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長芋の栽培方法!植え方や肥料など育て方を基礎から徹底ガイド!

「とろろ」でおなじみの長芋も家庭菜園で栽培可能?ということで、長芋栽培についてご紹介いたします。 「むかご」と呼ばれる種芋の植えつけ時期や方法はもちろん、水やりや肥料の与え方、支柱の立て方、収穫や保存方法などについてもご紹介します。
更新: 2021年6月3日
printemps117
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自家製栽培の長芋でとろろにして食べたい!

おろし金ですりおろしたり、短冊切りにして食べる長芋。長芋は家庭菜園でも栽培することができます。 畑があれば、より栽培しやすいですが、場所が限られていれば、深さ40cm以上の深めのプランターや、なければ古くなったポリバケツや漬物を付けるポリ容器などでも代用できます。

場所がない場合は、長く伸びない品種を選んで育てるのも一つの手です。 では長芋の育て方を見ていきましょう。

難しい!?長芋は家庭菜園で栽培可能?

病気を遠ざける工夫が必要

長芋はウイルスや病害に弱く、その異変に気付くのが遅れると病気が蔓延し、栽培に失敗してしまうことが多いです。 このようなトラブルを回避する手段の一つとして、収穫後次年度はごぼうを育てたり、またその次はにんにくを植えたりすることで、土中の状態に偏りをなくし、病気にならないように輪作する方法があります。

この輪作を行うのは、何年も先まで計画を立てて栽培する必要があります。

長く伸びる環境づくりを

土の中で縦にまっすぐ長く伸びる長芋ですが、長芋が十分に育つようにするには、深く耕したり、土を軟らかくしたりする必要があります。 またそれ以上に本格的に仕上げたい場合は、「クレバーパイプ」といって細くて長い筒のような機材を使い、長芋の生長とともに形を整えます。

長芋栽培は長期戦!?

長芋は花が小さく、種がほとんどできないので、「むかご」と呼ばれる地上にできる長芋の赤ちゃんのようなものを植えるか、長芋自体を切り分けた、「種芋」いずれかを植え付けて苗に育てていきます。

実はこの時点で1年かかります。そしてそこから苗を大きくして土中に長芋ができるため、最低でも2年間は栽培期間が必要です。 ただ、種芋からじっくり育てて実らせる達成感はあります。

ところで長芋?山芋?とろろ芋はすべて同じ?


一般的に、「ヤマイモ」と呼ばれるものは、大きく分けて「自然薯(ヤマノイモ種)」と「長芋(ナガイモ種)」のわかれます。 自然薯(じねんじょ)と呼ばれるヤマノイモ種は、日本原産の希少な植物の一つで、古くから日本で栽培されています。

自然に生え、山野に自生している貴重な山の宝物です。 長芋(ナガイモ種)は、「ナガイモ属」に属する「長芋」、「ねばり芋」、「姫神芋」があり、ツクネイモ群には、山の芋、イチョウイモ群には、「イチョウ芋」が属しています。

春:長芋が育ちやすい土作りと種芋の植え方などについて

土作り

雨が多い日本の土壌の多くは酸性土に傾きがちなので、植え付け前の土に苦土石灰をまき、弱酸性にすることで長芋だけでなく、野菜が育ちやすい土になります。 この時、鍬ではなくスコップで苦土石灰を混ぜながら耕していきます。

土が固いと長芋が生長途中で曲がってしまったり、最後までしっかり育たなかったりするので土をスコップでしっかり掘りながら耕します。

スコップでの耕し方について

スコップでの耕し方ですが、常に掘った場所を崩すようにして差し込み、後退させながら掘るのがコツです。 深さは30cm以上が目安で、スコップの刃がしっかりと隠れる程度に耕します。

まっすぐな芋を育てるためには土の塊は丁寧に砕き、小石や硬い枝などがあればそれらもすべて取り除く必要があります。 土をよく耕して平らにならしたら1週間ほど寝かせてなじませます。

植え付け前の施肥について

土をよく耕したあとは、堆肥と化成肥料を蒔いていきます。肥料の蒔き方ですが、溝を作ってそこに施肥するとよいです。 この溝施肥は、区画に溝を掘り、そこに堆肥や化成肥料を蒔く方法で、区画全体に蒔くよりも肥料の効果が長持ちさせることができます。

溝の幅は15cm、深さは20~30cmぐらいが目安です。溝ができたら堆肥と化成肥料を蒔いていきます。 まずは、溝1㎡あたり3リットルを蒔き、土をふかふかな状態に改善すると根が張りやすくなります。 そしてその上に化成肥料を1㎡あたり100~150g蒔きます。

種芋を植えつけよう

長芋は花をつけますが、種はほとんどできないので、種となる「種芋」もしくは、地上部の茎の部分にできる「むかご」を育てて種芋にする場合とがあります。

種芋を溝の中に植え方に関する注意点ですが、肥料と種芋が直接当たってしまうと肥料焼けといって、芋がしおれてしまったり、枯れてしまったりすることがあるので、掘って盛り上げた土を10cmほど埋め戻してから平らにします。

種芋の植え方

埋め戻した土の上に種芋を寝かせるように横向きにしておきます。この時、向きをそろえておきましょう。 また種芋は細くなっている方から芽が出てその下に「イモ」となる根が育ちます。

向きをそろえて植えるとお互いの生長を邪魔することなく大きく育ちます。 芽が出る先の方を30~40cmあけ、鍬で土を被せ、溝を埋め戻します。 雨が降ったりすると水が溜まって芋が腐りやすくなるので、高さ5~10cmぐらい土を盛り上げておきます。


水やりはほとんど必要ない

長芋栽培は、地植えで行っている場合は基本的に水やりの必要はありません。ただ、梅雨明けなどに土が乾燥しすぎると芋が傷んでしまうので、7~8月頃に株元をワラや腐葉土で覆うのをおすすめします。

夏~秋の時期:支柱立てと手入れ・管理について

ウイルスなどに注意しながら生育を要観察!

植え付けて1か月ほど経ったら、つるが伸びだします。つるが伸びだしたら、支柱を立ててつるを支柱に絡ませます。 長芋は支柱に沿ってつるが伸び、光合成をおこないます。その光合成の養分が芋のほうにまわって芋を太らせるので、支柱を立てて葉全体によく日が当たるようにします。

支柱の立て方ですが、発芽した場所を中心に15cm~20cm離れた場所に3本の支柱を三角形になるように挿し、上部を麻ひもなどで固定するだけなので簡単です。

除草や中耕も忘れずに

種芋から養分の吸収が終わり、土壌からの養分の吸収に切り替わるのが6月下旬頃です。 肥料は梅雨が明けて生育が旺盛になる7月下旬~8月下旬までに施します。追肥が遅れるとアクが生成されるので遅れないようにしましょう。

長芋栽培、肥料の与え方や時期について

長芋の施肥量は、成分量により異なります。 長芋1本あたりの施肥例は、化成肥料の場合、植え付け前~収穫までの総施肥量は約70gが目安です。1回目の元肥は定植後すぐに与えます。

量は総施肥量の60%(約40g)、2回目の追肥は植え付け後から約60日後で、総施肥量の約40%(30g)を与えるようにします。 種芋から養分の吸収が切り替わる6月下旬と生育が旺盛になる7月下旬~8月上旬頃までに施します。

施肥量は成分量により異なります。 施肥例(一本当たり) ①化成肥料(8・8・8)の場合/約70g ・1回目元肥(定植後すぐ)/60%(40g) ・2回目追肥(60日後)/40%(30g)

タネイモから養分の吸収が切り替わる6月下旬と生育が旺盛になる7月下旬~8月上旬までに施します。

秋~冬:いよいよ収穫の時期


長芋の収穫時期と収穫方法

10月下旬頃、葉や茎が黄色くなってきて枯れてきたらいよいよ収穫時期を迎えます。収穫は11月~12月頃にかけて行われますが、長芋は地中深く伸びているので、芋に沿って深く穴を掘り、丁寧に収穫します。掘取機で収穫する場合は、支柱やネットを取り除いてから作業をおこないましょう。

収穫後の保存方法について

長芋は収穫後、一定期間保存することができます。 この時、保管温度を一定に保ち、長芋の保存温度は+5℃前後が最も適しています。温度の変化により、痛みの原因になりますので気を付けましょう。

また直射日光に当てると、長芋の肌がピンク~紫に変色し、アクの原因になってしまいます。あと、風に当てないことも重要です。風に当てすぎると長芋の水分が奪われてしおれてしまいます。

冬~春、次の年の準備について

土の中に残された長いもは一定期間休眠します。通常ですと、植物は土の中にあることで新しい芽を出しますが、成熟した長芋は土の中で休眠するため芽が出ません。 約3~4か月近く休眠期間となり、芽が出る前に春堀り長芋として収穫することができます。

連作障害について

ヤマイモにおける連作障害はいくつかあります。中には一度この病気が出ると収穫をあきらめざるを得ないものもあるので、一度長芋栽培をおこなった場所では、できれば2~3年は同じように長芋栽培をすることを避けたほうがよいです。

連作障害の例としては、 ・紅色根腐病・・・この病気が出たら諦めざるを得ない ・センチュウ被害・・・ヤマイモの表皮に黒いボツボツができたり、こぶができたりする。 ・育成不良・・・栄養素の不足か同一地栽培では年々成長が衰えてくる。 などがあります。連作障害の原因としては、肥料過多など促成栽培などもあります。

長芋が好きな方はぜひチャレンジしてみて!

家庭菜園で長芋とは、あまりなじみがなかったかもしれませんが、食べたいときに食べる分だけ収穫できる魅力や、植え付けてからあとは、ほとんど放任栽培も可能というような特徴が長芋にはあります。 植え付けから収穫までは少し時間がかかりますが、自分で育てた長芋を収穫するときはそれだけ達成感を感じられますよ!