鉢植えカーネーションだって育て方次第で長持ち!
母の日の定番のお花といえば、カーネーション。細かいフリルがついた花びらが繊細でかわいいですよね。母の日のプレゼントとしても最近出回っている、カーネーションの鉢植えの花ですが、育て方や肥料の与え方を知っておくと、長い間花が咲くのを楽しめます。鉢植えや地植え、挿し木での増やし方や切り戻しの方法をご紹介いたします。
カーネーションってどんな花?
カーネーションは毎年花を咲かせる多年草の1種で、ナデシコ科の花です。もともとヨーロッパの地中海沿岸に自生しており、現在プレゼントなどで広く親しまれているのは、多くの近縁種を掛け合わせて作られた交配種です。カーネーションの種類には、ワンシーズン(主に初夏)のみ花を咲かせる品種と、条件が合えば1年おきなど、何年かに一度開花させる四季咲性のものとがあります。日本には江戸時代初期にオランダから入ってきたものが最初です。
以外に古いカーネーションの歴史
カーネーションの歴史は古く、古代ギリシア時代から栽培されていたようです。16世紀頃からはイギリスでも花の改良が始まり、これまで野生種にはなかった白や赤花などの品種が出回り、さらに17世紀になると様々な色彩のものや、八重咲や大輪の品種も作られるようになりました。 現在でもヨーロッパでは品種改良が盛んにおこなわれています。中には一茎に数輪の花を咲かせるタイプのものが人気を集めており、切り花用カーネーションの中では主流なタイプです。また鉢植えとしては草丈がそれほど高くないポットカーネーションや、花壇向きで丈夫な性質を持つガーデンカーネーションなどの品種があります。
カーネーションの育て方のポイント
カーネーションの栽培時は日当たりと風通しをよくする
カーネーションを栽培する時は、日当たりと風通しを良くすることが重要なポイントです。カーネーションは日光に当てなければつぼみが開きませんし、日当たりが悪いと枯れてしまうこともあります。ただし、高温多湿に弱い花なので、夏場など強い直射日光に当てるのは厳禁です。おすすめなのは、半日陰で風通しがよく、涼しい場所に置くようにしましょう。特に屋外に置く場合は、木陰や軒下など適度に影ができる場所を選んで置くようにしてください。
気温や湿度が高いと病気になりやすい!?
カーネーションの栽培時に注意したいのは、高温多湿を避けること。特に気温に関しては、25℃以上になると花付きが悪くなり、夏場暑い時期だと、花が咲きやむこともよくあります。またカーネーションは冬の寒さに多少弱い性質があるため、冬の時期は室内であれば、日当たりがよく暖かい窓際などに、ベランダやお庭など屋外であれば、冷たい風や雨をしのげる場所に置くようにします。あと、花やつぼみは水にぬれるとすぐに形が崩れたり、色落ちしたりしてしまうので、極力雨や水滴が当たらないように注意してください。
カーネーションの育て方:土作りとその方法
カーネーションの土作り、市販の培養土でもOK
カーネーションが育ちやすい土質ですが、水はけと保水性が適度にあるものがおすすめです。一番手軽なのは、市販の草花用培養土です。もし培養土だけでは保水性に欠けると感じた場合は、少量の川砂を混ぜてあげると水がしみこみやすくなります。
カーネーションを育てる際は鉢植え?地植え?
カーネーションを鉢植えするには3~5月もしくは9月~10月頃がおすすめです。カーネーションの栽培が初めての方や、あまり慣れていない方は、地植えよりも簡単な鉢植え栽培をおすすめします。
鉢植えの手順について
1.ポットなどに植え付けられているカーネーションの株を取り出し、根についた土をもみほぐします。2.株よりも一回り大きな鉢を用意し、鉢底石と土を入れ、鉢の1/3ほど土を入れます。3.苗を鉢の中心部に置き、周りに土をいれていき、鉢の縁から下2~3cmほどのところまで土を入れます。4.水やりをして、日当たりと風通しの良い場所において管理します。
土の表面が乾いて白っぽくなったら水やりのサイン
カーネーションの鉢植えは、土の表面が乾いて、白っぽくなったら水やりのサイン。地植えは水やりの必要はなく、雨や土から吸い上げる水分だけで十分です。ただし、葉っぱや花に水がかかると株が傷むうえ、蒸れて病気にかかりやすくなります。鉢植えは、葉っぱを持ち上げて株元へ注ぐように水やりをしていきましょう。また、屋外で管理している鉢植えや地植えは、雨が当たらないよう軒下で管理したり、ネットで雨よけしたりするとよいです。
地植えは、西日など強い日差しが当たらない場所に
カーネーションを地植えする際は、日当たりと風通しのよい場所を選びますが、西日が当たらない暖かい場所を選んで植え付けましょう。鉢植えに慣れてこられた方は、ぜひ地植えに挑戦してみてください。地植えするときの注意点ですが、冬場の植え替えは寒さで株を枯らしてしまう可能性があるので避けてください。秋口ぐらいまでが植え替えに適した時期です。
カーネーションを地植えで育てる方法
地植えの方法ですが、植える場所を決めたらその場所の土を掘りあげ、腐葉土や堆肥を混ぜ合わせて2週間ほど寝かせておきます。2週間ぐらい経ったら、苗よりも一回り大きな穴を掘り、あとは鉢植えと同じ手順で植えていきます。
カーネーションの種まきについて
カーネーションは、種から育てることもできます。種まきに適した時期は9月上旬です。育苗箱や浅めの箱に鉢底石を薄く敷き詰めてから土を入れます。種は重なり合わないように気を付けてばらまくようにして蒔きます。種を蒔いたあとは、種が風で飛ばされないよう、うっすらと隠れるぐらい土をかぶせます。発芽後、葉っぱが4~5枚になったらそれぞれの株を育苗ポットに移します。
カーネーションの育て方:花がら摘みと切り戻し
茎を切って風通しを良くする「切り戻し」
カーネーションの咲き終わった花をそのまま放っておくと灰色カビ病という病気になってしまうことがあるので、花がらはこまめに摘み取ることが大事です。このような作業を「切り戻し」といいます。花が一通り咲き終わったら、茎の長さを半分ぐらいに切り戻し、混み合った部分は根元から切り落とすという作業をします。これによって株全体の風通しがよくなります。ちなみに切り戻しの作業を行う時期は梅雨前と秋が適しています。
花付きをよくするために摘心を行う
苗を育てている場合は、茎が長く伸びてきたところで、株元から5~6節ぐらいのところで先端の芽を摘み取ります。そうするとわき芽が出て、枝数が多くなり、花付きがよくなり、開花までスムースに育つ蕾を増やします。品種によっては茎が長く伸びるものがあります。茎が伸びすぎると花の重みで茎が曲がってしまうことがあるので、その場合などは早めに支柱を立てるようにしましょう。
カーネーションの育て方:水やりの方法や頻度は?
カーネーションを植えている鉢の表面の土が乾いて白っぽくなったら水やりをおこないましょう。地植えでは、雨が降り土から吸い上げる水分量があるので、頻繁に水やりをする必要はありません。水やりするときの注意点ですが、葉っぱや花に直接水がかかると株が傷み、蒸れて病気にかかることがあります。鉢植えのカーネーションに水やりする際は、葉っぱを持ち上げて株元へ静かに注ぐように水を与えます。
カーネーションを順調に育てる肥料の与え方
肥料を定期的に与えて花や蕾を順調に増やしましょう。
カーネーションの肥料の与え方ですが、花が咲いている時期は真夏の気温が上がる時期以外は、継続的に肥料を与えるようにします。生育期間中、1か月に1回は化成肥料を与え、液体肥料を使う場合は1週間に1回を目安に適切な濃度に薄めて。水やりを兼ねて与えます。開花期間中の1か月程度は、花付きをよくするためにカリウムやリン酸を多く含んだ肥料を与えるのがおすすめです。真夏や真冬は暑さで株が弱っているため、肥料を与えるとますます弱らせてしまうこともあるので避けましょう。肥料を定期的に与えることで、蕾や花を増やしていくことができます。
カーネンションの栽培で注意する病気や害虫は?
見つけたら即座に予防・退治しよう!
カーネーションに多い主な病気と害虫です。少しでもおかしいと異変に気付いたら、予防・退治をしましょう。
灰色カビ病
灰色カビ病は、カビが葉や茎につきそれが原因で枯れていく病気です。茎や苗が混んでいると蒸れてそこからカビが繁殖することが多いです。病気になった部分はもちろん、枯れた花や葉もそのままにしておかず、すぐに取り除きましょう。そうすることで、他の株への感染を防ぐことができます。また病気の株を取り除いたあと、念のため殺菌剤を散布してカビを退治・生えにくくする対策を取りましょう。あとは風通しを良くして管理します。
アブラムシ
アブラムシはカーネーションだけでなく、さまざまな植物に寄生し葉っぱや茎から養分を吸い取り、株を弱らせる害虫です。放っておくと知らない間に増殖し、他の病気を媒介することがあるので注意が必要です。牛乳を薄めずに霧吹きなどで吹きかけるなど、いくつか予防法があります。そのほか、園芸店やホームセンターなどには、安全性の高い殺虫剤が販売されていますので、それらを使って早めに退治しましょう。
カーネーションの根腐れについて
カーネーションを買ってきてそのままの鉢でしばらく置いておくと、次第に鉢の中で根が詰まり、「根詰まり」や「根腐れ」といった症状を起こしてしまうことがあります。鉢の底から覗いたとき、根っこが見える状態、根がぎっしり張っている状態であれば、一回り大きい鉢に植え替える必要があります。 季節的に秋以外は鉢根は崩さずに慎重に植え替えます。
花や茎を切り取るときに注意したいこと
カーネーションに限らず、植物を観賞用などとしてハサミやナイフで切り取ることがあると思いますが、植物を切るときに植物の茎から汁が出て、ハサミやナイフにつくことがあります。それをそのまま洗わずにそのまま乾かして次に別の植物を切ってしまうと、前に切った植物の汁に病原菌が含まれていた場合、別の植物にも病気を感染させてしまうことになります。ハサミやナイフを使用したあとは、よく水で洗い流し、使う前にライターなどで刃先をあぶって消毒してから使うと安全です。
カーネーションの増やし方、挿し木の方法は?
カーネーションの増やし方は挿し木がおすすめ
カーネーションは挿し木で増やして育てることもできますが、挿し木をする場合は春か秋に行うのがよいでしょう。挿し木の手順ですが、 1.まず主茎から出ている若い茎を10~15㎝程度切り取り、先端についている葉っぱを数枚残してその他の葉っぱをすべて取り除きます。 2.茎の切り口を水に数日間浸けて置き、挿し木用の土を用意したら、土を鉢やプランターなどに入れ替え、切り口をつぶさないように土に挿します。 3.土を乾燥させないように、鉢底に受け皿を敷き、水をためておくようにします。挿し木をした鉢は半日陰の場所で管理しましょう。 4.発根したら鉢や庭に植え替えて挿し木は完了です。うまくつけば半分以上は根がつき、その後つぼみがついてきます。 ※わき芽を摘み取ったり、切り戻し作業をする際は、消毒したナイフやハサミ、もしくは手で摘み取ると病気にかかる心配が少なくなります。 このように挿し木で株を増やしていくと、栽培はもちろん、観賞用としても楽しみましょう。
母の日にも喜ばれるカーネーション
カーネーションは育てていくと、それほど栽培が難しい花ではありません。病害虫を防ぐための切り戻しや摘心、苗をできるだけ丈夫に大きく育てるよう、追肥を忘れずにおこないましょう。ご自身で育てたカーネーションを母の日にプレゼントするのもいいですね!