ベイトリールとは
ベイトリールとはバス釣りなどのルアー釣りやえさ釣りなど幅広いシーンで活躍しているスピニングリールと双璧をなすリールの事。 ロッドに対して平行な軸でラインを巻き取るスピニングリールに対して、ロッドに対して垂直な軸で糸を巻くリールの事を言います。 今回はこのベイトリールの魅力と使い方を初心者の方にわかりやすく解説していきたいと思います。
ベイトリールの使い方を学ぶ前に覚えておきたい各部の名称
まず、ベイトリールの各部の名称を簡単に解説しておきます。 ここで出てくる単語はのちの解説によく出てきますのでイメージを掴む偶にもぜひ目を通しておいて下さい。
【ハンドル】 ラインを巻き取るためのハンドルです。基本的に1方向にしか回りません。 【ドラグノブ】 ドラグの強さを調節するノブです。 【メカニカルブレーキ】 メカニカルブレーキの強さを調節するノブです。 【スプール】 ラインを巻き取る部分です。 【クラッチレバー】 このレバーを押すとスプールがフリーの状態になりキャストすることが可能になります。 ハンドルを巻くことでクラッチレバーは元の位置に戻ります。 【レベルワインダー】 ラインをスプールに均一に巻き取るためのガイドです。 【ブレーキダイヤル】 マグネットブレーキ式のベイトリールではここにマグネットブレーキの強さを調節するダイヤルがあります。
ベイトリールの5つの利点
続いてはベイトリールのメリットのついて、スピニングリールとの違いを交えて解説していきたいと思います。
1:巻取りのパワーが強い!
ベイトリールのメリットは何と言ってもスピニングリールに比べて巻き取る力が強い!という事です。 ベイトリールはハンドルと同軸でラインを巻き取ることができる為、スピニングリールよりもダイレクトに巻く力を伝えることができます。 これにより、大物の魚と勝負した時にスピニングリールよりも有利にファイトすることができるのです。
また、ベイトリールはその構造上スピニングリールよりも大きなギアを組み込むことができます。このギアによりスピニングリールよりも大きなトルクを生み出し、巻取りのパワーを大きくすることができるのです。
スピニングリールのギアとベイトリールのギアの比較
画像を見比べて貰えば一目両全ですがベイトリールの方がその構造上、スピニングリールのギアよりもより大きなギアをリールに組み込むことができます。 この大きなギアによってベイトリールはスピニングリールよりも大きなトルクを出すことができ、強い巻取る力を発揮することができるのです。
2:ラインの糸がらみが少ない
画像のようにベイトリールはスピニングリールと違い、ほぼ垂直にスプールにラインを巻く付ける構造になっています。 このため、ベイトリールはスピニングリールに比べてラインのヨレが少なく、投げたらスプールからラインがずっぽぬける様なライントラブルも少なくなります。
3:太いラインが使える
ラインを直線的に巻き取り、糸のヨレが少ない事のもう一つのメリットに、太くて強いラインを使うことができるという事があります。 太いラインの方が大物に対抗できますし、ブッシュ(茂み)や水中に水草が大量に生えているような、細いラインでは糸切れの心配があって心もとないポイントでも、ラインと巻取りのパワーを活かして強引に釣りあげることができます。
このようないかにも魚がいそうだけれども、釣りあげるのに苦労しそうなポイントでベイトリールは力を発揮するのです。
4:手返し良く投げれる
キャスティングに入るまでの動作がスピニングリールに比べて少ない。というのもベイトリールの利点の一つです。
スピニングリールを投げるには 1:ラインを人差し指で押さえる。 2:ベールを起こす。 3:キャストする。 の3ステップが必要です。
対してベイトリールは 1:ラインを抑えながらクラッチを切る。 2:キャストする。 この2ステップでキャスティングが可能です。
たった1ステップの違いかと思われますが、ルアーフィッシングなどでは魚を釣り上げるのに何度も何度もキャスティングを繰り返します。 投げるための動作が少ない投げ方ほど、投げる回数を重ねたときの疲労度に大きな差が生まれるでしょう。
また、手返し良く素早く投げれるという事は、ナブラ(水面上で小魚がはねているポイント。そこにルアーフィッシングの対象魚となる魚がいることが多い。)などを見つけた際に素早く対応ができ、キャスティングの準備をしている間にナブラが無くなってしまったなんていう事も少なくもなります。
5:ラインのコントロールがしやすい
ベイトリールとスピニングリールのもう一つの大きな違いとして、キャストした際のラインのコントロールが細かく効く、という点があります。 ベイトリールは親指でスプールに巻いてあるラインを軽く抑えたりしてラインの出方を調節できるので飛距離のコントロールや、風が強い日にラインが無駄に出ることを防いだりすることができます。
ベイトリールの3つの欠点
いくらベイトリールといえどもメリットばかりではありません。 ここからはベイトリールのデメリットについて解説していこうと思います
1:バックラッシュ
ちょっと釣りをかじったことのある人なら、初心者でも聞いたことがあると思うのがベイトリールのバックラッシュ。 バックラッシュとはキャストの際にスプールの回転量とラインの放出量のバランスが崩れ、ラインが過剰に出てしまうことによって起こる現象の事を言います。 スプールが直接回転してラインを放出する機構になっているベイトリールでは、バックラッシュは初心者から上級者までどうしても付きまとってしまうトラブルですが、ベイトリールにはバックラッシュに対抗する機能も搭載されています。 このバックラッシュに対する詳しい対処法はまた後程解説いたしますが、先にバックラッシュに対抗する機能を紹介します。
バックラッシュの映像を紹介
実際にバックラッシュが起きるとどうなるのか動画をご紹介します。
2:ラインキャパシティが少ない
ベイトリールは手のひらに握りこんで使うため、その構造上どうしてもスプールの大きさに制限がかかってしまいます。 その為リールに巻くことのラインのキャパシティがスピニングリールに比べて少なくなってくるという欠点があります。 川や池でブラックバスを釣る分には気になる差ではありませんが、砂浜などの海釣りで大遠投をする釣りなどでは、その差は大きく響いてきてしまいます。
スピニングはその構造上大型化がしやすく、より多くのラインをスプールに巻くことが出来ます。
3:軽いルアーが苦手
ベイトリールの欠点のもう一つに軽いルアーが投げにくい、というものもあります。 ベイトリールはキャスト時にスプールを回転させてラインを出すという機構上、ルアーが軽いとスプールを回す力があまり出ずにルアーを遠くへ飛ばしづらいのです。 一応軽いルアーでも投げることができるベイトリールも無くはないですが、特殊なものなので一般的にはスピニングリールよりも軽いルアーを投げるのは苦手と言わざるを得ないでしょう。
ベイトリールの使い方を学ぶ前の注意
必ずベイトリール専用のロッドを使う
ベイトリールを使う際の大前提として、必ずベイトリール用のロッドを使うようにしてください。 ムチャをすればスピニング用ロッドでも投げれれなくはないですが、体に負担がかかりますし、そもそも上手く飛びません。 必ずベイトリールにはベイトリール用。スピニングリールにはスピニングリール用と、リールに合ったロッドを使ってください。
画像のようにベイトリーリル用のロッドには指をひっかけるための突起があります。 購入の際にはそれを参考に間違ったロッドを買わない様に注意しましょう。
逆にスピニングロッドには突起がありません。 購入の際に間違えないように注意しましょう。
ベイトリールの使い方講座
ここからは実際にベイトリールの使い方を解説していきたいと思います。
ブレーキシステムの使い方
スピニングと同じように、ロッドにリールを付けてルアーをラインに結んだら後はもうキャストして釣り始めるだけ。 しかしちょっと待ってください。ベイトリールはキャストの前にしっかりとブレーキを調整しないとバックラッシュの元。ブレーキの調整さえきちんとすれば初心者の方でもバックラッシュを恐れずにキャストすることができます。 ここではそのブレーキ調整のコツについてご紹介しましょう。
ベイトリールのブレーキシステムとは
ベイトリールには大抵2つのブレーキシステムが組み込まれています。 基本として、機械的にブレーキを調節する「メカニカルブレーキ」。そしてブレーキの利きを微調整するサブブレーキとして、磁石の力でブレーキをかける「マグネットブレーキ」と遠投力でブレーキをかける「遠心ブレーキ」のどちらかが搭載されています。 ここではまずざっくりとそのブレーキシステムについて解説します。
メカニカルブレーキの使い方
メカニカルブレーキとはブレーキノブを絞めることによってピニオンシャフトでスプールシャフトを物理的に抑え、スプールの過剰な回転を抑えキャスト時のバックラッシュを防ぐという単純な構造のブレーキシステムです。
メカニカルブレーキの調節ノブは基本的にハンドル側に付いています。 絞めることによってより強いブレーキをかけることが可能です。
マグネットブレーキの使い方
マグネットブレーキとはネオジム磁石の力を使い磁力でスプールの回転を制御し、キャスト時のバックラッシュを抑えるシステムです。 マグネットブレーキ採用のベイトリールはハンドルと逆側の側面に調整ダイヤルが付いていますので、そのダイヤルでブレーキの強弱を調整します。
マグネットブレーキは側面のダイヤルを調整することによって簡単に強弱の調整を付けることができます。
遠心ブレーキの使い方
遠心ブレーキは文字通り遠心力を使ってスプールの回転をコントロールするブレーキシステムです。 遠心ブレーキが搭載されているリールにはハンドルの反対側の側面が開くようになっており、その中にあるシューと呼ばれるキャップの位置を調節することによってブレーキの強弱を操作します。
シューが内側に押し込まれている時がOFF。シューがフリーになっている時がONの状態になります。 キャスト時にフリーになっているシューが遠心力で壁に当たり、ブレーキを聞かせる仕組みになってるのです。
マグネットブレーキと遠心ブレーキどちらが初心者向けか
どちらのブレーキシステムにも利点はありますが、初心者の方には扱いやすいマグネットブレーキをお勧めします。
バックラッシュ対策!ベイトリールのブレーキ使い方のコツを紹介
続いてはベイトリールのブレーキの使い方のコツをご紹介しようと思います。 このブレーキの使い方さえマスターしてしまえば初心者でもキャスト時のバックラッシュの心配を大幅に軽減することが可能です。
ブレーキの使い方のコツはルアーがゆっくり降りるぐらい
ベイトリールのブレーキ調節のコツはまず、メカニカルブレーキを大まかに調節して、クラッチを切った時にルアーがゆっくりと降り始めるぐらいになるように調節をすることです。 慣れてきたらこのメカニカルブレーキの締め付けを弱くしてより遠くへ投げる事も出来ますが、初心者の方はバックラッシュを防ぐためにも少しきつめに絞めておいた方が良いでしょう。
続いてマグネットブレーキもしくは遠心ブレーキの調節に入ります。 この際のバックラッシュしない為のコツは、どちらのブレーキも慣れないうちはブレーキをMAXにして投げ始める事。 初心者の方はまずブレーキを最大にして投げてみて、ブレーキがきついかな?と感じたらブレーキを緩めるように調整していってください。 このようにしっかりとブレーキの調整の仕方を覚えればキャストの際のバックラッシュのリスクをグッと抑えることができます。
ベイトリールのブレーキの使い方の動画を紹介
動画でブレーキ調節の仕方を見てみましょう。 動画は遠心ブレーキですが考え方はマグネットブレーキも同じです。
ベイトリールのドラグの使い方
続いてはベイトリールのドラグの使い方について解説します。 ベイトリールのドラグはその形から通称スタードラグとよばれており、大物がかかった際にラインが切られない様に一定の力がかかると自動的にラインを送り出してくれる機能を持っています。 ベイトリールのドラグの特徴はファイト中にドラグの調節がしやすい事。スピニングと違ってドラグがハンドルのすぐそばにあるのでファイト中にラインに強い負荷がかかりそうならすぐにドラグの調節が出来るようになっています。
ベイトリールのドラグの調節は簡単。 時計回りに絞めればドラグがきつくなり、緩めればドラグは緩まります。 最初の内はクラッチを切らない状態でラインをグッと引っ張るとラインが出てくる程度のドラグの硬さに調節しておくといいでしょう。
ベイトリールの投げ方コツをご紹介
ここからはいよいよ本番。ベイトリールでの投げ方のコツについての解説をしていきます。
キャストでのベイトリールの使い方のコツを3つのステップで解説
1:ベイトロッドのトリガーに人差し指を掛けて握る
画像のようにベイトロッドのトリガー(ロッドの出っ張った部分)に人差し指を掛け、親指でスプールに巻かれたラインを抑えるように握ります。 これがベイトタックルで投げる時の基本の持ち方になります。
べイトリールの握り方の動画を紹介
こちらの動画でも詳しく持ち方を解説しているのでお勧めです。
2:クラッチを切る
続いてクラッチを切り、スプールからギアを外しスプールの動きをフリーにします。 この時親指でラインを抑えてラインが不必要に出ないようにしてください。
3:キャストする
キャスティングにはいろいろな方法がありますが、ここでは初心者から上級者まで幅広く使われているオーバーハンドキャストの投げ方でベイトリールの扱い方のコツを解説いたします。
クラッチを切った状態から真上に振りかぶり、おおよそ1時から2時の方向になったら真っすぐに振り下ろします。
おおよそ画像の位置まで振り下ろしたらスプールから指を離し、キャストします。 この時の投げ方のコツは完全に指を離さずに親指で糸の出方を調節してあげる事。 こうすることによってバックラッシュの恐れを大幅に軽減できる上、余計なラインが出ることを防ぐことができます。 後は着水と同時にサミング(親指指でしっかりスプールを抑える事)をしてあげればバックラッシュも起きずにキャスト完了です。
ベイトリールの投げ方解説動画を紹介
今度はベイトリールの投げ方の動画を見て、よりはっきりとしたイメージとコツを掴みましょう。
村田基キャスティング講座 ベイトキャスト編
オーバーヘッドキャストの基本
バスフィッシング 初心者講座 「ベイトリールキャスティング編」
キャスティング:オーバーヘッドキャストの基本
バックラッシュをしてしまった時の対処法
ここまでバックラッシュをしないブレーキ調節のコツや投げ方のコツを解説してきました。しかし投げ方が上手くない初心者はもちろん、上級者でもベイトリールとバックラッシュのトラブルはどうしても切っても切れない関係です。 ここからはもし、バックラッシュが起きてしまった時の対処法のコツを解説いたします。
1:ラインの絡まっている部分を確認
まずはラインの絡まっている部分を確認し、クラッチを切ってスプールをギアから外し、ラインを出せるところまで出してしまいましょう。
2:親指の爪で押さえながら巻く
ラインが絡まって糸が出せない所まで来たら、親指の爪でラインを抑えながらクラッチを戻しリールを2~4回ほど巻きます。 その後、またクラッチを切ってスプールをギアから外しラインを出せるところまで出します。
バックラッシュ対処法の動画を紹介
バックラッシュの対処法を解説をしている動画をいくつかご紹介します。
SALTY!2014年10月号 バックラッシュの直し方
ベイトタックルの投げ方とバックラッシュの直し方。基礎編
ベイトリールのススメ
ここまでの解説にお付き合いいただきありがとうございました。 ベイトリールはスピニングリールに比べて扱いづらく、投げ方も難しいと思われている方も多いかもしれませんがそんなことはありません。 ちょっとしたコツさえ覚えれば誰でも扱えますし、スピニングリールに比べてメリットも多く、個人的にはバスフィッシングには最適のリールと言えると思っています。 今回の記事でベイトリールの魅力が少しでも皆様に伝われば幸いです。
一般的なベイトリールの形