地域によって異なる!ドクササコの各地の呼び名
ドクササコのは地域によって様々な呼ばれ方をしています。 代表的なものをご紹介いたします。 秋田県:このはたけ・やけどはつ 福島県:たけもたし・やぶたけ・ささたけ・ささもたし 宮城県:けやきもたし 新潟県:ききょうたけ 石川県:やぶしめじ・ちょくたけ・やぶたけ 京都府:ささたけ 多彩な呼ばれ方をしていますが、これらはみなドクササコのことを指しています。
ドクササコの分布
ドクササコは主に日本の日本海側に生息するヒラタケ目のキノコです。 北海道や九州には生息が確認されていないようです。 竹藪や笹薮、広葉樹林や針葉樹林にみられます。 姿を現すのは主に秋季で、落ち葉の多い場所に生育しています。
ドクササコの外観的特徴
ドクササコの外観的特徴は以下のようになります。 ・色:橙~赤褐色 ・形状:幼菌時は中央にくぼみがあり、ふちは内巻き。成長するとカサが開き漏斗型になる ・ヒダ:密に並んでおり、カサよりも色は薄い ・大きさ:カサ径5~10㎝ ・柄:カサと同じかやや淡色。基部には綿毛状の菌糸に覆われており白色 外観的特徴から間違えやすいキノコとして、チチタケ、アカハツ、ナラタケ、ホテイシメジ、カヤタケなどがあります。
ドクササコの持つ毒~一般的なキノコ中毒とは違う
一般的なキノコの毒は主に消化器系に症状が出ます。腹痛や嘔吐・下痢などですね。 ところが、ドクササコの中毒ではこのような症状はあまり見られません。 ドクササコの毒は主に神経系や皮膚などに現れます。また、これらの症状が出現するのは摂取後数日たってからであるため、治療が遅れる傾向にあるのです。 何より一番恐ろしい点は、根本的な治療方法がないことです。 ドクササコの中毒症状は数か月間続きます。その期間に行えるのは、症状を抑える対症療法のみで、毒が排出されるまでひたすら耐えるしかないのです。
ドクササコの中毒症状
ドクササコ摂取後に現れる中毒症状をまとめました。
ドクササコ摂取後数時間で現れる症状
ドクササコを食べてから約6~24時間のうちに現れるのはこんな症状です。 ・胃の不快感 ・気持ちが悪い ・目の違和感 ・体がだるい ・歯を合わせるとチャリチャリしたような感覚 これらは特に激しい症状として現れるわけではありません。 「何となく変だな。疲れているのかな」などと思い、キノコ中毒と結びつけられずに見過ごされてしまうことが多いのです。
ドクササコ摂取後数日で現れる症状
ドクササコを食べて翌日以降、徐々に本来の症状が現れだします。症状の経過ごとにご紹介します。
・手足の指先がこわばる。動かしにくいと感じる ・手足の灼熱感・しびれ・発赤・腫れ ・これらの症状が指先から徐々に手足全体や耳・鼻・陰部に広がっていく ・痛みが現れるようになり、摂取後1週間ほどで痛みのピークを迎える ・痛みは大変強く、焼火箸で刺されるような激痛が続く ・重症になると指先などが壊死にいたる 発熱や嘔吐などの症状はあまり見られず、夜間や体温上昇時、患部を温めたときなどに痛みが強くなります。 この激しい痛みはおよそ2週間程度で軽減されていき、症状の消失までは約3週間程度かかります。 ですが、その後も3カ月程度しびれやこわばりなどの症状が残る場合があります。 また、人によっては赤く腫れた部分がケロイド状の後になることもあるため、美容上の大きな問題を残すこととなります。
根本的な治療法のない恐怖!
中には死亡例も・・・
ドクササコの一番大きな症状は手足の痛みです。 そのあまりの苦痛から逃れようとして死亡する例もおこっています。 キノコの毒そのものが死に至らしめると言うよりは、痛みから逃れたい一心からくる行為の結果もたらされるものです。 例えばこのような事例が報告されています。 ・皮膚を冷やしすぎた結果、もろくなった皮膚から感染症をを起こし死亡 ・痛みのために睡眠や食事がとれなくなり、免疫力が低下。その結果、体が衰弱し死亡 ・痛みの苦痛から逃れるために自殺 などです。
一般的な痛み止めが効かない!
ドクササコのもたらす痛みには一般的な痛み止めは効果がありません。 唯一効果があるとされているのは、局所麻酔や硬膜外神経ブロック注射です。 血液透析や幹部切開による瀉血(血を抜く)ことも行われる場合もありますが、体への負担に対して得られる効果はそれほど高くはありません。 つまり、麻酔を打ちながらひたすら嵐が過ぎ去るのを待つしかないのです。 ドクササコの真の恐ろしさはココにあります。
実際に行われる治療法とは
摂取後数時間以内に行われる治療
ドクササコを摂取して数時間以内であれば、その後の激し痛みを最小限にする処置を行うことが可能です。具体的にはこのような処置が行われます。 ・胃洗浄 ・吸着剤(活性炭)投与 ・下剤 ・催吐剤(吐き気を起こさせる薬) などです。 基本的にこれらの治療は、できるだけ早急にドクササコの成分を体外に排出させ、毒成分が体内に吸収される量を最小限にとどめるための処置となります。 特に胃洗浄などは一般的な医院などでは行えない場合がありますから、大きな総合病院などを受診する必要があります。
病院受診時の注意点
病院へはできるだけ早く受診する必要があります。 ドクササコを食べたと気づいたら、症状が出ていなくても必ず受診してください。摂取後数時間以内の受診が欠かせません。 その際は、 ・ドクササコを食べたこと ・食べた量 ・食べた時間 ・現在の症状 を詳しく伝えてください。 もし、家族など一緒にドクササコを口にした人がいる場合は、症状が出ていなくても必ず受診させる必要があります。 受診が遅れドクササコの毒が体内に吸収されてしまうと、地獄のような痛みが待っているからです。
痛みが現れてからの治療
胃洗浄などの処置が間に合わず、手足に症状が現れてしまった場合、麻酔や神経ブロック注射などでの痛みの緩和が行われます。 費用はかなり高額となりますし、基本的には毎日~数日おきに通う必要があります。 このような処置も総合病院などではないと行えない場合が多く、通院するだけでも大変な苦痛を伴います。
睡眠や食事がとれない場合は睡眠薬や点滴を用いることもあります。
家庭でできるほぼ唯一の方法は患部の冷却です。 保冷材などを皮膚にあてると激痛を伴いますから、多くの場合冷水を張ったバケツなどに手足を入れて冷却することになります。 これは過剰に行うと大変危険です。 長時間水につけた皮膚はふやけ、傷つきやすい状態になります。そこからさまざまな菌が体内に侵入し感染症を起こす危険がかなり高くなります。 辛いからと言ってやりすぎは禁物です。
怪しいと思ったらすぐに受診を!
ドクササコの恐怖をご理解いただけましたか? ドクササコかもしれないと思ったら絶対に食べてはいけません。 万が一食べてしまった場合、できるだけ早く総合病院などの大きな施設を受診してください。
胃洗浄も大変苦痛を伴う処置ですが、それだけで済めばあなたはむしろラッキーなのですから。