多肉植物を増やす方法のひとつ「葉挿し」
葉挿しの基本
まずは葉挿しの基本について確認していきましょう。 葉挿しとは、多肉植物を増やす方法のひとつで、もっとも簡単に行えます。 多肉植物の葉っぱを一枚ずつ採取し、土の上に並べておくと、切り口から新しい根がニョキニョキと出てきます。
この根に薄く土をかぶせてあげ、うまく定着すると、どんどん葉が生えてきます。そこからひとつの新しい株に成長させ、多肉植物を増やすのが葉挿しです。 多肉植物の数を増やしたいなら、絶対にマスターしたい基本の方法といえます。
葉挿しがうまくいかない……
「葉挿しがうまくいかない……」「根が出ない!」そんなことってありませんか? でも、なかなか原因が分からず、同じ失敗を繰り返してしまう方も少なくないのではないでしょうか。
そこで、葉挿しを失敗させないための7つのコツをご紹介します! 今までの葉挿しのどこが悪いのか、ぜひ自分のやり方と照らし合わせながら確認してみてくださいね。上手に葉挿しをして、株を元気に成長させましょう!
コツ① 根が出ないときは、水やりを振り返ってみよう
葉挿し前の水やりは控えめに
実は、大事なのが葉挿し前の水やり。 あなたは葉挿し前、いつも通りに水をあげていませんか? もしそうなら、改善の余地アリ!
葉挿しに使う多肉植物は、水を少なめに育てたほうが成功率が上がるんです。少し乾燥してるな……と感じるくらいがよいでしょう。もともと多肉植物は乾燥が得意な植物。故郷はメキシコのような乾燥地なので、雨があまり降らなくても耐えられるよう、体内にたくさんの水分をためこんでおける機能を持っています。
だから身体も肉厚でプニプニなのですね。多肉植物が自生している環境に合わせて、普段から水やりはあまりしない! という意気のほうが、根腐れもせずたくましく育ちますよ。
葉を摘みとったあとの水やりにも注意
葉挿し用に摘みとった葉の水やりはどうしていますか? ここにも注意しなければならないポイントが潜んでいます。人によっては、摘みとった葉がカラカラになってしまうのを防ぐために、根が出る前に水やりをすることがあるようです。 ですが、これは失敗のもと。葉の切り口はとてもデリケートで、腐りやすくなっています。
水やりをするときは、根がある程度出てきてからにしましょう! 葉挿し用の葉は小さいので、体内にためこんでおける水分も少なく、普通の多肉植物よりも水を多めに与えるべきではあります。ですが腐らせて失敗してしまうケースが多いのも事実。水はけのよい土の上で、様子見しながら管理しましょう。
コツ② 日当たりに気を配ろう
太陽の光に当てすぎないのが基本
葉挿しのとき、どんな場所に置くかも大事なポイントのひとつ。 根が出るまでは、風通しのよい半日陰に置くのがよいでしょう。あまり日当たりがよすぎると、カラカラになります。根が出るまで水やりができないので、日光に当てすぎて葉の体力を奪ってしまわないよう、注意が必要なのです。
葉挿し前の置き場所も重要
葉挿し前の親株の健康状態も重要なので、普段から多肉植物の置き場所には気をつけましょう。 品種によって、日当たりのよい場所を好むもの、季節によっては霜をふせぐために屋内へ取り込んだほうがよいものが存在します。
霜が苦手な多肉植物の場合、屋内でも定期的に日光浴をさせてあげたほうが良いでしょう。春にいきなり外へ出すと葉焼けすることがあります。不健康な葉からは元気な根が出てきません。
コツ③ 葉挿しの時期を考えよう
時期が悪いと根が出づらい
葉挿しは時期によって成功率が左右されます。 多くは秋が適していて、逆に不向きなのは梅雨の時期です。 よく分からない場合はとりあえず秋にやってみることをおすすめしますが、より失敗を避けたいなら「生育期」を意識すべきです。
多肉植物には、株がよく生長する生育期と、生長をお休みする休眠期というものが存在します。生育期には根も旺盛に育ちますが、休眠期は発根率が悪くなりがち。気になる人は自分が育てている多肉植物の生育期を調べてみるとよいでしょう。
コツ④ 葉挿しに向いた多肉植物を使おう
葉差しに向いている多肉植物、向いていない多肉植物がいる
そもそも葉挿し向きでない多肉植物を使っているから失敗してしまう、という可能性もあります。 多肉植物にはそれぞれ合った増やし方があり、場合によっては挿し木か株分けで増やしたほうが良いことも。
葉挿しに向いているのはぷっくりした多肉植物
葉挿しに向いているのは、葉に水分がたくさん含まれていそうな、ぷくぷくしている肉厚の品種です。たとえば、以下のような属が代表的な例です。・グラプトペタルム属 ・パキフィツム属 ・セダム属 ・エケベリア属 ・ガステリア属 ・カランコエ属 ・クラッスラ属
また、葉挿しに向かないのは次のような多肉植物です。・アガベ属 ・アロエ属 ・セネシオ属 ・コチレドン属 葉挿しが苦手な多肉植物は、株分けが得意な傾向にあります。 うまくいかないときは株分けを試すことも視野に入れましょう。
コツ⑤ 慎重に葉を採取しよう
切り口が汚いのはNG
葉挿しに使う多肉植物の葉は、丁寧に採取していますか? 根が出てくる切り口の部分がキレイかどうかは、うまく根が出るか否かに直結しています。皮がめくれていたり、つぶれた感じのするものは葉挿しにふさわしくありません。 葉を取るときは慎重に、左右にゆらしながら摘みとりましょう。
切り口がキレイにならないときは、刃物を使ってみよう
「切り口が汚くなってしまう……」そんな時は手ではなく、刃物でカットするのもおすすめです。 その時は清潔な道具を使いましょう。人の目には見えなくても、雑菌が付着しており、多肉植物の健康を損ねることも考えられます。
多肉植物の切り口はとてもデリケート。心配なようなら、あらかじめ殺菌してから使用しましょう。沸騰した湯にしばらく漬けておけばOKです。
コツ⑥ 土を見直そう
多肉植物用の土を使う
根がうまく成長してくれないときは、土も見直してみてください。 多肉植物には、一般の園芸用の土より、「多肉植物の土」と書かれて市販されている土が適しています。普通の土を使っていた! という方は、まず土を変えてみてください。
多肉植物用の土は、普通の土より水はけがよく、多肉植物の好きな環境を作りやすいのです。 また、「葉が腐る……」という方は、さらに水はけのよい土を自分でブレンドして作るのもいいでしょう。
少し難しく感じられるかもしれませんが、まずは市販の「赤玉土(小粒)」を多肉植物用の土に混ぜてみるところからはじめてみてください。赤玉土は扱いやすく、今後も土を自分で作ろうと思ったら必要になってきます。
新鮮な土を使う
土を何度も使い回していませんか? 多肉植物は土の栄養を吸い上げるので、ずっと同じ土を使っていると栄養がなくなり、植物が元気に育つ土ではなくなってしまいます。土が痩せていると感じた場合は、腐葉土のような、有機質の堆肥を混ぜましょう。
それでも足りない場合は活力材や肥料を使うことも考えてみてください。 葉から伸びる根はまだ小さく、少しのことで元気を失いやすいです。ずっと外にほったらかしてあった土を使うより、保存状態のよい、新鮮な土を使ってあげましょう。
コツ⑦ もっと観察をしよう
基本は観察にあり!
小さいうちの植物は、体力もなく、大きな株を育てているときより頻繁に様子を見なければなりません。 あなたはこまめに葉挿しした多肉植物の様子を見ていますか? 乾燥の具合や腐ってしまいそうかどうかなど、よくよくチェックしてあげるのが大切です。
天気や気温は毎日変動するものですから、毎日の観察の中で、「この品種の多肉植物が一番発根しやすい条件!」というものを見極めてあげましょう。観察を怠らなければ、多肉植物の栽培がどんどん上達しますよ。
自分の方法を振り返って、葉挿しの発根率を上げよう!
「ここが改善できるかも!」というポイントは見つかりましたか? せっかく葉挿しを行うなら、発根率を上げたいですよね。 自分の方法を振り返り、すくすく根を成長させましょう!