種まきからバジルを育ててみよう
バジルは種から簡単に発芽させることのできる植物です。 さらに、花が咲いたあとにはまた種が取れるので、種まきのコツを覚えれば、毎年育てられるんです! 葉を収穫すれば料理に使うこともできます。ぜひバジルの種まきに挑戦してみませんか?
バジルは初心者でも種まきからスタートできる?
あなたはお庭やベランダで植物を育てた経験がありますか? 「植物を育てるのは初めて……」という人でも、バジルはとても挑戦しやすい植物です。種まきが初めてでも大丈夫。ちゃんと発芽するか心配でも、ポイントさえ押さえれば簡単ですよ!
バジルの種まきから始める栽培で知っておきたい10のポイント!
ではさっそく、種まきをスタートするにあたって知っておきたいポイントを、10の項目に分けてご紹介していきます!
①バジルの種を用意
まずは種を用意しましょう。 バジルはとてもメジャーなハーブなので、ホームセンターや園芸店で購入できます。よく出回るのは春~夏頃です。
種は花が終わったバジルから採取できる
すでにバジルを育てている場合は、自分で種を採取してみましょう。 バジルは白い花を咲かせます。その花を放置しておくと、やがてさやが茶色っぽくなり、中に黒い種をのぞかせます。この状態になったら種をそっと取りましょう。 ちなみに、種を採取せず、葉の収穫を長い間楽しみたい場合は、できるだけ花は咲き次第取ってしまうようにします。花が咲くと、バジルは種を作るために栄養を使うので、株全体が弱ります。葉もあまりつけなくなってしまうのです。バジルは葉を食用にする植物ですから、これでは困りますよね。 なので、いくつか植えておいて、種を取る株と花を取って長い間収穫を楽しむ株に分けてしまうのもいいでしょう。
②種まきをする土を用意
種だけでなく、土も用意しましょう。
園芸用の培養土でOK
バジルの栽培には、特別な土の配合は必要ありません。 園芸用の培養土で充分に育ちます。市販されている「花と野菜の培養土」、もしくは「野菜の培養土」等です。これを買っておけば、ほかの植物を育てるときにも広く使えますよね。
バジルの好む土壌
ちなみに、バジルがどんな土壌を好むのかをご紹介しておきます。 バジルは中性~アルカリ性を好みます。 また、有機質をふんだんに含んだ土が好きです。 もし自分で土をブレンドしたいなら、赤玉土7:腐葉土3の割合で作ると良いでしょう。 赤玉土は「小粒」「中粒」「大粒」と粒子の大きさが書かれて販売されていますが、バジルにはこのうちの「小粒」を用意します。腐葉土は、落ち葉を発酵させて作られた土なので、バジルの好きな有機質をふんだんに含んでいます。 さらに、これをアルカリ性に調整するため、苦土石灰を少し混ぜましょう。
直まきしたい場合
プランターやポリポットではなく、地面に直接種まきをしたい場合、あらかじめ地面をアルカリ性に傾けておく必要があります。 種をまく二週間前から土作りを始めましょう。 まず、苦土石灰を植えたい場所にすき込み、寝かせます。 一週間経過したら、堆肥をまぜ、さらにまた一週間待ってください。 これで種まきが出来る土の完成です。 堆肥を混ぜるとき、肥料も一緒に混ぜておけば、さらに安心です。
③種まきをするプランターを用意
植物によって、良く育つプランターの大きさは異なります。 バジルの場合はどんなプランターを使えばいいのか、見ていきましょう!
バジルに適したプランターの大きさ
バジルはどんどん育つ植物なので、プランターも大きめがいいでしょう。 そのぶん根を張り、たくさん育ってくれます。 おすすめは幅は幅30㎝ほど、高さは50センチ以上あるものを選ぶこと。 適しているのは10号~12号鉢です。これ以上大きいと、水はけが悪くなりすぎて根腐れしやすくなります。 あまり大きく育てたくない人は、6号鉢か7号鉢くらいで育ててください。小さめで手軽に管理するのもひとつの方法です。
底に穴を空ける
最近は、鉢として売られている商品ではなく、自作した鉢やべつの容器を用いる人をよく見かけます。 この場合、底にはきちんと穴をあけてください。 古い水がいつまでも鉢の中に残っていると、植物にとって良くありません。根腐れして枯れてしまいます。 バジルの場合、鉢の素材はあまり気にしなくても大丈夫です。バジルは一年草といって、冬を越せず翌年は枯れてしまう植物なので、つぎに育てるときは別の鉢を試すこともできます。
育苗用のトレーに種まきするのもオススメ
育苗トレーというアイテムを知っていますか? これはセルボックスとも呼ばれ、植物を種から苗の状態にするまでに使われます。その名の通り、育苗のための園芸道具です。ポットをいくつもつなぎあわせたような外見で、移動や持ち運びに便利で発芽の管理もしやすいのが特徴です。 一度にたくさんの種をまくなら、育苗トレーを用意してみるのもいいかもしれません。

④バジルの種まきを行う
種まきの時期
植物には発芽温度というものがあります。 芽を出すために必要な温度のことです。 バジルはあたたかい場所が好きな植物なので、発芽には20度以上が必要。春の桜が散ってからの時期に種まきをするのがおすすめです。多くの地域では、5月以降が良いでしょう。場合によっては4月中旬からでも発芽します。その年の気温と相談しながら時期を決めてください。 ちなみに、夏に種まきをしても発芽しないことはないのですが、あまり美味しいバジルになりません。詳しくは収穫の部分で説明しています。
発芽のコツ
種と種の間は2センチほど空けて、重なり合わないようにしてください。 育苗用ポットに種まきする場合、土を縁のぎりぎりまで入れず、8割か9割目くらいまでにしましょう。ぎりぎりまで土を入れると、水やりの時、種が浮きあがって水と一緒に流れてしまう場合があります。 バジルは太陽の光を感じて発芽する植物です。土はかぶせないか、うっすらとかける程度にしてください。
⑤種まき後の育苗
日当たり
発芽した苗は、混み合っている場所を間引き、日当たりのいい場所で育苗します。 バジルは太陽の光に当てれば当てるほど、香りが良くなります。どんどん太陽の光に当てて育苗しましょう! 日当たりが悪いとあまり葉が茂らず、なんとなく育ちも悪くなります。
水やり
地面に直接植えた場合、バジルに水やりは必要ありません。深くまで根を張って、地中の雨水を吸収してくれます。 ですがプランターに植えた場合、水切れを起こさないために水やりをしましょう。土の表面が乾いたら、たっぷりと与えます。 まだ土の表面が乾いていないうちに水をやると、根腐れしやすいので注意が必要です。バジルが枯れる原因の多くは、水のあげすぎにあります。さらに日当たりの悪さも重なると、水がなかなか乾かないので良くありません。水は闇雲に与えるのではなく、「土の表面が乾いたら!」と覚えておきましょう。
⑥植え替える
バジルの苗が育ち、育苗ポットが小さく感じられてきたら、植え替えを行います(最初から地面やプランターに種をまいた場合は不要です)。 ②で紹介したような園芸用の土を用意し、根を傷つけないように植え替えてください。 プランターに植える場合は、株と株の間を大きく離し、大きく育ってもお互いの葉ができるだけ重ならないようにします。 60センチ幅のプランターに対して2株、多くても3株が良いでしょう。 4株は植えすぎです。互いの葉が日光を遮ってしまい、大きく育つことができなくなります。
⑦肥料を与える
バジルの植え替えが済んだら、大きく育つまでの間、肥料を与えましょう。肥料がなくても育たないわけではありませんが、肥料が好きな植物なので、ぜひ与えてみてください。 肥料は油かす、または液体肥料を使います。 ここでぜひ覚えておいてほしいのは、植物は窒素をたくさん補給するほど、葉を茂らせるということ。バジルは葉を収穫する植物ですから、窒素成分の多い肥料を与えましょう。
油かす
油かすとは、大豆や種の油を絞ったときに出る残りかすのことです。 だから「油かす」という名で流通しています。 自然由来の成分、つまり有機質でできているので、使っても安心してバジルを食べることが出来ます。 バジルの葉を茂らせるのに必要な有機成分が多く含まれているのが特徴。とてもゆっくりと効くタイプの肥料なので、土作りのとき最初に混ぜておく肥料としてもよく使われます。 バジルに油かすを与える場合、一ヶ月に一回のペースで使いましょう。
液体肥料
液体肥料を用いるときも、葉をたくさん茂らせることのできる窒素成分が多いものを選ぶのがおすすめです。 水にまぜて使います。一週間に一度、株元に与えてください。油かすと比べて管理する場所を選ばず、またコンパクトに収納することもできるので、ベランダの小さなスペースでバジル栽培を行おうと考えているような人におすすめです。
⑧摘心を兼ねて収穫する
バジルを収穫する時期
バジルはまだ生長途中の小さいうちから、少しずつ収穫してしまって大丈夫です。 ポイントは夏真っ盛りの時期が来る前に収穫を行うこと。 暑さが厳しくなり、太陽が照りつければ照りつけるほど、バジル葉を硬くしていきます。 食用にするなら、バジルの葉はやわらかいほうが食べやすいのです。 真夏以降も葉を収穫したいなら、半日陰に移動させて、太陽の光を制限しましょう。 ですが完全には葉が硬くなるのを防がないので、バジル栽培のコツは早めの時期に植えて早めの時期に収穫を行うことです。 もったいぶって葉を取っておくのではなく、「摘心」を兼ねて収穫すれば、結果的にわき芽が増え、葉もたくさんつけてくれます。
※摘心とは
「摘心」とは何かご存じですか? 植物は放っておくと、元気な枝とそうでない枝の生長に差が出てきます。 さらに放置すると、元気な枝ばかりが栄養を使ってますます伸び、そうでない枝は伸びることができないという、アンバランスなことになります。 植物が不格好になるだけでなく、花があまりつかず、果実も少なくなるというデメリットがあるのです。 そこで行う作業が「摘心」です。 摘心は、この伸びすぎている枝の先っぽをカットしてしまう作業のこと。 カットした部分はバジルの場合、そのまま洗って料理に使うことができてしまうんです。 摘心を行うと、その枝はこれ以上伸びることができなくなるので、かわりにわき芽を増やします。 つまり、一直線に伸びていたのが、枝わかれするようになるのです。 枝が増えれば、花もたくさんつきますし、果樹の場合はたくさん収穫することができます。 バジルは葉を収穫する植物。枝がたくさん増えれば、葉もたくさん茂らせてくれることが想像できますよね。なので、バジルを収穫するときは旺盛に伸びている枝の先っぽから行うようにして、たくさんわき芽が増えるように促してあげると良いのです。
⑨挿し木でバジルを増やす
バジルは「挿し木」という方法で増やせます! 種まきとどう使い分けるかというと、すでに育った株を持っている場合は挿し木、そうでない場合は種まき……という風です。 時期も重要。 バジルは寒い季節になれば枯れてしまう植物です。 なので、秋ごろから挿し木をはじめるのでは遅いのです。初夏には挿し木をはじめるのが理想。時期が早ければ早いほど、やわらかい葉を楽しめます。
挿し木の方法
生育期間中のバジルを、葉を4~6枚残した節の上で切ります。 下のほうの葉は切り取り、水を溜めたコップにつけておきましょう。しばらくすると根が伸びてくるので、これを土に植え付けます。すると新しい株に育ってくれるのです。 根が何本も伸びてきてから土に植えるのがポイント。根が出てないうちに植えても、なかなかうまくいきません。 たくさん挿し木をして増やしていきましょう!
⑩種まきから育てるのに一番重要なのは、自分の家の環境を知ること!
環境が合っていればバジルの種まきはうまくいく
種まきの時期や適したプランターなど、いろいろなポイントをチェックしてきましたが、一番重要なのは自分の家の日当たりや土の質を知ることです。 毎年バジルを育てていれば、自然と身についてきますよ! まずは気軽な気持ちでバジル栽培を初めてみましょう!
ポイントを押さえてバジルの種まきをしよう
いかがでしたか? 苗から植えるのではなく、種から育てると、より愛着も沸きますよ。 一度種を購入すれば、翌年からは挿し木や種の採取で増やしていけるバジル。 ぜひ、あたたかくなってきた時期には種まきをしてみてください!
これが育苗トレー(セルボックス)です。育苗の空間が細胞のように細かく均等に仕切られているから「セルボックス」なのですね。ひとつ250円ほどから購入できます。ポットをたくさん用意して種まきするより、管理がしやすそうですよね。細かく仕切られているので、発芽後の間引きも楽になります。育苗トレーにたくさん種まきをして、たくさん発芽させましょう!