家庭菜園でおいしいブルーベリーを育ててみたい!
初夏になると小さくて甘酸っぱい実をつけるブルーベリー。 家庭菜園でブルーベリーを育てたいとお考えの方は、栽培土地の条件にあったブルーベリーを選ぶようにすると、病害虫の被害を受けにくいですし、うまく育てればおいしい実がなり、それなりの収穫量も見込めます。 今回は、種類や品種の特徴や見分け方、栽培方法などを合わせてご紹介いたします。
ブルーベリーの種類や品種ってどれぐらいあるの?
ブルーベリーはツツジ科スノキ属の低木植物です。酸性土壌を好み、自然交雑を繰り返しながら、種を分化させて現在に至っています。 野生種は熱帯山岳地帯から温帯および、亜熱帯まで広い範囲で生息しています。その種類400種以上になります。 現在、園芸用として取り扱われているブルーベリーは、アメリカ大陸の北東部から南部フロリダ州まで広範囲の気象条件の地域で自生している数種類の野生種が改良されたものです。 大きく分けて「ローブッシュ系」「ハイブッシュ系」「ラビットアイ系」となっていますが、ハイブッシュ系はさらに「北部ハイブッシュ系」「南部ハイブッシュ系」「半樹高ハイブッシュ系」と3種類にわかれています。
栽培条件に合わせて種類と品種を選ぶ
3種類に分かれるブルーベリーの品種ですが、栽培土地の気候などに合わせて選ぶのをおすすめします。 例えば、ラビットアイ系は暖地向き、ハイブッシュ系は寒冷地向き、サザンハイブッシュ系は、北海道から沖縄まで全国で栽培が可能です。 一つの目安としては、関東以北の方は、ハイブッシュ系、関東以南の方はラビットアイ系やサザン・ハイブッシュ系を選んで育てるのがおすすめです。 ブルーベリーはそれぞれに個性があり、比較してみるとおもしろいです。地植えはもちろん、鉢栽培でも簡単に育てることができますし、多種類のブルーベリーを栽培できる楽しみがあります。 そして、ハイブッシュ、ラビットアイなど各系統ごとに「早生、中生、晩生」などがあり、収穫できる時期が6月~10月と幅があります。 ラビットアイ系は異なる品種同士で受粉しないと実がなりません。 ハイブッシュ系は、サザンハイブッシュ系と呼ばれる品種と自家受粉するとよいといわれていますが、異品種で受粉させたほうが、結実がよくなります。
ブルーベリーの種類と系統について
1.ラビットアイ系
7月中旬以降に収穫できる晩生種で、土壌適応性が高く、作りやすい系統です。収穫期間が長く、収穫量も多く見込める品種が多いです。 ラビットアイ系の中でも「フクベリー」は最も遅くまで収穫できる品種です。 ラビットアイ系は、関東以南の暖地向きです。
2.ハイブッシュ系
6~7月に収穫できる早生種で、粒が大きくなる品種が多いです。寒冷地での栽培にも適していますが、土壌適応性はラビットアイ系と比べて低いので、土壌のph調整に注意が必要です。 東北・北海道など関東以北の寒冷地での栽培がおすすめ。
3.ノーザンハイブッシュ系
こちらも耐寒性に優れており、実が大きく風味や味、品質がよいのが特徴です。根の張りが浅いため、乾燥に弱い性質があります。 関東以北の寒冷地での栽培がおすすめです。
4.サザンハイブッシュ系
温暖地も栽培ができるようにと品種改良されたハイブッシュ系の品種です。 全般に暑さに強いですが、寒さや乾燥にはやや弱い傾向にもあります。全国栽培が可能な品種です。
ブルーベリー、品種別の見分け方
1.葉の形から見分ける
外側から見て一番わかりやすい見分け方は、葉の形を見ること。 一般的に、ハイブッシュ系の葉は楕円や卵型をしているのが特徴で、ラビットアイ系は葉の縁に細かいギザギザがあります。
2.実の色の違い
実がついてからの見分け方ですが、ハイブッシュ系とラビットアイ系では実の色に違いがあります。 ハイブッシュ系は、実が成熟するとともに緑→紫→濃紺(青)というふうに色づきますが、ラビットアイ系は緑から赤に色づきます。「ラビットアイ=うさぎの眼」のようだということで、名付けられました。
3.収穫時期の違い
ハイブッシュ系とラビットアイ系では収穫時期にも差があります。 ハイブッシュは、6月~8月、ラビットアイは7月中旬~9月下旬ごろまでとなっています。
失敗しないブルーベリーの品種の選び方
ブルーベリーは、栽培土地における品種の選び方で、味や収穫量が変わることがあります。 ここでは、ブルーべりーの選び方についてご紹介いたします。
1.栽培のしやすさに注目する
ブルーベリー栽培自体が初めての場合は、最初から管理が難しかったり、育てにくい品種を選んでしまうと、上手に育てるのが難しくなります。 上手に育てられそうな品種、収穫量が見込めるような品種を選び、おいしいブルーベリーを育てましょう。
2.ガーデニングに最適な種類かどうか
ブルーベリーは、鉢植え栽培も可能な品種が多いです。ベランダなど小さいスペースでも育てられますが、中には大きく生長するものもあるので、ご自身が育てる環境などを確認し、ガーデニングに最適な品種がどうかを確かめてから苗を購入しましょう。
3.どの地域にも対応できるタイプかどうか
寒冷地向き、暖地向きと系統によって育ちやすい環境が異なります。 お住いの地域で、うまく育つものとそうでないものに分かれますが、最近では、全国各地で栽培適応のある品種も増えてきました。 そのような品種を選ぶと、遠方への引っ越しなどがあった際にも安心ですね。
4.組み合わせて育てられる品種を選ぶ
できるだけ長い期間収穫したいという場合は、他の品種を混ぜて育ててみてもいいでしょう。例えば、より質のよい受粉をして、大きな実をつけたい場合は、ラビットアイ系を最低2つ以上組み合わせる必要があります。
5.果実の甘さで品種を選ぶ
色がついた鮮やかなタイプのラビットアイ系は、風味がよく甘みが強いのが特徴です。 一方、寒さに強いタイプのブルーベリーは、実が固くしっかり熟さないと酸味が残ります。 一方、酸味と甘みのバランスがよい品種は、ジャムなどに利用して親しまれています。
ブルーベリーの系統別、おいしい品種について
ここでは大まかに「ハイブッシュ系」と「ラビットアイ系」の品種を分けてご紹介しています。 ここであげた種類はこの限りではありません。
ハイブッシュ系の品種
【1.アーリーブルー】 大粒で果実の質がよく、耐寒性に強い特徴があります。実の外側が白くなる「ブルーム」が多いですが、明るい青色の果実が美しいです。 また実の落果や裂果などが少なく、日持ちもよいのが特徴です。
【2.パトリオット】 樹高は120cmほどで、直立した樹形が特徴です。 完熟したものは酸味と甘みが際立ち、独特の風味があります。 ローブッシュ系統の遺伝を引き継いでいるため、耐寒性は極めて強いですが、発芽が遅いので、遅霜に当たらないように注意しましょう。土壌適応性も高く樹勢も強いです。 大粒で収穫量も高いが、剪定時に発芽調整や結実後の摘果を行う必要があります。 成熟期に降雨があると、裂果や落果が多くなります。
【3.エリザベス】 ハイブッシュ系の中でも特に人気なのが、このエリザベスという品種です。 果実が大きめで甘みと酸味がほどよく、生食に適した品種も多いです。 日本には2002年から取り入れられました。樹姿は、直立~開帳性で、成熟期は中生~晩生で成熟期は長いです。 果実の風味は非常によく、日持ち性もよいです。
ラビットアイ系品種
【1.クライマックス】 ラビットアイ系の中では比較的樹高が低いのが特徴で、樹形も穏やかなのが特徴です。 果実の大きさは中粒で、収穫量も見込め、糖度が高くおいしいですが、種子のざらつきもあります。 果実の収穫期はほぼ同じ時期だが、完熟前後で味の差が出やすいので、完熟果を見極めるのが難しいです。成熟期に長雨にあうと、実が裂果したり落果したりする必要があるので注意しましょう。
【2.パウダーブルー】 ラビットアイ系の中ではトップクラスの収穫量を誇る品種。実は中粒サイズで裂果なども少なく保存性にも優れています。しっかり完熟させてから収穫すると非常においしいです。
ブルーベリーの品種を知って収穫まで楽しもう!
パッと見るとどれも同じように見えるブルーベリーですが、栽培する際には、樹木や実などに少しずつ違いが出ることがわかりました。ご自身の住んでいる土地に合ったブルーベリーの品種が見つかるといいですね。