登山時の気になる「天気」
スッキリ晴れて気持ちのいい「登山日和」を狙って、登山の予定を立てることができれば最高です。しかし、忙しいスケジュールの合間をぬって登山計画を立てるなら、晴れるかどうかは運のようなもの。更に、同行メンバーの都合に合わせるとなれば、簡単に日にちを変更することもできませんよね。思うようにはいかない天気ですが、貴重な登山を柔軟に楽しむためにも、信頼できる天気予報サイトを味方につけましょう。
天気予報と気象情報をチェック!
登山前・登山中に気になる天気ですが、大切なのは「晴れ」「雨」「降水確率」という天気予報だけではなく、予想天気図や気象レーダー、数日前からの降雨状況などの気象情報も併せてチェックすることです。「雨天決行!」ではなく、気象情報に合わせて臨機応変な登山計画を立てるようにしましょう。
天気は「雲量」で判断
天気予報の「快晴」「晴れ」「曇り」というのは、空の全天に占める雲の割合「雲量」によって判別されています。気象庁の定義として、雲量0~10%が快晴、20~80%が晴れ、90~100%が曇りとされています。 登山をする上で少し複雑ですが、雲量80%でも「晴れ」なのです。
予報の「信頼度」もチェック
週間天気予報で、三日目以降の降水の有無(降水確率)について、その予報が「適中しやすい・変わりにくい」ということが「信頼度A・B・C」で表されています。信頼度がAの時は、明日に対する天気予報と同程度の予報精度になります。一方で、信頼度がCの時は、予報的中率が低いか、翌日に予報が変わる可能性があることを示しています。
登山出発前に確認したいポイント
山の天気は変化しやすく、麓のデータとも大きく異なってきます。一般の街の天気予報は、登山では外れることもしばしば。また近年では、ゲリラ豪雨や竜巻の発生などの予測が難しい気象現象も多くなってきています。 登山計画を立てる際は、週間予報や降水確率に加えて天気図・予想天気図、雲の流れなどを同時に確認することをおすすめします。
さらにチェックしておきたいポイントが、過去の雨量です。気象庁のアメダスで、過去3日の雨量を確認することができます。雨が続いた場合は、地盤が緩くなっていたり沢の増水の危険も考えられます。山岳地帯は雨量の影響を受けやすいので、十分注意してください。
こちらは、国土交通省の川の防災情報ページです。地域の川やダムを選択することで、水位の時間変化もチェックできます。雨量が多い時期や渡渉が多いコース、頻繁に氾濫する沢があるようなコースではぜひ参考にしてみて下さい。
スマホ版の情報サイトもあるので、登山での急な豪雨時にチェックできます。
登山中に確認したいポイント
登山中は、雲量・雲の動き・風向き・気温の変化などに意識を向けるようにし、雨雲レーダーや注意報・警報など気象情報をチェックした上で行動計画を立てるようにしましょう。 風速が15mを超えるような予報では、風を遮ることのできない稜線では行動不能になります。 また、予報サイトに配信されている情報が、何時に配信されたものかもチェックする必要があります。最新情報を確認し、安全のために無理をせず、撤退の判断は早めに行いましょう。
登山に覚えておきたい目安
大まかな目安ですが、 ●標高が100m上がれば、気温は約0.6℃低下する ●風速が1m強まれば、体感温度は約1℃低下する と言われています。個人差もあり、山の地形やウェアのレイヤリングなどによっても変わってくるので一概には言えませんが、ぜひ参考にしてみてください。
安心!「登山のための天気予報サイト」
山の天気は変わりやすく、地形や斜面によって気象条件や積雪量などが異なってきます。また、大きな山であれば、登山口が異なるだけで天気が大きく変わることもあります。 日常利用する天気予報は、詳しく紹介されていても麓の市町村まで。そこで、登山におすすめの天気予報サイトのご紹介です。各山域や標高別の天気予報が分かれば登山計画も立てやすくなります。また、スマホアプリや携帯サイトを利用すれば、フィールドでの行動計画の変更に対応できます。アプリのダウンロードや、スマホのお気に入りに登録しておくことをおすすめします。
おすすめサイト➀.【山の天気】/日本気象協会
日本気象協会公式アプリも!
日本気象協会が発信している天気予報サイトです。全国の天気予報から、山や海のレジャーまで、幅広く対応。山の天気では、北海道から九州まで細かく山名が指定でき、選択すれば麓の10日間予報と共に、標高ごとの気温や風向き・風速が詳細に。ただしこの数値は、気象予測の数値計算結果をもとに表示されており、実際の地形の影響や放射冷却などにより異なる場合があるので注意が必要です。 また、季節に合わせて紫外線指数やレジャー指数・体感温度指数、夏場はアイス指数やビール指数なども。 スマホ対応アプリ、Android対応アプリがダウンロードできます。
アプリを利用すれば、フィールドでも心強いですね。
おすすめサイト➁.【てんきとくらす】/天気と生活の情報サイト
「登山指数」でわかりやすい!
[ホーム]→[行楽地の天気]→[ジャンルから選択(高原・山)]と進んでください。エリアを選択すれば、都道府県ごとに山名が選択できます。ア行から順に並んでいるので探しやすいです。 このサイトの特徴は、登山をするための快適さに【登山指数】という指標を用いている点。雨量・風速・雲量などを総合的に考慮し、独自計算によりA・B・C表示されています。 標高ごとの気温・風向き・風速も表示されていますので、登山計画の参考にしてみてください。 携帯電話からでもチェックすることができます。
おすすめサイト➂.【山の天気予報】/ヤマテン
山のプロも信頼をおく天気予報サイト
ヤマテンの「山の天気予報」は、山岳警備隊員や山岳ガイドが利用しているという、信頼の天気予報サイト。予定している山域や山を設定・登録しておけば、山の天気予報を携帯やスマホのメールで受信することが可能です。気象予報士の解説付きで、雷雨や暴風などの恐れがある時は臨時で情報発信してくれます。3時間ごとの専門天気図で、今後の低気圧の動きをチェックしたり、雲量が増えてきたら気象レーダーでチェックしたりと、フィールドでも活躍してくれる頼もしいサイトです。
国内唯一の山岳気象専門会社ヤマテンの代表・猪熊隆之氏。 自身もクライマーで、山岳番組・映画の撮影サポートやクライマーの遠征サポートも行っている「山の天気のプロ」。「観望天気」に関するブログも、わかりやすい説明と沢山の画像で好評です。
また、ヤマテン主催の天気予報講座も開催されており、季節ごとの気象特性や天気図の読み方などを学ぶことができます。オンライン講座もありますので、興味のある方はホームページでチェックしてみてください。天気図や空の状態から自分で予測できれば、天気が変わりやすい山でも安心ですよね。
おすすめサイト➃.【登山ナビ】/お天気ナビゲーター
スマホ・携帯専用の天気・災害情報サイト
こちらは、スマホ・携帯電話専用の天気と防災に関する情報サイトです。会員登録すると、1時間ごとの天気・気温・雨量・風速の情報がチェックできたり、確認したいスポットをリクエストすることも可能。 TOP[お天気ナビゲーター]→[登山ナビ]→人気エリアまたは山域から、行きたい山を選択します。 速報天気図と予報天気図、雨雲レーダーで今後の天気を予想しながら、フィールドで行動計画を立てることができます。10日間予報もおすすめポイント。 防災時の速報メール機能もあるので、日常でも活用できるおすすめサイトです。
おすすめサイト➄.【スポット天気(山)】/マピオン天気予報
地図の「マピオン」が山の天気もカバー!
地図や電話帳、乗換案内などの総合情報サイト「マピオン」は、山の天気予報もカバーしています。 [マピオン]→[天気予報(日本全国)]→[全国のスポット天気]→[自然スポット]→[山]と進んでください。都道府県・市町村を選択すると、マイナーな山までカバーした3時間ごとの天気予報や雨量、雨雲レーダーをチェックできます。 情報のジャンルごとに分かれたマピオンのスマホアプリも。山の天気だけでなく、家から登山口までのアクセスも同時に調べることができる大活躍間違いなしのアプリです。
雨の山も楽しもう!
柔軟に登山コース変更のススメ
せっかく登山計画を立てたのに、天気予報は雨。そんな時は安全第一。延期・中止は何より安全ですが、柔軟にコースを変更するのもおすすめです。 予定のルートに岩場が多い場合は濡れると滑落の危険が、そして稜線歩きが多く風にさらされる時間が長くなれば、夏でも低体温症のリスクが高まります。登山時に雨がやんでいても、過去の総雨量が多くなっている時も危険です。途中にエスケープルートがあれば安心ですが、それらがなく逃げ道がない場合は、思い切って新たな山域やコースにチェンジしてみましょう。北アルプスが雨予報でも、八ヶ岳や奥秩父山系は晴れ予報、ということもあります。また、苔が有名な樹林帯や池のほとりを周回するコースでは、雨でも楽しむことができます。
雨の山も美しい!
雨だからこそ視野を広く!
霧に包まれ神秘的な森や、雨に濡れて生き生きとした苔。キノコも雨の日は元気です。雨の日はどうしてもうつむきがちで、さらにレインウエアのフードで視界は狭くなりますが、雨の日にしか見ることのできない景色もあります。ぜひ顔を上げて、素敵な景色を見つけてみて下さい!
フィールドでの観測を大切に!
天気予報サイトを利用するうえで気を付けたい点が、「そのサイトの情報がすべてその山に当てはまるものではない」ということ。雨雲レーダーや気象図から今後の予測はつきますが、それはあくまで予測。山間部では、その地形から近隣でも天候や気温が異なる場合も多く、雷雨や突風など天気の急変も考えられます。天気予報に頼りすぎるのではなく、実際に雲量や風向きをチェックし、急な天気の崩れにも対応できる備えが必要です。
まとめ
いかがでしたか?登山が決まれば、何より気になる山の天気。最新の正確な気象情報をチェックしながら安全に登山を楽しむためにも、ぜひ、登山にピッタリな山の天気予報サイトの利用をおすすめします!
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