ダッチオーブンとは?
アウトドア、特にキャンプのときの調理器具としてよく耳にするのが「ダッチオーブン」です。でも、「鉄製の重たい鍋」くらいの印象しかない方もいるのではないでしょうか?そもそもどのような機能・特徴がありどのように使う調理器具なのか、ベテランキャンパーたちが愛用しているわけを見ていきましょう。
鋳鉄製のダッチオーブン
鋳鉄製ダッチオーブンの機能
ダッチオーブンとは一般的には鋳鉄製の重たい鍋です。蓋も鋳鉄製のため鍋の下からの加熱だけでなく蓋の上に炭火を置いて上からの加熱も可能な調理器具です。蓋にも重みがあるので鍋の密閉性が高くなり、圧力鍋のように中までしっかりと火が通りやわらかくおいしい料理に仕上がります。
豪快なアウトドア料理にピッタリの鍋
ダッチオーブンは上下から加熱できるため熱伝導が早く、あらゆる調理に対応するため「万能鍋」と呼ばれています。 丸ごとチキンを焼いたり、コトコトとカレーやシチューを煮込んだり、揚げ物もできますし、底板を使って蒸したり燻製を作ったりすることもできます。また、上から加熱することによって鍋自体がオーブンのようになり、パンやピザなども焦げ目がついて美味しく焼けます。アウトドアでここまで料理ができるという機能は嬉しいですね。 厚みがあるので、鍋全体が均一の温度に保たれ火の通りにムラがありません。
鋳鉄製ダッチオーブンの手入れ
鋳鉄製のダッチオーブンは、とても錆びやすいので使用前後の手入れが大変になります。その手間はかかりますが、使い込むほどに黒光りしていく鍋は愛着がわきますし、ブラックポットと呼ばれるそれはキャンパーの憧れでもあります。
使用前の手入れ<シーズニング>
鋳鉄製のダッチオーブンはまず、購入したら始めに「シーズニング」と呼ばれる作業を行います。新品のものには錆び防止のためのワックスコーティングがしてあるので、使用する前にまずはそれを取り除かなければ調理ができません。 お湯を沸かしてワックスを取り除き、油を塗って30分ほど熱してなじませ、野菜クズを炒めて鉄のにおいを取るという、時間も手間もかかる作業を1番にしなくては使えないのです。
使用後の手入れ
毎回の調理後にはお湯やたわしで焦げや汚れを取り除いたら(洗剤は厳禁です!)完全に乾かし、錆を防止するために植物油をなじませなければなりません。そして湿気は錆びの大敵ですので新聞紙で包んで保管をします。
衝撃には注意!
鋳鉄製のダッチオーブンは加熱調理後に水で冷やすなどの急激な温度差や、ぶつけたり落としたりといった衝撃でひびが入ったりすることがあるので、乱暴に扱うのは危険です。熱くなって重たい鍋なので、取り扱いには十分注意が必要です。
ステンレス製のダッチオーブン
ダッチオーブンがどのような機能・特徴を持った鍋なのか、鋳鉄製のいいところや欠点などわかりましたか?今まではこの鋳鉄製のダッチオーブンが一般的でしたが、最近ステンレス製のダッチオーブンが登場して注目を浴びています。鋳鉄製のものの機能はもちろんそのままで、ステンレス製ならではの機能・特徴がたくさんあります。鋳鉄製とステンレス製の違い、ステンレス製の特徴などを見ていきましょう。
ステンレス製の特徴
ステンレス製の機能
ステンレス製のダッチオーブンの特徴は、まず、鋳鉄製と比べると軽いことです。持ち運びやすいのは女性には嬉しいですね。またステンレスはとても頑丈なので、加熱調理後に水をかけて冷やすといった急激な温度差や、ぶつけてしまったり落としてしまったりという衝撃に強いです。鋳鉄製は湿気や塩分に弱いので保管のことにも気を遣いますが、ステンレス製は湿気にも塩分にも強いので錆びなどに気を遣う必要はありません。いろいろな状況で使う可能性があるアウトドアにおいて、頑丈なのは助かりますね。
アウトドアだけじゃない!
ステンレス製ダッチオーブンはガス・直火だけでなくIHヒーターや電気プレートでも使用できるため、家庭でも他の鍋と同じように気軽に使うことができます。安くはない鍋ですので、キャンプでしか使えないよりは普段から家庭でも使えると嬉しいですね。
ステンレスの手入れ
簡単な手入れ
ステンレス製のダッチオーブンは錆び防止をする必要がないので手入れはかなり楽です。まず、買ってすぐのシーズニングの作業をする必要がありません。鋳鉄製ですと買ったらまずシーズニングをしなければならないため、調理に取り掛かる前に時間と手間がすごくかかります。 でも、ステンレス製の場合は買ってきたら洗剤で洗うだけですぐに調理ができます。そして使用後は洗剤を使ってきれいに洗うことができ、洗い終わったら乾かせばいいだけです。家庭で使っている鍋と同じ手入れで済みます。 キャンプやダッチオーブン初心者にとって、手入れが楽なのはかなりポイントが高いですね。
ステンレス製だからこそできる料理
ステンレス製でも焚き火にかけたり蓋に炭を直接置いたりできるので、鋳鉄製と同じようにひとつの鍋で焼く・煮る・蒸す・揚げるなどアウトドアでさまざまな料理ができます。鋳鉄製のように使用後に油をなじませることをしないので、油っぽくしたくないようなご飯を炊いたり汁物を作ったりもできます。白米やお吸い物など、和食を作るにはピッタリですね。 またステンレスは蓄熱性が高いため、鍋が温まってしまえば弱火で長時間調理することができます。火からおろしても、徐々にしか冷めないので味がじっくりと染みこんでいきます。4mmの厚みもあるため、保温も持続します。
4mmという厚み
ステンレス製のダッチオーブンはだいたい4mm厚のステンレス板を使用しているためとても頑丈です。また、ステンレスはその素材の特性上蓄熱性がかなり高いため煮込み料理や料理を保温するのにとても向いています。4mmもの厚みがあるので蓋もずっしりと重みがあり、圧力鍋のような機能も果たすので、素材から出るうまみを逃さずに野菜の水分などだけで上手に調理ができます。
ステンレスは錆に強い!
ステンレス製は湿気や塩分に強いので錆びの心配がありません。そのため料理を入れたまま保管するのに向いています。鋳鉄製ですとすぐに錆びてしまうので調理したものを入れたまま保管することはできませんが、ステンレス製だと残ってしまった料理を入れたままにしておいて時間がたってから再び温めなおすことができます。 また、洗った後や保管するときに湿気を気にして油をなじませたり新聞紙で包んだりすることもありません。
SOTOのステンレス製ダッチオーブン
ステンレス製のダッチオーブンを出しているブランドでまず出てくるのがSOTOです。SOTOはもともとバーナーのメーカーですが、アウトドア用品もいろいろと出しています。SOTOのステンレス製ダッチオーブンの強みのひとつはサイズや形の種類が多いということです。 サイズは、家庭用キッチンでも使いやすい8インチ、1家族の料理を作るのにちょうどいい10インチ、大人数の料理もまかなえる12インチがあります。
サイズ展開が豊富なSOTO
10インチハーフ
SOTOのステンレス製ダッチオーブンは8インチ、10インチ、12インチ以外にも種類があります。 10インチのハーフは、鍋自体は浅めですが蓋にも持ち手がついていて蓋をスキレットとして使うことができます。通常の鍋での調理以外にもスキレットで炒め物や焼き物ができ、同時に調理ができるので効率的です。
10インチデュアル
10インチデュアルは蓋を反転させて2WAYで使えます。深めの鍋にして大きい具材を調理したり、蓋をひっくり返して浅めの鍋にして蓋の上に炭火を置いて調理したり、両方の使い方ができます。ハーフ同様この蓋も持ち手がついていてスキレットとして調理ができるので、このダッチオーブンひとつであらゆる料理が作れるようになります。デュアルにはぶら下げるタイプの持ち手はついておらず、リフターとセットのものか別売りのリフターを準備する必要があります。
SOTOのステンレス製ダッチオーブンの特徴
便利な持ち手
SOTOのステンレスダッチオーブンの特徴は持ち手が2種類ついているところです。ひとつは吊り下げタイプのもので、焚き火の上に吊るしたり持つときにぶら下げたりできます。もうひとつは鍋の両サイドについていて、両手鍋のように持つことができるので重たいものでも安定して運ぶことができます。
付属品とオプション
SOTOのダッチオーブンにはそれぞれ底網が付属品としてついています。底網があれば蒸したり燻したりができます。オプションで、便利な収納ケースやスタンド、熱くなった蓋の開閉に使用するリッドリフターも揃えられます。
ベルモントのステンレス製ダッチオーブン
特徴
次に紹介するのは、ベルモントのステンレス製ダッチオーブンです。ベルモントは双葉工業という金属製品のメーカーのブランドです。ここのステンレス製ダッチオーブンは大きさは10インチのみですが、10インチは一番使い勝手がいい大きさです。持ち手は吊り下げタイプのみですので横幅をとりません。
付属品
付属品は鉄クロームメッキの底網とスタンドです。このスタンドはダッチオーブンの中に入るサイズになっているので、網の底上げにも利用できる優れものです。底網の位置を高くすると、スモークするときや水を多めに使う蒸し物のときにより便利になります。
ベルモントの優秀なステンレス鍋、ダッチインダッチ
ベルモントは通常のダッチオーブンの他に、ダッチインダッチという商品も出しています。これは持ち手がついてない少し小さめのもので、SOTOの10インチデュアルと同じような使い方ができます。蓋をして鍋になりますし、蓋をひっくり返して鍋にのせるとそこに炭火を置いて上下からの加熱調理することもできます。もちろん蓋だけでスキレットとしても使えます。
そしてなんと、この鍋は持ち手がないので10インチ以上のダッチオーブンの中にすっぽりと入れることができ、さらに幅広い調理ができるのです。パンやケーキの型として使ったり、直火よりも少し弱めの火加減で調理したいときに使えます。この鍋は少し小さめな上ステンレス材が3mm厚ですので、より軽く、使いやすくなっています。
ステンレス製ダッチオーブンについてのまとめ
このように、いろいろな面からステンレス製ダッチオーブンを見てきましたがいかがでしたでしょうか? 手入れが簡単、錆びない、頑丈、ととても使いやすい鍋です。あらゆる調理にも対応しているので、アウトドアでいろんな料理が作れるのは嬉しいですね。 鋳鉄製に比べると値段がちょっと高くなりますが、手入れの楽さや使い勝手を考えると損をする値段ではありません。 ダッチオーブン初心者の方も、鋳鉄製のダッチオーブン愛用の方も、一度使ってみる価値はあると思います。 楽チンで美味しく楽しいキャンプ料理をお楽しみくださいね。