やりをします。このとき棒で根と土をつつくようにしてなじませると良いでしょう。あとは、ぐらつかないように支柱を立てて固定してください。

接ぎ木苗の場合

日本で販売されているライラックの多くは、接ぎ木苗です。接ぎ木苗とは、べつの植物を土台にして、育てたい枝を同化させたような苗のことです。ライラックの場合、イボタノキという植物が接ぎ木の土台に用いられています。植え付けをしたら、接ぎ目の部分まで、山状に土を寄せておきましょう。こうすることで、ライラックが自分の根を張ってくれます。

育て方④ ライラックの水やり

水やりのコツは、夏の朝に行うことです。昼間に水やりをすると蒸れるので、朝、できなければ夕方に行いましょう。土に水が染み込むよう、しっかりと与えます。他の季節であれば、根付いてしまえばとくに水やりをする必要はありません。 鉢植えの場合、季節が移ろうごとに水やりの頻度を変えましょう。春と秋は、1日か2日に1回程度水やりをします。夏は水切れしやすいので、朝と夕方の2回に分けて行いましょう。冬は鉢の土が乾いたタイミングで水やりをします。

育て方⑤ ライラックの肥料

鶏ふん、骨粉、油かすなどの有機肥料を与えてください。鉢植えの場合、時期は3月頃と6月です。地植えの場合は、1月~2月に1回ほど与えましょう。また、植え付けの時にもあらかじめ肥料を混ぜ込んでおきます。

育て方⑥ ライラックの剪定

剪定のしすぎに注意


ライラックを育てる重要なコツのひとつに、剪定をしすぎないことが挙げられます。ライラックは芽吹く力があまり強くないので、他の木と同じ感覚で剪定をしてしまうと、ライラックの場合やり過ぎになります。 とくに暖かい地域では、剪定をしすぎると株が弱ります。 一気にたくさんの枝を刈り込むのではなく、明らかに混み合っている場所や、枯れた枝を切る程度にしてください。 うまく剪定できるか心配なようであれば、無理に行おうとしなくて良いでしょう。剪定が必須ではないということは、剪定が難しくて苦手に感じる人の「剪定しなければ……」という負担を減らしてくれる植物という顔も併せ持っているのです。 剪定をするなら、時期は花が咲き終わった直後です。

剪定の方法

不要な枝から優先して切り落とします。枝の中途半端な部分から切るのではなく、枝分かれしている場所や、根元から切り落としましょう。切り方が中途半端だと、ライラックはその中途半端な枝にも栄養を送り続けるので、株の体力を奪ってしまいます。

育て方⑦ ライラックの株分け

株分けをするのは涼しい時期が最適です。3月~5月にかけてか、9月~11月の間に行います。 株分けとは、植物を根ごと切りとってしまい、別の場所に植え替える作業のこと。大きくなった株は、この株分けで小さく分けることができます。鉢植えのライラックが大きな木になりすぎた場合に行うと、また元の大きさから楽しめます。

株分けの方法

まずは鉢から株を抜きましょう。 株を抜いたら、大きくなった株の根から土を払い落とします。その後は、根を傷つけないよう、分けたい場所から手か刃物で切り離していってください。 別々の株に分けることができたら、それぞれ新しい鉢か、庭に植え付けます。

育て方⑧ ライラックの接ぎ木

3月から5月の涼しい時期にかけて、ライラックは接ぎ木を行うことができます。 接ぎ木とは、他の植物を土台にして植物を生長させる方法をいいます。「ライラックの植え付け」の項目でご紹介した接ぎ木苗も、この接ぎ木作業で作られているのです。 ライラックを育てるのに慣れてきたら、自分で接ぎ木を行って新しい株を増やしてみませんか?  庭植えや鉢植えなど、一箇所だけでなくさまざまな場所でライラックを育てれば、春の訪れがもっと待ち遠しくなりますよ!

接ぎ木の方法

ライラックを接ぎ穂にした接ぎ木を行う場合は、一般的にイボタを台木にします。 まず、株元から5cmほどのところでイボタの木を切り落とします。 次に、その切り口から下へ垂直に切れ目を入れてください。ここにライラックの枝を差し込めるよう、切れ目の深さは数cmほど必要です。 切れ目を入れたら、接ぎ穂に使いたいライラックの枝を準備します。差し込む先の皮を削り、中の組織が見える状態にしましょう。 削れたら、これを先ほどつけたイボタの木の切れ目へと差し込みます。接続部分にはテープを巻いて固定してください。終わったら、接続部分まで土を山状に高く盛って植え付けましょう。 これで完了です。 その後は庭植えの場合でも、根が土に定着するまでは水やりを行うようにしてください。台木のイボタの方から芽吹いて枝が生えてきた場合、これは早めに取り除きましょう。育てたいはずのライラックから元気を奪ってしまいます。

育て方⑨ ライラックの挿し木

挿し木とは、植物から採取した枝や茎の切り口から新しい根を出させ、それを新たな株として植え付けて増やす方法のことです。ライラックの場合は、挿し木を行ってから花が咲くまでに2~3年かかりますが、親株が小さなうちから増やしたい人や、土を掘り返して株分けするのが手間に感じる人は行ってみるといいでしょう。

挿し木の方法

時期は3月から5月の間にかけてが適切です。 挿し木に使いたい枝を切り落とし、それを赤玉土やパーライトを使った土に挿しておきます。充分に根が出たら、育てたい場所に植え付けましょう。 剪定を兼ねて行っても良いですが、ライラックの剪定は花が咲き終わった直後が適切だということと、株が弱りやすいため無理に剪定をしなくても良い木だということは頭に置いておいてください。


育て方⑩ ライラックの種まき

種まきで増やすことも可能

ライラックは種まきで増やすこともできるのです。発芽させる難易度はやや高く、木を種から育てるのには少し時間がかかりますが、1から育てたぶん愛着も増しますよ。種まきのコツをご紹介します。

種まきの時期

ライラックの発芽温度は15℃~20℃です。種まきにおすすめな時期は、秋の中旬か、春の初めです。ライラックの苦手な真夏と、寒さの厳しい真冬の時期を避けて行いましょう。

種まきの方法

種まきを行う前日には、あらかじめ種を水に浸けておきます。 土はパーライト5:赤玉土(中粒)5の比率で混ぜたものか、もしくはどちらか片方を使用しましょう。これもあらかじめ水で湿らせておきます。 準備が完了したら種まき作業に入ります。種同士が重ならないように土の上へ配置します。種は土で完全に覆うのではなく、控えめにぱらぱらとまぶす程度にしてください。土で深く覆ってしまうとうまく発芽しません。 種まき後は、土が乾かないよう、直射日光が照りつけない場所で管理してください。発芽したら、葉が3~4枚生えるまで待ち、鉢や植えたい地面に移します。

育て方⑪ ライラックの害虫

アブラムシ、カイガラムシ、テッポウムシ等がつくことがあります。 アブラムシは新芽に寄ってくる害虫です。カイガラムシは、植物が弱ったときや、風通しが悪い環境に発生しやすく、この虫がつくとすす病のリスクも高まったということになります。テッポウムシは植物の内部を食べてしまう虫で、温暖な地域では特に注意が必要な存在です。 これらの害虫が発生したのを見つけたら、薬剤を散布して駆除しましょう。ですがカイガラムシの幼虫がついていた場合、薬剤が効きにくいので、手作業で取り除きます。触るのが嫌な場合はブラシ等でこすり落としてください。

ライラックの育成にチャレンジしよう

いかがでしたか?  育て方をきちんと理解した上で植えれば、暖かい地域にお住まいの方でも、ライラックを育てることは可能です。美しい花は色のバリエーションも豊富で、さまざまな品種をカラフルに並べて育てたくなる植物です。 ライラックの好きな環境を用意して、春に咲くあの美しい花を楽しみましょう!