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【ファーストエイド入門ガイド】登山中などの急な怪我の防ぎ方とは?

ファーストエイドという聞きなれない言葉、皆さんはご存知でしょうか? 近年アウトドア好きには役に立つ! など評価され認知度が高まってきたファーストエイドですが、まだまだ知られていないのが現状です。 まずは入門として、基本的なことからファーストエイドを紹介します。
2020年8月27日
MIPU
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ファーストエイドとは?

ファーストエイドとは聞きなれない言葉ですが、実は皆がよく知っていることで、 日本語で近いもので変換すると応急処置・応急手当という事です。 外傷性のアクシデントが多いですが内科的な病気なども対応します。 心肺停止の状況も発生してくると、胸骨圧迫などBLS(一次救命処置)の知識が必要になってきます。 現在ファーストエイドを含めた一次救命の研究や普及をしている団体は数多くあり、 それぞれ独自の特徴(山林での場面、街中での場面、医療機関での場面など)も見られています。 そのせいもありファーストエイドのガイドラインがバラバラで広域や狭域になりすぎたり、 初めてファーストエイドを覚えようとする人にとっての敷居を高めたりしている現状もあります。 本当なら国で一本化して、このガイドライン以外のものはファーストエイドではないですなど決めてしまえば分かりやすくなるのでしょうが、現在は多くあるのが実情です。 良く言えば、多くある分それだけ身近でファーストエイドの講習会に参加できるということです。

ファーストエイドガイドライン

今回紹介するガイドラインはJRC(日本蘇生協議会)のものです。 ここのガイドラインはわかりやすく、体系的に蘇生に重点を置いてるため、 どのような場面でも活用することができます。 JRCのガイドラインにはファーストエイドとは “急な病気や怪我をした人を助けるためにとる最初の行動”と定義しています。 そしてガイドラインには“人の命を守り、苦痛を和らげ、病気や怪我の悪化を防ぎ、 回復を促す”とあります。 つまり人を生かして助けるというのが、 JRCのガイドラインに記載されているファーストエイドの定義なのです。

出典: https://www.pakutaso.com/20170641159post-11964.html

ファーストエイドの資格

ファーストエイドの資格についてですが、ファーストエイドの国家資格はありません。 国家資格ではないと知り少し残念に思うかもしれませんが、 ファーストエイドとは多くの一般市民に浸透し、習得してもらってこそ意味のあるもの。 国家資格としての観念にとらわれる必要のないジャンルなのかもしれません。 ただし認定資格はあります。 各団体の認める認定資格として、技能習得者には資格を発行しています。 山岳ガイドやインストラクターなどは資格が必要になってくるので、 各団体の要項を把握しておく必要があります。 受講資格としても医療関係の資格保有者が対象というのもあります。

ファーストエイドの講習会

ファーストエイドの講習会は各団体で定期的に開催しています。 ファーストエイドのインストラクターの資格などもまずは講習会を受講して、 試験に合格してからになります。 講習会を開催している団体により街の中で日常的にあることをメインにしている場合、 山や川などアウトドア中に起こりうることをメインにしている場合と別れることがありますが、 それぞれ調べてから講習会に参加した方がイメージしたことに近いものが学べるはずです。 いくつか講習会を紹介します。 ・MFAジャパン ・日本赤十字社 ・ウィルダネスメディカルアソシエイツジャパン ・日本ACLS協会 他にも講習会はありますが、どの講習会も基本となるものは同じで、 傷病者を発見してから病院に送るまで、あるいは状態が安定・回復するまでに、 どう最善の策をとるのかを考える方法を教えてくれるのがファーストエイドの講習会です。 ファーストエイドの講習会に参加して学ぶことは、 アウトドアに携わるならばきっと意味のあるものになるでしょう。

ファーストエイドキッドの使い方

ファーストエイドキッドとは応急手当の道具のことです。 どのような状況にも対応できるようにファーストエイドキッドは必ず用意しておきましょう。 ファーストエイドキッドには購入時にキッド内容が入っているものと、 購入時にはケースだけで自分でキッド内容を揃えるものがあります。 どちらを選択するにしても、自分の活動する場で想定される怪我などに対応していればいいでしょう。 ファーストエイドキッドで一番大切なことは全て揃えて持って行くことではなく、 どの道具がどこにあるのかを把握しすぐに出せるようにして、 道具(薬など)の使い方をしっかり理解しておくことが必要です。 いざという時に使い方が分からないのでは意味がありません。

ファーストエイドキッドの内容


・包帯 外傷時、骨折や出血時の止血に必要となります。 医療機関では包帯はだんだん使う機会が減ってきていますが、 野外でのファーストエイドではいろいろな使い方もできるため、 包帯法も覚えておくと便利です。 ・絆創膏 絆創膏も持っておく意味があります。 包帯を使う必要のない場合などは手早く応急手当てできますし、 傷口からの感染予防にもなります。 ・三角巾 骨折の際には固定として使用し、ハサミで切ればガーゼとして使うことができ、 登山中の靴擦れには小さく切って患部の保護としての使い方もあります。 ・テーピング 捻挫や突指にはテーピングで対応します。 いくつか太さの違うものを用意しておくといいでしょう。 ・消毒液 外傷時の応急手当で使用します。 ファーストエイドキッドの中に入れっぱなしで、使用期限切れにならないように、 定期的にチェックしましょう。 せっかく用意したのに使えないのでは意味がなくなります。 ・ゴム手袋 血液による感染を予防するという意味でもゴム手袋が必要です。 マスクも用意しておくと飛沫感染を予防することができます。 ・サムスプリント 簡易的な副木として使用します。 携帯性にも優れており、骨折の際には三角巾と合わせて活躍します。 ・熱さまシート 発熱時や打撲、捻挫の際のクーリングとしての使い方をします。 ・ハサミ 衣類を裂いたり、包帯や三角巾を切る際に使用します。 医療用のL字のハサミは高価ですが、皮膚を傷つけずに使用できるようになっています。 ・シリンジ 傷口の洗浄や毒の吸引に使用します。 毒の吸引の際の使い方としては、毒針をピンセットなどで抜き、 シリンジ先端をカッターやナイフなどでカットして吸引口を広くしてから吸引します。 ・痛み止め 怪我や頭痛、発熱に対応します。 ・下痢止め 野外ではトイレが必ずあるとは限りません、特に登山ではトイレがないのが普通ですので、 持って行く意味があるのではないでしょうか。 他にも常備薬があれば用意しておくと準備万全です。

外傷時のファーストエイド

野外活動では予期せぬ怪我をしてしまう可能性があります。 そんな時に活用できるファーストエイドを状況別に、対処方法を紹介します。 藪や山では木の枝や草で切創を負ってしまう可能性があります。 登山道などは意外に狭く、鋭く飛び出している枝も少なくないです。 また、野外での調理の際も誤ってナイフで指を切ってしまうことも考えられます。 いかなる状況にも対応できるようにしましょう。

出典: https://www.pakutaso.com/20160433112post-7700.html

切創時(切り傷)のファーストエイドとは

野外では一番多い怪我で、ナイフや枝などで切ってしまうというということもあり、 重度なものから軽度なものまであります。 1 出血の有無、出血量の確認 2 傷の深さ、範囲の確認 まずは血が出ていないか観察です、血が出ていれば止血をしなければなりません。 出血量にもよりますが基本は患部を圧迫止血します。 出血量が多い場合は血圧が低下し、ショックを起こしてしまうため、 下肢を挙上し心臓の近くに血を集めるようにします。 傷の深さによっては動かすことが難しい場合もありますが、 洗浄し傷が開かないようにステリテープなどで固定するのが望ましいでしょう。 切創時の応急手当のガイドラインは出血には圧迫止血、そしてテープ固定となります。

出典: https://datsumos.com/illust/kizu01/

刺創時(刺し傷)のファーストエイドとは

植物のトゲが刺さるくらいの怪我なら気にすることもないかもしれませんが、 クギを踏んでしまったり、転倒時に枝が刺さるなどのトラブルも考えられます。 1 原因となるもの確認、またそれの状態 2 出血の有無、出血量の確認 刺創を負ってしまった原因となるものの確認をします。 次にそれはどのような状態なのか観察しましょう。 たとえばクギを踏んでしまったとしたら、クギの大きさや、 クギは今抜けているのか刺さっているのか、クギの汚染状況など。 汚染が激しい場合は感染症の可能性も出てきます。 なるべく刺さっているものは抜かずにぐらつかないように固定します、 抜くと大量出血の可能性もあります。 次に出血ですが、切創時同様に圧迫止血します。 刺創時の応急手当のガイドラインは刺さっているものはなるべく抜かずに固定する、 出血時には圧迫止血となります。

出典: https://pixabay.com/ja/%E3%83%8D%E3%82%B8-%E3%83%8D%E3%82%A4%E3%83%AB-%E3%83%84%E3%83%BC%E3%83%AB-%E9%87%98-%E9%87%91%E5%B1%9E-%E7%88%AA-%E5%BB%BA%E7%89%A9-%E6%9C%A8%E6%9D%90-1890024/

捻挫のファーストエイドとは

登山中、特にガレ場など足元の安定しない所では足をひねってしまい、 捻挫してしまうケースが多いです。 1 腫れの程度 2 痛みの度合い どんなに注意して歩いていても足をひねってしまうことはあります。 そんな時はまず冷やしましょう、氷などなければコールドスプレーなど使用して腫れを抑えます。 痛みの度合いによっては、足の場合なら歩かずに患部を挙上します。 捻挫時の応急手当のガイドラインは冷やして患部の挙上となります。

出典: https://www.pakutaso.com/20160414112post-7692.html

骨折のファーストエイドとは

骨折も登山中に多い怪我の一つです。 開放骨折の場合は出血も見られますが、 閉鎖性の骨折では捻挫の所見と見た目では同じで区別しにくい場合があります。 骨折の場合の応急手当は次の通りです。 1 患部の固定 2 患部の冷却 骨折の場合捻挫や打撲以上の激痛があります。 患部は動かすことができず、動かすと痛みを伴うため第一に固定する必要があります。 次に腫れを抑えるために患部の冷却をする必要があります。 固定の際の副木の使い方ですが、折れた骨に副木を当て、 両端の関節をテーピングなど使用して固定します。 上肢の骨折の場合、三角巾での固定もあります。 三角巾の使い方は首を支点にして患部を包みます。

出典: https://www.pakutaso.com/20160427111post-7659.html

熱傷のファーストエイドとは

登山では調理中に強風でバーナーが倒れてやけどするなんてこともあります。 1 熱傷の範囲の確認 2 冷却 熱傷時の応急手当のガイドラインはまずは冷却しましょう、 水で濡らしたタオルを絞ったものでかまいません。 患部を10分以上冷却しましょう。

回復体位とは?

側臥位で患者自身の肩を枕にして、首を後屈させて気道を確保する体勢です。 意識障害のある患者でも生存の可能性が下がらずにいられる体勢です。 側臥位なら嘔吐しても窒息の危険が少なくなります。 回復体位に関しては講習会などでも教えられることが多いです。

病気の時のファーストエイド

怪我以外にも内科的な原因でファーストエイドを必要とすることがあります。 登山ではすぐに応援も駆けつけてくれないため、搬送前の応急手当が生死を分けることにもなり、 内科的なファーストエイドも重要になってきます。

喘息時のファーストエイドとは

激しい運動後に喘息発作を起こす方も少なくないです、このときも慌てずに行動しましょう。 1 気管支拡張薬の所持の有無 2 起坐呼吸 喘息の応急手当では、 まずは喘息発作を起こしている対象者が自分の気管支拡張薬を所持していないか確認します。 持病で喘息がある人は高確率で持参していますので、あれば使用してください。 呼吸が安定するまでは安静を保つようにします。 このとき起坐呼吸をします(机に座り前傾になる体制。授業中の居眠りの時の体勢)、 この体勢にも意味があり、通常よりも肺が圧迫されないのです。

低血糖のファーストエイドとは

持病として糖尿病がある方は血糖値のコントロールにも気を付けなければなりません。 もし低血糖症状の人がいれば応急手当としては 1 症状の観察 2 糖の補給 低血糖症状には悪寒、動悸、めまい、ふらつきなどがあり、 けいれんや意識障害がある場合はかなり危険な状態です。 経口からの摂取が可能なら第一選択としてブドウ糖を選びますが、 普通身近にあるものではないです、そのためショ糖であるアメなどの甘味ものが多く選ばれます。 摂取後に効果がすぐに出るのはブドウ糖の方です、ショ糖は少し時間がかかります。

原因不明時のファーストエイド

原因不明で意識もない場合には 1 呼吸の確認 2 気道確保 3 脈拍確認し、心肺停止なら胸骨圧迫 どのような原因で倒れているのか分からない場合は無理に動かすことは避けます、 同時に周りにいる人を集め応援を募ります。 気道確保し対象者の呼吸を確認します。 このとき胸郭の動きを見て、同時に脈拍も確認しましょう。 胸骨圧迫は1分間に100回の速さで、胸骨が5cmほど沈むくらいの力でおこないます。

熱中症のファーストエイドとは

熱中症とは高温多湿な環境などで発生しやすく、 体温の上昇に伴う身体的異常所見がみられる状態のことです。 炎天下の中で休憩せずに水分補給も忘れて活動すればすぐに熱中症になってしまいます。 1 直射日光の当たらない日陰へ移動 2 水分補給とクーリング 熱中症の症状としてめまい・頭痛・吐き気・けいれん・多汗などがあげられます。 応急手当としてまずは日の当たらない涼しい場所へ移動します、 次に濡れタオルや氷枕などで体温を下げます。 このときは頸動脈(首)・腋窩動脈(ワキ)・鼠径動脈(股)など太い血管を冷やすと効果的です。 そして熱中症の場合、脱水にもなっていることが多いため、水分補給をしっかりとしましょう。


登山者に広まる理由、その意味は

登山者にとって山は最高の遊び場であり、命を落とす危険の潜む場でもあります。 いつどういった事態が発生するか分からないため、事前の準備にとても重要な意味があります。 山ではレスキューが到着するまでには時間がかかり、応急手当が生死を分けることにもなります。 多少の怪我ならそのまま下山しなければなりません。 そのため登山者は自分の為、仲間の為、他の山好きの登山者の為にもファーストエイドの使い方を把握しておく必要があるのではないでしょうか。

今後のファーストエイドの発展

近年徐々に耳にすることの多くなってきたファーストエイドという言葉ですが、 ファーストエイドとはいったい何なのか知らないという人の方が多いのが現状です。 昔からあった応急手当を医療的根拠に基づき、 より一般人が傷病者の生存率を上昇させる方法を体系化したガイドラインがファーストエイドとなってます。 ファーストエイドが普及すればそれだけ傷病者の生存率や回復率を上昇させることができます、 つまりは将来自分が傷病者となってしまった場合に、生存率が上がるということなのです。

怪我を防ぐ

ファーストエイドの知識を蓄え、ファーストエイドキッドを準備し、 資格取得や講習を受けファーストエイドの使い方をマスターすることはとても意味のある事です。 ただ本音を言えば怪我をしないのが一番です。 そのためには事前の道具の準備、動く前には準備運動、なるべく危険な場所へは近づかない、 体調の悪い日は無理をしない、天候に合わせて行動するなど、 怪我を未然に防ぐための行動をとるようにします。 怪我を防ぐための行動もファーストエイドと言えるのではないでしょうか。

出典: https://www.pakutaso.com/20170539132post-11448.html

その命を救うために

キャンプ中、釣りの途中、登山中に自分の目の前に傷病者がいたらあなたはどうしますか? あたふたして終わるのではなく、あなたの手で救いましょう、その命は救える命です。 いつファーストエイドを使う場面がくるかは分かりませんが、もしものための準備として、 あなたが講習会に参加して使い方を覚える意味はあるのではないでしょうか。 ファーストエイドとは目の前の、その命を救うために使える最大の武器なのです。 是非一度でいいので、ホームページを調べてお近くのファーストエイドの講習会に参加してみてください。