ドクツルタケとは?分布と外観的な特徴
ドクツルタケの生息分布
ドクツルタケとは日本全域に広く生息してるキノコです。 主に初夏~秋ごろにかけて広葉樹林や針葉樹林に分布しています。
ドクツルタケの外観的な特徴~可食キノコと類似点多数!
ハラタケやシロマツタケモドキ、ツクリタケなどの可食キノコと外観的な共通点が多いです。 ・白く円錐形のカサを持っている ・成長するとカサが開いてくる ・根元にツボを持っている ・繊維状のササクレにおおわれている ・柄にはツバを持っている ・傘の径は6~15cm程度 ・柄は14~24cm程度 ・生え方:地面に単生または散生
ドクツルタケの中毒症状とは~キノコだからと侮っては絶対ダメ!
ドクツルタケの毒性は非常に強く、1本を食しただけでも死に至るほど危険なものです。 外観上、ハラタケナなどの可食キノコと類似点が多いため、誤食による中毒例が多く見られます。 ドクツルタケの持つ毒は体内でタンパク質の合成を阻害します。その結果、体内の細胞が徐々に壊死し、機能障害を起こしてしまうのです。 それではそんな危険なキノコ、ドクツルタケの具体的な中毒症状をご紹介いたします。
ドクツルタケの中毒症状①コレラ様症状
コレラは有名な感染症ですね。 主な症状は腹痛・嘔吐・下痢(米のとぎ汁の様な白い水様便)が主症状です。 衛生環境の整った現代日本ではほぼみられることのなくなった病気です。
嘔吐・下痢・腹痛
ドクツルタケを摂取すると約6時間~1日でコレラのような激しい消化器症状が見られます。 一般的にこの症状は数日以内には治まってしまします。 早期に症状が治まってしまうため、医療機関の受診をされない方も多いことでしょう。実はこの時点で速やかに適切な治療を行わないと命にかかわる危険を招くことになります。 なぜなら、ドクツルタケの中毒が危険とされるのはこれ以降に現れる症状によるためなのです。
コレラ様症状の後にやってくる真の恐怖
コレラのような症状が治まった後、ドクツルタケの毒は体中を侵していきます。消化管からの出血や、肝臓や腎臓などの重要臓器に障害をもたらします。 その結果、生命の維持ができない状態へと蝕んでいくのです。
ドクツルタケの中毒症状②消化管出血
初期の嘔吐などの症状が治まった数日後、激しい消化管出血が見られます。 嘔吐とともに真っ黒な血が吐き出され、激しい痛みを伴います。 吐血量も多く、洗面器2杯分にもなったという記録も残されているくらいです。
ドクツルタケの中毒症状③肝臓機能の障害
肝臓は体内の毒素を分解する機能を持っています。 ドクツルタケは肝臓の細胞を破壊していくため、肝機能障害がみられるようになります。
黄疸
肝機能が障害され、黄疸がみられるようになります。 黄疸とは、ビリルビン(古くなって破壊された赤血球)が肝臓の機能障害によって上手く分解されず、体内に溜っている状態のことを言います。 そのため、皮膚や白目などが黄土色に見える症状です。 黄疸がみられると言うことは、肝臓に機能障害が出ていることを意味しますから、放置すると大変危険な症状なのです。
ドクツルタケの症状④腎機能の障害
腎臓は体内の不要な成分をろ過し、尿として排出する働きを持っています。腎臓機能が低下することによって毒素が体内に蓄積されることとなり、非常に危険な事態を招きます。
尿毒症
腎機能が障害されると不要な老廃物や毒素を体外に排出することができなくなります。 血液中に溜ったままの老廃物が体中をめぐることになるのです。 その結果、全身が蝕まれ、命の危険に及ぶこととなります。
適切な治療を行わないとその先にあるのは死!~キノコだからと侮っては絶対にダメ!
ドクツルタケはこのように全身をじわりじわりと蝕み死に至らしめる大変危険なキノコです。 特に、摂取後すぐに表れる嘔吐などの症状はすぐに治まってしまうため、治ったと勘違いされるケースが非常に多いのです。 この時点で適切な治療を行っておかないと、死亡または肝臓や腎臓に後遺症を残す結果となる危険が格段に高くなります。 キノコを食べて食中毒のような症状が出現したら、早急に医療機関を受診してください。
ドクツルタケ中毒の治療法
ドクツルタケ中毒の治療は設備の整った病院でしか行えません。 かかりつけの内科ではなく総合病院などの大規模は医療機関を受診してください。 そこで行われる主な治療法をご紹介いたします。
胃洗浄
胃洗浄とは、鼻や口にチューブを挿入し、チューブから整理食塩水や活性炭などを注入し、再度注入した液を抜くと言う処置です。まだ、胃の中にキノコが残っている状態で行うことによって、腸で毒素が吸収されるのを防ぐために行われます。 これは大変苦痛を伴う処置であり、摂取後数時間以内に行わなければ効果を得ることができません。 早期の受診が必要な理由はココにあります。
血液透析
胃洗浄が間に合わず、毒素が体内に吸収されてしまった場合、血液透析を行います。俗にいう人工透析ですね。 血管内にチューブを繋ぎ、血液をろ過装置にくぐらせます。そうすることで血液中の毒素を取り除き、きれいになった血液を体内に戻すと言う仕組みです。 この処置は数時間を要し、費用も大変高額です。
不十分な知識のキノコ採りは危険!中毒かも?と感じたらすぐに受診を!
ドクツルタケは別名「破壊の天使」と呼ばれています。見た目の清純さとは裏腹に、確実に人体を破壊して死に至らしめることが所以です。 十分な知識のないキノコ採りは絶対に控えましょう。 そして、怪しい症状が出現した際はためらわず受診し、必ず「ドクツルタケを食べた可能性がある」と伝えてください。 解毒はまさに時間との勝負ですから。
肝臓でつくられた胆汁は肝管を通って胆のうに溜められます。 胆汁は総胆管から腸へ送られます。