1.アオリイカを釣ろう!~エギングが面白い~
アオリイカを釣る方法としては、ヤエン、スッテ、エギング等があります。 まずは、それぞれの釣り方を簡単にご紹介します。
ヤエン釣法
ヤエン釣法は、活けアジに食いついたアオリイカにヤエンを引っ掛けて取り込む釣法です。ヤエンを投入するタイミング、アオリイカがヤエンから外れないように取り込む駆け引き等が醍醐味ですが、活けアジが必要なので準備が大掛かりになります。
スッテ
スッテは、キビナゴや鳥のササミ等の餌を巻き付けて使う疑似餌です。スッテは、ウキ釣り、胴突き仕掛けなどに用いることができますが、電気ウキと組み合わせた夜釣りがオススメです。
エギング
エギングは、エギ(餌木)と呼ばれる疑似餌を用いた釣法です。ロッドアクションによって海中でエギを踊らせて、アオリイカをおびき寄せます。ロッドアクションの優劣で釣果に差が出るエギングは、ヤエン、スッテ等と比べてゲーム性の高い釣法と言えます。 以下、エギングでアオリイカを釣る方法をご紹介します。
2.エギングに必要なタックル
エギングをするには、エギングロッド、リール、ライン、リーダー、エギが少なくとも必要になります。エギングに必要な道具の選び方のポイントをご紹介します。
エギングロッド
エギング中は絶え間なくロッドアクションをする必要がありますので、扱いやすいエギングロッドを選択することが非常に重要です。エギングロッドを選ぶポイントは、長さ、硬さ、重さです。 エギングロッドの長さは、8~9ftが扱いやすいでしょう。長すぎるとロッドアクションする腕への負担が大きくなりますし、短すぎるとエギの遠投性が損なわれます。 エギングロッドの硬さは、エギの操作性や遠投性に大きな影響を及ぼします。目安として、秋イカ狙いで2.5号程度のエギを使うならMLを、春イカ狙いで3.5号程度のエギを使うならMを選択すると良いでしょう。 エギングロッドの重さは、軽ければ軽いほど良いです。しかしながら、軽いロッドは高価になりますので、価格とのバランスで選ぶのが良いでしょう。
リール
エギング用のリールに必要なのは、軽さと高ギヤ比です。リールの軽さはエギングロッドと同様に価格に比例します。ギヤ比は、ハンドルを1回転させた時のラインの巻取り量で、高ギヤ比なリールほど糸ふけを解消しやすくなります。 また、ダブルハンドルに付け替えれば、巻取りが安定すると共に、夜間でもハンドルを掴みやすくなります。
ライン&リーダー
ナイロンやフロロカーボンは伸縮するので、ロッドアクションをエギにダイレクトに伝えることが難しいです。そこで、エギングのラインには、伸縮しないPEラインが最適です。PEラインの太さは0.6~1号程度で、春は太目を、秋は細めを使うと良いでしょう。 エギングのリーダーには、摩擦に強く、エギと共に沈むフロロカーボンが最適です。リーダーの太さは8~12ポンドで、ラインと同様に春は太目を、秋は細めを使うと良いでしょう。
エギ~商品リニューアルの時期を狙おう~
エギは状況に応じて使い分ける必要がありますし、根掛かりでロストすることも多いので、少なくとも5~10個程度は持って行きましょう。エギを選ぶ主なポイントは、大きさと色です。 エギの大きさは、狙うアオリイカのサイズに比例します。春イカなら3~4号を、秋イカなら2~3号を使うと良いでしょう。 エギの色は天候、時間帯、アオリイカの活性によって使い分けますので、予め複数の色を準備しておきましょう。例えば、天気の良い日/活性が低い日は地味な色(オリーブ等)を、天気の悪い日/活性が高い日は派手な色(オレンジ、ピンク等)を使うと良いでしょう。 なお、商品リニューアルの時期には旧モデルが安売りされるので、最初のうちは旧モデルを沢山買っておくと良いでしょう。
その他
リーダーの先端に取り付けるエギスナップは、エギを交換する時に便利です。エギングのゴールデンタイムであるマズメの時間帯は、刻一刻と変わる周囲の明るさに合わせてエギを交換するので、エギスナップの有無は手返しに大きな差が出ます。 その他、巨イカを確実に取り込むためのギャフ、クーラーを墨で汚さないためのイカ袋なども便利です。
3.エギングの基本動作
エギングでは海中でエギを踊らせることによって、アオリイカをおびき寄せます。そのため、エギの動かし方によって釣果が大きく変わると言えるでしょう。ここでは、アオリイカにエギを上手くアピールするための基本動作をご紹介します。
フォール&ステイ~アオリイカにエギを抱かせる~
“フォール”とは、キャストしたエギが海底に着底するまでの動作です。すなわち、ロッドを動かす必要はありません。但し、糸ふけがあると次の動作に支障が出るので、竿先からエギまでが一直線になるようにラインメンディングをしておく必要があります。 糸ふけがない状態からラインがたわみを感じたら、エギが着底した合図です。但し、エギが着底してもすぐにロッドを動かさず、しばらくエギを海底に“ステイ”させましょう。 多くの場合、フォール~ステイの間にアオリイカがエギに食いつきます。フォール&ステイの時間に厳密な基準はありませんが、活性の高いマズメの時間帯は長めに、活性の低い時間帯は短めにすると良いでしょう。
シャクリ~アオリイカにエギをアピールする~
エギを海底でステイさせたら、次に“シャクリ”という動作に移ります。“シャクリ”とは、ロッドが垂直になるまで素早く振り上げ、その後に糸ふけを取りながらロッドを水平に戻す動作です。これにより、エギは海中で一旦跳ね上がってからユックリ沈みます。シャクリによってアオリイカにエギの存在を気付かせます。 そして、1~3回程度シャクったら再びフォール&ステイに戻ります。すなわち、エギングの基本動作は、フォール&ステイとシャクリの繰り返しです。アオリイカは、シャクリによって海中で踊るエギを見つけて近づき、フォール&ステイの間にエギに食いつきます。
4.エギングに適した時期~春・夏・秋・冬~
エギングに適した季節は、アオリイカの生態と深い関係があります。
エギングを始めるのは秋が一番~エギングに適した時期1~
秋は、春~初夏に生まれたアオリイカ(「新子」と言います。)の成長期で活性が高くなりますので、サイズは小さいですが数釣りを楽しむことができます。そのため、エギングを始めるのに最も適した季節が“秋”と言われています。秋のアオリイカは小さいので、エギのサイズを落とす、ライン&リーダーを細くする等の工夫をするのが良いでしょう。 また、アオリイカは水温の低下と共に沖へ移動するので、晩秋~冬にかけては船で沖に出た方が釣果が期待できます。
巨大アオリイカを狙える春~エギングに適した時期2~
アオリイカは、春~初夏に生まれて1年で生を終えます。そのため、春は、最も成長したアオリイカを狙える季節です。アオリイカはイカの中でも大型で最大4kgにもなります。1kgを超えるアオリイカは引きも強く、エキサイティングな釣りを楽しむことができます。 但し、産卵を控えたアオリイカは食欲が低下するので、秋と比べると渋い釣りになります。
個体数が少ない夏~工夫が必要な時期1~
夏は、産卵を終えたアオリイカが死に、新たに生まれたアオリイカがまだ小さいので、アオリイカの個体数が最も少ない時期です。そのため、真夏はエギングにとって最も厳しい季節と言えます。 しかしながら、全てのアオリイカが一斉に産卵する訳でなく、水温の高い海域では産卵時期が早く、水温の高い海域では産卵時期が遅くなります。そこで、春~初夏にかけて南~北に徐々に釣り場を移動し、晩夏~秋にかけて再び南に戻ってくれば、長くエギングを楽しむことができます。
アオリイカが沖に向かう冬~工夫が必要な時期2~
アオリイカは、水温の下がる晩秋~冬にかけて水温の安定する深海に移動し、晩冬~初春にかけて産卵のために浅海に戻ってきます。すなわち、冬は、陸っぱりから届く範囲のアオリイカの数が少なくなります。 しかしながら、黒潮の通り道などは冬でも水温の高いので、陸っぱりからでも釣ることができます。また、アオリイカを追って船で沖に出れば、冬でも十分な釣果が期待できます。
5.エギングに適した時間帯~マズメ・夜間・日中~
エギングに適した時間帯は何時でしょうか?
朝マヅメ・夕マヅメ
朝マヅメは日出の前後の時間帯を指し、夕マヅメは日没の前後の時間帯を指します。マズメの時間帯はプランクトンの活性が高まりますので、プランクトンを捕食する小魚の活性が高まり、小魚を捕食するアオリイカの活性も高まります。すなわち、マズメの時間帯はエギングのゴールデンタイムと言えます。
夜間
夜には常夜灯の周りに小魚が集まりますので、この小魚を追ってアオリイカも接岸します。そのため、夜は常夜灯の位置からエギを投げればヒットの可能性が高まります。
日中
日中は、マヅメや夜に比べるとアオリイカの活性は下がります。しかしながら、日中は、ラインやエギを見ながら釣りをすることができ、さらにエギを追ってくるアオリイカを視認できますので、特に初心者はマズメや夜間より日中の方がエギングに適していると言えます。 また、アオリイカの活性が最も高い秋には、日中でも十分に釣果が望めます。
6.お勧めのエギングスポット~安全に楽しもう!~
アオリイカは、防波堤、テトラポット、磯、砂浜などで釣ることができます。そのうち、港の防波堤が最も安全にエギングを楽しめるポイントです。ここでは、港の防波堤のうちでも特にエギングに適した場所をご紹介します。
藻場~アオリイカの住処~
アオリイカは海藻に卵を産み付けますから、エギが届く範囲に海藻が多く生えている場所は好ポイントと言えます。但し、防波堤から海底の海藻が見えるとは限りませんので、海底の状態を予めネットで調べてから現場に向かうのが良いでしょう。
常夜灯・墨跡~アオリイカの痕跡~
特に夜は常夜灯の位置が好ポイントとなります。また、防波堤の墨跡はイカが釣れた証拠ですから、墨跡の多い場所は好ポイントとなります。そして、常夜灯の近くに墨跡があることが多いので、港に着いたらまず常夜灯を目指し、常夜灯の近くで墨跡を探すのが良いでしょう。 但し、他のエギンガーもマズメの時間帯を狙って来ますから、早めに釣り場に行くことをお勧めします。
ミオ筋
港の中での船の通り道であるミオ筋は、特に水深が深くなっていますので好ポイントとなります。但し、航行中の船の邪魔にならないように、十分に注意して釣りをしましょう。
7.釣行の計画を立てよう~ボウズを逃れるコツ~
ボウズは釣り人にとっての悪夢ですよね。ボウズを回避するには、十分な事前準備が必要です。 エギングでボウズを逃れる事前準備のコツをご紹介します。
漁港が密集している地域を選ぼう
エギングで結果を出すには、一か所で釣れるのをジッと待つのではなく、釣れるポイントを探して移動するのがベターです。そのため、狭い範囲に多くの漁港が密集している地域を選ぶのが良いでしょう。また、駐車場の有無、釣り具店やコンビニの場所等も合わせて確認しておきましょう。
直近の釣果を調べよう
釣行する地域が決まったら各漁港の釣果を調べましょう。釣果情報はインターネットや近くの釣具店で入手することができます。そして、最も釣果の多い漁港でマズメの時間帯に釣りができるように、当日のタイムスケジュールを組みましょう。
エギのバリエーションを増やそう
エギングでは、現場の状況(天候、時間帯、活性)に応じて、異なるサイズ・色のエギを使い分けることになります。そのため、サイズ・色が異なるエギを沢山持って行き、状況に応じて頻繁に交換しましょう。近くでアオリイカを釣った人のエギを参考にすると良いですよ。
8.新鮮なまま持って帰ろう~アオリイカの締め方~
釣ったアオリイカは、新鮮な状態のまま持って帰りたいですよね。そのためには、釣ったアオリイカをそのままクーラーボックスに入れるのではなく、生きているうちに締める必要があります。 アオリイカを締めるのは簡単で、両目の間に締め具を差し込んで上下に傾けるだけです。釣具店では専用の締め具が販売されていますし、はさみやナイフ等の先端が尖った道具で代用することもできます。 また、釣ったアオリイカをイカ袋に入れておくと、吐き出した墨でクーラーボックスが汚れるのを防げます。イカ袋は、釣具店でも販売されていますし、ジップロック等で代用することもできます。
9.釣ったアオリイカは美味しく食べよう~お勧めレシピ~
持って帰ったアオリイカは、美味しく食べたいですよね。新鮮なアオリイカのお勧めレシピをご紹介します。
やっぱりお刺身~春イカの時期は飾り包丁を!~
新鮮なアオリイカはやっぱりお刺身で食べたいですよね。大型のアオリイカは肉厚なので、飾り包丁を入れると食べやすいです。また、飾り包丁はアニサキスによる食中毒の予防にもなります。アオリイカのお刺身に卵黄を混ぜて醤油を垂らしても美味しいですよ。
天ぷら~新子の時期は特に柔らかい!~
アオリイカは、天ぷらにしても美味しいです。新鮮なアオリイカを天ぷらにすれば、ホクホクの食感とイカ本来の甘さを堪能することができます。
10.まとめ
以上のように、エギングは、スポーツフィッシングとして魅力的であると共に、釣ったアオリイカも美味しく頂けます。手軽で安全に始めることができますので、家族や友人とのレジャーとして最適です!