はじめに
山桃(ヤマモモ)の成長の様子や花言葉も紹介
ヤマモモという名前から桃の仲間の植物と勘違いされる方も多いですが、ヤマモモは桃とは違う種類の木。それではどんな特徴があってどのくらい成長するのか。花や実の季節や様子は?と疑問もわいてくるのではないでしょうか。ヤマモモについて知りたいという方に、その特徴や桃との違い・花言葉など解説します。
山桃(ヤマモモ)について
ヤマモモという木はどのような木なのでしょうか。原産地やその名前の由来などヤマモモの基本的な情報からまず御覧ください。
山桃(ヤマモモ)の基本情報
科・属:ヤマモモ科ヤマモモ属
原産地:中国・日本
英語名/学名:Red bayberry/Myrcia rubra
名前は山足す桃・学名はギリシャ語由来
ヤマモモの名前の由来は山に生えている桃のような果実がなる木から。学名のMyrciaはギリシャ語のよい香り(myrizein)からきています。
関東以南の低い場所に生える
この植物は丈夫ですが温かいところを好みます。自生している場所は関東よりも南の低地。空気の悪いところでも元気に育つので都市部の街路樹などにもよく使われるため、見かけたことがある方も多いでしょう。
山桃(ヤマモモ)の特徴と桃との違い
ヤマモモの木の特徴とは?葉の形や花や実の様子と桃との違いをご紹介しましょう。ヤマモモは赤く実った果実が特に目立つ木です。見分ける方法はフルーツの旬である6月ころに注意して観察してみると良いでしょう。
特徴1.葉
葉は縦長で大きめ。葉裏にはワックス質の分泌物があり、触れると手に付着してきます。新緑の季節には赤みがある若い葉が出てきてとても美しいのが庭木としても好まれる理由のひとつ。
特徴2.花
放射状に生えてくる葉の中心に付く花。花はあまり派手ではありませんが、気づかないというほど地味ではありません。小さな房状になって咲き、色は赤。雌雄異株なのでメスの木の近くにオスの木がないと花が受精して実になることはありません。
特徴3.実
成熟した実の色は暗赤色。その季節は初夏です。食用に品種改良されているわけではなく、少々クセはありますが熟すと甘さを感じ生食でも食べることが可能。
山桃(ヤマモモ)と桃との違い
モモとの違いはまず種類が違うということ。桃はバラ科サクラ属の植物なので、親戚でも何でもない赤の他人の関係の植物。実がなる季節こそ初夏と似ていますが、その実の大きさが桃が野球ボール程度とすればヤマモモはピンポン玉程度。葉の形も丸みをおびた葉先のヤマモモと違い桃はとがっているのが特徴です。
山桃(ヤマモモ)の花言葉は「教訓」
ヤマモモの木には、欲張ってはいけないという教科書に載っているようなお話からロマンチックなものまで豊富な花言葉の意味があります。
花言葉の意味や由来
ヤマモモの花言葉の由来はその実の足の早さにありました。欲張ってひとりじめしてもすぐに駄目にして食べられなくなりますよという教訓じみた意味があるとされているのが花言葉の意味では有力です。
その他の山桃(ヤマモモ)の花言葉
その他に「一途」や「ただひとりを愛する」というロマンチックな花言葉もあるヤマモモ。これは雌雄異株の植物で近くにパートナーとなる木がないと結実できないことに由来するものです。人と違い移動することができないヤマモモのようなオスメスがある庭木は、ずっと同じ伴侶となる木一筋で浮気はしないところからきています。
山桃(ヤマモモ)の成長
庭木として植え付けたヤマモモの幼苗。その成長はどうでしょうか。特に実が食べられるようになるまでと、その実の付き方の特徴について解説します。
山桃(ヤマモモ)は収穫まで成長は早め
ヤマモモの種類は成長して実がなるまでが早めとなっています。よく成長の早さを例える言葉で、桃栗三年柿八年というのを聞いたことがあるでしょう。桃ではないないですが、ヤマモモも桃並に成長が早いのは似ているところです。
山桃(ヤマモモ)の実の当たり年は2年に1度
ヤマモモは柿の種類と似ていて、当たり年とはずれ年が交互にやってくる果樹。特にこの植物ははずれ年がひどく1個も実をつけないときもあるとか。ヤマモモの木を見かけて旬の季節に実がついていなかったとしても、何年か観察しないと雄株であると実だけでの確証はできません。
山桃(ヤマモモ)の楽しみ方
ヤマモモは庭木として植え付ける方もいます。その理由としてはとても強い植物で、丈夫で枯れにくいことなどもあります。庭木としてはどんな楽しみ方ができるのでしょうか。
庭木としての山桃(ヤマモモ)
ヤマモモの楽しみ方として庭に植えて楽しむというやり方があるでしょう。この木はとても葉がこんもりと茂るので濃い木陰ができるので夏場はとても涼しくて良いでしょう。ただしグランドカバーは日かげに強いものを選ぶのが庭木としての植え方のおすすめ。
赤い実と鳥を楽しむ
初夏には暗褐色の実をつけるヤマモモ。これは野鳥の好物でこれを目当てに庭木として植えた時に鳥が庭に訪れてくれるという季節の楽しみ方ができます。もちろん、この実は収穫して食べたりすることもできますが初夏の季節の鳥集めのための庭木として植えるのも楽しみ方のひとつでしょう。
山桃(ヤマモモ)は雌雄異株
山桃(ヤマモモ)の実が欲しければ雌雄必要
庭木としてヤマモモを植えて実も鑑賞したい場合は、メスの木だけでなくオスの木も近くにあることが必要となってきます。ただしすぐ近くである必要はなく、1kmほど離れた雄株から受粉して結実するヤマモモの木も珍しくありません。もし街路樹などでオスのヤマモモの木があるならば、庭に雌株の苗を植樹することでそれだけでも実がつく場合もあります。
雄株と雌株の花の違い
オスとメスの種類の違いがあるヤマモモ。見分けるには実の前に花をよく観察するとわかることも。ただ似たような種類の花が咲くので、よほど見慣れた人でないとこのやり方は難しいかも知れません。違いとしては①雄株はたくさんの花が付く②雌株は花びら状のものが少なく、その先端に実になる小さな膨らみがある③雄株は花粉で白くなっている季節がある。この3つです。
山桃(ヤマモモ)の簡単な育て方
日当たり・植え方
ヤマモモの木は日当たりの良い場所を好みます。鳥が食して分にまじった種から発芽することがあるので、苗木を買ってきて植える他ヤマモモの種まきから育てはじめてみるのも良いでしょう。植え付けてからきちんと着根・発芽するまでは乾燥に気をつけて、乾燥させてしまうくらいなら少し日かげくらいでも良いでしょう。種まきや植え付け時期は春3-4月ころ。
土・肥料
ヤマモモはとてもよく肥えた土を好むので、黒土に腐葉土を多めに混ぜ込んだものに、さらに牛糞をまぜたものを植え付け用土とします。結実後と成長期前2-3月ころに追肥として有機肥料を株元に与えると良いでしょう。あまり肥料を必要としないので、よく実るようであれば肥料は使わなくてもOK。
剪定など注意点
葉が非常に茂るので、周りの植物に日かげを作りすぎる傾向があります。また夏場には剪定をして葉の間に風を通すのも。通常剪定は3-4月頃に混み合った部分をすく感じでおこないますが、慣れていないと実のつく枝をすべて切ってしまうことにも。また葉にはハマキムシがよく丸くなって隠れているので、気になる方は見つけ次第葉ごと取り除いて処理してしまうとよいでしょう。
山桃(ヤマモモ)の味・食べ方
山桃(ヤマモモ)の実は痛みやすい
ヤマモモは旬の季節にしか食べることができない、足の早いくだもの。特に収穫してしまったあとはすぐに黒ずんでくるので注意が必要。生食の場合は食べるときに収穫した方が良いでしょう。加工する場合にしても、色合いが悪くなりますのでできるだけ早く調理してしまうのがおすすめ。
保存は冷蔵で
食べきれないほどたくさんいただいたという場合は、冷蔵庫に保存することで少しだけ長持ちします。冷蔵庫の野菜室は避け、乾燥しないよう新聞紙でくるんでから口をとじたポリ袋に入れて保存しましょう。
山桃(ヤマモモ)の冷凍保存の仕方
量が多かったり、加工処理している時間がないときは冷凍保存がおすすめ。冷凍にするにはまず水で洗ってから水気を取って冷蔵してください。実どうしが付着せずあとで使うときに楽になります。このあとジュースやジャムに加工する場合は、解凍せずに凍ったままで使いましょう。
山桃(ヤマモモ)を使ったレシピ
生で食べられないこともない果実ですが、特別美味しいというものではないのでジュースや果実酒・ジャムなどに加工されて食されることが多いです。ヤマモモが名産の地方であると、ヤマモモジュースなどとしても売られているくらいです。
山桃(ヤマモモ)ジャム
やまもも500g 砂糖110g
ペクチンなど使わずに、フルーツと砂糖だけで作るシンプルなジャム。さやわかな甘みと酸味のあるヤマモモの実ならではの甘酸っぱいきれいな色のジャムは朝食のヨーグルトやトーストなどにも活躍してくれるでしょう。
山桃(ヤマモモ)のシロップ漬け
ヤマモモ適量 氷砂糖適量
こちらも材料は氷砂糖とヤマモモだけといういたってシンプルなシロップの作り方。水やソーダで割っておいしくて冷たい飲み物の元となるでしょう。瓶に漬けられたヤマモモと氷砂糖のビジュアルもかわいらしく、赤いきれいな色のシロップになっていく様子も楽しめる面白い料理です。
山桃(ヤマモモ)の果実酒
やまももの実(下処理済みのもの)適量 ホワイト・リカー(25度)適量 ホワイト・リカーの空きペット1本
ヤマモモ酒の作り方は他の果実酒の作り方と代わりませんが、こちらのレシピは氷砂糖を入れないちょっと辛口な作り方。甘いヤマモモの実で作るので氷砂糖は不要と考えての作り方です。氷砂糖を入れない分、抽出に時間がかかるので、お急ぎの方は度数が高い35度の焼酎(ホワイトリカー)を使われるとよいでしょう。
まとめ
ヤマモモは桃の種類ではない
初夏に赤く甘い実がなるヤマモモ。そのまま食べても良いですが、ジャムやシロップにしておけばその夏はとても爽やかな甘酸っぱい飲み物やデザートが楽しめるでしょう。桃とは違い種類のとても丈夫な街路樹にも使われる木なので、庭木として植えるのもおすすめ。その特徴的な赤い実やそれ目当てに集まる鳥を楽しめます。
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