タカミヤ ステンレスアングラーズプライヤー
オーナー スプリットリングファインワイヤー P-04
オーナー スプリットリングハイパーワイヤー P-12
そもそも「スプリットリング」とは?
スプリットリングは欠かせないアイテム!
「スプリットリング」とは、ミノーやプラグなどの魚の形をしたルアーを使用するハードルアーフィッシングにおいて、ルアーにラインやフックを接続するために使用する、金属でできたリング状の金具のことです。
釣り以外でも、アクセサリーや工業製品にも使われています。ほとんどのハードルアーフィッシングで、欠かせないアイテムとなっています。
ルアーフィッシングに適応した設計
ルアーフィッシングのターゲットは、生きた魚や甲殻類などに襲い掛かって捕食する獰猛な魚たちばかりです。当然ファイトも強烈ですから、スプリットリングは、魚の引きに耐えられるように頑丈にできていなければなりません。
しかし、頑丈さを追求するとワイヤーが太くなり、結果的にスプリットリングが太く、大きくなってしまい、ルアーの動きを妨げてしまうことにもなりかねません。
そのため、特殊な金属を素材として使用したり、製造時に特殊な加工を施すなど、スプリットリングの大きさを極力小さくしながらも、強度を落とさないように工夫されています。
まさに、ルアーフィッシングに適した設計と言えるでしょう。
どこに使われているのか?
スプリットリングは、着脱可能で、かつ使用した部分が自由に動く特徴を活かして、ルアーの様々な場所に使われています。
フックとルアーとの接続に使われている!
ミノーやプラグなどで使われるルアーフックは、いずれもフック部のもとがリング状になっています。一方、ルアーについている「フックアイ」と呼ばれる、フックを装着するための部分も、金属のリングのかたちになっていますので、そのままでは、ルアーにフックを装着することはできません。
そこで、フック部のリングとフックアイを、着脱が容易にできて、フックが自由に動くようにできるスプリットリングで接続しているわけです。
アシストフックも例外ではない
メタルジグを使った釣りは、「アシストフック」と呼ばれる、ケプラーなどの丈夫な素材のアシストライン (ハリスのようなもの)が付いたフックを使用することで、メタルジグが落下している時のフッキング性能を向上させています。
このアシストフックとルアーとの接続にも、スプリットリングが使用されています。
ラインとルアーとの接続にも使われてきた
ミノーやメタルジグなどの、ほとんどのハードルアーの先端部には、「フロントアイ」と呼ばれる金属の輪っかが付いており、基本的には、ここにラインを直接結び付けて、ラインとルアーを接続します (スプーンなどの一部のルアーには、フロントアイに相当する穴があります)。
ところが、フロントアイに直接ラインを結び付けると、結び目ががっちりと固定されることで、ルアーの可動域が狭くなり、水中で泳がせたときに、“ちょこちょこ”とした小さな動きになってしまい、魚にルアーをアピールできません。
そこで、フロントアイにスプリットリングを付けて、ここにラインを結び付け、スプリットリングを介してラインとルアーを接続することで、フロントアイが動く“遊び”ができ、ルアーの可動域を広げて、ルアーの動きをなるべく妨げないようにしながら、ラインとルアーを接続することができるのです。
一昔前まで、スプリットリングを介してのルアーとの接続が当たり前でした。
スナップの登場で変化も・・・・
ところが、20年ほど前から、スプリットリングにラインを結びつけるのではなく、「スナップ」というクリップ上の接続金具をフロントアイに接続して、ルアーとラインを接続するようになってきています。
フックとルアーとの接続には変わらず使われ続けていますが、ルアーとラインとの接続には、ルアーの動きを妨げず、かつルアー交換が容易になるスナップの使用が前提とされていて、最初からスプリットリングがフロントアイに付いていない状態で販売されているルアーも多くなっています。
スプリットリングの脱着は自分でできる
スプリットリングの取り付け方や取り外し方は、さほど難しくありません。特に海での釣りでは、海水の塩分がスプリットリングの溝の隙間に入り込むことで錆びが発生するため、頻繁に交換する機会がありますので、付け方や外し方は、ぜひマスターしておきたいものです。
最初のうちは、取り付け作業でケガをすることもありますが、コツをつかんで慣れてくれば、30秒程度で取り付けられるようになります。ただし、スプリットリングを脱着するうえで、必ずなくてはならない道具がありますので、こちらを用意する必要があります。
着脱にはオープナーが必要?
「スプリットリングオープナー」は必須アイテム!
スプリットリングを脱着するには、スプリットリングのワイヤーが2本になっている個所をこじ開けて、開く必要がありますが、スプリットリングは小さく、かつ頑丈にできているので、人間の指だけで開くことは困難です。
そこで必要なのが、「スプリットリングオープナー」という道具です。ハードルアーフィッシングの必需品ですので、必ず用意しておきましょう。
オープナー先端部の突起が重要
使い方は、スプリットリングを縦に挟み、ワイヤーが2本になっている部分に、オープナーの先端についている突起を差し込むことで、閉じている2本のワイヤーをこじ開けていきます (オープナーを使用した、スプリットリングの付け方や外し方の詳細については、後述)。
突起の大きさや形状は様々で、対応しているスプリットリングのサイズも異なります。
おすすめのスプリットリングオープナー
タカミヤ ステンレスアングラーズプライヤー
全長 | 16cm |
---|---|
色 | ブラック、ブルー |
筆者も愛用しているおすすめ商品です。スプリットリングオープナーの機能だけではなく、魚に掛かったフックを外したり、PEラインをカットしたりできるなど、あらゆる機能が1本に備わった万能フィッシングプライヤーです。
1000円以下で買えるところも、庶民にはうれしいですね。
スプリットリングの脱着工程は3つ
上の動画では、メタルジグに溶接リングを通す場合の、スプリットリングの取り付け方や取り外し方について解説していますが、ルアーのアイや、フックのアイへのスプリットリングの取り付け方や取り外し方は、基本的に同じです。
取り付け方と取り外し方は、基本的に同じ要領で行います。工程は大きく分けて3つです。
1.スプリットリングにオープナーを差し込む
付け方や外し方の工程その1は、スプリットリングのワイヤーが2本になっている部分の溝に、オープナー先端の突起を差し込んで、2本のワイヤーを広げ、スプリットリングをこじ開けます。
その際、上の画像のようにスプリットリングを持ち、ワイヤーの始点の先端から5mm程度の場所にオープナーを差し込むことで、ワイヤーの先端にルアーやフックのフロントアイを通しやすくします。
2.スプリットリングにアイを通す
付け方や外し方の工程その2は、オープナーでスプリットリングを広げたまま、広がったワイヤーの先端に、ルアーやフックのアイを通します。
通しにくい場合は、オープナーで強めに挟み、スプリットリングをより大きく広げて通します。ただし、大きく広げすぎると、スプリットリングが破損する恐れありますので、力加減に注意してください。
3.スプリットリングを回転させる
付け方や外し方の工程その3は、オープナーでスプリットリングを挟んだまま、スプリットリングを左方向に回転させながら、ルアーやフックのアイを右に移動させるようにずらします。
最終的に、“パチン!”という音がして、広がったワイヤーが閉じ、ルアーやフックのアイがきちんと通ったら、取り付け方や取り外し方の工程は終了です。
どんなスプリットリングを選べばよいのか?
選び方のポイントが3つある!
自分でスプリットリングを購入し、取り付ける場合には、様々な要素を考えて、最適なスプリットリングを選ぶ必要があります。選ぶうえで、特に重要な3つのポイントを挙げてみましょう。
1.表記が分かりやすいものがベスト
販売されている多くのスプリットリングは、サイズを、「SIZE」や「#」の後に続く数字 (例えば、「SIZE“3”」や「#“00”」など)で表記しているのですが、実は、サイズごとの規格は明確に決定されていないのが現状です。
そのため、同じサイズ表記でも、メーカーによって大きさが異なっていることが多く、釣り人を混乱させる原因になっています。
また強度は本来、「lb」 (ポンドという耐えられる荷重の単位で、「1lb=約454g」で計算する)の前にある数字 (例えば「“1”lb」や「“30”lb」など)で表記されるべきなのですが、強度が表記されていない商品も多数見かけられます。
「強度が表記されていなくても、見た目が強そうだから、おそらく大丈夫だろう」と安易に考えて購入すると、ヒットした魚や高価なルアーをなくす羽目になります。 ですから、サイズや強度の表記が分かりやすく、また表記値の根拠が信頼できるスプリットリングを選ぶことが、トラブルを回避するうえでカギとなります。
2.ルアーサイズに合わせて選択
ルアーにスプリットリングを付けると、水の抵抗を受ける部分が増えたり、ルアーの重さが増加したりすることで、少なからずルアーの動きに影響を与えます。
ルアーのサイズに対して、装着されているスプリットリングが大きすぎると、水の抵抗を受ける部分が増え、ルアー全体の重さが重くなるので、水中で泳がせたときの動きが重く、鈍くなりがちです。
逆に、ルアーのサイズに対して、装着されているスプリットリングが小さすぎると、水の抵抗を受ける部分が減り、ルアー全体の重さが軽くなるので、水中で泳がせたときの動きが不自然なほど激しく、軽快になりがちです。
このような性質を、あえて意図的に利用することもできますが、基本的には、そのルアーの設計時に想定されている使用方法に反するため、ルアーの購入時に付いていたスプリットリングのサイズなどを参考に、適切なサイズを選ぶことが大切でしょう。
3.ファイトに耐える強さも重要
ルアーフィッシングのターゲットは、基本的に生きた小魚や甲殻類を主食とする獰猛な魚たちばかりです。特に、フックが接続されているスプリットリングは、魚が暴れた時の衝撃がもろに伝わるため、ターゲットが大きい場合は、頑丈なスプリットリングを使う必要があります。
スプリットリングの強度は、前述のように、「lb」の前にある数字で表されます。基本的には、メインラインの強度より若干強いものを選べば、間違いないでしょう。
やはりルアー購入時に付いていたものが理想的!
釣り初心者が、以上の3点を踏まえて、数あるスプリットリングから適切なものを選ぶのは、非常に難しいです。そのため、一番手っ取り早く、かつ確実な選択方法は、ルアーを購入したときにすでに付いていたスプリットリングと同じもの (または、同じサイズと同じ強度のもの)を購入することです。
これであれば、ルアーの設計者が意図する使用方法から大きく逸れることはありません。 最初からスプリットリングが付いていない状態で販売されていたルアーの場合は、対象となるターゲットや、対象となるターゲットの大きさが類似する、同種のルアーに付いているスプリットリングを参考にすると良いでしょう。
困ったときは、釣り具店の店員に聞けば、的確なアドバイスを受けることができますので、勇気を出して、積極的に尋ねてみましょう。
小, 中型魚におすすめのスプリットリング
オーナー スプリットリングファインワイヤー P-04
サイズ | 10.5 x 6.2 x 0.3 cm(梱包時) |
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重量 | 6g(梱包時) |
大手釣り具メーカー ―「オーナーばり」の「カルティバ」ブランドの商品で、サイズや強度の表記が信頼できるため、筆者も好んで使っています。
表記されている「シングル強度」とは、ワイヤーが2本になっている部分と、1本しかない部分のうち、1本しかない部分の強度を指しています。 魚がヒットし、激しく暴れると、スプリットリングは少しずつ回転しながら、最終的にワイヤーが1本から2本になっている部分のくぼみのところで止まります。
つまり、ワイヤー1本で魚のパワーに耐えるのです。ですから、この部分の強度が、スプリットリングそのものの強度になるため、シングル強度の表記があることは、うれしいポイントです。
※[サイズ]:シングル強度/ダブル強度 [#00]:11lb/19lb [#0]:11lb/18lb [#1]:10lb/16lb [#2]:15lb/26lb [#3]:表記無し (約20 - 22lbと予想)/42lb [#4]:27lb/47lb
大, 超大型魚におすすめのスプリットリング
オーナー スプリットリングハイパーワイヤー P-12
サイズ | #4 |
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入り数 | 18個 |
前述の「オーナー スプリットリングファインワイヤー P-04」と姉妹商品で、こちらは、金属の焼き入れ時に特殊な加工を施した、“正真正銘の大物釣り専用設計”です。
前述の商品では、ワイヤーが1本しかない部分があり、大物釣りにおいては、強度に不安がありましたが、この商品は、1番ワイヤーの本数が少ない箇所でも、2本のワイヤーで構成されている (そのため、シングル強度表記無し)ため、超大物が繰り出す桁外れのファイトにも耐えうる強度を持っています。
大きいサイズでは、大相撲の力士がぶら下がっても平気なほどです。
※[サイズ]:強度 [#3]:46lb [#4]:50lb [#5]:60lb [#6]:70lb [#7]:80lb [#8]:120lb [#9]:170lb [#10]:220lb [#11]:250b [#11H]:290lb
スプリットリングへのラインの結び方は3つ
スプリットリングにラインを結ぶ結び方は、たくさんあります。それぞれの結び方で、特徴が異なるため、状況に合わせた代表的な結び方を3つご紹介します。
1.オールマイティーな「ユニノット」
状況を問わず、釣り初心者でも簡単にできる結び方です。強度も申し分ありませんし、比較的手早く結べる利点もあるので、ルアー交換を頻繁に行う場合も、結ぶストレスが減るでしょう。
2.より強い「パロマーノット」
ラインが本来持っているコシを最大限生かした、より強い結び方です。結び方は多少複雑ですが、超大物釣りにも安心して使用できる強度を持っています。
磯場での青物釣りや、オフショアフィッシングでは、最もよく使う結び方の1つです。
3.泳ぎを良くする「フリーノット」
この結び方は、前述のユニノットを改良した結び方です。サルカンとユニノットとの間に輪っかができることで、ルアーの可動域が広がり、ルアーを水中で泳がせたときの動きを、より大きくする特徴があります。
前述したスナップが破損してしまうような超大物釣りでも使用されています。
釣り人と魚をつなぐスプリットリング
ここまで、スプリットリングについて詳しく見てきましたが、いかがでしたか。見た目は、“ただの金属の輪っか”に過ぎませんが、実は、様々な秘密が隠されている奥深いパーツなのです。
スプリットリングは、釣り人と魚をつなぐ、まさに大切なツールと言えるでしょう!
※画像は、拡大してご覧ください。