へちさぐり銀参郎 M2.4
チヌマスター 90
海将落とし込み黒鯛 360
ヘチ釣りって一体どんな釣り?
ヘチ釣りとは、岸壁から黒鯛やシーバスなどの 大型魚を簡単に狙える、 とってもエキサイティングな釣り方です。 しかし、一見難しそうに考えられているのも、 この釣りの特徴です。 今回はヘチ釣りの入門編として、 初心者でも釣果が得られる釣り方、 仕掛けやタックルをご紹介します。 また、実際の釣り方を動画でもご紹介します。 意外に簡単に大物が釣れることを 実感できるでしょう。
ヘチとは
ヘチとは、波が当たる岸壁や防波堤の際(きわ)のことをいいます。 ヘチにはカキやイガイ、フジツボなどの貝類や海藻が付着しています。 また、それらの生物を餌や住処とする蟹や虫類なども住んでいます。 いわば、ヘチは生き物の宝庫です。
夏から秋にかけては、ヘチに付くカキやイガイも多くなり、 それを狙って黒鯛も岸壁近くに寄ってくるようになります。 まさに自然の摂理ですね。 しかし、その自然の摂理を知っている人は、 意外に少ないものです。
ヘチ釣りはなぜ釣れる?
ヘチ釣りとは、岸壁や堤防沿いに餌を落とし込んでいく釣り方です。 そのため別名「落とし込み釣り」とも言われます。 ヘチ釣りは岸壁に付着したカキやイガイから、 餌となる生き物が剥がれ落ちたように見せかける釣りです。 岸壁によってきた黒鯛たちは、落ちてくる餌をいち早く食べようとしています。 夏のヘチ釣りは理にかなった釣り方なのです。 釣れるわけですね。
初心者にも楽しめる!ヘチ釣りの4つの魅力
ヘチ釣りには他の釣りには無い魅力があります。 釣る場所やタックルが他の釣り方と随分違い、 身近でシンプルな釣り方なため、 入門したての釣り人が、一気にマニアになりやすい、 独特の魅力があります。 初チャレンジ初チヌなんてことは、 この釣り方では、決して珍しくありません。
魅力その1. ヘチ釣りは初心者でも「大型魚が狙える」
岸壁にそんな魚が居たのか? とビックリするほどの大物がちょくちょく釣れます。 黒鯛では30~50cm、シーバスではセイゴクラスから、 60cmくらいのフッコクラスまで釣ることができます。 近くでファミリーフィッシングをしていた人達などは、 びっくりして寄って来ることでしょう。
魅力その2. ヘチ釣りは初心者でも「昼間から釣れる」
普通魚は、夜に多く釣れます。 夜は警戒心が薄れるからです。 メインターゲットである黒鯛やキビレなどは、 夏のカンカン照りの日中にも問題なく釣れます。 シーバスにしても、船影であれば日中でもヒットしてきます。 これは、おかっぱりの場合、 アジのサビキ釣りやキス釣りなどを除いて、 逆に珍しいことですね。
魅力その3. ヘチ釣りは初心者に最適!「仕掛けがシンプル」
仕掛けとしては、道糸とハリスと針とガン玉だけの 至ってシンプルな構成です。 (見やすくするために目印をつける場合があります。) 入門者にもわかりやすい仕掛けです。
魅力その4. ヘチ釣りは「餌が現地調達できる」
これも大きな魅力ですね。 イガイは岸壁やテトラで取れますし、 蟹も引き潮の岩場や河口でいくらでも採れます。 実は相当低コストでやれる釣りなのです。
魅力その5. ヘチ釣りは初心者にもうれしい!「投げなくても爆釣出来る」
これもヘチ釣りの不思議な魅力です。 仕掛けを落とすだけの何とも簡単な釣り方なので、 キャスティングのテクニックが不要です。 シーバスのルアーフィッシングのように、 ひたすら投げ続けるなんてことが一切ない、 簡単な釣りです。 そういった意味では、女性でも気軽にできる 釣りなのです。
へち釣りのターゲット3種
1.黒鯛(チヌ)
ヘチ釣りのメインターゲットです。 黒と銀色に光る魚体は「野武士」の風格を漂わせています。 海でのおかっぱり釣りでは最も人気のターゲットですが、 初心者でも実に簡単に釣れます。 タイ科の真鯛とは親戚で、 太古の昔に同じ祖先から枝分かれしたようです。 その時深場に残ったのが真鯛で、 港湾や河口近くまで活動域を広げたのが黒鯛です。 春から夏にかけて浅場で産卵を行った後、 岸壁付近に居付きます。 夏が最盛期です。 秋になると魚の数は落ちますが、 大型が狙えます。 しかも、秋の黒鯛は脂を蓄えており、 食べても美味です。
2.キビレ
キビレは黒鯛の仲間で、主に河口付近に生息しています。 腹びれや尾びれの一部が黄色くなっているのが黒鯛との違いです。 黒鯛に比べてやや小型です。 黒鯛に比べてサイズの割には引きが強いのが特徴です。
3.シーバス
シーバスも黒鯛やキビレと同じ層を回遊しています。 シーバスは基本的に夜がおすすめです。 夜は橋脚や照明の暗い部分に潜んでいて、 小魚を待ち構えています。 しかし昼間は、停泊中の貨物船や作業台船の周りに潜んでおり、 ヘチ釣りにもチャンス大です。
ヘチ釣りには2種類のタックル・仕掛けがある
ヘチ釣りには大きく分けて、目印を使わない「ヘチ釣り」と 目印を使う「落とし込み釣り」に分かれます。 それによって、竿やリールなどのタックルも変化します。
目印を使わないヘチ釣りのタックル
タックル構成
ヘチ釣りのタックルは極めてシンプルです。 ヘチ用竿、ヘチ用リール、針、ハリス、ガン玉です。
竿の特徴
竿の長さは2.1~2.7mの短竿がメインです。 合わせを入れやすいように、 グリップ部分に肘当てがついています。
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リールの特徴
目印を使わない場合、海面近くから海底までを探る釣りになります。 そのため仕掛けを目的の棚まで自然に落とすことが必要になります。 基本的にドラグは不要です。 リールの回転によって自然に餌を落としていくことが求められます。 ガン玉2B程度の重さでも自然に落下していくベアリング性能が求められます。 軽量化するために無数の穴を施してあり、 それが何とも言えずオシャレですね。
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目印を使う落とし込み釣りのタックル
タックル構成
竿の特徴
竿の長さは3.2~4.5mの長めの竿がメインになります。 2~3mの目印仕掛けを使うため、短竿では対応できないためです。 風の影響を防ぐため、ガイドはUガイド仕様になっています。
海将落とし込み黒鯛 360
リールの特徴
海面から竿の長さ分、または目印仕掛け+ハリス分の 棚を狙うため、ベアリング性能はあまり問われません。 昔は軽量化を図るため「木ゴマ」といわれる 木製のリールも多用されました。 なんとも情緒があるデザインですね。
ヘチ釣りの釣り方 【入門編】
時期・時間帯
厳冬期を除いてヘチ釣りは1年中出来ますが、 初心者がチャレンジして欲しいのは夏ですね。 産卵のために浅場にやってきた黒鯛は、 夏になるとより岸壁近くに寄ってきます。 最低気温が20℃を下回らないようになり、 セミが鳴きだす7月中旬以降が最盛期です。 時間帯は昼でも夜でもかまいません。 黒鯛やキビレの場合は日中でもガンガン当たってきますので、 わざわざ夜に出かける必要はありません。 ただ他魚と同様、マズメ時は活性が上がります。 特に夜になる前の夕マズメは喰いが立ちます。 時間というより潮の満ち引きが重要です。 満潮前後が一番の狙い目です。
ポイント
一番のポイントは防波堤や漁港の岸壁です。 貝やカキ類が付着しているヘチには、多くの黒鯛が集まっています。 キビレは河口付近のやはり岸壁が良いでしょう。 シーバスは夜がメインですが、昼間でも漁船や貨物船などが長期間停泊している船影などはねらい目です。
仕掛けの落とし方 【動画解説】
岸壁のラインから20cm以内の範囲に落としていきます。 反応がなかったら竿一本分の距離を置いて次のポイントを狙います。 ヘチ釣りは魚のいるところを探していく攻撃的な釣りです。 アタリが無ければどんどん次を探していきましょう。 アタリがあっても合わせ切れなかったポイントは 覚えておいて、後でまた試してみましょう。 実際の動きを、動画で検証してみましょう。
アタリの取り方 【動画解説】
ヘチ釣りと落とし込みのアタリパターンは基本的に同じです。 ラインに出るか、目印に出るかの違いです。 【アタリパターン】 ・糸ふけが出たり、目印が止まる ・ラインや目印が一瞬「ツン」と動く ・ラインが走る ・竿先が震える
アタリがわからずに、 餌だけがつぶされている場合があります。 まさにアタリの証拠です。 急いで餌を付け替えるか、 そのまま再度落としてみましょう。 すぐヒットする確率が大です。
夜釣りの場合は、道糸の動きや目印が見えないため、 竿先に出るアタリが頼りです。 夜は魚の警戒心も少なくなるため有利ですが、 その分足元が危なくなります。 夜よりも相対的に昼間のほうが釣りやすいでしょう。
ヘチ釣りのヒットシーン 【動画解説】
ヘチ釣りは、豪快に投げたりしませんが、 静かに仕掛けを落としてアタリを待っていると、 急に激しいパワーゲームが始まります。 それがヘチ釣りの醍醐味ですね。
合わせ方 【動画解説】
アタリが出ても大あわせは禁物です。 岸壁の付着物に引っかかっているだけの場合は、 穂先を痛めてしまいます。 一旦「聞き合わせ」という軽い確認のための合わせを入れましょう。 そして、アタリが確認できれば、 本合わせを入れてフッキングに持ち込みます。 フッキングが出来たら、 強引にリールを数回巻きましょう。 魚に主導権を渡さないためです。
取り込みのコツ
魚に空気を吸わせながら弱らせたら取り込みのチャンスです。 携帯式の玉網で取り込みます。 その際、玉網で魚を迎えに行かないことが重要です。
初心者におすすめの釣り方のポイント3つ
ポイントその1.釣り始めは梅雨明け時期がおすすめ
確実に黒鯛がいる時期といえば梅雨明け時期です。 しかも、大雨が降って2日後ぐらいがベストタイミングです。 黒鯛は警戒心が強い魚です。 海水が透き通っていると、警戒して釣りづらくなります。 一方雨の後は濁りで警戒心が薄れてチャンス大です。 大雨の直後は川からのごみが流れてきて釣りになりませんが、 2日後くらいにはほとんど無くなり、最大のチャンスタイムです。
ポイントその2. 河口近くの岸壁がねらい目
河口近くの岸壁は川からの土砂で濁りやすいのでチャンスです。 また、汽水域のため魚種が多く、 黒鯛だけでなく、キビレやシーバスなどが 一挙に狙える好ポイントです。
ポイントその3. タックルは最小限で低価格品からスタート
ヘチ釣りはシンプルなタックル構成ですが、 竿やリールが比較的高価です。 しかも、機種選定が初心者には難しい分野です。 ここは、まず黒鯛を1枚上げることにこだわり、 最小限のタックルからスタートすることをおすすめします。 現場で黒鯛を上げた体験をもとに、タックルを揃えていっては いかがでしょうか?
初心者におすすめの釣り方用 入門タックル構成3パターン
ヘチ釣りをやってみたい人の中には、 それまで他の釣りをしていた人が多いことでしょう。 他のジャンルのタックルでも充分に通用します。 入門編なので、まずはお金をかけずに、 黒鯛を1枚を上げることに こだわってみました。
おすすめ入門タックル構成その① 【磯竿&スピニングリール&目印パターン】
軽めで3m前後の長さの磯竿と手持ちの中型スピニングリールで黒鯛を狙ってみましょう。 磯竿を一日中片手で持つのは少し大変ですが、充分釣れます。 スピニニングリールは小型を使いたいところですが、 巻き癖が強いラインが出ていくため、 少なくとも3000番台くらいの中型を使いましょう。 スプールの大きいリールを使いたいところですが、 一日中片手で操作するため、軽いものが必要です。 目印仕掛けは、先ずは既製のものを利用してみましょう。 2メートル前後のものが使いやすいでしょう。
おすすめ入門タックル構成その② 【シーバスロッド&低価格ヘチリール】
穂先が柔らかめのシーバスロッドと、 ヘチリールの組み合わせです。 目印はあっても無くても良いのですが、 使う場合はシーバスロット自体は10フィートは欲しいところです。 8.6フィートほどであれば目印無しでオッケーです。 シーバスロッドは種類は問いませんが、 穂先でアタリを取る場合もあるので、 出来れば穂先の柔らかいものにしましょう。
チヌ駒 X200
おすすめ入門タックル構成その③ 【低価格コンパクト竿&低価格木ゴマヘチリール】
穂先の柔らかい磯竿タイプのコンパクトロッドと、 木製のヘチリールの組み合わせです。 専用ロッドに行く前の最終段階ですね。 このタックルの魅力はビジネスバックにすっぽりと入ること。 仕事帰りでもチャレンジできますね。
ヘチ釣りの仕掛け・釣り方入門編のまとめ
ヘチ釣りの楽しさ、仕掛けやタックル構成についてみてきましたが、 いかがだったでしょうか? 特に今回は初心者向けに入門編という形で、具体的な釣り方を動画付きで紹介させていただきました。 まずはヘチ釣りを体験していただき、黒鯛を1枚上げる体験をしていただきたいと思います。 その後に自分のスタイルに合ったヘチ釣りを見つけていってもらいたいですね。 「自分の考えたタックルで黒鯛を釣り、更に料理も楽しむ」 そんなことが手軽にできるのでヘチ釣りです。 考えただけでもワクワクする釣りですね。
蟹がぐしゃっと潰されています。 黒鯛がいる証拠です。