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スタッコ仕上げとは?外壁塗装で気になる仕上げ方法の特徴と塗り方を解説!

「スタッコ仕上げ」とはあまり聞いたことがない言葉かもしれません。しかしその歴史はとても古く、洋風建築にも和風建築にもマッチする漆喰を利用した塗装方法の一種です。仕上げ方法によって壁の表情の幅がぐんと広がるスタッコ仕上げについて解説します。
2020年8月27日
イギー
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スタッコの基本知識

スタッコとは?

スタッコとは塗り壁に用いられる材料で英語記述では「stucco」と記述します。日本には古くから「漆喰」という塗り壁の材料がありましたが、大まかにその舶来品版であると考えてよいでしょう。

スタッコの歴史

海外版スタッコの歴史はとても古くローマ時代の建築物の装飾やインドやアジアの石仏に利用されていました。バロック建築においては塗り壁の材料だけでなく彫刻の装飾にも用いられていて、日本では「化粧漆喰」と呼ばれています。
現代では、イタリアン漆喰やスペイン漆喰などにその伝統が受け継がれており、近代建築の巨匠、ル・コルビュジエが作った有名な建築物「ロンシャン礼拝堂」スタッコ仕上げで作られました。白く厚いスタッコ(漆喰)がとても印象的です。
 

スタッコの材料は?

日本の漆喰は「消石灰(石灰石を加工したもの)」に「糊」を加えたものを主な材料として作られています。
一方海外の化粧漆喰はこれに「大理石粉」「顔料」などを加えたもので、あまり違いはみられません。さらに似たような建築の材料としてモルタルがあり、こちらは「セメント」と「細骨材」でできています。セメントの材料も「石灰石」が主成分ですので、こちらにもあまり違いはみられません。
それでは、モルタルやセメントとスタッコが違いは何でしょうか?

―それは装飾性です。

スタッコ仕上げとは?

スタッコ仕上げとは壁の装飾方法のひとつ

スタッコ仕上げとは外壁の定番塗装方法のひとつです。
スタッコは湿った状態の時は柔らかいので、その状態時に壁に塗り、装飾仕上げを行います。乾燥すると固くなるので、この性質から外壁としての強度を補強する役目も担っているのです。もともと日本では、鏝により外壁を装飾する手法のことをスタッコ仕上げと呼び、古くからある建造物の城壁や蔵などは、土や木材で造られた壁の上塗り材として漆喰を使っています。装飾に加え、不燃材料でもある漆喰は、火事から中のものを守る役割も果たしていました。

スタッコ仕上げの呼称の変化

その後材料や器具の進歩により、鏝塗り仕上げ以外の手法、吹き付けによる装飾も可能になります。スタッコ仕上げは、高級感ある外壁が進化した道具を用いて手軽に塗装できるようになったために流行しました。そして近年においては、漆喰という材料にこだわらずに壁を凹凸のあるザラザラした状態に仕上げる方法について「スタッコ仕上げ」と呼ぶように変化し、言葉の定義がどんどん広くなっています。

スタッコ仕上げの塗装方法

外壁仕上げの種類とは

外壁の機能としては「断熱」「耐風」「防火・防水」「遮音」「耐震」、そして「装飾」があります。ログハウスなどにみられるように、材料そのものをいかした建築物もありますが、メンテナンス性を考慮した場合、外壁を塗装することは一般的です。そして、外壁の塗装方法には主に「サイディング(装飾ボードを張り付ける方法)」「鏝塗り」「吹き付け」などがあります。このうち、スタッコ仕上げ利用される方法は「鏝塗り」「吹き付け」の2つです。これらの手法についてそれぞれ説明いたします。

種類その1:鏝塗り仕上げ(Trowelled-stucco)


左官職人が鏝を使い、ひとつひとつ手仕上げで行われるため装飾性が高く、高級感ただよう出来あがりになるのが特徴です。鏝仕上げにはさまざまな手法があり、金鏝、木鏝、ハケなどいろいろな器具を用いて、波型やランダムに模様をつけたり、アクセントを加えたりすることが可能となります。
大量生産されるパーツとは違い、複雑な装いが自由に表現できるため、オリジナルで落ち着いた風合いのある仕上がりです。パネルを貼る工法と比べ高価となることから建売住宅で採用されることはほとんどなく注文住宅で採用されることが多くなります。
 

種類その2:吹き付け仕上げ(Rough-stucco)

スタッコ仕上げといえば、一般的にこの方法です。
吹き付けの作業は圧縮空気を利用したスプレーガンと呼ばれる器具を用いています。
塗料を霧状に吹き付けし、下塗りをすませている外壁に塗布するのです。似たような石調風の仕上がりに「リシン仕上げ」がありますが塗料の主成分が違います。「リシン仕上げ」は表面がザラザラしているという見た目となり、「スタッコ仕上げ」はセメントや大理石などの骨材を混ぜているため、小さい石がギュッと寄せ集まって固まった風合いです。このためスタッコ仕上げは凹凸が多くより立体感がある仕上がりになります。
 

スタッコ仕上げの手順と2種類の吹き付け方法

スタッコ仕上げの手順

モルタルやコンクリートなどの下地の上に塗装を施すことがおおまかな手順です。
下塗り用の下地を十分乾燥させた後スタッコで上塗りを行い、「鏝塗り仕上げ」か「吹き付け仕上げ」のどちらかの方法を用いて装飾を施します。下地を十分に乾燥させないと後々のトラブルの元となりますので注意が必要です。
 

吹き付け仕上げの方法:1

ひとつ目の吹き付け仕上げの方法は、材料の骨材の風味をいかして専用ガンで吹き付ける「吹き放し仕上げ」と呼ばれる処理方法があります。大柄な模様になり素材の凹凸や、石材の重量感を引き出せる仕上げ方法です。

吹き付け仕上げの方法:2

ふたつ目の吹き付け仕上げの方法は「ヘッドカット」と呼ばれる処理方法があります。
吹き付けた後は液体が丸く盛り上がりますので、凸部に対してローラーや鏝を利用し慣らすため、液体の玉状の頭がカットされたような状態になり「ヘッドカット」と呼ばれているのです。「吹き放し仕上げ」よりシャープな装いになります。

どちらも専門の道具と慣れと経験が必要ですので、専門の職人さんに依頼するのが一般的です。

スタッコ仕上げで作られた外壁の特徴

重厚な風合いがもたらす高級感

使用される塗料がセメントに石を混ぜて作られているので石造建築のような独特の粗面凹凸が特徴となります。石を素材にしているにもかかわらず、どこか温かみを感じるのもざらざらとした風合いのためです。手軽に重厚感と高級感が得られるので、マンションなどの外壁に利用され、かつては人気の工法とされていました。装飾性に重点を置いた人工大理石を混ぜた塗料なども発売されて質感の幅も広がっています。

化粧漆喰により表現のバリエーションに富む

近年では塗料の種類も増加しています。顔料を加えてさまざまな色を使えることや、大理石やガラス繊維を混ぜて強度を高めたもの登場しました。趣が幅広く変えられることにより外壁だけでなく室内の壁や天井にも装飾にも用いられ、使用用途の幅が広がっています。

海外で使用されているスタッコと日本で使用されているスタッコの違い



先に述べました通りスタッコの材料は、海外版と日本版(漆喰)の違いはなくほとんど同じ材料です。では違いは? といいますとその味わいになります。海外においては古くはローマ時代のフレスコ画の下地や装飾物にも利用されていました。現代でもアメリカやヨーロッパなど海外でも化粧漆喰を用いた建築物は一般的に利用されています。

外壁だけではなく室内の壁にも利用されるスタッコ

イタリアスタッコ、スペインスタッコ、フランススタッコ、同じような石造建築でもそれぞれの文化により趣や顔料に違いがでます。
室内の壁をスタッコで仕上げているおしゃれなお店をなどを特にそれと意識せず、ご覧になっている方は多いのではないでしょうか?

スタッコ仕上げの良い点

その1:塗り替えまでの期間が長い

スタッコ仕上げは塗料を5~10ミリ程度と厚めに吹き付けるため塗り替えまで期間が長いことが特徴です。同じような石造建築風仕上げにリシン仕上げがあることは前述の通りですが、リシンの塗装の厚みは3ミリ程度までのためこちらは7~8年とされています。

その2:重厚感にあふれ雅趣に富む

塗装が厚めであるということに加え材料が石や骨材であるため粗面になり凹凸感ができ、重厚な雰囲気を醸し出します。またパネルを貼り付ける手法と違い、外壁材のつなぎ目もなく壁に一体感を持たせられることから雅趣に富んだ仕上がりです。

スタッコ仕上げの悪い点

その1:ひびが入りやすい

パネルを貼り付けているのではなく壁の全面に塗装をして仕上げるため、クラックが発生しやすくなります。クラックの原因は、道路や鉄道を走る車両の振動、紫外線、乾燥、経年劣化などです。クラックは見栄えだけでなく破損箇所から雨水などが侵入しカビの原因となるだけでなく、外壁の耐久度も下げてしまいますので注意が必要となります。

その2:凹凸部分に汚れが入りやすい

スタッコ仕上げの魅力のであるざらざらとした凹凸ですが、この特徴によりフラットな壁に比べて汚れがつきやすくなってしまいます。隙間部分に埃や雨水や自動車の排ガスなどが入り込み、黒っぽくなってしまう箇所がでてしまうのです。このため塗料の色によっては汚れが目立ってしまいます。暗い色を選ぶと汚れは目立たなくなりますが、スペイン建築のような真っ白な壁面に仕上げたい場合はクリーニングや塗り替えの費用も頭に入れておくことが必要です。

スタッコ仕上げによる外壁の2つの劣化症状

クラッキング(ひび割れ)

スタッコはデメリットの項目でお伝えしたようにクラックが起きやすい外壁です。地震のような大きな揺れ以外にも、環境(道路を通るトラックや線路を走る電車)からの振動の蓄積により壁にクラックが入ってしまうケースがあります。
クラックの種類は、幅が0.3ミリ以下の髪の毛が入るくらいのひび割れの「ヘアークラック」とそれ以上の「構造クラック」です。「ヘアークラック」レベルでしたらそこまで深刻な問題ではありませんが、「構造クラック」に関しましては早急な補修が必要となります。

チョーキング(触ると白い粉がでる)


日本語で白亜化といい、塗装面が剥がれ白い粉のようなものが現れることです。確認方法は簡単で手で壁に触りチョークを触った時のように白くなればチョーキングが起こっているということになります。この現象は建築年数がたてば自然に起きる現象です。スタッコ仕上げ外壁の寿命といわれる10年より前にチョーキングが現れた場合は、施工不良のケースも考えられます。しかし、それ以外のケースでは早急な補修は必要ない場合がほとんどです。チョーキングが現れたら壁の塗り替えのタイミングが来たなと思ってください。

外壁は自分で塗り替えできるの?長持ちさせる秘訣は?

外壁の塗り替えは専門性の高い作業

外壁の塗り替えは大がかりになります。高い所には足場が必要ですし、塗料の飛び散り防止のための養生や補修用専門道具など、さまざまな材料と用具の手配が必要です。また、ホームセンターで一般的に売られている補修材は、専門家が使う材料とは異なり耐久性は下回ります。やはり塗り替えは専門業者に依頼するのが基本です。

外壁を長持ちさせる秘訣は?

コスト対策としてご自身でできることは、いかに補修や塗り替えの期間を延ばせるかということになります。施工の時に耐久性のよい材料を選択することや、外壁をセルフクリーニングしてコケやカビを落とし根が張るのを防いだりすることは外壁の寿命を延ばす有効な手段です。ヘアークラックを見つけたら水が内部にしみ込んで内部を侵食する前に補修材を用いてご自身でメンテナンスするのもよいでしょう。ただし、補修材の種類は必ずお店で確認してください。いずれ本格的にメンテナンスが必要になった時に塗り替え用の塗装をはじいてしまう補修材があるからです。

まとめ

魅力的なスタッコ仕上げの壁でおしゃれに暮らす

スタッコはローマ時代から世界各国の人間が営む生活の中で用いられていた建築材料です。その魅力については長い歴史が証明しています。しかも、さまざまな表現方法が可能になるため洋、風も和風どちらの建築素材にも利用が可能です。スタッコ仕上げを新しい外壁を作る時や壁の塗り替えのタイミングがきた時に検討してみるのはいかがでしょうか。

どんな種類の外壁でも家に住み続ける限り必ず補修や塗り替えは必要となります。こまめにメンテナンスを行いなるべくコストを抑えて、美しい外観を保った家とともに暮らしていきたいものです。

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