うなぎ釣り仕掛けの解説と作り方 道具選びの基礎知識
釣り場に合った釣り方を選ぼう!
うなぎは河川から降海して再び河川に戻る生活史を持ち生息域は広範囲に及びます。 淡水域の河川や湖沼、水田などは他に、海水の影響を受ける河口部や内湾などにも生息しています。 河川の大きさや流れの速さ、また淡水か、海水が混じる水域かで使う道具もエサも異なります。 釣り場に合った仕掛けの選択が釣果を左右します。
うなぎ釣り仕掛けの解説と作り方 仕掛けの用途と仕組みを理解しよう!
仕掛けはうなぎの習性を利用したもの
うなぎは夜行性で昼間は巣穴に潜み、日没後に巣穴から出てエサを探す習性を持ちます。 うなぎ釣りの仕掛けはこの夜行性の習性を利用しており、針とオモリを使った投げ込み型の仕掛け、直接巣穴に道具を突っ込み抜き上げる仕掛け、細い所に潜り込む習性を逆手に取った罠など種類が豊富です。 エサと針を使う釣りは日没後から、巣穴と罠に掛かったうなぎは日中狙いがまずは基本です。
うなぎ釣り仕掛けの解説と作り方 ぶっこみ釣り仕掛け
1.釣竿を使った投げ込み型の釣り
ぶっこみ釣り仕掛けは、中通しオモリを使った針一本で構成されたシンプルな仕掛けです。 釣り針が二本以上の仕掛けだと針掛かりしたうなぎが絡み付いてしまうため、このような仕掛けの構成になっています。 複数の針がある釣り方と比べると効率は良くないので、釣竿を何本か置き竿にして針の少なさをカバーするのがこの釣り方です。
2.ぶっこみ仕掛けの作り方
がまかつ(Gamakatsu) うなぎ針 三越うなぎ(糸付 徳用) 15号 ハリス5号 30本 茶 11547

うなぎ一匹につき針一本の消費と考えても良いので予備は沢山あっても間違いない
ぶっこみ仕掛けは中通しオモリをミチイトに通してサルカン(ヨリモドシ)を結べば完成。 ハリス側のサルカンにゴム管を通すと結び目の保護になります。 また、ミチイトに中通しオモリを直接通してサルカンと結ぶパターンもあります。 針は専用のうなぎ針を用います。今回ご紹介する仕掛けは全てうなぎ針で作ることができます。
3.オモリの種類と重量
中通しオモリにはナツメ型以外にも、オタフク型オモリなどがあります。 ゴム管付きのオモリも販売されているのでゴム管を別に用意するのが手間ならそちらを使用しても良いでしょう。 オモリの重量に関しては釣り場の状況によって異なりますが、飛距離を出したい場合や流れが速い場合には重くするなどの工夫が必要です。竿にあわせたオモリを選びましょう。
4.スパイクオモリを使用したぶっこみ釣り仕掛け
流れが速い釣り場ではスパイクオモリ仕掛けを使用します。 ミチイトとスパイクオモリを結び、反対側にハリスを結べば完成です。
5.日没後の釣りの注意点
日没後の暗闇の中ではうなぎのアタリは判りにくいので、竿先に発光体や鈴などを付けます。 さらに安全のためにヘッドライトなどの光源となるものも忘れず携行しましょう。 また、視界が悪い夜釣りではうなぎに掛かった針を外すのは粘液質の魚体も相まって困難です。 このような場合は仕掛けを切り、ハリスを付けたままクーラーボックスなどに入れるようにすれば頭数の確認や調理の際に滑る魚体を掴むのに便利です。 一本針の仕掛けは取り込みや仕掛けの作り直しの手間が少ないことも利点の一つです。
6.実は日中でも釣れる?
基本は夜釣りになりますが、雨後に河川や用水路に濁りが入ったときは日中でも釣ることができます。 後述するエサのミミズは濁りの入った際に特に効果を発揮します。
うなぎ釣り仕掛けの解説と作り方 ペットボトル釣法
1.竿を使わない針とオモリだけの仕掛け
ペットボトル釣法はミチイトを巻きつけたペットボトルに、オモリとうなぎ針を結んだ仕掛けです こちらもぶっこみ釣りと同様、日が落ちてからの方が釣果の得やすい釣り方となります。 手で投げ込みを行う釣り方なので、中小型河川などに向きます。 釣竿の管理や持ち運びの手間の必要のない釣り方です。 針はペットボトル一本につき一つなので、釣竿と同様にいくつかペットボトル仕掛けを用意すればうなぎが掛かる確率も上がります。
2.アタリ時の反応
手で投げ込んだ後はペットボトルを立てた状態でアタリを待ちます。 アタリがあった時にはペットボトルが倒れ、ミチイトが自動的に放出されます。 うなぎを引き上げることを優先し、ミチイトをペットボトルに巻きなおすのは後回しにしましょう。
3.ペットボトル仕掛けの作り方
必要な材料は500mlペットボトルとミチイト3号を30m、ナス形オモリの6号とうなぎ針の12号です。 ペットボトルの首にミチイトを結んで数回巻きつけた後、胴の部分に巻き付けます。 巻きつけ終わったミチイトの先端にオモリを結び、20cmのハリス付きうなぎ針を結んで完成です。 また、オモリはナス形の他にぶっこみ仕掛けと同じくナツメオモリやオタフクオモリなどを使用することもできます。 その場合はぶっこみ仕掛けと同じ仕掛け構成で問題ありません。
4.投げ込み方
うなぎ釣り仕掛けの解説と作り方 うなぎの穴釣り
1.うなぎの穴釣りの解説
うなぎの穴釣りは日中にうなぎの潜む岸辺の穴や石の間、護岸の崩れた部分などにエサを付けたうなぎ針を刺した棒を押し込んで釣穫する方法です。 針にうなぎが食らいついたらハリスを手繰って抜きあげます。
2.穴釣り仕掛けの作り方
穴釣り仕掛けの材料は細い竹、うなぎ針、ナイロンハリス5号またはタコ糸などのしっかりした糸を使います。 竹は狭い穴に押し入れる必要があるため細いものを。全長は取り扱いやすい長さを選びます。 竹の全長より長くハリスを取り、うなぎ針と結びます(ハリス付きうなぎ針であればハリス同士を結ぶ) エサをうなぎ針に取り付け、竹竿の先端に針先を刺してハリスに緩みが無い状態で手に持てば完成です。
うなぎ釣り仕掛けの解説と作り方 置きバリ仕掛け
1.置きバリ仕掛けの解説
置きバリ仕掛けは延縄漁の仕掛けと同じく、一本の丈夫なロープなどにエサを付けた針を結んでうなぎが掛かるのを待つ釣り方です。 ロープの長さは川幅や仕掛ける位置に合わせ、長さに応じて結ぶ針の数も変わります。 ロープの両端は竹杭や石などに結んで固定しておきます。
2.置きバリ仕掛けの作り方
置きバリ仕掛け作りに必要な道具はロープ、うなぎ針が基本です。 竹杭などのロープを固定するための道具は河川の状況によって異なりますので、下調べも兼ねて確認しておいたほうが良いでしょう。 ハリスはユニノット、ダブルクリンチノットなどでロープと接続すればOKです。
3.その他の置きバリ仕掛け
置きバリ仕掛けの変形として、竹杭にエサをつけた針とハリスを結んだ土筆漁があります。 こちらは竹杭一本につきハリスは一本であり、何本も仕掛けを作り水中に突き立てておきます。 作り方は単純に竹杭にハリスを結ぶだけです。結ぶ位置は水面と同じ高さにします。
うなぎ釣り仕掛けの解説と作り方 うなぎ筒
1.うなぎ筒の解説
うなぎ筒は日中狭いところに身を潜めるうなぎ習性を利用した罠です。 地域によっていくつも作り方が存在していますが、筒状であることに変わりはありません。 素材は竹や塩化ビニールパイプなどで、両端に穴が開いているものや片方のみに穴があるもの、うなぎが逃げられないように返しがあるものなど多様な工夫がされています。
2.うなぎ筒の作り方 青竹製が基本

下流でエサの匂いを嗅ぎつけたうなぎは頭を上にして匂いの発生源を探す 入り口は必ず川下に向けて
材料は1m前後の青竹を使用します。工作道具に電動ドリルがあると便利です。 竹の両端の内の一方の節はくり貫き、もう一方は排水のために複数の穴を開けるだけにとどめます。 くり貫いた方は入り口として、竹ひごなどでうなぎが抜け出ないよう格子状の返しを作ります。 入り口側面にいくつもの小穴を開けておきましょう。 寄せエサは網に入れて排水穴まで押し込んでおきます。小石やオモリなどを一緒に入れておくと寄せエサが移動しにくくなります。
3.うなぎ筒の作り方を動画で詳しくご紹介
上記のうなぎ筒の作り方はごく基本的なものでした。 竹製で加工手順も比較的簡単なので参考にできると思います。 うなぎ筒と同型の仕掛けの作り方は数多く存在しているので、良い部分を取り入れて満足のいく仕掛けを自作するのも楽しみの一つと言えるでしょう。
4.青竹を使う理由とは
青竹は入手もし易く水に付けておいても形状の変化を起こしにくいため、昔から漁の材料として利用されてきました。 現在では塩化ビニールパイプや樹脂性のうなぎ筒が市販されていますが、それでも漁師やうなぎ取りの間では竹製のものが使用し続けています。 うなぎは匂いに敏感で、不自然な匂いがする漁具とでは明確に成果が変わることがその理由といわれます。
うなぎ釣りの仕掛けに使うエサはコレ!
1.キーワードは強い臭い
うなぎの食性は動物食で、虫類や魚肉、甲殻類に至るまで様々です。 その中でも特に強い臭いを放つエサを好み、その嗅覚は犬並みと言われています。 それを踏まえた上で入手し易いものを選んでいけば良いでしょう。
2.ミミズ
淡水域でのうなぎ釣りのエサならミミズが一番です。 体液に強い臭いがあり、うなぎの誘引効果は抜群。 釣具店にも常備してあるので入手も容易です。 ぶっこみ釣り、置きバリ、ペットボトル釣法やうなぎ筒の罠用のエサまで全てのうなぎ釣りに使用できます。
3.アオイソメ
アオイソメもミミズ同様に釣具店でも手に入る万能エサです。 ミミズなどは潮の影響のある水域ではすぐに弱って死んでしまいますが、アオイソメは潮に強いため下流から河口、内湾などの釣りに使用されます。 ぶっこみ釣りやペットボトル釣法などの投げ込みの釣り、置きバリ、穴釣りなどに適します。
4.ザリガニ・テナガエビ・小型のカニ類
エビ類などの甲殻類もうなぎの好物となります。 うなぎの活性が上がる頃に用水路などでよく見られるザリガニは調達しやすいエサの一つです。 テナガエビは地域によっては入手困難となる場合もあるかもしれません。 ぶっこみ仕掛けやペットボトルなどの投げ込み型の釣り、置きバリやうなぎ筒用の罠エサなどに適しています。
5.身エサ・活きエサ等
マグロの赤身やアジの切り身、鮎をぶつ切りにしたもの、イカの塩辛のような臭いの強いものにもうなぎは反応します。 これらは食料品店などでも手に入るのが利点です。 活きエサとしては小型のオイカワやドジョウなども使用されます。 身エサはぶっこみ釣り、ペットボトル釣法などの投げ込み釣り、活きエサは置きバリなどに針掛けして泳がせるのに適しています。
6.寄せエサの使い方
うなぎは配合エサや練りエサと言った物を食べることはありませんが、うなぎ筒の罠用エサとして使用する場合があります。 また、小魚の頭部や魚腸などの廃棄する部位もエサとして有効です。 針に直接掛けることが難しい場合でも、罠用の寄せエサに使用することができます。
捕獲制限などに関しての注意
規約を守って楽しい釣りをしよう!
内水面の遊漁はほとんどの河川で、漁業権を始めとした法律の規定によって制限されています。 制限内容は漁具、漁法、採補禁止区域、体長制限など様々です。 うなぎ釣りにおいては置きバリやうなぎ筒、竿を使った釣りも制限していることがあり、遊漁する河川の規則をよく確認しておく必要があります。 また、漁業権の設定を受ける漁協は漁場管理や稚魚放流事業を行う義務が存在します。 遊魚券購入の形で支払う遊魚料金は、魚類増殖事業や漁場管理事業の分担金ということになっています。 遊漁の際には釣具店などで購入し、監視員に提示するようにしましょう。 釣具店で購入する際は、規定による制限の詳細を教えてくれるのでぜひ活用しましょう。
おわりに
以上、竿を使ったうなぎ釣りから罠を使ったうなぎ漁までご紹介しました。 これでもご紹介できたものは一部、地域性のあるものや細かな違いのあるものも含めれば数え切れないほどの種類が存在します。 それだけ人間の暮らしにも関わりが深く、古事記や風土記、日本書紀などにもその名が見られるほど歴史深いものです。もし興味が沸いて来たなら書籍などで調べてみてはいかかがでしょうか。 ただうなぎを釣って食べるだけでなく、文化的・歴史的な視点から味わってみることも趣が深いと思いませんか?
中流から下流、河口部まで広範囲に生息するうなぎ