ベストなエサと仕掛けで釣果アップ!
ヘラブナ釣りは, 日本古来のゲームフィッシング
ヘラブナ釣りは、日本人が古くから楽しんでいるゲームフィッシングです。仕掛けの基本構成は、道糸、ヘラウキ、板オモリ、ハリス、ハリというシンプルなものですが、一つ一つを細かく分析していくと、釣果アップにつながる工夫や、ちょっとした選び方のコツが数多く存在しています。また、販売されているエサの種類も非常に豊富で、それぞれ特徴や用途が異なっている点も、ヘラブナ釣りの奥深さを象徴しています。
「エサ」と「仕掛け」から, 釣果アップのコツを探る
今回は、そんなヘラブナ釣りの釣果アップのコツについて、「エサ」と「仕掛け」の2つの要素に分けて、分かりやすく、詳しく解説していきます。もちろん、エサと仕掛け以外にも、フィールド選びや釣りのテクニックなど、釣果に影響する要素はたくさんありますが、すべて紹介するとキリがないので、今回は特に重要で、意外と見落としやすいものをご紹介していきます。
ヘラブナのエサに関する要素は2つある
ヘラブナ釣りのエサの種類は非常に豊富で、それぞれに特徴があり、その特徴を最大限に活かして釣りを組み立てていくことで、釣果アップにつながっていきます。また、エサの作り方やエサの付け方も、釣果に大きな影響を与えます。すべてを書くことはできませんが、この記事では、「エサの選び方」と「エサの作り方や使い方」におけるポイントを、それぞれ2つずつご紹介します。
1.ヘラブナのエサ【選び方】
重要なポイントは2つ
エサ選びは、釣果を大きく左右する重要な作業です。とはいえ、ヘラブナ釣りのエサのラインナップの豊富さは、釣りの中でもトップクラスで、故に釣り人を悩ましています。それでも、それぞれのエサの特徴を知り、最大限活用することで、より良い釣果を得ていくことができます。本当はすべてのポイントをご紹介したいところですが、特に重要な2つのポイントについてご紹介します。
(1) オールマイティー性の高いベースエサを選ぶ
セット釣りのバラケエサや、両ダンゴ釣りのダンゴエサは、ベースエサ (基エサとも言う)と調整エサのブレンドが基本です。ベースエサは、エサ全体のかさの80 - 90%を占めるため、ベースエサの選び方次第で、エサ全体の基本的な性質が決まってしまいます。加えて、エサ全体の性質の微調整を行う調整エサとの相性が悪いと、互いの効果や性質の違いを打ち消しあってしまい、エサが持つ本来の性能を発揮できなくなってしまいます。
マルキュー 段差バラケ
そのため、どんなタイプの調整エサにも合い、かつクセが強くなく、状況を問わずオールマイティーに使えるベースエサを選ぶことが、釣果アップのコツといえるでしょう。大手釣りエサメーカーの「マルキュー」の「凄麩」や「段差バラケ」などが、釣り人の評価も高く、信頼できるでしょう。
(2) 個性の強い調整エサを複数用意する
セット釣りのバラケエサや、両ダンゴ釣りのダンゴエサを作るときに、ベースエサにブレンドする調整エサは、ベースエサが持つ本来の性質に、さらに別の性質を加えたり、ベースエサ本来の性質をさらに際立たせることで、エサ全体の性質を調整し、より良い釣果へと導いていく重要なエサです。
[マルキュー]バラケマッハ
調整エサは、ベースエサが持ち合わせていない面や、ベースエサの問題点をカバーするような使い方にも用いられるため、「バラケ性や粘りが極めて強い」、「ボソボソ」や「ヤワネバ」などの性質の個性が強いものを、性質別に複数チョイスすることで、あらゆる条件に柔軟に対応したエサ作りを目指します。単品では使い物にならないような個性の強いエサでも、ベースエサにブレンドする形で0.5 - 1カップ程度使うのであれば、個性もマイルドになり、利点となります。
[マルキュー]バラケバインダーフラッシュ
2.ヘラブナのエサ【作り方や使い方】
重要なポイントは2つ
ヘラブナ釣りのエサは、混ぜる水の量や混ぜ方が少しでも微妙に違うだけで、全く性質が異なるエサが完成します。また、ハリ付けの仕方によっても、エサの持ちや溶け方などに大きく差が出ます。この記事ご紹介する、釣果をアップするうえで重要なポイントは2つです。
(1) まずは, おすすめの使い方を研究する
エサの袋の裏面や、エサを製造しているメーカーの公式ウェブサイトなどには、そのエサの基本的な使い方やブレンド例が記載されています。まずは、それを試すことで、メーカーがどんなことを意図してこのエサを開発したのか、どのような特徴を活かすべきなのかを、簡単に知ることができます。経験のある釣り人ほど、こういった過程を踏まずに、自分の知見だけでエサを使おうとしがちですが、ここはひとつ謙遜になることが、釣果を確実に上げていくうえで、意外と重要になってくるのです。
(2) 状況に合わせて柔軟に微調整する
ヘラブナ釣りでは、時間や天候が刻々と変化するため、変化に柔軟に対応したエサの作り方を行っていくことが、釣果アップを目指すうえで欠かせない点です。状況が大きく変わった時には、せっかく作ったエサが半分以上残っていても、そのエサを捨てて、状況に適合した新しいエサを作り直すような大胆な判断も必要ですが、いつもそのようなことをしていてはもったいないですし、タイムロスにもつながります。
そこで、状況がわずかでも変化したら、今あるエサに微調整を加えていくことで、今あるエサを十分に活かすことができます。例えば、セット釣りのバラケエサや、両ダンゴ釣りのダンゴエサのエサ持ちを、ほんの少しだけ良くしたい場合は、上記でご紹介した「マルキュー バラケバインダー BBフラッシュ」のような、エサ持ちを良くするタイプのエサを、乾いた手の上に少量乗せ、今使っているエサの上にまぶすように振りかけたり、エサボールの端に、今使っているエサを少量取り分けたうえで、手の甲でエサをエサボールに押し付け、空気を抜きながら粘りを出してエサ持ちを良くしたりするなど、工夫の余地はたくさんあります。
こういった微調整のテクニックを、エサの付け方のテクニックと共に駆使すれば、必ず釣果がアップすること間違いなしでしょう。もちろん、いつまでも同じエサを微調整するのみで、大きな条件の変化に対応することはできませんから、一度に作るエサの量は、あまり多くないほうが良いということは、言うまでもありません。
ヘラブナの仕掛けに関する要素は5つある
冒頭でも述べたように、ヘラブナ釣りの仕掛けに使用するのは、道糸、ヘラウキ、板オモリ、ハリス、ハリという、ごくシンプルなものです。しかしながら、シンプルだからこそ、少し使い方を変化させるだけで、釣果が大きく変わってしまいます。この記事では、特に釣果に直結する「ヘラウキ」、「板オモリ」、「ハリス」、「ハリ」の選び方や、実際にそれを用いた仕掛けの作り方のコツついて取り上げていきましょう。
1.ヘラブナの仕掛け【ヘラウキ】
ヘラウキは, 釣り人とヘラブナとの仲立ち役
ヘラブナ釣りにおけるヘラウキは、ヘラブナの繊細なアタリを取るだけではなく、ヘラブナがどのくらい寄っているかや、エサの重さなど、釣りを組み立てるうえで非常に重要な水中からの情報を釣り人に伝える、まさにヘラブナと釣り人との仲立ち役のような大切な存在です。また、どのようなヘラウキを選ぶかで、仕掛けの操作性も決定してしまうため、ヘラウキの選び方や使い方には、特に気を配らなければなりません。
トップ素材とボディー形状の組み合わせに注意する
ヘラウキのトップの素材は、中が空洞のパイプ素材と、中が空洞ではないムク素材があります。パイプトップは、中が空洞なので、細くても強い浮力があるため、トップやボディーが長かったり太かったりすると、アタリが出にくくなったり、軽いエサでの馴染みが悪くなったりする原因となります。一方ムクトップは、中が空洞ではないので、細くて軽いトップであっても浮力があまりなく、トップやボディーが短かったり細かったりすると、重めのエサを付けるとトップが水没したり、軽いオモリでの釣りになることで、ウワズリを生み出したりする原因となります。
ですから、トップの素材とボディーの形状がしっかりとマッチしているヘラウキを選択することで、思い通りに仕掛けをコントロールできるようになり、結果的に釣果アップにつながっていくでしょう。
2.ヘラブナの仕掛け【板オモリ】
ヘラウキを操作するためのコントローラー
ヘラブナ釣りでは、板オモリの量を調整することで、ヘラウキのエサ落ち目盛りや仕掛けの操作性を決定し、釣りを組み立てていきます。もちろん、板オモリの量は、ヘラウキの浮力に比例しますので、ヘラウキの選び方とセットで考慮する必要があります。
変則的なエサ落ち目盛りの設定も検討する
これは、ヘラウキ選びとセットで考える必要がある点ですが、通常エサ落ち目盛りは、トップとボディーの接着部から、トップの全長の3分の1程度の場所にある目盛りに設定するというのが常識で、ヘラブナ釣りの教本にも書かれていることでしょう。しかしながら、時には、違う目盛りをエサ落ち目盛りとして設定する場合があります。
例えば、ヘラウキのトップ全体をしっかりと馴染ませながら、トップ全体の幅広い目盛りでアタリを取る場合などは、太く、長いムクトップを使用して、トップとボディーの接着部により近い部分の目盛りを、エサ落ち目盛りとして設定する場合もあります。このような変則的なエサ落ち目盛りの設定ができるようになると、アタリが小さい、喰いが渋い、ウワズリ気味などのシビアなコンディションでも、柔軟な対応で安定した釣果を出せるようになります。
3.ヘラブナの仕掛け【ハリス】
ハリスの長さは見過ごされがち
仕掛けが投入されると、板オモリが先行し、板オモリにエサが引っ張られるような形で、エサと仕掛け全体が沈んでいきます。設定されているタナに板オモリが到達すると、数秒遅れてエサが板オモリを追い越し、ヘラウキがエサの重さによって馴染んでいきます。この数秒間の間の沈下速度や動きが、ハリスの長さによって決定するというわけです。ハリスの長さについて気を留めていない釣り人は多いようですが、この数秒間のエサの動きは、長時間コンディションをキープするうえで、とても重要なポイントです。
ハリスの長さで, エサの降下動作を調整する
オモリの重さ (ヘラウキの浮力)やハリスの太さによっても違いますが、基本的には、長いハリスほどゆっくりと、魚に誘いかけるようにフワフワエサが落下し、短いハリスほど早く、迅速に設定したタナまで降下していきます。長いハリスでゆっくり沈んでいく間も、エサは少しずつ溶けますから、ヘラブナは沈下するエサを追いかけるのですが、魚がある程度寄っている場合、降下段階からエサを追わせてしまうため、魚が寄るタナが、当初設定したタナよりも浅くなってしまい、最終的にウワズリという状態に陥ります。
ハリスの長さは、魚影や喰い気によって調整することで、自らシビアコンディションを作り出してしまうことを避け、安定した釣果に結び付けていきましょう。
4.ヘラブナの仕掛け【ハリ】
ハリ選びも, ぜひともこだわりたい
通常の釣りの場合は、ハリはエサを付け、そのエサを魚に食いつかせることで魚を引っ掛ける役目のみですが、ヘラブナ釣りの場合、特に両ダンゴ釣りでは、エサを目的のタナまでしっかりと保持し、目的のタナまでたどり着いたら、少しずつエサを溶かしながら魚を寄せ続け、最終的にチモトにエサをわずかに残して、それを魚に食わせてハリ掛けするという、非常にたくさんの、かつ重要な役目があります。ハリ選びも、釣果アップにつながるコツが隠れています。
ハリの形状に注目したハリ選びがポイント
様々なタイプの形状のハリが販売されていますが、それぞれに特徴があり、適するパターンがあります。例えば両ダンゴ釣りの場合、エサをやさしく下から支え、エサがある程度溶けてきても、かたまりのままズボッと抜けることを防げる、フトコロが広いハリが基本的に適しています。一方フトコロの広いハリは、ヘラブナが吸い込みづらく、ハリ掛かりが悪い点が難点です。そのため、セット釣りの喰わせエサを付けるハリでは、吸い込みが良い角型のハリの使用が適しています。
加えて、エサの大きさや性質によっても、最適となるハリが異なる場合があります。奥深く、繊細な釣りだからこそ、ハリ選びにも気を配って、釣果アップを目指していきましょう。
エサや仕掛けの奥深さが魅力!
ここまで、エサや仕掛けの選び方や作り方まで幅広く見てきましたが、いかがでしたか。エサや、仕掛け一つ一つを構成する小さな部品の選び方や作り方、組み立て方が微妙に変わるだけで、釣果に雲泥の差が出るのが、ヘラブナ釣りの奥深さです。皆さんも、そんなヘラブナ釣りの魅力に取りつかれたひとりなのでは・・・・。