検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

彼岸花の毒で死に至る!?注意すれば怖くはない彼岸花の毒性を解説!

彼岸花は毒性を含む植物です。致死量を摂取してしまうと、最悪の場合、死に至ることも。でも、注意点さえ押さえれば大丈夫。子供がいる方やペットを飼っている方なら特に知っておきたい、彼岸花の毒性や致死量、安全に付き合うためのポイントを解説します!
更新: 2023年8月29日
三ツ矢ナオ
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

キレイな彼岸花には毒がある!?

彼岸花の毒は危険? 子供を遊ばせても大丈夫?

お彼岸の季節になると、道端であかあかと咲き出す彼岸花。 最近は観賞用としてもジワジワと人気を伸ばしています。 この彼岸花に「毒がある」という話を、なんとなく耳にしたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。 「彼岸花の毒性って、どれくらい危険なの?」 「子供を遊ばせても大丈夫?」 そんな疑問や、不安にお答えします!

注意すれば、それほど怖くない!

実は注意すれば大丈夫

まず、結論から言うと彼岸花の毒は、注意すればそれほど怖くありません!

すべての部分に毒がある

ただし、彼岸花は、すべての部分に毒があります。 花、茎、葉から球根に至るまで、全部危険なのです。

球根(鱗茎)部分に毒性が多く含まれる

彼岸花の毒は、特に球根部分に多く含まれています。この球根を食べてしまうと、最悪死に至ることも。ちなみに彼岸花の球根部分は「鱗茎」という呼ばれ方をします。これは、球根ごとのタイプの呼び分けのようなものです。

球根にさえ注意して、口に含まなければOK

「全部の場所に毒があるなら、すごく心配な存在じゃない?」「死に至ることがあるなら、かなり怖い植物なんじゃないの!?」と思われるかもしれませんが、要は「口にしなければ良い」のです。 手で触るだけなら、特に問題はありません。

子供やペットと、彼岸花の毒性

子供にはこう教えよう

子供が彼岸花の生えている場所で遊んでいる場合は、「食べてはいけない(特に、球根の部分を!)」と教えましょう。 少し手で触る程度なら、問題はないので、過度に心配して子供の遊びの幅を狭めないように配慮してあげるのも大切です。

ペットと彼岸花の毒性

犬や猫を飼っている方は、うっかりペットが彼岸花を口にしてしまわないか心配になりますよね。子供であれば危険なものなのだと教えることができますが、庭で放し飼いをしているペットとなると、なかなかそうはいきません。 大切なペットは、できるだけ彼岸花と近づけないほうが賢明です。噛んだり、口に含んだりしてしまう危険がないとは言い切れません。


ペットと彼岸花対策

お庭に彼岸花が咲いているのであれば、できるだけ掘り起こしてしまったほうが良いでしょう。特に、放し飼いにしている猫がいる場合、近隣に彼岸花が生えている場所がないか注意します。 子供の場合と同じく、過度に心配するのもペットの行動範囲を狭めてしまうので可哀想ですが、大事な命を守ってあげられるよう最低限の注意は払ってあげたほうが良いでしょう。

彼岸花の毒性について、緊急時はここをチェック!

どんな毒性があるの?

リコリンをはじめとした、「アルカロイド」という毒性を多く含みます。

彼岸花の毒性で、どんな症状が出る?

下痢や吐き気といった症状が見られます。

致死量はどれくらい?

彼岸花の球根には、約1gあたり0.15mgのリコリン(有毒成分)が含まれています。 リコリンは10gの摂取が致死量とされている成分です。なので、少し彼岸花の球根をかじってしまったくらいでは、まだ致死量に至っていません。ただし、嘔吐・下痢といった症状が見られた場合、すぐに医師の診断を受けましょう。 もっと詳しい毒性や、症状について知りたい方は、以下の文献を参考にしてみてください。

HILIC-MS/MS によるヒガンバナ科植物中の リコリンおよびガランタミンの分析

彼岸花が人里に多い理由

人里で活躍する彼岸花

彼岸花は、毒があるのになぜ人里にたくさん植えられているのでしょうか。「子供が誤って口にしてしまったら…」とハラハラする保護者の方にとっては、さぞ疑問かと思います。 でも、彼岸花はなにも勝手に増殖してしまう悪い花というわけではありません。 ちゃんと人間に役立つ花として、人の手によって植えられてきたと考えられているのです。

毒性で畑やお墓を守る

一説によると、彼岸花は畑やお墓を虫やネズミから守るために植えられてきたとされています。 確かに、そう考えれば、毒をもった花がわざわざ田んぼ沿いやお墓のそばに植えられているのにも、納得がいきますよね。大事な作物や、大切な人の遺体を守るために、昔の人たちは彼岸花の毒を利用していたのです。

彼岸花の毒抜き

実はこの彼岸花、毒抜きをする方法があるんです。 彼岸花に含まれる毒「リコリン」は水溶性で、長時間水にさらすことで、毒ではなくなるのです。この性質を利用して、彼岸花の毒を抜く方法をご紹介します。

毒抜きの手順1.すりつぶす


彼岸花の毒抜きをするなら、まずは球根部分をよくすりつぶします。 大根をおろすときと同じ道具でOKです。フードプロセッサーを使えば簡単。

毒抜きの手順2.よく水にさらす

球根をすりつぶしたら、よく水にさらしましょう。 この水にさらす工程は、何回も回数をこなしたほうが安全度が高まります。 「7回」を目安にしましょう。

素人が毒抜きをするときは、細心の注意を

毒抜きができるとはいえ、素人が毒抜きをして口に含むというのは、100%安全とは言えません。むしろ、予備知識として知っておけば充分で、実行するのはリスキーといえます。 できるだけ食用にするのは避けましょう。もし万が一実行してしまって、下痢・嘔吐の症状が出たときは、すぐに食用にするのをやめ、病院に行きましょう。

昔は貴重な食料だった彼岸花

毒抜きの方法が伝わっているのは…

「彼岸花は毒抜きをすれば食べられる」という知識が今日に伝わっているのも、昔彼岸花は食用にされていた歴史があるからです。 戦時中や、年貢の取り立てが厳しいとき、彼岸花は飢えをしのぐための食べ物でした。毒を含んでいるため、年貢の取り立ての対象にはならず、人々の空腹を誤魔化してくれる重要な存在だったのです。 あれだけびっしりと彼岸花が畑の脇に植っているのも、そんな背景があったからなのだろうかと考えさせられるエピソードですね。

安易に食べるのは危険

しかし、これは飢えにさらされていた古い時代の話。 彼岸花で飢えをしのいだ先人たちの知恵には敬意を払うとしても、現代のわたしたちが真似すると、危険な症状が出かねません。再現するのは避けてください。

さらに、薬にもなる!

もうひとつの活用方法は薬

畑を守るため、食用として…。彼岸花の活用は、それだけに留まりません。なんと、薬として扱われていた過去も持ちます。 毒をもった植物が薬になるだなんて、おかしな話に聞こえますよね。でも、彼岸花の球根は、漢方薬の世界では「石蒜(セキサン)」、「彼岸花根」という名で利用されてきました。炎症を抑える効果や、利尿作用があるというのです。それだけでなく、民間療法としても利用されてきた背景もあります。

素人が薬として使うのは危険

しかし、現代の私たちが彼岸花を薬として使うのは、安全とは言えません。食用にする場合と同じく、やはり元々は有毒の植物であり、逆に悪い症状が出る可能性もあります。 繰り返しになりますが、できるだけ口に含むのは避けましょう。

他の生き物から守る&観賞用が一番

彼岸花にはさまざまな用途があるのだと、お分かりいただけたのではないでしょうか。 それと同時に、食用・薬といった利用方法は決して安全ではなく、毒の症状が出ないとも限らないこともご理解いただけたと思います。 彼岸花をわたしたちの生活のそばに置くなら、 ・他の生き物から畑やお墓を守る ・観賞して楽しむ この2つがもっともおすすめで、安全な方法です。

あわせて知っておこう! 毒性がある彼岸花の仲間

スイセン(水仙)が彼岸花の仲間だということは、ご存じでしたか? 古代ギリシャから愛され、日本にも平安時代には渡ってきたとされる人気の花です。 このスイセン、実は、彼岸花の仲間というだけあって、毒を含んでいるんです。 症状は30分ほどの短い時間の中で出る傾向にあります。 厚生労働省は、スイセンの中毒症状について、以下のように記載しています。(2017年12月5日現在)


悪心、嘔吐、下痢、流涎、発汗、頭痛、昏睡,低体温など

また、事例としては、以下のようなケースがあげられています。

(症例1) 2009 年 4 月 29 日に兵庫県豊岡市の施設において、ニラと間違って食事に入れられたスイセンの葉を食べた 36 ~ 60 歳の男女計 8 人が、嘔吐や下痢などの食中毒症状を訴えた。うち 5 人が病院で手当てを受けたが症状は軽く、回復した。施設の職員が自宅の畑で栽培していたスイセンの葉をニラと勘違いして施設に持ち込み、 28 日の昼食として卵と一緒に調理し施設利用者らに提供。 12 人が食べ、 8 人が間もなく発症した。

この事例の中には、「ニラと間違って食べた」との旨が記載されていますね。彼岸花の仲間である植物たちは、ニラと間違われやすい傾向にあります。特に自宅では、混同して栽培しないようにしてください。

実は今、注目の彼岸花

昔はマイナスイメージが強かったけど…

さて、ここからは「最近の彼岸花世界」で起こっているお話です。 「毒がある」「お墓の近くに咲いている」というイメージから、昔は少し気味の悪い存在だと思われる傾向の強かった彼岸花。 でも、最近はそのミステリアスな雰囲気が人気を呼び、彼岸花を見るために観光客が訪れることもあるんですよ! SNSで美しい彼岸花の写真が拡散されたこともあり、写真を撮るのが好きな方や、若者からも注目を集めている花なのです。 あなたも彼岸花を見に行ってみませんか? 中でも、東京から日帰りで行ける注目のスポットがこちら!

東京から近い! 埼玉県日高市の彼岸花

埼玉県日高市には、曼珠沙華(彼岸花)の里「巾着田」があります。 ・清流と彼岸花のコントラスト ・雑木林に生える彼岸花が、自然と一体化していて美しい ・これだけ広い面積(しかも雑木林)に生えている彼岸花は珍しい 日高市の彼岸花が全国に知られるようになったのは、以上のような理由から。 中でも注目したいのは、「雑木林と一体化して群生している」というポイントでしょう。 彼岸花は、もともとやや湿った場所を好む植物です。雑木林の木陰は、彼岸花にとって最適といえる場所なのですね。 人里では見慣れてしまっている彼岸花でも、ひっそりとした雑木林の中では、いっそう神秘的な美しさを醸し出します。彼岸花が群生している上の画像も、日高市での光景です。一面の紅い絨毯をご自分の目で見てみたい方は、ぜひ埼玉県日高市へ!

日高市・曼珠沙華の里「巾着田」公式ホームページ

日高市へのアクセス

西武池袋線高麗(こま)駅で下車し、徒歩約15分で辿り着くことができます。 東京から赴くのであれば、中央線に乗り、八王子で八高線に乗り換えるルートが一般的ですが、この「八高線」は1時間に1本しか電車が来ない……なんてことも。 のどかな場所なので、公共交通機関が発展しているとは言い難いのです。 行くのであれば車がおすすめ。 ただし、彼岸花が見頃を迎える9月は渋滞が予想されます。 しかし辿り着くのが大変なだけあって、秘境のような美しさですよ!

実はそれほど怖くない彼岸花!

致死量を摂取しなければ大丈夫

彼岸花の毒性と付き合い方について、お分かりいただけましたか? 実は、それほど怖い花じゃないんです。 不気味なイメージを抱いていた方も、「致死量を食べず、触るだけなら大丈夫」と知っておけば、肩の力が抜けるのではないでしょうか。彼岸花の観光地へ行くときも、そう怖れることはありませんよ! ぜひ、観賞目的で彼岸花を楽しんでみてください。 万が一、口にしてしまった場合は、致死量を摂取していないか確認しつつ、急いで病院へ!