バラの挿し木、簡単で成功するには
やり方の意味まで知ると成功率も高い!
バラの挿し木のやり方は基本は同じです。新しい枝を日に当てないで土の中で発根させるという事です。やる時期が違ったり水挿しから始めるか、土挿しから始めるか、入れる土が違ったり土に挿すまでの工程が違ったり、挿し穂を入れた後の管理が微妙に違ったりと、少しずつ違いがあります。
どのやり方でするか迷ってしまう前にこの土を使う時にはこの方法でしなといけないのは何故?こんな時はこの工程の方がいいのは何故?どの方法でもそうする理由までを知っていればどのやり方でも間違えずに自分に合ったやり方で失敗しないです。
ここではそういった理由を含めながら初心者でも簡単にでき、なおかつ成功する方法をご紹介します。
バラの簡単な挿し木のやり方①時期
無菌・加湿状態で失敗しない時期
バラの挿し木に必要な状態というのは、水や土が腐らず無菌状態を保ち、水や土がなるべく乾かない状態である事が大事です。
5月は植物が活発に目覚める時期、6月は梅雨で加湿状態である時期、8月は気温が高いので菌が発生し増加しやすい時期、12月~2月植物が休眠する時期。上記を見てみると5月~7月が最も最適と言えます。その次は9月~11月です。
バラの簡単な挿し木のやり方②準備する物
4号ポットとあれば二回り大きな入れ物(穴なし)
右側の大き目の入れ物に鉢を入れて常に水をはった状態にする下からの底面給水(腰水)にする場合です。こうする事で水枯れの失敗を防ぎます。暑い時期にするや頻繁に水やりができない場合に適しています。
無ければ鉢の水が乾きすぎないように上からの水やりを注意すれば良いだけなので、鉢だけでも充分です。どちらか自分に合った方を選びます。
無菌状態で保水力がある土
鹿沼土を用いる方法もありますが、赤玉土も同様に保水性、通気性に長けている為にともに挿し木に向いています。鹿沼土の方が酸性が強い為により無菌ですが挿し木以外で酸性を好む植物にしか使用しません。赤玉土でも充分に無菌ですし、色々な植物に使えて価格もお手頃なのでお勧めです。
より成功させたいなら
鹿沼土や赤玉土と同じように保水性、通気性に優れていて、植物の生育を促すマグネシウムやカリウム、鉄分を含んでいます。なのでより成功しやすいと言えます。
ただとても軽いので水に浮いてしまい、上からの水やりでは苗が動いてしまう為、発根に影響があるのでバーミキュライトを使用するのであれば、赤玉土と混ぜる方が良いです。また赤玉土を入れた後にバーミキュライトを入れて更に上からまた赤玉土で固めると苗がしっかりと動かなくなります。
更に成功を高める為に、発根促進剤を使う方法もあります。挿し穂を土に挿す直前に、根に直接つけてから挿します。無くても充分に成功する事が多いです。
バラの簡単な挿し木のやり方③切り取る挿し穂は?
新しい枝を利用する
市販で売られている切り花を利用する方法もありますが、発根させるには苗から切り取られてなるべく早い段階で挿し木する方が成功率が高いです。一般に生産者から店頭に出るまでに日にちがかかってしまうのでできるだけ産地直送の市場などでの購入がいいです。
バラの簡単な挿し木のやり方④水挿しから
水揚げの為かそのまま水中で発根させるか
水挿しから始める場合、1~2時間水につけて水揚げさせます。ただの水で充分ですが、炭酸水は植物の成長や活性化させる働きがある為に利用する場合があります。ここまでで次への工程は土挿しです。又このまま1ヵ月程水に挿したままで発根させる方法もあります。
この場合は水の腐敗を防ぐ為に又発根を促す働きもあるミリオン(珪酸塩白土)を入れます。しかしこの水挿しによって発根しても水用の根と言う事でまた土に挿すので同じような工程を再度する意味で二度手間になるので水中での発根させる人は少ないようです。
バラの簡単な挿し木のやり方⑤いよいよ土挿し
根が出る部分の切り口を傷めないように
バラの簡単な挿し木のやり方⑥管理
日陰で風通しが良い場所
一日中、日が当たらないかつ雨水も当たらずに明るい場所、家の軒下や玄関ポーチの下、ベランダなどが最適です。北側でも日に当たる場合があり、夕方などの西日は特に注意が必要です。この状態で40日から50日このままで毎日、水やりをします。
バラの簡単な挿し木のやり方⑦水やり
水切れに注意する
挿し穂が揺れないように、そっと上から水やりします。季節によりますが、最初の方は乾いたら与えるようにしましょう。頻繁に水やりができる人はこの方法で充分です。
底面給水の方法も
この方法だと水やりがあまりできない人でも給水できます。気温が高い季節の場合は水が高温にならないように、下の水を替えましょう。その時も鉢をそっと持ち上げて挿し穂が揺れないように注意する事が大事です。また水に珪酸塩白土を入れると水の腐敗を防ぐ事ができます。
バラの簡単な挿し木のやり方⑧植え替え
発根したかどうかの目安
発根は早くても30日過ぎなのでそれまでは、気になっても抜いて見ない事が大事です。上の写真で30日くらいでやっと出てきている状態(カルスと呼ばれる白い塊)で、これではまだ不十分です。ここから徐々に根が伸び始めて40日過ぎでそっと苗を持ち上げてみましょう。少し抵抗があって根があるのが分かります。また発根に失敗していれば、早い段階で葉が弱ってきたり枝が枯れてきたりするので分かります。
育苗用の土に植え替え
挿し木鉢から取り出す時は慎重に茎を引っ張らずに、周りの土を根に当たらないようにスコップなどで柔らかくしながら、かなり下の方にスコップ当てて取り出します。(鉢上げ)鉢上げした後は、同じ鉢か一回り大きめの鉢に植え替えします。
土は挿し木に使った赤玉土(育った環境と同じが良い為)に腐葉土か培養土を足して苗をそっと入れます。すぐに水を与えましょう。ここからは購入した苗と同じように育てます。1年後に成長に合わせてまた一回りくらい大きな鉢に植え替えすると良いでしょう。
バラの挿し木、失敗してもまた挑戦
何度もできると思えば
発根していない目安として葉が弱ってきたり茎が茶色になったりしてきます。こうなると残念ですが、失敗と判断して良いでしょう。しかし1年のうちに春にできなかったらまた秋に挑戦すればいいし、それがダメだったらまた来春にというくらいの心構えが必要です。成功したらラッキーと思うくらいで挑戦してみましょう。
まとめ
バラの苗は元々ノイバラなどの野生苗に節木されて売られていますので根が強いです。それに比べて挿し木は根が独自の物なので、品種によっては弱いですが年月とともにしっかりとしてきます。
挿し木の良さというのは、純粋に好きなバラを増やせる、親株がダメになった時の保険という事は言うまでもないですが、何と言っても発根した時の感動とその面白さに尽きます。失敗しても次に生かせて成功する、この繰り返しながらはまっていく、これがまたガーデニングの楽しみの1つと言えるでしょう。
①今年出た枝で元気がいい枝をまず長目に切り取ります。ここから適してる部分を切り取ります。 ②先の細い部分よりも中央部分で太さが直径3~5mmくらいところを利用します。 細いと発根は早いですが根も細くて弱くその後の発育が悪く、逆に太いと発根に時間がかかり根が出る前に枯れてしまいます。 ③2~3節を取り出し、葉は下部分は全部切り取り上部も半分以上カットします。(黄色線) 葉があるとせっかく吸い上げた水を蒸散してしまうのでカットします。